「カエターノ・ヴェローゾ/Caetano Veloso」。実は、私は長い間「カエターノを聴いてみたい」という思いに駆られることはなかった。「ブラジル音楽界のポップアーティスト」、「エレキギター、サイケデリック・サウンドでブラジル音楽界に革命をもたらした男」などという彼を表わすコピーを見るたびに、かえって足が遠のいていってしまった。それがある映画によって、大きな衝撃を受けた。その映画は、スペインの「ペドロ・アルモドバル/Pedro Alamadovar」監督、2002年公開の「トーク・トゥ・ハー/Talk to Her(原題:Hable con ella)」であった。主人公の一組の恋人たち、フリーライターと女闘牛士の逢瀬が「カエターノ・ヴェローゾ」のライブであり、画面に流れる悲恋の果ての死の嘆きを、鳩の鳴き声に託す「ククルクク・パロマ/Cucurrucucú Paloma」の唄に鳥肌がたつのを覚えたほどである。これが最初の「カエターノ」との出会いであった。
その中から、お馴染み、「So In Love」、「Feelings」を ・・・。「So In Love」。「コールポーター/Cole Porter」作詞・作曲のあまりにも美しいミュージカル・ナンバー。「こんなにも深く愛してる」という意味でしょうか。
【 So In Love 】
「♪ Strange dear, but true dear, ちょっと奇妙だけどそれは本当のこと
When I'm close to you, dear, あなたに近づくといつも
The stars fill the sky, 空が星でいっぱいになるの
So in love with you am I. だってこんなにも深く愛しているから
Even without you, あなたがいない時でさえも
My arms fold about you, 腕の中にあなたを感じている
You know darling why, どうしてかわかるわね
So in love with you am I. こんなにも深く愛しているから
In love with the night mysterious, 恋に落ちたのは、あのミステリアスな夜
The night when you first were there, だってその夜にあなたに出会ったから
In love with my joy delirious, 甘美な恋の喜びに震えたわ
When I knew that you could care, あなたも私を愛してると知ったときは
So taunt me, and hurt me, たとえ嘲られても、傷つけられても
Deceive me, desert me, 騙されても、見捨てられても
I'm yours, till I die 死ぬまで私はあなたのもの
So in love だってこんなにも恋しているから
So in love だってこんなにも愛しているから
So in love with you, my love, am I あなたに ♪」