大屋地爵士のJAZZYな生活

晴れ、突然、鉄男

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ほっとする読後感抜群の本を読んだ。有川浩「阪急電車」である。西宮北口と宝塚を結ぶ、全部でたった8駅の実在する小さな支線が舞台で、その電車を利用する人々の物語。鉄道、飛行機、ホテルなどに居合わせた人々の様々な人生をドラマ化する小説や映画はいくつもあったが、この本は感情移入できる出色の小説である。そして私は突然の「鉄男」に ・・・。

もう電車にほとんど乗らなくなってから1年半ぐらい経つだろうか? 完全リタイアしてからであるから、もうそのぐらいになる。以後、数回、所用で大阪市内に出るときなどに利用したくらいである。もちろん現役時代は毎日、定年後も3年間は、顧問やコンサルをしていた関係で週3日は電車を利用して通勤していた。私は兵庫県と大阪府の境、阪急電車の沿線に住んでいる。正確に言えば、阪急電車グループの子会社で、阪急宝塚線の支線といっていい「能勢電鉄」(略称:のせでん)の沿線に住んでいる。ここへ移り住んだころは、大変な通勤ラッシュであったが、やがて、阪急電車にジョイントしている川西能勢口駅の近代化、宝塚線の高架化、輸送力増強、のせでんの梅田までの直通化、モノレール開通などによって、ずいぶんと楽になった。

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能勢電鉄は1908年創業(阪急電鉄は1910年創業)で、一昨年創業100周年を迎えた。鉄道路線は、妙見線12.2kmと日生線2.6kmの計14.8kmで、歴史は古いが、駅は全部で15駅の小さな鉄道である。能勢電鉄の「能勢」は、能勢妙見山のことを指し、能勢妙見への参詣客輸送と、沿線で産出された「三ツ矢サイダー」などの特産物の輸送を目的に設立されたという。その後は周辺の大規模な住宅団地開発で、大阪に通勤・通学客を運ぶのが主目的となった。

私は鉄道よりむしろ駅舎に関心があるのだが、(参照おやじのハコものがたり(5)~駅の記憶~」、「同(6)~続・駅の記憶~」)残念なことに近代化のため、ほとんどの駅舎は改修され、宝塚線、のせでんには興味を引く駅舎はないのである。しかし、先日久しぶりに、あのマルーン色の電車に乗って妙な感慨を覚えたのである。たった1年半前であるのに、電車に揺られて通勤したあの時代が、もうなにか遠い遠い昔の出来事だったような気がしたのである。

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乗ることに慣れっこになっていたため、気がつかなかった車窓の景色、山の緑、特徴ある木々、猪名川を渡る鉄橋、梅田をはじめ、主要駅の雑踏などが新鮮に目に映った。通勤時間帯ではなかったので、お客も買い物目的の主婦、赤ちゃん連れのお母さん、学生、多分その日が定休日の店員さん、お客周りの営業マン ・・・ など色々。そんな人々を観察しているだけでも、まるであの小説のように結構面白かったのである。通勤サラリーマンで満員のモノトーンの車内よりも、多種・多様・多彩でよほど好ましく、興味がわくのである。立場が変わると同じ景色を見ても、ずいぶんと見方や感じ方が変わるものである。

そして、2008年の能勢電鉄創業100周年の時は、イベントや特別車両なども運転されたため、「鉄男さん」たちをよく見かけたものである。たぶん「のせでん」を愛し、こだわりを持つ、そんな人たちのサイトであろうと思われる「能勢電鉄さん非公認の私設サイト・のせでんスクエア」を見つけてすこしうれしくもなった。少しは「鉄男さん」の気持ちもわかるようになったらしい。写真はそのサイトから無断借用したものである。こうやって写真を見ていると、わが地域をはしる鉄道「のせでん」にも自然に愛着がわいてくる。

このブログを書いていて、デスクの上におかれているi-Podが目に付いた。片道1時間半の通勤時間。それは、リスニング・タイムと決め込んで、毎日聴いていたi-Podである。海外出張へも必ず持っていった、いわば同志。最近はほとんど連れて出してもらえず、さびしそうである。そうだ愛車にはAUX端子が付いているから、車に乗せて連れ出してあげようか。

さて、有川浩「阪急電車」。ベストセラーになっているという。私も何回か乗った宝塚と西宮北口を結ぶ支線、全部で8駅、片道たったの15分という阪急今津線が舞台。

恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車・・・。関西のローカル線を舞台に繰り広げられる、片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。ほっこり胸キュンの連作長篇小説。

私が好きなエピソードは、婚約者を同僚に寝取られた女性が結婚式に乗り込んで、痛快に復讐する話と、我侭で暴力ダメ男との別れを迷っている女子大生に、「そんな男とは分かれたら」とクールに言い放つ、ちょっと付き合いにくいかもしれないが毅然としたおばあさんの話かな。

様々な人生と出会いを乗せ、電車は走る ・・・ 。

阪急電車 (幻冬舎文庫)

有川 浩 / 幻冬舎




列車にちなんだJAZZといえば、曲ならば、「A列車でいこう/Take The A Train」が有名だが、アルバムでは「ブルー・トレイン/ Blue Train」だろうか。
「ブルー・トレイン/Blue Train 」は、ジャズ・サックス奏者ジョン・コルトレーンが1957年に発表したアルバム、その冒頭に収録されているコルトレーン作の楽曲のタイトルである。コルトレーンのリーダー・アルバムとしては、不思議にも唯一ブルーノートから発売された作品で、50年代のハードバップの最高傑作と評されている。同社のアルバムの中でも人気の高い「1500番台」のシリーズの一つ。

ブルー・トレイン

ジョン・コルトレーン / EMIミュージックジャパン


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by knakano0311 | 2010-08-27 10:38 | 地域の中で・・・ | Trackback | Comments(0)
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