春の訪れは6月ころ。北の地域では、4月でもまだ深い根雪が残っているし、川もまだ結氷している。6月、春の訪れを待ちかねた人々は一気にアウトドアへと。昼休みに公園で肌を焼く人も多く見かけるし、仕事が終わってからでも、ビーチへ繰り出すという。何せ、白夜、「Where The Midnight Sun Will Never Set」。夏は太陽の沈まない国なのだ。オールナイトでマラソン・ゴルフをするとも言っていた。しかし、夏は、あっという間に過ぎ、8月の夜はもうコートが必要なくらい肌寒くなる。そして、10月ともなれば、空がどんよりと曇り、太陽が顔を出さなくなるとともに、一気に日が短くなり、冬へとなだれ込んでいく。12月、あたり一面銀世界、午後の3時半ごろにはもう真っ暗であるが、街中の窓という窓の縁に飾られた山型の電飾オーナメントが、幻想的なクリスマスの風景を形作る。
この映画の主題曲がJAZZであった。バディム監督が、1957年の「大運河」で「モダン・ジャズ・カルテット/Modern Jazz Quartet」を起用したのがきっかけで、いわゆるヌーベルバーグと呼ばれる若手の監督たちが、次々とジャズを映画音楽として用いるようになった。その頂点が、「マイルス・デイヴィス/Miles Davis」を起用した「ルイ・マル/Louis Malle」監督の「死刑台のエレベーター」であったことはご存知でしょう。
「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ/Europian Jazz Trio」の初期のアルバムに、この曲「スエーデンの城」を含む同名のタイトルのアルバムがあるが、ここはサウンド・トラックでしょう。音楽は、「レイモン・ル・セネシャル/Raymond le Senechal」が担当しているが、演奏者は分からない。クラリネットの哀愁の音色が、暗く澱んだスエーデンの冬の空を思い起こさせる。
「ビリー・ジョエル/Billy Joel」の「Just The Way You Are (素顔のままで)」からはじまり、「ジョルジ・ベン/Jorge Ben」の「Zazueira (ザズエイラ)」、「ロバータ・フラック/Roberta Flack」の「Feel Making Love」から、「マリーナ・ショウ/Marlena Shaw」の「Street Walking Women」など、人気POPS、ジャズシンガーのヒット曲を、ポップで爽快なブラジリアン・アレンジで歌いまくる。たしかに、1978年という時代にこのようなアルバムがリリースされていたということに驚くとともに、スウェーデンらしい懐の深さを感じる。
アルバム「I Will Wait for You」のジャケットで怪しい手つきをしている男、ファンキーなトロンボーン・プレイヤーとして人気の「ニルス・ラングレン/Nils Landgren」。この男のボーカルが、ちょっと渋くていい。ルグランの名曲、映画「シェルブールの雨傘」のテーマ曲で、アルバム・タイトル曲の「I Will Wait for You」をデュエットで歌う。なぜか映像が初めの部分だけで、あとは音のみ。
アルバム、「Slow Down」からは、それこそ、山のような多くのアーティストにカバーされている「君の瞳に恋してる/Can't take my eyes off you (君から目を逸らせることができない)」。よく御存じのポピュラー音楽のヒット曲で、1967年に「フォー・シーズンズ/The Four Seasons」の「フランキー・ヴァリ/Frankie Valli」がソロ・シングルとしてヒットさせた曲。YOUTUBEには、怪しい写真とともにアップされていますが、私の性癖でもありませんし、まして赤裸々な告白でもありませんので、誤解なきようお願いいたします。
「リサ・エクダール」とはまったく異次元で異質の声を持つ美女シンガーにはまったのは「マルガリータ・ベンクトソン/Margareta Bengtson」。人気ア・カペラ・ユニット、「ザ・リアル・グループ/The Real Group」の元リード・シンガーで、北欧一美しい声の持ち主とか、北欧一美しいソプラノの持ち主といわれている。正直言って、「ソプラノ」と「JAZZ」、全くイメージが湧かず、結びつかなかった。ソプラノといえばクラシック、JAZZといえば、低めのハスキー・ヴォイスと思っていたからだ。そんな私の固定観念を崩した美女シンガーが「マルガリータ・ベンクトソン」である。
「マルガリータ・ベンクトソン」。レコード会社の資料によれば、1966年、ストックホルム生まれ。声楽の教師を母に、王立オペラの主席フルート奏者を父にもち、幼少から歌とピアノを、12歳からはハープを習う。1984年に王立音楽アカデミーに入学すると同時に、学友と「ザ・リアル・グループ」を結成。2000年発表のアルバム「コモンリー・ユニーク/Commonly Unique」は、スウェーデン国内のグラミー賞を受賞したが、その後グループから独立し、ソロ活動へ。古き佳き時代のアメリカン・ジャズ・スタンダードへのオマージュとして制作された、2007年のデビュー・アルバム、「アイム・オールド・ファッションド/I´m Old Fashioned 」が、その美しいソプラノ・ヴォーカルとオーケストレーションで話題を呼んだ。
