これは見事なトランペット。協奏曲のように咲き誇っている。園芸名で、「エンジェルストランペット」、あるいは「エンジェルトランペット」。和名は、「キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)」といい、ちょっと微妙な名前。ナス科の属のひとつというから、ちょっとびっくりする。原産地はアメリカの熱帯地方だが、暑さが苦手で高地にしか生息していないという。
むかし、私が洋楽に夢中になりだした頃、「ニニ・ロッソ/Nini Rosso」というトランペッターが一世を風靡したが、今宵は、スムース・ジャズ系、若手「イケメン・トランペッター」の肩のこらない演奏で。
名前からすると、イタリア系でしょう、まずは「ドミニク・ファリナッチ/Dominick」。1983年、オハイオ州生まれの今年まだ弱冠34歳であるが、アメリカ人ジャズ・トランペッター、作曲家、そしてビッグバンド・リーダー。10歳でトランペットを始めたという。1999年、地元で行なわれたクリニックで、かの「ウィントン・マルサリス/Wynton Marsalis」の目にとまり、翌年には、ウィントン率いる「リンカーン・センター・ジャズ・オーケストラ」との共演が実現した。
2003年、なんと19歳で初リーダー作「マンハッタン・ドリームズ」で幸運なデビュー。ストレート・アヘッドなプレイを得意とするが、バラードでもうまさを発揮するという申し分のないスタイルで人気を集めた。マルサリスの薫陶を受けたジャズ界の若きエリート、「ドミニク・ファリナッチ」の3作目は、同じくスウィング・ジャーナル誌のゴールド・ディスクを獲得した、「ベサメ・ムーチョ」(2004)。ストレート・アヘッドなドライブ感と、ラテン系の甘い緊張感と同時に楽しめる佳作。
ベサメ・ムーチョ
ドミニク・ファリナッチ / ポニーキャニオン
タイトル曲、「ベサメ・ムーチョ」と「アストル・ピアソラ/Astor Piazzolla」のオリジナルで、多くの分野のミュージシャンにカバーされている「リベルタンゴ/Libertango」を。
「Dominick Farinacci Quartet - Besame Mucho」
VIDEO
Libertango ー Dominick Farinacci
VIDEO
もうひとりのイケメン・スムース・ジャズ・トランペッターは、「クリス・ボッティ/Chris Botti」。端正なマスクで人気があり、スムース・ジャズの代表のように言われているし、また実際そうには違いないが、そのと官能的な音色には惹かれるものがある。
「クリス・ボッティ」は、1962年、アメリカオレゴン州ポートランド生まれ。若手とばかり思っていましたが、55歳、円熟の歳ですね。幼少の頃より、クラシック・ピアノの講師であった母親の影響で、ピアノを弾き、10歳でトランペットを始めたという。「マイルス・デイヴィス/Miles Davis」に影響され、トランペッターとしての道を進む決意をし、高校時代よりプロとして活動するようになる。大学に卒業後は、ニューヨークに拠点を置き、ポップス/ロック系からジャズに至るまで多くのミュージシャンと共演している。
2004年発表の「ホェン・アイ・フォール・イン・ラヴ/When I Fall In Love」では、「スティング/Sting」と「ポーラ・コール/Paula Cole」をゲストに、2005年発表の「トゥ・ラヴ・アゲイン/To Love Again」では、「スティング」をはじめ、「ジル・スコット/Jill Scott」、「グラディス・ナイト/Gladys Knight」、「マイケル・ブーブレ/Michael Bublé」等多くのゲストを迎えている。
To Love Again
Chris Botti / Sony
「Chris Botti To Love Again ( Full Album ) 」
VIDEO
「When I Fall In Love」(2004)から表題曲を。
When I Fall in Love Import
クリス・ボッティ
Sony
「When I Fall In Love- Chris Botti」
VIDEO