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大屋地爵士のJAZZYな生活

路傍の花、樹々の鳥 (14) ~とぼけ櫻咲く~

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私がお気に入りの「ご近所櫻」は、我が家すぐ近くの運動公園の土手の櫻。ここの一本の櫻だけが、ご近所で一番はやく、他の櫻より1週間ほどはやく開花する。しかも、まれではあるが、暖かい秋の日にも何を間違えたか花が開くことがある。そんなことから、私が勝手に「とぼけ櫻」名づけている櫻である。その「とぼけ櫻」、つい3日ほど前に見たときはまだ蕾の状態だったのに、今日観たらすでに開花していた。

毎年この櫻が咲くのを見ると、「ああ今年も春が来た」とほっとする。とくに今年は震災のニュースを見続けた後なので、その感慨がひとしおであった。もうあと1週間もすると我が家のご近所では一斉に櫻が咲く。東北の皆さん、もうすぐ春がきますよ。櫻が咲きますよ。

去年の4月になくなった「井上ひさし」の作品に「吉里吉里人(きりきりじん)」という長編小説がある。月刊誌に連載された後、1981年に新潮社から単行本として発刊され、その年の「日本SF大賞」、「読売文学賞」、「星雲賞」を受賞した作品。刊行されると同時に買って読んだことがある。

東北地方の一寒村が日本政府に愛想を尽かし、突如「吉里吉里国」を名乗り独立を宣言する。当然日本政府は反発、これを阻止すべく策を講じるが吉里吉里側は食料やエネルギーの自給自足で足元を固め、高度な医学や独自の金本位制、タックス・ヘイヴンといった切り札を世界各国にアピールすることで存続をはかる。その攻防を含む1日半の出来事を、全28章にわたって描写している。井上氏の「東北讃歌」ともいえる、じつに面白い小説であった

小説の設定では、この「吉里吉里国」は東北本線沿いの宮城県・岩手県県境付近とされているが、実はモデルがある。岩手県上閉伊(かみへいい)郡大槌(おおつち)町吉里吉里。これは実在の地名である。そして、山田線・吉里吉里駅が実在する。この場所が今回の大震災で大きな被害を受けたのである。

もしも日本国が被災した東北地方に長期にわたって復興・復活まで全面的な支援をしなかったら、この小説の通り、東北地方は、日本国、日本政府に愛想を尽かし、独立してしまうかも知れない。そんな東北人の粘りや底力、気概、覚悟を被災した皆さんに期待もしたい。もし政府にそれができなかったら、この国の国民は本当に自国の政治に希望も愛想を尽かしてしまうであろう。

吉里吉里人 (上巻) (新潮文庫)

井上 ひさし / 新潮社



お届けしてきた「You Must Believe In Spring」シリーズ、今回は「クレオ・レーン/Cleo Laine」。スキャットで名高いイギリス出身のベテラン女性ヴォーカリストにしてミュージカル女優である。ジャズ、ポピュラー音楽、クラシック音楽の各部門においてグラミー賞にノミネートされたことのある唯一の女性歌手であるという。

Live at Carnegie Hall

Cleo Laine / RCA



「♪  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
   雪に覆われた世界の中でも、万物は変化しているのです
   あなたが考えたり、知っている世界は、決して定まった世界なんかではありません
   春がくることを、愛が生まれることを信じましょうよ!
   ほら、もうそこに春が・・  ほら、もうそこに愛が・・・   ♪」


「Cleo Laine - You Must Believe In Spring -」 カーネギー・ホールでのライブから。


          

 
by knakano0311 | 2011-03-29 09:16 | 地域の中で・・・ | Comments(0)
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