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大屋地爵士のJAZZYな生活

60歳過ぎたら聴きたい歌(6)  ~  Bang Bang ~

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30年ほど前のある日、何気なくFMラジオを聴いていて、流れてきた曲と女性JAZZ歌手に衝撃を受けた。歌手は、「Ann Burton アン・バートン」、そのとき流れていた曲は、1966年に「シェール」のヒットで有名になった「Bang Bang」であった。すぐにレコード屋に走って、LPを買ったことを覚えている。この歌が、当時、コンボ・JAZZ一辺倒であった私を、JAZZボーカル、特に女性JAZZボーカルの世界へ誘ってくれた想い入れ深い曲である。

「アン・バートン」は、1989年に56歳で亡くなったオランダの女性歌手であるが、未だにファンの間に根深い人気がある。俳優の「リチャード・バートン」の大ファンだったので、この芸名を名乗るようになったという。彼女は、アップ・テンポよりもスロー・バラードを好み、低音で、じっくりと語りかけるように、そして小声でささやくように、つぶやくように歌うのがうまい。またそれが、じわっと心の深いところに語りかけてくるのだ。彼女のデビュー作は67年録音の「ブルー・バートン」。今回の聴きたい歌「Bang Bang」が収録されているのは、それに続く69年録音の第2作で、スタンダードやポップ曲をゆったりとしたテンポで歌っているアルバム「バラード&バートン」。バックは「ルイス・ヴァン・ダイク・トリオ」に一部サックスが加わる編成。

「Bang Bang」という歌のタイトルは、子供が、「鉄砲遊び」をするときに発する「バン、バン」という声。母親がチェローキー・インディアンの血をひくという美形のシェールの66年のヒット曲。歌詞の内容は、幼馴染が恋に発展し、やがて大人になって突然の別れがきたが、幼い時代からの恋心を思いだして切なくなるといった内容。そんな「Bang Bang」も、アン・バートンが歌うと、がらっと変わって、このうえもないジャジーな仕上がりのなかに、せつない恋の傷みと思い出を淡々と歌い上げる大人の歌として、ものすごく味わい深くせまってくる。もともと「シェール」は、「ソニー&シェール」としてデビューしたが、実生活でもその時期、夫であった「ソニー・ボノ」の作詞・作曲である。


バラード&バートン
アン・バートン ジャック・スコルズ ルイス・ヴァン・ダイク ジョン・エンゲルス ルディ・ブリンク / ソニーミュージックエンタテインメント
ISBN : B00005G4A4
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男はずっと気になっていた。何十年ぶりかで開催された小学校の同窓会のことである。確かに見覚えがあるのだが、まったく思い出せない女性がいて、ずっと気になっていたのである。勿論、他の出席者についても、歳月が容貌と記憶をすっかり変えてしまっていて、すぐには分からなかったが、思い出話をしたり、名前を聞いているうちに少しずつ子供時代の記憶がもどってきていた。しかし、彼女についてはまったく思い出せないままに時間が過ぎていった。やがて、会もお開きの時間となり、なんとなくすわりの悪い思いを抱きながら、彼女のあとに続いて店をでた。そのとき、くるりと振り返った彼女は指で鉄砲の形を作って彼に向けると、「バン」と言って、撃つ真似をした。その瞬間すべての記憶が甦った。・・・・



「♪ 私が5歳で彼が6歳だった頃  
   二人でよく木馬に乗ったわ
   彼は黒い服、私は白い服で
   よく西部劇のまねをして遊んだものね
   いつもあなたの勝ちだったわ

   バンバンといって私を撃ち  
   私は地面に倒れ  
   バンバンとすごい声をだして
   彼は私を撃った

   季節が過ぎ去り  時が変わり
   大きくなった私は彼を恋人呼び
   彼は微笑みながら
   昔二人でよくした遊びを覚えているかい?といつも言っていた 
      
   バンバンといって僕が君をを撃ち
   君は地面に倒れ
   バンバンとすごい声をだして
   僕は君を撃ったものさ

   どうしてか理由は分からないけど彼はもういない
   今でも時々涙が出るの  
   彼はさよならも言わなかったし
   嘘を言う間もなく去っていった

   バンバンといって私を撃ち
   私は地面に倒れ
   バンバンという恐ろしい音ともに
   彼は私の心をも撃ってしまった          ♪ 」


「Ann Burton - Bang Bang」

          
by knakano0311 | 2007-11-10 00:34 | 60歳過ぎたら聴きたい歌 | Comments(0)
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