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大屋地爵士のJAZZYな生活

観るJAZZ(4)   ~ 森田一義助教授の幻の講義 ~

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「題名のない音楽会」という大変な長寿TV番組がある。調べたら昭和39年(1964)放送開始というから、もう40数年続いている。司会者も、黛敏郎、永六輔、武田鉄也、羽田健太郎、現在の佐渡裕と歴代5代を数えるが、故・黛敏郎氏が司会をしていた頃、クラシック主体の番組であるが、私も時々見ていた番組でもある。というのも、黛氏は当時クラシック界の大御所であったが、若い頃アルバイトでJAZZバンドのピアノを担当し、よく米軍キャンプを廻っていたらしい。そんなわけか、よく番組でJAZZをテーマに取り上げていたからである。そんな「題名のない音楽会」で、30年くらい前のある日、何気なく見ていたら、今まで見たこともないようなの驚愕のパフォーマンスがブラウン管で展開された。

「中洲産業大学・森田一義助教授」という髪の毛ボサボサ、ヨレヨレの燕尾服を着た風采の上がらない男が、グランド・ピアノを前に、アフリカ民俗音楽のルーツから、ニューオリンズJAZZ、デキシーランド・ジャズ、スイング、ビ・バップ、フリー・ジャズにいたるJAZZの歴史講義をしだしたのである。さらに、4カ国の人が卓を囲むマージャン、各国の言葉でやる抱腹絶倒のパフォーマンスを披露した。それが、デビューしたての「タモリ」であり、これも調べたら1977年のことであった。

福岡の酒場で密室芸をやっていたタモリを、確か山下洋輔、赤塚不二夫あたりが見出して、東京へ連れ出したと記憶している。
当時、学園紛争、全共闘時代が挫折した形で終焉を迎え、JAZZ喫茶あたりで鬱屈していた若者たちは、従来の「お笑い」とは違う、知的でシニカルなタモリの「笑い」に圧倒的な支持を贈ったのである。

「中洲産業大学 芸術学部・西洋音楽理論  森田一義助教授」という触れ込みで 、密室芸を披露した「題名のない音楽会」でのワンマンショー。その抱腹絶倒の面白さは今でも脳裏にのこっている。しかし、彼のパフォーマンスの一部はCDでリリースされているが、残念ながら、DVDなどでそのパフォーマンスを見ることは出来ない。今一度彼の「幻の講義」を観てみたいものである。
ちなみに、タモリ氏自身もJAZZレコードの大変なコレクターだそうで、かの植草甚一氏の死後、膨大な氏のレコード・コレクションの散逸を防ぐために、その全てを一括して引き取ったという。また早稲田大学在学時にはJAZZ研でトランペットを吹いていたという。


本来は観るべきパフォーマンス、あるいは観るJAZZ芸、森田一義助教授による「教養講座“日本ジャズ界の変遷” (Lecture on Culuture:History of Jazz in Japan)」 は下記のCDに収録されている。ハナモゲラ語での演歌熱唱など一聴の価値あり。

タモリ

タモリ / Sony Music Direct



「タモリの4ヶ国語マージャン」

         

「教養講座“音楽の変遷その1”  旋律の源とその世界的波及について」。 この講義で使用される抱腹絶倒の楽曲は、
・シャンソン「パリの屋根の下にテームズ河は流れていない」(ボリス・シュバリエ)
・童謡「あぶらむし」(六十嵐澄芳)
・ 韓国民謡「ワラジ」(歌唱者不明)
・ 中国民謡「熊猫深山」(歌唱者不明)
・ムード歌謡「富士見荘ブルース」(富士山田弘とプール・サイド)
・ スイング・ジャズ「ええ列車で行こう」(ペリー・オコモとデューク・エリート楽団) 
・ ニュー・ミュージック「鰯雲」(さるまたし)
・ボサノバ「アカイベベ」(セルジオ・メンデル&ブラジル69)   などなど。

このリストを見ただけでも、団塊の世代が好きな「オヤジギャグ」満載のパフォーマンスが想像できる。

タモリ2

タモリ / Sony Music Direct




幻の講義! 今となっては「もう一度観たいJAZZ」。
by knakano0311 | 2008-05-19 20:34 | 観るJAZZ | Comments(0)
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