(写真はHPより)
ほとんど無名といっていいアーティストかも知れません。秋もすっかり深まった今宵に聴くのにオススメは、ひそやかなボサノヴァ唄い、「吉田慶子」。
5年ほど前だったろうか、偶然CDショップで見つけた1枚のCDが彼女を知るきっかけであった。 その時も、これほどの「ボサノヴァ唄い」が日本にいたのかと舌を巻くほどの強い印象を持ったことを覚えている。そのアルバムは、「COMO A PLANTA ~ひそやかなボサノヴァ」。
ライナーノーツによれば、東京都出身。現在、福島県在住だという。幼少の頃からクラシック・ピアノを始め、ブラジル音楽、特にボサノヴァに魅せられてからは、ピアノをギターに持ちかえ活動を開始。2000年には、なんと単独でブラジルに渡り、半年程の滞在中に現地でレコーディング。それを、2001年にファースト・アルバムの「愛しいひと 〜bem querer」として発表。そして、メジャー・デビューとなった2作目が、私との最初の出会いとなったアルバム「コモ・ア・プランタ~ひそやかなボサノヴァ」(2007年)であった。
このアルバムに収められている曲は、「ジョビン」、「モライス」、「カルロス・リラ」、「エデゥ・ロボ」などボサノバ黎明期の巨匠の曲、いわゆる古典的ボサノバである。ボサノバの本質とよくいわれるのが「サウダージ(郷愁)」。日本語でいえば、「郷愁」、「ふるさと」などという言葉から、我々の心に湧きあがってくる感情とでもいえばあたっているかもしれない。日本人で、「サウダージ」をこれほど心象風景として、表現できている「ボサノバ唄い」は他にいないと思っている。しばらくこのアルバムも聴いていなかったが、秋の深まりとともに、しばらくぶりに聴いてみたくなった。
福島に在住して、ラジオのパーソナリティを続けているというから、去年は大変な思いもしたであろう。しかし、土地に根差し、地元の皆さんを励ますという音楽活動を続けているようだ。そして、久しぶりにスピーカーの向こうから聴こえてくる歌声は、相変わらずのサウダージに溢れたプリミティヴなボサノバ。フェイク・ボッサやJAZZYにソフィスティケイテッドされたボサノヴァもいいが、そんなボサノヴァとは違って、一際新鮮に聴こえる。ひそやかなボサノバをひそやかに唄う、「吉田慶子」。
CDの帯にいわく。「ささやき声で始まって、ただ終わる美しいひととき」。
コモ・ア・プランタ~ひそやかなボサノヴァ
吉田慶子 / オーマガトキ
「♪ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あの日々
懐かしい思い出
これも忘れずに伝えて
私を眠りへといざなったのはあなた
静かに暮らせるようにと
決して ♪」 (訳:国安真奈 ライナーノートより)
「Keico Yoshida - Nunca (決して)」 殆どYOUTUBEにアップされていませんが、幸いにもアップされていたこの動画も残念なことに歌が途中で終わってしまいますが ・・・。
私が承知しているその他のアルバムは、自主制作デビューアルバム、「愛しい人/bem querer」(2000年ブラジル録音) 、ピアノとのデュオ「サンバ・カンソン/samba canção」(2007年)。HPのプロフィールによれば、そのほかにもまだあるようである
愛しいひと bem querer
吉田慶子 / インポート・ミュージック・サービス
サンバ・カンソン/吉田慶子/インディーズ レーベル
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