いつものように、母親と実家のケアのため帰郷する。松本と言えども、今年の厚さは厳しく、家に入るとむっとする。窓をすべて開け放つと、やっと涼しい風が通りだした。かって親父が丹精込めた庭は見る影もなく、青々と雑草が生い茂っている。汗だくになりながら、手刈りで雑草を刈った。手入れをしなければ廃屋と化していってしまう。いつまでもつかわからないが、次回は刈払い機でやらなければ体が持たないかもしれない。
一休みしてから、夕食の買い出しやら何やらで街中まで出かける。いつもの「蔵通り」には、七夕人形が飾られている。お雛様や五月人形と同じように、子供たちの健やかな成長を祈って、旧暦の七夕に飾られる松本独特の風習である。
ひとしきり街歩きを楽しんだ後、実家に帰り、蔵通り、「ちきりや」にて求めた、涼しげで、すこしレトロなグラスで、「みずしろ」の山葵漬けを肴に焼酎をロックで飲む。夜の帳に包まれ、気温もすっかり下がり、いや至福の時間 ・・・。こんな時は、あまり考えることもなく、ただ流れる音楽に身を委ねていたいのである。
そこで、実家で聴けるように用意していったアルバムは、「デニース・ドナテッリ/Denise Donatelli」の「
ソウル・シャドウズ/SOUL SHADOWS」。そして、「クリスティーナ・トレイン/Kristina Train」の「Dark Black」など。
「クリスティーナ・トレイン」。あるブログで紹介してもらったが、名門ブルーノート・レーベルが「ノラ・ジョーンズ/Norah Jones」らに続いて送り出した注目のシンガー・ソングライターである。1986年1月、ニューヨーク生まれ。子供の頃から、同じ世代の子供たち夢中になる流行の音楽とは無縁で、家で母親がかける「ジョニ・ミッチェル/Joni Mitchell」、「キャロル・キング/Carole King」、「ナット・キング・コール/Nat King Cole」、「アレサ・フランクリン/Aretha Franklin」などを好んで聴いていたという少し大人びた子供だったという。そんなためか、彼女の音楽世界には、古きよき時代のブルースやソウル、ジャズ、ポップスなどが色濃く反映している一方、彼女が今生きている現代の都会の喧騒、孤独といった雰囲気も強く伝わってくる。暗いというより、むしろ落ち着いた雰囲気といった方がいいかもしれない。そんな、ただ酒を飲みながら身を任せていたいアルバムは、デビュー2作目、「Dark Black」。
Dark Black
Kristina Train / Umg
「Kristina Train - Dark Black」
何回かもう数えきれないほど、兵庫県と松本とを車で往復しているが、今度の帰り道、気がつけば、車の距離計は「10万㎞」を超えていた。これだけ乗っても、新車の時と変わりない、つかれることのない乗り心地と走行の安定感に感謝。