22日は「十五夜」である。この「十五夜」の月を鑑賞する風習は、中国から日本に伝わったものである。私もお目にかかったことがあるが、いまでも中国では、この日には「月餅(げっぺい)」などで盛大にお祝いをしている。古来、旧暦8月15日と旧暦9月13日に月を鑑賞する夜のことを、「お月見」といい、前者を「十五夜(じゅうごや)」、後者を「十三夜(じゅうさんや)」と呼んできた。そして特に、「十五夜」の月を「中秋の名月」と呼んで、お団子や薄を飾って月見を楽しんできたのである。
薄(ススキ)の穂は動物の尾に見立てられ、「尾花」とも呼ばれることもあり、「山上憶良(やまのうえのおくら)」が万葉集で、「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花(おみなえし) また藤袴 朝顔の花」(巻八 1538)と詠んだように「秋の七草」の一つに数えられている。そんなことから、秋を代表する草花として、十五夜の月見には、ハギとともにススキを飾ることが多いという。
(砥峰高原のすすき)
我が家でもススキを飾ろうとご近所を探したが、どうしたことか、ススキが見当たらないのである。かっては、河原、土手、空き地、いたるところで見られたススキであるのに。ようやく見つけることができたが、ススキそのものが住宅地では殆ど目に付かないくらい少なくなったこと、またあっても、まだ穂が出ていないなど、何か、今年の猛暑や環境変化の影響であろうか、ススキが少なくなったことへの疑問が残る。
(曽爾高原のすすき)
ススキの名所。関東なれば、箱根・仙石原高原あたりであろうが、関西にも全山一面のすすきという名所がいくつかある。いづれも2、3年前に行ったところである。結構人出があったが、背丈ほどもある薄に人はすっかり埋もれ隠れてしまい、秋の日の光と影とススキが織りなすモノトーンに近い景色から感じられるある種のすがすがしさと寂寥感にすっかり魅せられてしまった。まず、兵庫県神崎郡神河町、砥峰高原(とのみねこうげん)。ここは、2010年公開予定の「村上春樹」原作の映画「ノルウェイの森」の主要な撮影地でもあるという。そして、もう一箇所は奈良県宇陀郡の曽爾高原(そにこうげん)。いずれも、山ひとつがすべて薄に覆われている不思議な静けさに満ちた光景であった。(写真はwikipediaより)
さあ、今夜(21日)は、満月に近い月が昇った。どうも22日の天気予報は芳しくないので、どうやら中秋の名月は拝めないようである。しからば、一日早いお月見でもしましょうか ・・・・ 。さて、曲は何にしましょうか。「Fly Me To The Moon」、「Moon River」などではあまりにも月並みだし ・・・ 。
わがJAZZミューズの一人、「カサンドラ・ウィルソン/Cassandra Wilson」の「ハーベスト・ムーン/Harvest Moon」を選んでみました。アルバムは彼女の最高傑作「ニュー・ムーン・ドーター/New Moon Daugter」から。本アルバムは、オリジナルが5曲で、ほかに「U2」、「サン・ハウス」、「ハンク・ウィリアムス」、「ニール・ヤング」、さらには「モンキーズ」のヒット曲まで取り上げているが、すべてが見事に彼女の世界に仕立て上げられている。私が、「現代の千手観音」という敬称を捧げる所以(ゆえん)である。曲は、「ハーベスト・ムーン/Harvest Moon」、オリジナルは、シンガー・ソングライター「ニール・ヤング/Neil Young」であるが、このリリカルでロマンチックな詩を彼女は多彩な楽器とともに、幻想的に歌う。訳詩は不要でしょう。始まった秋の夜、中秋の名月にカップルで聴くなんかいいかもしれません。
「♪ Come a little bit closer Hear what I have to say
Just like children sleepin' We could dream this night away.
But there's a full moon risin' Let's go dancin' in the light
We know where the music's playin' Let's go out and feel the night.
Because I'm still in love with you I want to see you dance again
Because I'm still in love with you On this harvest moon.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ (作詞作曲;Neil Young) ♪」
ニュー・ムーン・ドーター
カサンドラ・ウィルソン東芝EMI
一度ライブで聴いてみたいと思っている歌手の一人、「Cassandra Wilson」。では、
LIVEで「Harvest Moon」を 。