そして第2弾アルバムは、「クイシー・ジョーンズ/Quincy Jones」が、60年代スエーデンに滞在した時に書いた曲、「The Midnight Sun Will Never Set」をタイトルにした、「ホエア・ザ・ミッドナイト・サン・ネヴァー・セッツ/Where The Midnight Sun Will Never Set (真夜中の太陽が沈まない国)」。これまた、オリジナルの2曲をのぞいて、「マイ・ファニー・ヴァレンタイン/My Funny Valentine」、「スターダスト/Stardust」など古き佳きアメリカン・スタンダードが、清楚でチャーミングなソプラノで歌い上げられている。その歌唱力に、彼女の円熟した人生を垣間見ると同時に、スウェーデン・ジャズの奥深さと多様な側面を感じる。
「ジェーン・モンハイト」は1977生まれの生粋のNYっ子。音楽一家に育ち、1998年、数あるジャズのコンクールのなかでも現在最も権威あるといわれる「セロニアス・モンク・コンペティション」のヴォーカル・コンペで2位を獲得し、弱冠22歳の若さで、アルバム「Never Never Land(邦題;マイ・フーリッシュ・ハート)」で、レコード・デビューした実力派。その肉食系の美貌には似合わず、意外と可愛げな甘い歌声で、ノリもいい本格派といえよう。歌唱力に深みがないという評もあるが、観て、聴いて楽しめる歌手であることは間違いない。「百聞は一見にしかず」、「レインボー・ルーム」で行われたライブの映像をご覧いただこうか。
アルバム「Sings」から2曲「I wish you love」、「I'll close my eyes」を ・・・。 Mimmi Hammer(vo),Karin Hammer(tb),Ronnie Gardiner(ds),Mathias Algotsson(p),Martin Sjostedt(b)
前回は、世界的に有名になった「スエーデン美女ジャズ・シンガー」の元祖といってもいい、「モニカ・ゼタールンド/Monica Zetterlund」を取り上げました。しかし、私がはまった最初の「スエーデン美女シンガー」は、「ストックホルムの妖精」とか「魅惑のシルキー・ボイス」とよばれている「リサ・エクダール/Lisa Ekdahl」である。もう、10年くらい前であろうか、たしか「Amazon」からのオススメでジャケ買いしたアルバム、「Back to Earth」であったように記憶している。この歌手に対して、ジャズ。ファンは多分賛否両論であろう。というのも、かなり独特の、いわゆる「ロリータ・ボイス」、「チャイルド・ボイス」なのである。この声を、私はそうですが、心地よいと思う人も多い反面、「う~~ん、ちょっと」と思う人もかなり多いはず。まず周りを確認してから音を出すという人やら、奥さんの前では、誤解されそうなので絶対に聴かないとか、そんな話を聞いたこともあります。
「リサ・エクダール」。レコード会社の資料によれば、1971年、スウェーデン、ヘゲシュテン生まれ。音楽学校卒業後、ストックホルムでコーラスの仕事を始め、ジャズ・プレイヤー、「トニー・ホルゲン」のバックを務めたことがきっかけとなり、EMIスウェーデンに認められ、1994年デビュー。すぐに一躍スターとなり、そのスウェーデン版グラミー賞で新人としては異例の3部門受賞に輝いたという。レコード会社もそのキャラクターは十分に心得たもので、初期のジャケットは、「伏せ目がちで、横ずわり」といった写真を使って、私のような気弱なじいさんの弱点をちゃんと狙って攻めてくるから憎い。そして、その声、よくありがちな作り物の「おねだり声」でなく、一聴すればわかるように「天然ロリータ・ボイス」と言っていいだろう。それが私の脳髄を妙に心地よく刺激する。「Back to Earth」、「When Did You Leave Heaven」どちらの歌もジャケットもオススメ。あの声で、あの往年のナットキングコールの「Lonely One」やスタンダードの「Cry Me A River」、「My Heart Belongs to Daddy 」なんかを歌うからたまらない。今宵は脳髄を刺激されてみようか。
ジャズなのか、ジャズでないのか ・・・。どちらでもいいことだが、まあ、いずれにしても、少なくとも「JAZZY NOT JAZZ」路線の先駆けの一人であったことには間違いない。さて、ぼけ間近老人の赤裸々な告白になりましたかどうか ・・・・。まあ、ひとつ聴いてくださいな。