さて今宵、「雅びにして耽美のピアノ」のニューフェイスは、イタリアのジャズ・ピアニスト、「ロベルト・オルサー/Robert Olzer 」率いるトリオ。アルバムは、「THE MOON AND THE BONFIRES」(bonfire;大きな篝火、焚き火)。澤野工房からの初リリースである。「やはりサワノが ・・・」と頷くことしきり。前回輸入盤としてリリースされ、「ジャズ・ディスク大賞金賞」を受賞したという「Steppin'Out」(2013)は、残念ながらYOUTUBEでしか聴いてなかったので、今回は期待して聞いたところである。いや、ピアノの音の透明感が尋常ではない。「ファツィオリ/Fazioli Grand Piano F278」を使っていると、クレジットに記載されている。このピアノ、イタリアのピアニストたちが好んで使うようで、透明感が抜群で、その響きは美しすぎるといっていいほどである。
「ロベルト・オルサー」。1971年、イタリアは「ドモドッソラ」生まれ。幼少の頃から、クラシックのピアノとオルガンを習い、名門「ベルディ音楽院」ではオルガンを専攻。その後、ミラノのカソリック大学では哲学を学ぶ傍ら、「エンリコ・ピエラヌンツィ/Enrico Pieranunzi」らからジャズ・ピアノを学んだという。最初のレコーディングは、セクステットで、2002~2003年に行われ、「Eveline」というタイトルでリリースされている。その後、「ユーリ・ゴロウベフ/Yuri Goloubev (doublebass)」、「マウロ・ベッジオ/Mauro Beggio (drums)」とピアノトリオを結成、2012年に、「Steppin'Out」、そして今回の「THE MOON AND THE BONFIRES」がリリースされた。
まだ、YOUTUBEにアップされていないが、彼のホームページでは、サンプルとして、「La luna e i falò (Roberto Olzer作曲)と、「アレハンドロ・イニャリトウ/Alejandro Iñárritu」監督の映画「バベル/Babel」(2006)で用いられた曲、「坂本龍一」作曲の「Bibo no aozora (美貌の青空)」を聴くことができる。