大屋地爵士のJAZZYな生活

この国が愛おしくなる美 ~第62回正倉院展~

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奈良国立博物館で開催されている第62回正倉院展。今年は「平城遷都1300年祭」と重なり、大変な人出が予想されるのでどうしようかと少し迷っていましたが、遷都祭も先日終了し、正倉院展開催もあと3日を残すのみとなったし、定年後は毎年見に行っていることもあって、やはり出かけてきました。いつものように高畑町のカフェに車を置き、真っ赤にもみじが色づき始めた奈良公園を抜け、博物館へと向かう。ちょうど宮様がご来館のため、足留めをくらい長蛇の列、入館するまで40~50分もかかってしまった。

さて、「正倉」とは、税で徴収された米や布などを納める倉で、この「正倉」がいくつも集まった区画が「正倉院」と呼ばれるようになった。しかし、長い年月とともに「東大寺」の正倉院内の正倉一棟を除き、他の正倉はすべてなくなってしまった現在では、「正倉院」といえばこの一棟を指す。

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756年(天平勝宝8年)、「光明皇后」は、夫「聖武天皇」が亡くなったため、天皇遺愛の品、約650点と、約60種の薬物を夫が創建した「東大寺」の大仏に奉献した。その後も「光明皇后」は3度にわたって、自身や「聖武天皇」ゆかりの品を大仏に奉献している。そしてそれらの宝物は正倉院に収められた。正倉院宝物の誕生である。

先日も新聞記事に大きく出ていたが、明治40年に東大寺大仏の足下から出土した国宝の「金銀荘大刀(きんぎんそうのたち)」2本が、調査の結果、「聖武天皇」没後に「光明皇后」が大仏に献納し、その後約1250年にわたって行方が分からなくなっていた遺品目録「国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)」に記されている「陰寶劔(いんほうけん)」と「陽寶劔(ようほうけん)」で、正倉院収納後に「光明皇后」自身が持ち出し、埋納した可能性が高いことが、つい最近になって分った。

この古き都は、いつになっても私の心に、心躍るロマンや好奇心をかきたててくれるのである。「この国が愛おしくなる美に、逢いにいく」は、今回の「正倉院展」のキャッチ・コピー。

さて、今回の出陳の目玉はなんと言っても、「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」。美術や歴史の教科書にでてくる、あの美しい螺鈿細工の「五絃琵琶」である。19年ぶりの出陳とあって、次回はいつ見られるかわからないのだ。最前列で見るには長蛇の列に並ぶ必要があったが、その我慢は十分に報われた。琵琶のフォルムや木肌、螺鈿細工の美しさには息を呑むほどに圧倒される。インドが起源とされるこの五絃琵琶は、世界唯一の現存品という。全長108.1cm、駱駝に乗った胡人が琵琶を弾き、椰子の木のような南国の木には鳥が舞い遊んでいる。まるで、最近作られたかのようなその螺鈿模様の鮮やかさに感動 ・・・ 。

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そのほかにも、麻布と紙を芯とし、表面を錦と平絹で包んだ女性用の履物「繍線鞋(ぬいのせんがい)」。狩の図様が全面に刻された「銀壺(ぎんこ)」、東大寺への献物品を入れた「密陀絵皮箱(みつだえのかわばこ)」や蘇芳地彩絵箱(すおうじさいえのはこ)、シルクロードの香りが感じられる佐波理水瓶(さはりのすいびょう)、細密な銀装飾が見事な「銀平脱鏡箱(ぎんへいだつのかがみばこ)」。大仏開眼会をはじめ、奈良時代の寺院の法要でしばしば伎楽などの楽舞が上演された際に使われた「伎楽面・酔胡王(ぎがくめん・すいこおう)」など、正倉院宝庫のなかでも指折りの名品にすっかり心を奪われた。

シルクロードを経て、遥か西の彼方から渡ってきた「五弦琵琶」は、多分ギターの源流に連なる楽器であろう。館内には、実際にあの「五弦琵琶」を打ち鳴らした音がずっと流れていた。かの時代の人々はあの音をどんな思いで聴いたのであろうか。

さて、私は皆さんと同じように「禁じられた遊び」からギターに入った口ですが、そんな私が秋になると聴きたくなるギタリストがいる。ブラジル出身のギタリスト「セバスチャン・タパジョス/Sebastiao Tapajos」である。かって彼のLP盤を所有していたが、手元から逸し、長い間そのCD復刻版を探していたアルバムが、「Sebastiao Tapajos/brasil/el arte de la guitarra(trova 1971録音)」 。「バーデン・パウエル/Baden Powell」の陰に隠れて目立たなかった感があるが、パウエルを超える速弾きのギターの名手であると私は思っている。バロック・ジャズかと思うような曲調をもつ「Alemande」、甘美なメロディをもつパウエル/モラエスの「Samba em Preludio」。ジョピンの「Amei Demais」ほか珠玉の12曲。

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ブラジル~エル・アルテ・デ・ラ・ギターラ [Import]

セバスチャン・タパジョス / DISCMEDI




古い演奏のため、画質も音質も悪いですが、テクニックのすごさはわかると思う。上記アルバムにも収録されている曲、「Odeon」。

          

YOUTUBEで「セバスチャン・タパジョス」の才気あふれる最近の演奏を見つけました。曲は「ブラジル」というタイトルでよく知られている「Aquarela do Brasil (ブラジルの水彩画)」

          
 
 
 
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by knakano0311 | 2010-11-10 09:36 | おやじの遠足・街歩き | Trackback(1) | Comments(0)
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