大屋地爵士のJAZZYな生活

匠を支えた道具たち・竹中大工道具館  諏訪山公園界隈(2)

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(続き)

現存する会社で、世界最古の会社はどんな会社で、どこにあるか? そしていつから続いているのか? その答えは、大阪にある「金剛組」という建築会社(いわゆるゼネコン)で、創業西暦578年、なんと飛鳥時代から1400年以上も続いているのである。その時代から寺や神社を建て続けてきた。593年に難波(なにわ)に四天王寺を完成させたのが、そもそもの仕事始めだったとか言うからすごい。そして、スーパー・ゼネコンの竹中工務店も1610年創業である。1610年といえば、1600年が関が原の戦い、1603年江戸幕府が開かれた年、ガリレオ・ガリレイが木星を観測し月以外の衛星をはじめて発見した年が1610年である。織田信長の元家臣であった初代竹中藤兵衛正高が、江戸時代初期に尾張国名古屋にて創業。寺社仏閣の造営に携わったのが始まりとされる。今年で創業400年を迎えるから、これまたすごい。勿論、経営力という面もあるが、結局のところ、名も無き職人達の技術集団の技術力、その技の伝承が会社を支えて来たのだ。

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(写真はいずれも竹中大工道具館HPより)

相楽園の日本庭園でしばしの憩いを得た後、次に向かったのは、本日の街歩きのメインのお目当てで、相楽園のすぐ近くにある「竹中大工道具館」。竹中大工道具館は、竹中工務店創立85周年の記念事業として昭和59年(1984)7月、神戸市中央区中山手に開館した。神戸のこの地は、明治32年(1899)に竹中藤右衛門が創業の地・名古屋を離れ、竹中工務店を創立した地だという。

日本の建築を支えた職人たちの技、それを生み出した大工道具24,000 余点が蒐集されている。大工道具は、品質のよいものほど、摩耗するまで長く使われ、やがては消滅するという厳しい宿命をもっている。これを民族遺産として収集・保存し、さらに研究・展示を通じて後世に伝えていくことを目的に、企業博物館としてスタートしたという。何かの本や記事でこの博物館の存在を知り、かって多少ビル建築に関わっていた私としては、ぜひとも見たかった博物館である。10数年前、ビジネスでお付き合いのあった米国人のトップの趣味が、古い大工道具の蒐集であると聞いて、来日したときに連れて行く計画をしたが、運悪く台風の襲来で中止をしたことを思い出す。見学はそれ以来の念願でもあったのだ。

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ただ「美しい」の一言に尽きる。それも絵画や美術品のような美しさではなく、千年を超える伝統や歴史や職人の汗と涙が機能美となって、鍛冶屋の手から道具に凝縮され、それがまた見事に使い込まれている。機能美という合理的な理由から生まれた美しさだ。斧(おの)、鋸(のこぎり)、鉋(かんな)、鑿(のみ)、錐(きり)、槌(つち)、墨壺(すみつぼ)、曲尺(さしがね)、罫引(けびき) ・・・・・。かって大工はひとりで179点もの道具を所持していたという。木をねじ伏せるための道具ではない。ひたすら木と対話し、手なずけるために進化してきた道具である。大工道具にかかわらず、無から有をうみだす道具を古来の職人は神聖視し、最大の注意と敬意とをはらってきたのだ。この博物館の展示物や映像テキストなどをみれば、わが国でどの様に建物が建てられたかよく分かる。それは、技術を超えて文化であり、歴史であり、国民的遺産とすらいえるのだ。

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この博物館には、建築関係者や職人もよく訪れるようで、ある時、「ここの研ぎ下手やなあ」という大工らしい来館者の声が職員の耳に入った。館は急遽「名人」に依頼をして研ぎ直しをしてもらったという。研ぎの拙さを見抜いたというその話は、現代にもその技や心意気は、伝承されていることを感じさせる話であるし、館も展示物に手抜きをしていないのだ。

近代になり、コンクリート、鉄、プラスティックなど意匠、強度、安全などの理由で使われる建材は多様化し、効率を求めるため、工法や道具も変化し、電動工具を始めとする色々な道具や機械が登場してきた。かって人が、職人が命をこめた大工道具たち、古代の石斧の時代から、原理的には変わっていないこれらの大工道具たち、すべての技術の原点であるように思える・・・。

「安土城をつくった大工と道具―映画『火天の城』協賛展―」。岡部又右衛門とその一門が安土城築城に挑む姿を描いた「火天の城」(東映)公開にあわせ、中世末から近世初の大工道具(復元品)、映画に登場する大工道具と映画のシーンを合わせて紹介する企画展も開催されたようである。

火天の城 [DVD](2010年2月21日発売予定)

TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)



この博物館に収蔵されている日本の木の文化を支えてきた大工道具とその歴史。道具を握る人の手の温かさと、道具に込められた工夫の数々を、水彩画と文章で伝える好著。

水彩画で綴る大工道具物語―竹中大工道具館収蔵品

竹中大工道具館 / 朝倉書店



神戸の街歩きの最後は例によって、神戸から良質な音楽を発信し続けている栄町通りにある「ディスク・デシネ/Disques Dessinee」( www.disquesdessinee.com )でCDを求めた。南米は仏領ギニア在住のジャズマンたちによって、1986年に録音されたという「ヴィクトール・サバス・カルテット/Victor Sabas」の「ア・プー・ゾット/A Pou Zot」。ラテンの陽気さと哀愁が、JAZZはもうすっかり世界音楽になったことを感じさせる。

ア・プー・ゾット

ヴィクトール・サバス・カルテット / フ゜ロタ゛クションテ゛シネ


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by knakano0311 | 2010-02-04 14:05 | おやじの遠足・街歩き | Trackback | Comments(0)
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