大屋地爵士のJAZZYな生活

路傍の花、樹々の鳥(46 ) ~ 枯れないススキに ~

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周囲の「セイダカアワダチソウ(背高泡立草)」を見事に抑えて、風にしなやかになびく「ススキ(芒、薄)」、また「オバナ(尾花)」ともいう。かつては、「茅(かや)」と呼ばれ、いわゆる「茅葺(かやぶき)屋根」の材料に用いたり、家畜の餌として利用することが多かった。十五夜の月見には、「ハギ(萩)」とともに「ススキ」を飾るなど、古来から「秋の七草」の一つに数えられているように、日本人には馴染みの草花である。昔は、ちょっとした空き地、河原などには、どこにでも生えていた雑草的な植物であり、そのような、決して華やかとは言えない「ススキ」に、日本人は趣を見出していたである。そんな「ススキ」が外来種雑草の代表である「セイダカアワダチソウ」を抑えて、堂々と風になびく様には、植生的に溜飲が下がる。

私にとっては、「ススキ」といえば、お月見より「船頭小唄」の一節の方が頭に浮かぶ。「♪ おれは河原の枯れすすき/同じお前も枯れすすき/どうせ二人はこの世では/花の咲かない枯れすすき ・・・ ♪」(野口雨情;作詞/中山晋平;作曲)

1957年(昭和32年)、東京映画配給の映画「雨情物語」の主題歌として「森繁久彌」が歌い、人生の哀愁を歌った詩が共感を呼び、大ヒットした。我が家にあった電蓄(電気蓄音機)から、75回転のSPレコードのこの歌が流れていたことを覚えている。

齢(よわい)を重ねたからといって、「枯れる」とは限りません。私の周りにも元気老人(昨今はアクティヴ・シニアなどというらしいが)が、いっぱい。ジャズの世界にも「枯れススキ」などとは程遠い女性ピアニストがいます。「バーバラ・キャロル/Barbara Carroll」。「枯れないススキ」といっていいでしょう。

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1925年生まれというから、現在御年89歳、私の母親とさほど変わらない歳。8歳のころにクラシック・ピアノからスタートし、高校の頃にはもうジャズ・ピアニストを目指したという。20歳を過ぎたころから頭角を現し、有名なジャズ評論家の「レナード・フェザー/Leonard Feather」は、「ビ・バップを演奏した最初の女性ピアニスト」と彼女を評したそうだ。2度目の結婚後は専業主婦としての道を選択したらしく、一旦ジャズとは決別した。ところが1972年、バーバラは、カントリー系ポップスで有名なシンガー、「リタ・クーリッジ/Rita Coolidge」のバック・バンド・ピアニストとして突然カムバックする。そして1976年にはトリオで、1980年にはソロでアルバムをリリースしたが、ほとんど話題にならなかったらしい。その後、ニューヨークの老舗ホテル、「アルゴンキン/the Algonquin Hotel」のオーク・ルームや、有名なジャズクラブ、「バードランド/Birdland」で演奏していたのをヴィーナス・レコードのプロデューサーが気に入って、2006年に日本でのリリースになったそうだ。そのアルバムが2005年、80歳で録音された「センチメンタル・ムード/Sentimental Mood」。

その「アルゴンキン・ホテル」での演奏が、YOUTUBEにアップされています。

「Barbara Carroll at the Algonquin ‐ Old Friends」

          


アルバム、「センチメンタル・ムード」。切れのいいタッチや音色は老いを感じさせない。そのうえに彼女の重ねてきた年輪が醸し出す「円熟」が、ボーカルにも自然に滲み出す。絶妙のサポートは、ベース、名手「ジェイ・レンハート/JayLeonhart」、ドラムスは「ジョー・コクーゾ/Joe Coccuzzo」。

センチメンタル・ムード(紙ジャケット仕様)

バーバラ・キャロル・トリオ / ヴィーナス・レコード



ただ音楽が好き、ジャズが好き ・・・。好きな曲を弾いているだけで満足。様々な欲や自我を超越して、音楽への欲求だけがピュアに伝わってくるスタンダード曲のライブ・アルバムは、「Barbara at Birdland」(2007)。録り直しや失敗の許されないライブですよ! この時、御年82歳。その力強く、若々しい歌心には驚くほかはない。いや、勇気づけられますな。

Barbara at Birdland

Barbara Carroll / Harbinger



YOUTUBEに丸ごとアップアップされています。

「2003 - Barbara Carroll Live At Birdland」

        



 

 
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by knakano0311 | 2014-09-30 10:51 | 地域の中で・・・ | Trackback | Comments(0)
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