いつからか我が家の年末の大掃除は私の仕事になってしまった。窓、網戸、照明器具、換気扇、浴室、家具 ・・・ などである。私の子供の頃はといえば、やはり大掃除は親父の仕事であった。さらに加えて、天井のすす払い、障子の張り替え、畳のほこり叩きなどの仕事もあったように記憶している。畳をあげたとき、その下から現れる昔の新聞を読むのも楽しみであった。もちろん住宅の気密性も悪く、電気掃除機などない時代の話である。
大掃除は、父親の朝からの一日仕事、子供にとっては、大人の仕事を手伝えることが誇らしく、まるで「祭り」のように感じた一日であった。今は住宅の性能もあがり、掃除の道具も形も、昔とは大きく違ったきたので、家に積もるほこりや汚れも昔に比べ、格段に少なくなったように思える。そして大掃除が終わると、藁で縄をない、しめ縄、しめ飾りを作って玄関や神棚に飾るのも親父の仕事であった。私も掃除を終えてから、先日自分で作った門松を玄関わきに据える。「どうも亡き親父の後を追いかけているようだ」と、ふと気が付いた。
さあ、正月を迎える準備は一応整えた。後は年越しそばを食べるのみ ・・・。
部屋の片づけ、掃除をしながら、ずっと流していたのは、イタリアは花の都「フィレンツェ」生まれのピアニスト「アレッサンドロ・ガラティ/Alessandoro Galati」のアルバム「オール・アローン/All Alone」、「キュービック/Cubicq」。「ビル・エヴァンス/Bill Evans」を敬愛し、独特の詩情と哀愁を持つ抒情派ピアニストである。これほど内省的で微妙な感情を表現できるのは、やはりソロ演奏しかあるまい。抒情性と哀愁が見事に溶け合つた美しいメロディで綴る極上のバラード集。この強面の男の指先からどうしてあんなに繊細で美しい音が紡ぎだされるのであろうか ・・・。
オール・アローン
アレッサンドロ・ガラティ / BLUE GLEAM
初めて触れ、魅せられたガラティの感性。極めつけの美メロが構築する詩情あふれる空間。深い哀愁の中に 繊細かつ歌心あるピアノが自在に踊る珠玉の傑作。
キュービック
アレッサンドロ・ガラティ・トリオ / BLUE GLEAM
「Alessandro Galati Trio - mary prayer」 アルバム「キュービック」から。
本年度最後のブログ記事となります。来年もよろしくお願いいたします。皆様よいお年を!!!