日本の多くの住宅街や郷がそうであるように、私の住む団地も桜が多く植えられている。この住宅団地が開発されてたのが昭和40年代。それから40数年経つのだから、その頃植えられた多くの桜が大きくなり、枝ぶりも見事に育っている。だから花見の場所にはことかかない。ご近所の高台に咲き始めた桜が、今年も我が団地を見守っている。
今日のウォーキング、桜を見てから、「三ツ矢サイダー」発祥の地まで足を延ばす。川西市平野は、明治時代に、日本最初の飲料水工場を経営した「三ツ矢サイダー」発祥の地。この平野の炭酸泉を発見したのは、清和源氏の祖、「源満仲」(912~997)と伝えられていて、満仲が築城適地を求めて住吉大社に祈念したところ、鏑矢を放って求めよとの神託が得られた。そうして得られたのが、この平野の土地であり、「満ツ矢」転じて「三ツ矢」となったという。
その後、明治時代に「平野水」として販売された「三ツ矢サイダー」は、宮内省から東宮殿下の御料品に指定され、明治45年(1912)には、「御料品製造所」が建設された。この御料品製造所を改修し、開館されたのが「三ツ矢記念館」。残念なことに現在は閉館されていて、入ることができないが、かっては、当時のいろいろな資料が展示されていた。また、かつて炭酸ガスの製造に使われた「三ツ矢塔」(写真)も復元され、それは国道からもよく見える。
さて、今宵のアルバム。ちょっと変わったところで、選んだのはイタリア出身のジャズ・トランペッター、「エンリコ・ラバ/Enrico Rava」と、同じくイタリア出身のジャズ・ピアニスト、「ステファーノ・ボラーニ/Stefano Bollani」のデュオ・アルバム、「The Third Man」(2007)。もう50年近く前から活躍し、多くのアルバムをリリースしている「エンリコ・ラバ」 の名前は知っていたが、なぜか聴くチャンスがなく、この一枚にとどまっている。
「エンリコ・ラバ」。1943年生まれ、イタリア、トリエステ出身のジャズ・トランペッター。元々は、トロンボーン奏者であったが、「マイルス・ディヴィス/Miles Davis」や「チェット・ベイカー/Chet Baker」の影響を強く受け、トランペットに転向したという。1960年代の中頃、「ガトー・バルビエリ/Gato Barbieri」のバンド・メンバーを経て、NYへ移る。その後、多くのビ・バップのジャズ・メンとのセッションを積み重ねた。1970、80年代には、「パット・メセニー/Pat Metheny」、「ミロスラフ・ビトウス/Miroslav Vitouš」、「ギル・エヴァンス/Gil Evans」、「セシル・テイラー/Cecil Taylor」などバップ、モード、フリー、エレクトリックなどの幅広い分野で活躍している。
一方の「ステファノ・ボラーニ」。イタリアのジャズ界の巨匠、かつ師匠でもある「エンリコ・ラヴァ」に見出され、彼をして、「まさしくピアノの詩人」と言わさせしめたイタリア出身の人気ジャズ・ピアニスト。1972年、ミラノ生まれというからまだ40歳そこそこ。もともと歌手になることを夢見てピアノを始めたというが、プロ・デビューはなんと若干15歳というから早熟。「恋唄」やバラードのプレイには、隠せないラテンの気質が随所に表れるような気がする。(参照拙ブログ
「丹波篠山街歩き」)
そしてアルバム「The Third Man」。美しくも、フリー・ジャズを思わせるような自由でリリカルなプレイ。ジョビンの曲とラヴァ、ボラーニのオリジナル曲とで南米とイタリア、伝統と現代を巧みに織り交ぜる世界観を綴る。ECMらしい澄んだサウンドが素晴らしい。
Third Man (Ocrd)
Enrico Rava / Ecm Records
ブラジル生まれのマルチ・ミュージシャン、「モアシル・サントス/Moacir Santos」(動画冒頭の写真)の「Felipe」。
「Enrico Rava & Stefano Bollani - FELIPE」
「アントニオ・カルロス・ジョビン/Antonio Carlos Jobim」と「シコ・ブアルキ/Chico Buarque」の手になる名曲「白と黒のポートレート/Retrato em Branco e Preto」。
「Enrico Rava & Stefano Bollani - RETRATO EM BRANCO E PRETO」