さて、少し前に「マンハッタン・ジャズ・クインテット/Manhattan Jazz Quintet(MJQ)」のトランペッター「ルー・ソロフ/Lew Soloff」の逝去の記事を取り上げたが、「MJQ」は60年代のハード・バップを80年代に鮮やかに蘇らせて人気を博したコンボ。その後継者と思っているバンドがある。
それが、NYをベースに活動を続け、現代版「ジャズ・メッセンジャーズ/The Jazz Messengers」という呼び声も高い、「ワン・フォー・オール/One For All」。このユニットは、ピアノ+ベース+ドラムで構成される基本的なピアノトリオに、テナーサックス、トランペット、トロンボーンのホーンセクションを加えた6人編成のセクステット(sextet)になっている。
各々が独自に活動している売れっ子メンバーがズラリと揃っているだけに、長期の活動は結構難しいのではないかと言われていたが、それが杞憂だったと思われるほど、もう18年も活動が継続し、リリースされたアルバムも15作以上を数える。ほぼ全員が1960年代生まれ。リアルタイムでは彼らが知らない60年代のブルーノート・ジャズ、とりわけ「アート・ブレイキー&ジャズメッセンジャーズ/Art Blakey & The Jazz Messengers」の魂を今に引き継ぎ、彼ら自身のスタイルを創造した。 日本デビュー盤は、「情事の終わり/The End Of A Love Affair」 (Venus, 2001)。
「アワー・ファーザー・フー・アート・ブレイキー/Our Father Who Art Blakey」という曲を冒頭に掲げた「アート・ブレイキー」へのトリビュート・アルバム、「危険な関係のブルース/No Problem: Tribute To Art Blakey」 (Venus, 2003)。 少し大きめの音量で目を閉じて聴いていると、まるで学生時代のジャズ喫茶にタイムスリップしたかのような錯覚に陥ってくる。