さて、今宵は、「何度でも繰り返して」という意味の「Time After Time」という曲。そう聞けば、多くの方は、まず「シンディ・ローパー/Cyndi Lauper」の1984年のヒット曲で、「マイルス・デイヴィス/Niles Davis」等多数のアーティストにカヴァーされているナンバーを思い浮かべるでしょう。実は、この「Time After Time」、もうひとつ同名のスタンダード曲がある。「フランク・シナトラ/Frank Sinatra」が歌って1957年にヒットした曲。この曲は「ラホス・コルタイ/Lajos Koltai」監督の映画「いつか眠りにつく前に/Evening」でも使われていたのを覚えている。
「♪ Lyin' in my bed I hear the clock tick ベッドに寝転がると聞こえる時計の音
And think of you そんな時あなたのことを考えてしまう
Caught up in circles confusion 思いは堂々巡りになってしまうが
Is nothing new それはいつものことで珍しくもない
Flashback warm nights 突然思い出すいくつかの夜
Almost left behind ほとんどはもう過去のことだけれど
Suitcase of memories スーツケースいっぱいに詰まる位の思い出
Time after 何度となく繰り返した思い出
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If you're lost you can look もしあなたが見失ったとしても
and you will find me 探せばきっと私を見つけられる
Time after time 何回でもね
If you fall I will catch you もしあなたが倒れても私が受け止めるよ
I'll be waiting 私はずっと待っているから
Time after time 何度でも 何度でも
そして、もうひとつの同名のスタンダード曲「Time After Time」。映画で歌っていたのは、「マーガレット・ホワイティング/Margaret Whiting」だという。なじみはないが、1940~50年代にもっとも活躍した白人女性ポピュラー・シンガーの一人で、「マイ・フーリッシュ・ハート / MY FOOLISH HEART」などが代表的なヒット曲だったそうだ。今宵は、ノルウェイの歌姫、「スールヴァイグ・シュレッタイェル/Solveig Slettahjell」と、たまには男性ボーカルもいいでしょう、「マット・ダスク/Matt Dusk」の歌唱で。
【 Time After Time 】 作詩:Sammy Cahn 作曲:Jule Styne
「♪ Time after time 何度でも
I tell myself that I'm 自分に言って聞かせるんだ
So lucky to be loving you 君を愛することができて僕は幸せ者
So lucky to be 僕は幸せ者
The one you run to see だって一日が終わり、夕暮れになれば
In the evening, when the day is through 君に走って会いに行けるんだから
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And time after time そして何度でも
You’ll hear me say that I'm 君は僕の囁きを聞くんだ
So lucky to be loving you 君を愛することができて僕は幸せ者ってね ♪」
「スールヴァイグ・シュレッタイェル」。独特のけだるげなヴォーカルで人気だという、1971年生まれのノルウェーの女性シンガー。彼女のデビュー作は、「Slow Motion Orchestra」(2003) 。2ndアルバム、「Silver」 (2004)も、「What Is This Thing Called Love」、「Moon River」、「Time After Time」などを収録したスタンダード集であるが、「トム・ウェイツ/Tom Waits」の「Take It With Me」など異色の曲も収録されている。サポートは、デビュー・アルバムからの付き合いの「スロー・モーション・クインテット/Slow Motion Quintet」。
2013年のアルバム、「My Funny Valentine: The Chet Baker Songbook」から。「チェット・ベイカー/Chet Baker」の没後25周年の2013年、マットの彼の永遠の憧れである彼に敬意を表し、80人編成ものオーケストラを従えて、「チェット・ベイカー」の代表曲を大人の魅力でで歌い上げたアルバムである。