大屋地爵士のJAZZYな生活

羊羹って、いまが旬?

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この時期になると店頭で見かける羊羹(ようかん)がある。私は酒も好きだが、甘いものも好きで、特に餡子系の和菓子には目がない。さて、この時期並ぶのは、能勢地方の名物「御菓子司 くれべ」の「丁稚羊羹(でっちようかん)」である。程よい控えめの甘さで、つるっとして、どちらかというと水羊羹に近い。羊羹に「この時期並ぶ」という表現もおかしいと思われるかもしれないが、この「丁稚羊羹」、季節限定で、11月~3月しか製造・販売されない。その昔、丁稚(でっち)さんが、里帰りの際のお土産に奉公先のお店から持たされたため、この名前がついたとか ・・・。

いまでも猪名川町などの一部で生産がされているが、この地方特産の寒天、そして有名な小豆、「大納言」。そして、湧き出る美味しい水を原料として、創業百有余年の伝統と昔ながらの素朴な味を今も伝えていて、人気の羊羹である。「寒い日ほどよく売れる。よく冷やして、おこたの中でツルンと食べるのがいい」とは店主の話。3月いっぱいで終わり、今が旬の水羊羹である。

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かって「向田邦子」が、そのエッセイ集「眠る盃」の中の「水羊羹」で、「水羊羹に一番似合う」と評した女性シンガーがいる。「ミリー・ヴァーノン/Milli vernon」。アルバムは、「イントロデューシング/Introducing」(1956年録音)。(参照拙ブログ「向田邦子の愛したJAZZ ~水羊羹にあうJAZZ~」

『水羊羹を食べる時のミュージックは、ミリ―ヴァーノンの「SPRING IS HEAR」が一番合うように思います。この人は、1950年代に、たった一枚のレコードを残して、それ以来、生きているのか、死んでいるのか、まったく消息のわからない美人歌手ですが、冷たいような、甘いような、けだるいような、生ぬくいような歌は水羊羹にぴったりに思います。』 (向田邦子:「眠る盃」)より

エッセイが発表された時も、TV放映があった時も、そのアルバムを探すファンが数多くいたため、超レアものとして、とんでもない高値がついていたらしい。そして2007年、復刻版がリリースされた。


眠る盃

向田 邦子 / 講談社



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「向田邦子」は、生きているのか死んでいるのか分からないといったが、しっかりと生きているようだ。ライナー・ノーツによれば、1930年、ニューヨーク生まれらしい。とすれば、御年85歳。5歳の時から歌っていたというから、芸歴は長い。1960年代半ばからはピアノの弾き語りでジャズ・シンガーとしての地位を築いてきたという。しかし、アルバム的には恵まれず、たった一枚を残して、ステージから消えた。日本でも、「イントロデューシング」がリリースされたのは1980年になってからだったという。1982年には、マニア向けのレーベルから、26年ぶりの2作目「Old and New Shoes」がリリースされ、1986年には日本の「ソニー」がニューヨークでヴァーノンのレコーディングを実現させ、「Over The Rainbow」がリリースされた。

どの曲も、全編を通じレトロで地味であるが、翳りを感じさせる歌いかたは、聴いたあとの後味がいいというか、どこか豊かな落ち着いた気持ちにさせてくれる。

イントロデューシング

ミリー・ヴァーノン / ミューザック



「向田邦子」が、「水羊羹に一番あう」と評した曲、「スプリング・イズ・ヒア」。「恋人がいないから春が来ても心が弾まず、憂鬱なの ・・・」と、甘く、けだるく、しかし情感豊かに歌われる。パーソネルは、「Jimmy Raney (g)」、「Dave McKenna (p)」、「Wyatt Routher (b)」、「Jo Jones (ds)」。

「♪  Spring is here
   Why doesn't my heart go dancing?
   Spring is here
   Why isn't the waltz entrancing?
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ♪」 Lorenz Hart / Richard Rodgers

「SPRING IS HERE - MILLIE VERNON」

          

しっとりと、やや憂いを含んで、ムーディに、歌い上げている「マイ・シップ」。

「Milli Vernon - My Ship」

          


健在なる証を示したアルバム、「Over The Rainbow」。

オーバー・ザ・レインボウ

ミリー・ヴァーノン / ソニー・ミュージックレコーズ



「Millie Vernon - Over The Rainbow」

           
 


 
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by knakano0311 | 2015-03-04 22:29 | 地域の中で・・・ | Trackback | Comments(0)
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