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大屋地爵士のJAZZYな生活

3D映画とアナログな日々

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(C)2009TwentiethCenturyFox.Allrightsreserved.

朝から寒い雨の降る日、こんな日は映画に限る。先週、人気の映画、「ジェームズ・キャメロン/James Cameron」監督の「アバター/Avator」を観てきました。結論から言うと、まだ未知数な部分や改良の必要は多分にあるものの、無声映画⇒トーキー⇒カラー(天然色)⇒シネマスコープ/80mm⇒SFX/コンピューター・グラフィック⇒デジタルと進んできた映画の進化の流れの中で、新しい時代を感じさせるものであったし、十分楽しめる娯楽大作であった。

物語は、下半身不随になり、車いす生活を送るジェイク(サム・ワーシントン)は、衛星パンドラにやって来る。彼は人間とナヴィ族のハイブリッドであるアバターに変化を遂げ、不自由な体で単身惑星の奥深くに分け入って行く・・・。資源を狙って、ある衛星にやって来た人類と、その星にもともと住む者たちによる激しい戦闘を、迫力の最新3D映像で見せる。豊穣に拡がるイマジネーションには、息を呑むばかり。ラスト40分の大活劇には、色鮮やかな竜に乗って飛ぶ先住民が弓と矢で、重厚な爆撃機やロボット兵器を迎え撃つ。ファンタジーあり、西部劇あり、SFあり、戦争映画あり、ロマンスありの映画に必要な要素がすべて詰まっている映画であった。眼が慣れてくると、その奥行きのある3Dに驚かされる。そして、違和感なく別世界のなかにはいりこみ、自分もストーリーを体験しているという臨場感は、今までに体験したことのない映画の感覚であった。初めて「スター・ウォーズ」を観たときのような、ドキドキ、わくわく感があったことを告白しておこう。そして3Dへの道を拓いた映画人・キャメロン監督のチャレンジ精神に敬意を表しておこう。

3D映画を観るのは、「カールじいさんの空飛ぶ家」についで今回2度目。「カール・・・」はアニメーションであり、画面のデフォルメや動きがスローなため、あまり感じなかったが、「アバター」は3Dの問題点もかなりクリアーに出てきた。

第一の問題点は、3Dのスペックに関わる問題点である。3D映画を観るには、スクリーンから発信される信号に同期して、液晶によるシャッターが高速で左右を交互に透明・不透明を繰り返す専用の眼鏡をかける必要がある。多分、このシャッター・スピードがまだ技術的に遅いのである。したがって、画面の速いスピードに眼(脳)がついていけないのである。動きの早い戦闘シーンや高速スピードの画面になると3Dのクリア感が薄れて、相当眼に負担がかかって、疲れる感じがする。これは、液晶の性能と制御技術を上げることで早晩解決するであろう。何?、それは老化のせいだろうって・・・。

第二の問題点は眼鏡である。まず重いのである。「アバター」の上映時間は162分。この長時間、3D眼鏡をかけ続けていると正直疲れる。もちろん個人差があるが、フィット感や眼鏡をかけている人への配慮など、デザインや設計面で、まだまだ改善の余地があろう。これもいずれ技術的に解決する問題である。眼鏡をかけずに3Dが楽しめる時代はまだ遠い話であろう。

第三は、どんな映画でも、或いはどんな映画やストーリーが3Dに適しているのであろうかということである。「アバター」は、異星に舞台を設定しているため、その星の眼を見張るような3D向きの自然や景観が自由に創作できる。表現の自由度や多様性が増したからといって、必ずしも表現力や映画の感動がアップするとは限らない。リアリティをもとめ、モノクロで映画を撮ることにこだわった「黒澤明」監督の例もある。3D視覚に訴えるアクション性の強い映画だけでなく、心理サスペンス、ラブ・ストーリー、ヒューマン・ストーリーで、「これぞ3D!」と、はたと膝を打つような映画が出てくることを期待する。

それにしても、デジタル技術の進歩はすごい。3D映画もデジタルだから可能になったともいえる。各電機メーカーが今、しのぎを削って開発中の「3D-TV」が発売されるのも時間の問題であろう。しかし深刻な問題は、TV受信機というハードとその周辺は、どんどん進化していくのに、そのコンテンツ=ソフト、すなわち番組の内容はどんどん劣化している事である。このままTV受信機が進化を続けていっても、我が家のTVは、ますますモニターと化し、バラエティ一辺倒のTV番組なんぞまったく観なくなるのに違いないのだ。

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この記事を書いている今日は、春を思わせるような暖かい日差し。六甲山系の端っこの甲山(かぶとやま)にあるお気に入りのカフェで、ゆっくりとお茶のひとときを楽しむアナログな午後を過ごした。たっぷりとミルクを淹れたカフェ・オ・レや窓辺の日差しの変化を楽しむ。毎日毎日繰り返す日々の暮らしを楽しむには、変化や起伏があっても、激変や「ゼロかイチか」などと急激でシビアな選択をせまられないアナログな日々がいいようである。私は、デジタルの恩恵に馴れ、デジタルともそこそこ付き合いながら、基本的にはアナログな生活を楽しんで生きていくのだ。

徹底的にアコースティックにこだわるノルウェイのJAZZアーティスト「ヤン・ガルバレク/Jan Garbarek」。女性の声までもアコースティック楽器として組み込んでしまう。朗々と響きわたるSAX、キーボード、ドラム、ベース、パーカッションが、透き通る北欧の空気だけでなく、グローバルなノスタルジックをも感じさせる。
2人の女性ヴォーカリスト、まるでイスラムのコーランでも聴いているような不思議な響き。日本の祭り囃子を感じさせる曲もあり、民俗音楽の要素を取り入れた、まるで地球の大地を低空飛行するような飛翔感のある1枚。「ヤン・ガルバレク・グループ/トウェルヴ・ムーン(Twelve Moons)」。

トウェルヴ・ムーン

ヤン・ガルバレク・グループ / ユニバーサル ミュージック クラシック



「Twelve Moons - Jan Garbarek」

          
by knakano0311 | 2010-01-21 09:41 | マーケッターとしてのシニアから | Comments(0)
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