大屋地爵士のJAZZYな生活

ご即位20年の日に

天皇陛下がご即位なさってから20年、TVで記念式典などのNEWSを報じていた。その記者会見での皇后陛下の次のお言葉が印象に残った。
「高齢化・少子化・医師不足も近年大きな問題として取り上げられており、いずれも深く案じられますが、高齢化が常に「問題」としてのみ取り扱われることは少し残念に思います。本来日本では還暦、古希など、その年ごとにこれを祝い、また、近年では減塩運動や検診が奨励され、長寿社会の実現を目指していたはずでした。」と皇后陛下。

年金、高齢者医療、後期高齢者保険、介護保険 ・・・ 等々の実態を見ると、長生きすることは幸せではないようにも思えてならない。そんな今日の情況のなかで、色々と発言に制約の多い中、具体的にここまで言及されたことはかなり異例なことではないだろうか。政治家だけでなく国民としても、この国がどんな国を目指すのか、重く受け止めなくてはならないお言葉のように思える。

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さて、12日は各地で記念の行事があった。私がここ数年は毎年のように行っている、奈良国立博物館での「正倉院展」は、12日が最終日で、しかも即位20年を記念し、観覧無料であったので、この日をねらって出かけてきた。古都・奈良の秋の風物詩ともいえる正倉院展は、今年で61回を数えるが、今年は初出陳12件を含む66件の宝物が出陳(しゅっちん)され、また眼を見張るような出陳物も多く、近年のなかでは中身の濃い豪華で出色の展示であった。中国伝来のもの、わが国で製作されたもの、色々ある出陳物の中で、特に一際、私の眼を奪ったのは、次の4品であった。

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・帯から下げる佩飾品(はいしょくひん)である緑牙撥鏤把鞘御刀子(りょくげばちるつかさやのおんとうす)。聖武天皇が帯に下げて身を飾ったと思われる。

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左より
・重厚なシタン地に華やかなモザイク文様を施した紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)。ペルシャに起源を持つ中国・唐代の4弦の琵琶。
・背面を六つの大きな花で埋め尽くした豪華な銅鏡。白色の螺鈿と赤色の琥碧(こはく)のコントラストが美しい平螺鈿背円鏡(へいらでんはいのえんきょう)。素材成分分析によれば中国で生産された可能性が高い。
・花形の角をつけた鹿を大胆にあしらった異国情緒あふれる金銀花盤(きんぎんのかばん)。六つの花弁を持つ脚つきの銀盤で中国製。

 (写真と説明は御即位二十年記念 第61回正倉院展HPによる)

詳細な解説は「正倉院展のHP」を観ていただきたいが、出陳物はいずれもため息が出るくらい美しく、見事なデザイン、繊細で精巧な細工であった。刀子(とうす)、錦を現代の名工が模して作った復刻品も展示されていたが、一流の名工、名匠にしても再現するのが難しかったほどの水準の高さだったという。いにしえの名もなき職人の技量はいかばかりであったのか。

製鉄、養蚕、機織などの技術の朝鮮半島、大陸からの導入。彫り、織り、螺鈿、彫金、木画、塗など加工技術の習得、伝承、職人の育成。大仏開眼法要などの儀式や貴人の生活での工芸品の使用。シルクロードや中国との交易や人の往来。それにもまして、勅封の正倉院での1000年を超える宝物の保管。これらの歴史的背景に思いを馳せるとき、この正倉院の宝物は、東アジア全体の悠久の歴史が東端の一点、日本に収斂した美の極致、そして古代日本における権力(=天皇制)がもたらした奇跡といっていい。

   (つづく)
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by knakano0311 | 2009-11-14 00:12 | おやじの遠足・街歩き | Trackback | Comments(0)
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