もう八月も半ば。私の故郷・信州では9月の声を聞くと急速に秋が深まっていく。特に40年も前の高校時代は若かったせいか、はたまた温暖化の影響がなかったためか、特にそんな風にも感じていた。私が通っていた高校は、進学校であったせいか、夏休みが終わると、もう9月の学校祭、文化祭一色で学校中が沸き立った。
そんな学校祭の行事の思い出はいくつかあるが、いまでもこの時期が来ると思い出すのは、木立に囲まれた学校の庭で行われた、黄昏の「野外コンサート」である。当時、ステレオの普及期であり、その大きな契機になっていたのが、モノラールのSPからステレオのLPレコードへの移行であった。その音質、臨場感は革命的といえるほどの衝撃であったため、瞬く間に普及していった。しかしながら、ライブコンサートなどは無論のこと、高価な再生装置やLPレコードは買えるはずもなく、自作のアンプ、スピーカーBOXと安いプレーヤーを組み合わせて、当時の小遣いで、やっと買えたソノシートや45回転EPレコードをそれこそ擦り切れるまで聴いていた。そんなわけで、ステレオ再生装置による野外コンサートは、高価な再生装置で大音量で流行の洋楽が聴けるため、最も楽しみなイベントであった。
黄昏から宵闇が迫る頃、木立を透して朗々と流れるトランペットの音色。本当にわくわくして、聞きほれたものである。そんな中に、トランペットの「ニニ・ロッソ」がいた。今と違って、歌手だけでなく、楽器のソリストや楽団に絶大な人気があった。「ニニ・ロッソ」のほかに、SAXの「サム・テイラー」、「シル・オースティン」、ピアノの「カーメン・キャバレロ」、ギターの「クロード・チアリ」、「ナルシソ・イエペス」。バンドでも「マントヴァーニ・オーケストラ」、「パーシー・フェイス・オーケストラ」、「ベルト・ケンプフェルト楽団」、「ペレス・プラド楽団」、「アルフレッド・ハウゼ楽団」、「リカルド・サントス楽団」、「ビリー・ボーン楽団」、「ヘンリー・マンシーニ・オーケストラ」、「ザビア・クガート楽団」、「ベンチャーズ」を始めとするエレキバンド・・・・・、まさに百花繚乱。今から考えると、映画音楽、ラテン、ボサノバ、エレキ音楽、JAZZ、タンゴなどジャンルというか選択肢というか、聴ける音楽の幅が、非常に幅広かったように思える。
同じように、映画についても当時ハリウッド映画より、ヨーロッパ映画の文芸大作などが我々の間では人気があった。フランス、イタリア、イギリス、ロシア、スエーデン、チェコなどいまのハリウッド映画一辺倒の情況からは想像もできないほど国際色豊かであり、多様性、多面性に満ちていたと思う。
ソロ楽器としてのトランペットが人気が高いのは、その音色が官能的なためもあるが、イメージとして、トランペッターの孤高感、リリシズムにあるのではないかと思う。あの破滅型JAZZトランペッターの「チェット・ベイカー」ですらも孤高感、ある種のリリシズムを感じてしまう。
さて、「ニニ・ロッソ」。当時高校生の私が聞きほれていたトランペッター。どういうわけか、今をときめくJAZZトランペッターもイタリア系が多いようである。イタリア系イケメン・トランペッター3人衆のペットの響きが暑い夏の夜のハートを鎮めてくれるかもしれません。
「ドミニク・ファリナッチ Dominick Farinacci」。弱冠20歳で「マンハッタン・ドリーム」でデビュー。イタリア系のハンサム。かのウィントン・マルサリスも注目したというから半端じゃない。
かれは、ストレートアヘッドなプレイを得意とするが、バラードでもうまさを発揮。
最新版5作目「アドロ」は弱冠23歳ながら、もうベテランを思わせる成長振り。これもタイトル曲「アドロ」からはじまり、ラテン系の甘い緊張感とJazzのドライブ感が同時に楽しめる佳作。
アドロドミニク・ファリナッチ ミルトン・フレッチャー ヤスシ・ナカムラ カーメン・イントレJr. / エムアンドアイカンパニー
ISBN : B000FTW9CS
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「クリス・ボッティ」。あどけない童顔系のイケメンのため女性ファンが多い、スムースJAZZ系トランペッターの貴公子。柔らかな音色と繊細な表現で綴るラブ・ソング集である。さりとて、スムースJAZZにまつわるそれ風の安っぽさは微塵もなく、ボッティの心意気がつたわってくる。一人グラス片手に聴くも、恋人と二人で聴くもよし。クリスのイケメン振りを見たい方は、DVDも出ていますのでどうぞ。
ホェン・アイ・フォール・イン・ラヴクリス・ボッティ / / ソニーミュージックエンタテインメント
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スティング、ポーラ・コール、マイケル・ブーブレ、グラディス・ナイトなど豪華ゲストシンガーを迎えてのスタンダード集。
トゥ・ラヴ・アゲインクリス・ボッティ / / ソニーミュージックエンタテインメント
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「ドミニク・ファリナッチ」と甲乙つけがたい、実力とセンスを持つ最高の若手トランペッター、「ファブリッツィオ・ボッソ」。彼が同じイタリア人の実力メンバーを集めたクインテットで、スタンダードを中心とした演奏を繰りひろげる「ローマ・アフター・ミッドナイト」。
ローマ・アフター・ミッドナイトファブリッツィオ・ボッソ・クインテット FEAT マイク・メリロ / / SOUND HILLS
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スタンダードだけでなく、ボサノバ、ラテンもとりいれた、ブルー・ノート移籍第一弾。ストリングスをバックにエモーショナルであるがしっとりとした演奏を聞かせる。これまた夏の夜のBGMに最適な一枚。
ニュー・シネマ・パラダイス
ファブリッツィオ・ボッソ / EMIミュージック・ジャパン