大屋地爵士のJAZZYな生活

プリンシプル ~動乱の時代を駆け抜けた二人~

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写真左;撮影/濱谷 浩  (神戸大丸ミュージアム HPより)

左の写真は白州次郎の有名な写真。戦後まもないあの時代に、これほどTシャツとジーンズが似合う日本人がいたとはと有名になった一枚。


今年初めての「神戸街歩き」。お目当ては「白州次郎と白州正子展 -動乱の時代を美しく生きる-」と、南京町の「春節祭」。

戦後の混乱の中、凛とした姿勢でGHQとの折衝に臨み、GHQから「従順ならざる唯一の日本人」と恐れられ、戦後の日本復興に尽力した白洲次郎(1902-1985)。そして、彼の妻であり、能、骨董、かくれ里をめぐる旅のエッセイと、その抜きん出た美意識で世に知られる随筆家・白洲正子(1910-1998)の生き様や生活観を紹介しています。最近この夫婦への評価や共感がたかく、この展覧会もシニアの夫婦連れや妙齢のご婦人たちが多く訪れていました。

兵庫・三田(さんだ)の名家の出身である次郎は、身長180cmを超す日本人離れした風貌で、ケンブリッジ大学留学を通して、英語力と英国風マナーに精通。毅然とした内面を反映するように、スタイルにもこだわり、日本で初めてジーンズをはいた人物としても知られ、愛用のブランドは、ダンヒル、ロレックス、ヘンリー・プール、ターンブル&アッサー、ルイ・ヴィトン、イッセイ・ミヤケ、エルメスにまで及ぶ。これら 次郎が選び抜いて使った品々や愛用の洋服などが展示され、その生き方とあわせ、彼の「ダンディズム」にすっかり感心させられました。また無類の車好きで、イギリス留学中には、ベントレーやブガッティを乗り回し、「オイリー・ボーイ」(オイルにまみれるほどの車好き)と呼ばれていた。

終戦後は、吉田茂の側近としてGHQとの折衝に奔走。日本国憲法制定の交渉や、サンフランシスコ講和条約の発効まで、敗戦国・日本の冬の時代を、アメリカを相手に毅然とした態度を貫いた。吉田茂の退陣後は実業界に転じ、東北電力会長や、創設間もない日本テレビ等の役員や顧問を務めながら、戦後の日本の奇跡的な経済復興の立役者としても活躍したのである。

同時に、しゃれで「武相荘(ぶあいそう)」と名づけた東京郊外鶴川村に構えた自宅で、自身を「カントリージェントルマン」と称し、農作業や田舎暮らしを楽しむ優雅さも持ち合わせていた。そのふたりが過ごした旧白州邸武相荘の内部も展覧会では一部再現され、2人の強烈な美意識と個性が交差する中で極められた、魅力的な生活スタイルが覗える。

次郎が一貫して持ち続けた価値観は、「プリンシプル」。今の日本人に一番欠けているものかもしれません。人間や社会のすべての行動の原点、土台となる信条、原理原則。日本語に訳せば「筋を通す」というべきものだという。かって私が勤務していた会社に、創業者の制定した「7精神」というものがあり、スコットランド人の友人に「7 Spirits」と訳して説明したら、それは「7principles」というべきだと言われたことがあるのを思いだした。

そんな「プリンシプル」に貫かれた彼の語録から・・・・・・。
「プリンシプルをもって生きていれば、人生に迷うことはない。プリンシプルに沿って突き進んでいけばいいからだ。そこには後悔もないだろう。」
「我々は戦争に負けたのであって、奴隷になったのではない。」
「政治というのは、ここを右折禁止と決めることで、それを守り守らせるのが行政の仕事なんだ。ちっともわかっとらん。」
「ゴルフの上手なやつにろくな奴はいない。」(軽井沢ゴルフ倶楽部の理事長時代、会員でないという理由で、時の総理田中角栄のプレイを断ったのは有名な話)

その極みは遺言。遺書には「一つ、葬式無用 一つ、戒名不要」。なんというダンディズム。

随筆家で、優れた審美眼を持つ正子は、明治維新の立役者である樺山伯爵の次女として東京に生まれ、女性で初めて女人禁制の能舞台に立ち、能を舞った人物としても知られている。
14歳でアメリカに留学。帰国後、18歳のときに、次郎(26歳)と出会い、お互いに一目惚れ、翌年結婚した。戦後は河上徹太郎、小林秀雄、青山二郎ら、昭和を代表する文化人との交流を通じて文学、古典、古美術の世界に傾倒し、彼らとの付き合いの中から吸収したものを発表し続けた。 また、稀代の目利きである正子の目は、ジャンルを問わず美しいものに注がれ、染め、織り、陶磁器、木工など様々な分野の職人とその技を愛した。銀座で経営していた染織工芸店「こうげい」では、そこで見いだされ、技を磨き、のちに人間国宝となった職人や、世界の頂点に立つようになるファッションデザイナーなど多くの匠を育て、世に送り出した。

そして、ふたりが過ごした「旧白州邸武相荘」の内部も一部再現し、食事のメニューや日常生活で使われた食器や調度品など、2人の強烈な美意識と個性が交差する中で極められた、魅力的な生活スタイルが展示されている。
確固たる価値観を持ちつづけ、厳しく、そしてしなやかに激動の時代を生きたふたりの生涯が、今でもなお、いや、今でこそ共感を得ているのだろう。(略歴はパンフレット参考)


白洲次郎 占領を背負った男 上 (講談社文庫)

北 康利 / 講談社



高度成長時代の観光ブームに背を向けるように、近江路を歩き回って、忘れ去られていた文化遺産をまとめて、エッセイ「かくれ里」として「芸術新潮」に連載をスタートしたのは1969年であった。
よし、春がきたら、正子の愛した近江のかくれ里へ車を走らせてみよう。

かくれ里 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

白洲 正子 / 講談社



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旧暦で節句を祝う中国では、旧暦のお正月を「春節」として盛大に祝う。この時期の中国は大量の爆竹が鳴り響き、怪我人が出るほどの大変な騒ぎ。北京では環状5号線の内側で「爆竹禁止」の条例が出るほどです。そして、祝い事には欠かせない龍や獅子が舞い踊り、大いに賑う。

今年の春節は「1月26日」。神戸・南京町でも旧暦の正月に合わせ、1987年(昭和62年)から「春節」を「春節祭」として開催が始ったそうだ。その後、昭和天皇崩御の年と阪神淡路大震災の年の2回は中止となったが、2009年は23年目21回目の開催となります。南京町全体が春節を祝う飾りつけ一色になり、獅子舞、龍踊り、京劇など色々な中国芸能やパレードが繰りひろげられます。写真は中国風獅子舞(南京町HPより)。元来、獅子は想像上の動物であり、一説には神々の宮殿にいる天龍が怒って町や村を破壊しないように宮殿の前で守る役目を持つそうだが、日本の獅子とはまるで違ったカラフルでユーモラスな形をしています。

英国風のダンディズムと侍の気骨を持った日本人の生き様に触れ、中国の祭りを楽しんだ一日。これだから神戸は楽しい。

そして帰宅後、夜観たTVはNHK「美の壺」であった。テーマは「かな文字」。

NHK「美の壺」ブルーノート・コレクション

オムニバス / EMIミュージック・ジャパン



「美の壺」のオープニングは「モーニン/ Moanin' 」。

「Art Blakey & the Jazz Messengers - Moanin' 」

          
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by knakano0311 | 2009-02-01 17:04 | おやじの遠足・街歩き | Trackback(8) | Comments(0)
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