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大屋地爵士のJAZZYな生活

60歳過ぎたら聴きたい歌 (88) ~ Soul Shadows 魂の影を追った頃 ~

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 庭にある鉢の苺が色づいてきた。妻が近くのホームセンターから買ってきたものである。特に手をかけたわけでもないのに、ちゃんと白い花が咲き、実がなった。摘んで食べてみたら、店で買うブランドの苺とは違って、ちょっと酸味は強いが、十分に甘い苺であった。

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 何年か前、CDショップでなにげなく手にとったアルバム。美人に目のない私、しかも成熟したセレブ風の熟女のジャケットが目に留まってしまった。「デニース・ドナテッリ/Denise Donatelli」のアルバム、「WHAT LIES WITHIN」であった。即ジャケ買い。通好みの地味?な選曲ながら、美貌、歌のうまさ、すこしハスキーな声、成熟した色気、哀愁、ジャズ・フィーリング ・・・、すべて備えた女性ジャズ・ヴォーカルを楽しむお手本のようなアルバムであった。

「デニース・ドナテッリ/Denise Donatelli」。生まれはペンシルヴァニア州で、1950年代らしい。家の周りにはポニーが遊ぶ牧場以外はなにもないという、相当な田舎で育ったという。幼い頃からピアノに親しんでいたが、その後、ジャズへの彼女の情熱が導いたのは、ピアノではなくボーカルであった。結婚後、いわゆるシングルマザーとなり、苦労した子育ても終えてから、ジャズ歌手になる夢をあきらめられず、2005年に遅咲きのデビューを果たしたという。セレブ然とした風情からは、そんな苦労人だったとは、少しも感じ取ることができない。そんな彼女、結構実力派で、CNN, Hyundai, Lexus, Mercedes-Benz といった有名ブランドのコマーシャル・ソングにも起用されているという。
 

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 WHAT LIES WITHIN
 デニース・ドナテッリ
 SAVANT






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 その後、彼女のことはしばらく忘れていたが、あるブログで最新アルバムが目に留まった。ジャケットから窺える美貌は健在であるようだ。そして、アルバム・タイトルは懐かしや、なんと「クルセーダーズ/The Crusaders」の代表曲の一つと言っていいだろう、「ソウル・シャドウズ/SOUL SHADOWS」ときた。1980年にリリースされ、大ヒットしたアルバム、「ラプソディ&ブルース/Rhapsody & Blues」の冒頭に収録されている曲である。作曲は、「ジョー・サンプル/Joe Sample」、作詞は、「ウィル・ジェニングス/Will Jennings」。そしてヴォーカルは、R&Bシンガーの「ビル・ウィザーズ/Bill Withers」であった。いや懐かしい ・・・。

 さっそく届いたアルバムを聴いてみたら、軽快なボッサの洒落たサウンドに乗って、変わらぬドナテッリのハスキーな歌声が流れてきた。

「♪ San Francisco morning coming clear and cold 
         サンフランシスコの澄んで冷たくなってくる朝の中で
   Don't know if I'm waking or I'm dreaming
         目が覚めているのか、夢を見ているのか分からない
   Riding with Fats Waller on the Super Chief
         ファッツ・ウォーラーとスーパーチーフ号に乗ると
   He said, music's real, the rest is seeming
         彼は言った、音楽はリアルだ、他はみせかけに過ぎないと

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

   He left those soul shadows
         彼は魂の影を残した
   On my mind, on my mind, on my mind    
         私の心に、私の心に、私の心に  ♪」

 この「デニース・ドナテッリ」の最新アルバムは、「ジェフリー・キーザー/Geoffrey Keezer」をアレンジャーに迎え、ロス在住のオールスター・バンドを従えたアルバムで、軽快で洒落たアレンジに乗って歌うドナテッリを久しぶりに聴いたが、はやり素晴らしかった。多分、もう60歳近いと推定されるが、その歌声もセレブな美貌も、衰えるどころかますます磨きがかかってきたというところ ・・・。 はて、こんな人を美魔女というのかな??

注)このアルバムは、「2013グラミー賞Best Jazz Vocal Album」にノミネートされた。


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 SOUL SHADOWS
 デニース・ドナテッリ
 Savant







早速、その美貌と哀愁の歌声を ・・・・。


「Denise Donatelli - Soul Shadows」


     

   
 「クルセーダーズ」のこの曲を、この上なく懐かしいと感じる世代の為に、オリジナルの「SOUL SHADOWS」の動画もあげておきます。

「Soul Shadows - The Crusaders ft. Bill Withers -」


 歌詞中に、「ファッツ・ウォーラー/Fats Waller」、「ジェリー·ロール・モートン/Jelly Roll Morton」、「サッチモ/Satchmo/Louis Armstrong」、「ジョン・コルトレーン/John Coltrane」の名前が出てくるが、今振り返ると、私もまだ若かったあのころは、まだ多くのジャズの巨人たちの残した「魂の影」を追いかけていたのです ・・・。
  


   
by knakano0311 | 2013-06-23 00:15 | 60歳過ぎたら聴きたい歌 | Comments(0)
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