大屋地爵士のJAZZYな生活

最後のため息   ~ ヘレン・メリル ラスト・コンサート ~

b0102572_22513272.jpg

「ヘレン・メリル」のラスト・コンサートを聴いてきました。(西宮;兵庫県立芸術文化センター、中ホール)


「ヘレン・メリル」、数多い女性ジャズ歌手の中で、とりわけ我が国のファンに愛されている一人。そのハスキー・ヴォイスに特徴があり、「ニューヨークのため息」といわれる、あのけだるい声は、まさにジャズのムード、女性JAZZボーカルの象徴そのものと言ってもいい。いまなお、ジャズボーカルをめざす女性のスタンダードとなっている、「♪You'd be so nice to come home to ・・・・・♪」の歌いだしはJAZZファンならずとも知っている超有名曲である。

1929年にクロアチア(旧ユーゴスラビア)からの移民の子として生まれたヘレン。御歳79歳。私の母親と大して変わらない年だ、ヒイエエ~~~~~エ!!。
ヘレンは1960年に初来日して日本ではおなじみとなり、1966年には一時期日本に居をかまえたこともあるほどの親日家で、ちょっと日本語も話せるらしい。

そんな彼女の、多分本音で「ラスト」であろうコンサートを聴いてきました。興行主もよく彼女をその気にさせて日本まで引っ張ってきたものだと感心するが、案の定、79歳、2時間近くのコンサートは体力的に続くはずもなく、コンサートは2部構成で、第一部は、テッド・ローゼンタール・ピアノ・トリオ+スコット・ハミルトン(ts)+ウォーレン・バシェ(tp)のクインテット仕立て。あの「泣かせのブロー」、サックスのスコットにやや元気がなかったのとは対照的に、足が不自由なウォーレンのトランペットの冴え渡ること。いや大正解でした。そして第2部がお目当ての「ヘレン・メリル」でした。

1曲、トリオの演奏が終わって次の曲「Born To Be Blues」で割れんばかりの拍手で登場。最初は、声量も小さく、かすれ気味、足取りも少しふらつくような感じで「大丈夫かな?」なんて思ったりもしたが、そこは、さすが年季のはいったプロ歌手。3曲目あたりからからだんだん乗ってきて、声量も出、往年のハスキーに近いものを感じさせ、ファルセットも息切れせずによく伸びていた。そしてびっくりし、感動したのは、短いワンコーラスの「Love Me Tender」。ピアノと弓で奏でるベースだけをバックにしっとりと、語りかけるように歌うこの歌は、涙が出そうになるくらいの名唱であった。この一曲が聴けただけでもこのコンサートの来た甲斐があったとおもう。

そしてラストは、スコットもウォーレンも加わって、会場一杯の別れを惜しむお客さんの手拍子で、ノリノリの定番「You’d Be So Nice・・・・・」。アンコール曲の「ス・ワンダフル」まで含めて10曲を見事歌いきりました。

メリル79歳、スコット54歳、テッド49歳、軽快にスイングするドラムのベテラン「テリー・クラーク」は1968年生まれで、よく歌うベースの「スティーブ・ラスピーナ」ともどもまだ若い。ゲストのバシェは足が不自由でツエを使っていたが50代後半か・・・・。客席はとみると、2階席からみれば男性の頭は、照り返しか、白髪頭(かくいう私もですが・・・)ばかり。まるで「敬老の日記念コンサート」の様相でしたが、「Love Me・・・」以外は、ステージ上で座ることなく、立ち続けて歌うヘレン。「パワーをもらったね」と語り合いながら、帰りの途についた初老の我ら夫婦でした。帰りがけ、丁度楽屋口から車に乗り込むヘレンを見かけたが、囲むファンに投げキッスをした姿が印象的。

「さようならヘレン。ありがとうヘレン。」



なんといっても、一世を風靡した、その「You'd Be So Nice To Come Home To (あなたがいてくれてうれしい)」をはずすことは出来ません。クインシー・ジョーンズが編曲し、クリフォード・ブラウンらが伴奏に加わった「ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン」は、何年経っても彼女のベスト・アルバムである。1954年に吹き込まれたこのアルバムが、運がいいのか悪いのか、早々と彼女の代表作になってしまい、悪く言えば「一発屋的」印象ともいえるが、50年を超える長い間、この歌が、誰でも知っている代表作であり続け、しかもJAZZボーカルとして高いレベルを保ってこの歌を歌い続けているヘレンには、ただ敬服するのみである。


ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン
ヘレン・メリル / / ユニバーサル ミュージック クラシック
ISBN : B000VZE0EG
スコア選択:


「Helen Merrill with Clifford Brown / You'd Be So Nice To Come Home To」

          

「スコット・ハミルトン」。今回は「泣かせのブロー」にやや精彩を欠いたものの、エディ・ヒギンス、ハリー・アレン、ローズマリー・クルーニなどとの共演盤をこのブログで何回も取り上げたお気に入りのサックス・プレイヤー。

マイ・フーリッシュ・ハート(紙ジャケット仕様)
エディ・ヒギンズ&スコット・ハミルトン / / ヴィーナス・レコード
スコア選択:



ステージでヘレンにものすごく優しく気を使っていたのが客席まで伝わってくるほど印象的であった「テッド・ローゼンタール」。ヘレン・メリルの専属ピアニストでもあるテッド・ローゼンタールが、ヘレンの十八番をピアノ・トリオで演奏した想い溢れるトリビュート・アルバムは、そのタイトルもズバリ「マイ・ファニー・バレンタイン~トリビュート・トゥ・ヘレン・メリル~」。

マイ・ファニー・バレンタイン~トリビュート・トゥ・ヘレン・メリル
テッド・ローゼンタール・トリオ / / ヴィーナス・レコード
ISBN : B000XYQGS8
スコア選択:

「ウォーレン・バシェ」。スコットやテッドをサポートしたアルバムをいくつも出しているが、スコットとともにローズマリー・クルーニをサポートした「ローズマリー・クルーニー/Sings Ballads」が私のお気に入り。


シングス・バラッズ(XRCD)
ローズマリー・クルーニー ウォーレン・バシェ スコット・ハミルトン エド・ピッカート ジョン・オッド チャック・イスラエル ジェイク・ハナ / ビクターエンタテインメント
ISBN : B0001ZX2D6
スコア選択:


さいごに演目一覧をあげておきます。(太字がヘレンが歌った曲)

【第1部】
Tea For Two
It's All Right
Sky Lark
Cherokee
My Funny Valentine
Let's Call The Whole Thing Off
Sweet Georgia Brown

【第2部】
People Will Say We're In Love
Born To Be Blues
Summertime
Gee Baby, Ain't I Good To You
Autumn Leaves
Antonio's Song
Love Me Tender
My Favorite Things
Wild Is The Wind
You'd Be So Nice To Come Home To


【アンコール】
S'Wonderful
[PR]
by knakano0311 | 2008-09-18 21:12 | ミューズたちの歌声 | Trackback(1) | Comments(0)
トラックバックURL : http://oyajijazz.exblog.jp/tb/9505114
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from spice at 2008-10-29 18:08
タイトル : こんにちは
フレッシュハーブで健康な生活を!ピリッと辛いスパイスで刺激的な毎日を! おいしいカレー情報をご紹介致しております♪... more
<< 60歳過ぎたら聴きたい歌(21... ジュリーの窮状、日本の窮状 >>