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大屋地爵士のJAZZYな生活

グッド・バイ、ブラッドベリ。 グッド・バイ、青春。

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SFやファンタジーの巨匠として知られる米国の作家、「レイ・ブラッドベリ/Ray Bradbury」氏が6月6日に逝った。91歳だった。代表作は「火星年代記」、「華氏451度」、「何かが道をやってくる」、「刺青(いれずみ)の男」など。長い間闘病生活を送っていたが、最期は安らかだったという。

ブラッドベリ氏はイリノイ州ウォーキガン出身。世界大恐慌の時代に仕事を求めて家族とともにロサンゼルスに移り住み、執筆活動を始めた。約50冊の著書や600編あまりの短編小説のほか、詩、エッセイ、オペラ、演劇など数々の作品を残し、「ジョン・ヒューストン/John Huston」監督の名作映画「白鯨」の脚本なども手掛けた。「SFの叙情詩人」とまで称されたくらいアメリカでは著名な作家で、オバマ米大統領は追悼の談話を発表したほど。(AP通信など各新聞記事参考)
 
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最初に彼を知ったのは、ずいぶんと昔、高校生の頃であった。友人の兄貴が大変なミステリーやSF好きで、友人の家に遊びに行った時に、教えてもらった。それは当時、早川書房から「異色作家短篇集シリーズ」として刊行されたうちの一冊、「メランコリイの妙薬」(原題:A Medicine for Melancholy)という短編集であった。ホラーを書いても血生臭くはならず、SFを書いても小うるさくならないその奇妙なテイストに魅了され、すっかりファンになった。その後、「10月はたそがれの国 (The October Country)」をはじめとして、「ウは宇宙船のウ (R Is for Rocket)」、「スは宇宙(スペース)のス (S Is for Space)」、最新の「二人がここにいる不思議 (The Toynbee Convector)」、「社交ダンスが終わった夜に(One More for the Road)」にいたるまで短編集、 「華氏451度 (Fahrenheit 451)」、「火星年代記 (The Martian Chronicles)」、「たんぽぽのお酒 (Dandelion Wine)」など長編のほとんどを読んでいるという熱烈ファンなのである。そのファン振りも、このブログにも書いたこともある。(参照拙ブログ「10月はたそがれの国 ~本棚の片隅に潜む闇~」「ハロウィーンがやってきた ~さらなるブラッドベリ~」「ゴジラを観た夜」など)

地球人の火星探検、植民記である「火星年代記」(1950年)は、映像化されたのが、SFXなどという言葉があったのかどうかも分からない1979年であった。ちゃちな特撮映像をそのストーリーで補って、300分にもなるTV映画での一挙再放送にかじりついていたことがある。監督は「マイケル・アンダーソン/Michael Anderson」、主演は「ロック・ハドソン/Rock Hudson」であった。

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長編「華氏451度(原題;Fahrenheit 451)」(1953年)は、情報を徹底的に国家が管理し人々の自由な読書をも禁じた未来社会を描いた。「フランソワ・トリュフォー/François Roland Truffaut」監督によって、1966年に映画化された。

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いわゆる典型的なファンタジーともホラーとはいえないブラッドベリの世界は、闇、恐れなど異次元の世界に憧れていた当時の若者にありがちなように、私も抱いていたやや鬱屈した心を捕らえて放さなかったのだ。ブラッドベリとは、私にとってはある種のヒーリング、ある種のバイブルですらあったのである。

グッド・バイ、ブラッドベリ。グッド・バイ、青春。  合掌 ・・・・。


さて、もう新しく読むことができなくなった、このダークでファンタジックで奇妙なブラッドベリの世界を悼みつつ、彼を黄泉の国へと旅立たせるには、どんなアーティストがいいだろうか。「浅川マキ」なんか一番いいかもしれない。「メロディ・ガルドー/Melody Gardot」でも ・・・。いやいや、「長谷川きよし」の「黒の舟唄」なんぞがいいと思うのであります。ジャズ、サンバ、POPS、ロック、シャンソン、ラテン、歌謡曲 ・・・、ギター一本でまったく別の彼の世界に組み上げてしまう。

「長谷川きよし - 黒の舟唄」 パーカッションは「仙道さおり」。今年の5月、NHKの「SONGS」で放送されたもの。この番組の中での「長谷川きよし」の印象的な言葉。「私は、音だけ­の世界の人間と思っている方がいると思いますが、風、空気、その温度を感じ、鳥の鳴き声、小川のせせらぎ等など聴いて、景色を観てい­るんです」。

    







     
      
  
by knakano0311 | 2012-06-08 09:42 | 訃報を聞いて | Comments(0)
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