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大屋地爵士のJAZZYな生活

観るJAZZ(1)  ~徳持耕一郎氏のアートにふれて~

日経新聞、6月14日44面文化面に次のような記事を見つけた。「躍動のジャズ鉄筋彫刻に」。
造形作家、徳持耕一郎氏が寄せた一文である。彼は14年前からJAZZアーティストをモチーフにした「鉄筋彫刻」を制作している。もともとは銅版画家であるが、ニューヨークで個展を開いたときNYのJAZZクラブに訪れたことがきっかけとなり、JAZZのイラストなど描き始め、自分の絵を何とか立体化したら面白いのではと発想し、スケッチをもとに試行錯誤しながら、鉄筋を曲げ、溶接し作品を創り上げていくという。立体的に見えるための技、JAZZの持つ躍動感の表現に相当苦労されたようだ。最近は見た人から「書のようですね」とよくいわれるらしい。日経誌面には、鳥取砂丘に立てて撮影された、日野皓正をモデルにした「夕陽のトランペッター」なる作品が、掲載されている。(下記の写真 ザウルスHPより)

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この記事をみて、鉄筋彫刻とは何だ?書のような彫刻とはなんだ?どのような実体をしているのだ? 写真ではよく分からないので実物の作品を見てみたいと強く思った。さっそく、Yahoo!で検索してみると、徳持氏が主宰するワークショップ「ザウルス」のHPがみつかり、いくつかの作品が観ることができた。 
  http://www.hal.ne.jp/saurs/





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さらにHPを観ていくと、京都、大徳寺・総見院の松本英彦氏の墓所に献じられた彫刻の写真を見るに及んで、「鉄筋彫刻」なるもののおおまかなイメージがやっと分かった。徳持氏には怒られるかもしれないが、大きな針金細工である。それ自身も作品であるが、これをいろいろな場所におくことにより、背景はまさに借景となり、環境・自然が一体になった作品ができるのだと気がついた。

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こうなるともういけません、どうしても作品を見たくなり、さらにNETで探すと、ギャラリーがあるではありませんか。しかも神戸に。神戸北野異人館通の「ギャラリー春志音(ハルシオン)」。

日経の記事をみて、すぐ電話をしたら「常設館ではないのでその日はオープンしてない」とのこと。今日(6/30)思い出して、再度電話をしてみたら、ラッキーにも今日のみオープンしているとのこと。早速車を飛ばして神戸へ。やっと「鉄筋彫刻によるJAZZアート」を見ることができました。展示されていたのは、少し小ぶりの作品10点ほど。寺井尚子と思しきJAZZバイオリニストやジェレミー・スタイグなどをモデルにした作品。びっくりしたのは、とても鉄筋を溶接して作ったとは思えない流れるような滑らかな線と躍動感。エディ・ゴメスをして、「君の線はスイングしている」と言わしめたのもうなずける。「書のような彫刻」というのも納得。

ギャラリーのSさんの話によると、徳持氏は生まれ故郷の鳥取の地、鳥取砂丘にこよなく愛着を持っておられ、ずっと鳥取で創作活動をしておられるとのこと。A4の紙に書かれたスケッチを拡大し、それを地面において、その拡大されたスケッチにあわせて鉄筋を曲げ、溶接をして造形を仕上げていくなど創作の過程も聞くことができました。

自然の中に作品を置くことにより、自然と一体になった更なる作品ができることには気づいていたが、実際にギャラリーで作品をみて、もうひとつのことに気がついた。実体の彫刻とその影の織りなすハーモニーである。様々な角度から照明を当てることによって、彫刻本体とその影は、融合して、違った表情をみせるのである。私はすっかりこの鉄筋彫刻によるJAZZアートに魅せられてしまった。まさに私にとって「観るJAZZ」の発見。

(注;もしギャラリーへ行かれる方がありましたら、電話でオープンを確認してから行って下さい。)


さあ、鉄筋彫刻「夕陽のトランペッター」日野皓正が魔都・上海で録音した「ドラゴン ~龍~」。
レギュラーメンバーに、韓国No1のサックス奏者「イ・ジョンシク」を加えた三管によるセクステットが上海で吼えまくる。ダイナミックで、躍動、スリルに満ちた、最近ではこのブログで紹介するのは久しぶりの歯ごたえのある硬派、正統派JAZZの一枚。間違いなく日野の屈指の一枚となるであろう。

ドラゴン ~龍~
日野皓正 / / ソニーミュージックエンタテインメント
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by knakano0311 | 2007-06-30 23:10 | 観るJAZZ | Comments(2)
Commented by 朝寝坊 at 2008-09-26 06:19 x
コレは何処に売ってるんですかね?
Commented by knakano0311 at 2008-09-26 09:46
神戸のギャラリー春志音で何点か売っていましたが、後は鳥取のワークショップ?一度ワークショップへお尋ねになったらいかがでしょうか。
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