天気予報通り、朝から雪混じりの雨。活動日を年間予定に組み込んであり、急に休止になってもすることがないので、台風か積雪で上がれない限り、原則として山の定例活動は実施することにしている。道具の手入れや工作室の片付け、年寄り談議などすることはいくらでもあるのだ。トンネルを抜けるとすっかり雪に。積雪にまでは至っていないので、メンバーが次々と集まってくる。炭焼きで山頂まで登っていなかったので、雪景色を見ようと登る。この時期、一番手の「アセビ(馬酔木)」が咲き始めているが、美しい雪の華の陰にすっかり隠れてしまった。鹿はこの木が苦手。だから奈良公園は「馬酔木」の名所になったという話を聞いたことがある。雪景色を十分に楽しんだあとは、コーヒーを飲んで下山。
深夜に深々と降り積もる雪をイメージさせるピアニストは、「トルド・グスタフセン/Tord Gustavsen」。ノルウェー生まれのピアニストで、このブログでも何回もとりあげている。雪に覆われるノルウェーの大地を彷彿とさせる曲でちりばめられている、第2作、「Ground」(2004)から、「Tears Transforming」。
Ground
Tord Gustavsen / Ecm Records
「Tord Gustavsen Trio - Tears Transforming」
2009年からは、トリオでの活動を離れ、カルテットやアンサンブルでのアルバムをリリースしているが、最新作は、ピアノ、ドラムスに女性ヴォーカルが加わった変則的なトリオ編成の「What Was Said」。ボーカルはドイツ生まれのアフガニスタン系女性、「シミン・タンデール/Simin Tander」を迎えたコラボ・アルバムである。「トルド・グスタフセン」の新たなプロジェクト、「Hymns and Visions」による本作は、彼が子供の頃から親しんだ賛美歌のパシュトー語訳と、13世紀に開基されたイスラム教のイスラム神秘主義(スーフィズム)の教団の一つの、「メヴレヴィー教団( トルコ語;Mevlevilik、英語;Mevlevi Order)」の始祖である「ジャラール・ウッディーン・ルーミー/トルコ語: Mevlânâ Celaleddin-i Rumi」の英訳された詩を取り上げているという。私は全く知らないが、「ルーミー」は、13世紀の教祖にて詩人、スピリチュアルな詩が印象的で、現代の今、米国を始めとして、世界で最も人気のある詩人という。
「シミン・タンデール」は語るように歌う。静かに浮かび上がる声。神秘的なパシュトー語の響き。イスラムとキリスト教文化の融合。国境や国籍、文化、宗教など境界を越えたアイデンティティの複合性。まさにJAZZという開かれた精神が生み出したもの。そのJAZZを生み出した母国アメリカでは ・・・。
「What was said」は2015年4月、オスロの 「Rainbow Studio」で録音され、ECMよりリリースされた。パーソネルは、「Tord Gustavsen(piano, electronics)」、「Simin Tander(voice)」、「ヤーレ・ヴェスペシュタ/Jarle Vespestad(drums)」。雪を思わせるようなジャケットも好ましい。
what was said
gustavsen/tander/ves / ecm
「Tord Gustavsen: What was said. With Simin Tander and Jarle Vespestad (Album EPK) 」
「Tord Gustavsen & Simin Tander - Journey Of Life (Norwegian Traditional)」