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大屋地爵士のJAZZYな生活

ある疑問

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前回、6月26日放映、NHK-BSプレミアム「旅のチカラ」、「あの歌が生まれた瞬間(とき)を探して」について書いた。その旅は30年前から「加藤登紀子」さんが歌っている歌で、「作者不詳」とされているポーランドのパルチザンの歌「今日は帰れない」のルーツを探る旅であった。印象としてはよくできたドキュメンタリーで、見た私も感動したのでブログに書いたのである。

番組の内容は、加藤さんがルーツを探して、ポーランドを旅している間に、色々な情報がもたらされ、最後に作者が特定できたという感動ストーリー仕立て。

ところがである。この番組を見てから、この曲が収録されている、私の大のご贔屓歌手、ポーランドの歌姫「アンナ・マリア・ヨペク/Anna Maria Jopek」のアルバム、「Polanna」を聴きながら、ライナーノーツを見たら、「Dziś Do Ciebie Przyjść Nie Mogę(今日は帰れない)」のところに、「スタニスワフ・マギエルスキ/Stanisław Magierski」の名前がのっているではないか。ポーランド語なので書いてあることはよくわからないが、まぎれもなく作曲者として「Stanisław Magierski」の名前がのっているのである。ポーランドでどれだけ認知されているかはわからないが、少なくとも「作者不詳」なのではないのである。

そして、ブログにのせようと、「スタニスワフ・マギエルスキ/Stanisław Magierski」の写真を「Google」で検索したら、写真や記事がいくつも出てきたことに気がついた。さらに、「今日は帰れない」の原題「Dziś Do Ciebie Przyjść Nie Mogę」でも検索してみた。なんと、記事が出てくるは出てくるは ・・・・。そこには、いくつもの記事に、明確に「Stanisław Magierski」が「今日は帰れない」を1943年に作詞作曲したと書いてあったのである。

すなわち、あの番組を企画する時点で、番組関係者には、作曲者や歌が誕生した経緯などすでに分かっていたのである。その時点では、「作者不詳」などではなかったのである。その上で、ああいう感動的スト―リーを強調するような演出になったと考えざるを得ない。これが果たして「ドキュメンタリー」なのであろうか?そんな疑問がわいてきた。

視聴者に今回の番組でルーツが初めて明らかになったような印象を持たせるような演出やストーリーにしなくても、作者が既にわかっていることを前提にしても、十分に感動的な番組は構成できたはずである。あの歌はそれだけの「チカラ」を持っているのである。

「演出上の必要で ・・・」と言ってしまえばそれまであるが、「NHKよ、おまえもか ・・・」という、暗然たる気持ちになってしまい、せっかくの感動も台無しに ・・・。

 
 
 
by knakano0311 | 2013-06-28 10:27 | 音楽のチカラ | Comments(0)
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