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大屋地爵士のJAZZYな生活

我が青春のシネマ・グラフィティ(21) ~ モニカ・ヴィッティ ~

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気だるく物暗い雰囲気、笑ったシーンの記憶がない女優がいる。「モニカ・ヴィッティ」である。「モニカ・ヴィッティ/Monica Vitti (1931年11月3日 - )」は、イタリア・ローマ出身の女優。「情事」、「夜」、「太陽はひとりぼっち」、「赤い砂漠」と「ミケランジェロ・アントニオーニ」監督作品の常連であった。

「ミケランジェロ・アントニオーニ/Michelangelo Antonioni (1912年9月29日 - 2007年7月30日)」。巨匠といわれる監督で、現代人の孤独や絶望感を描くのが特徴である。「情事 L'avventura (1960年)/第13回カンヌ国際映画祭審査員賞」、 「夜 La notte (1961年)/ベルリン国際映画祭金熊賞」、 「太陽はひとりぼっち L'eclisse (1962年)/第15回カンヌ国際映画祭審査員特別賞」、「赤い砂漠 Il deserto rosso (1964年)/ヴェネチア国際映画祭サン・マルコ金獅子賞」、「欲望 Blow-up (1966年)/第20回カンヌ国際映画祭パルム・ドール」。たしかに大変な受賞経歴をもつ監督である。原題は「日食」、ドロンの人気にひかれて「太陽はひとりぼっち」を、映画評にひかれて「赤い砂漠」を観た記憶があるが、「愛の不毛、愛の不条理 ・・」だのともてはやされたそのストーリーを、当時の幼稚で青臭い私の感性では理解できるはずもなく、いまだに「小難しい映画」、「わからない映画」というイメージだけが刷り込まれて残っている。いまだったらどう感じるのか今一度見てみたい気もするのだが ・・・。そんな中で「モニカ・ヴィッティ」の乾いた「けだるさ」だけは、どういうわけか未だに心の片隅に焼きついていて、時折思い出したようにフラッシュ・バックとなって出てくるのだ。

都会に生きる人々の刹那的な恋愛を、シャープに描いた秀作。ひょんな事から出会ったヴィットリアとピエロは惹かれあい、肉体関係を結んだ。しかし、その関係にすべてを賭けるような情熱もなく、2人は無感動な別れを選択する。

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「ミケランジェロ・アントニオーニ」が手掛けた初のカラー作品。巨大な工場が排煙を撒き散らす港町を舞台に、神経症を病む美しい人妻ジュリアーナの現代の風景の中に溶け込むことができない心象風景を豊かな色彩で描いた異色のドラマ。

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笑わない女優「モニカ・ヴィッティ」がまったくその印象を一変させたのが、アクション・コメディ「唇からナイフ/Modesty Blaise (1966年)」であった。邦題も洒落ていて、期待してみた作品だったが、うぅ~~~ん。あの気だるい笑わないヒロインが、女泥棒兼スパイに扮し、コスプレ、ボディコン挙句の果てには、サソリの刺青を刻んだ太ももを大胆に露わにしてくれるという映画。この映画のモニカにはびっくりしたが、映画のほうは、コメディーなのか、サスペンスなのか、アクションなのかよく分からない、こちらは「ストーリーの不毛、ストーリーの不条理」の作品。まっ、監督がモニカのファンだっただけかもしれません。

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そして音楽といえば、一世を風靡した「コレット・テンピア楽団/Collètto Tempia and his Orchestra」の「太陽はひとりぼっち/L'Eclisse」のテーマ。乾いたエレキ・ギターのリフに続いて流れるアルト・サックスのクールで哀調をおびたメロディ。懐かしい曲でもある。そして映画よりは、はるかに分かりやすいテーマ曲であることは間違いない。

聴いてみますか? 「太陽はひとりぼっち」。

         




 
by knakano0311 | 2010-06-29 09:21 | シネマな生活 | Comments(0)
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