大屋地爵士のJAZZYな生活

カテゴリ:読むJAZZ( 16 )

カズオ・イシグロ氏とJAZZ

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 TVを観ていたら、「ノーベル文学賞に日系人のカズオ・イシグロ氏」というテロップが流れてびっくり。確かに「カズオ・イシグロ」氏は素晴らしい作家であるが、ノーベル文学賞を受賞するとは、思ってもみなかった。しかし、うれしい限りである。

 このブログで、彼を取り上げたのはいつだったろうか。前のブログを繰ってみたら、2009年8月10日の記事、「読むJAZZ(7)  ~音楽と夕暮れをめぐる五つの物語~ 」が最初のようである。

 『ずっと気になっていたひとりの作家、「カズオ・イシグロ」。その名前からして日系の作家であることは容易に察せられる。この名前が目に留まったのは、彼が、わがジャズ・ミューズの一人、「ステイシー・ケント/Stacey Kent」が2007年9月にリリースした最新アルバム「市街電車で朝食を/Breakfast on the morning tram」にタイトル曲を含め4曲の詩を提供していたからである。  ・・・(中略)・・・  「二人の愛を確かめる旅にふさわしいのは北極よ」と誘う「アイス・ホテル/The Ice Hotel」、「傷心のあまり眠れなかった朝を迎えるには朝の路面電車で朝食をとることが一番」と歌う「市街電車で朝食を/Breakfast on the morning tram」など。ステーシーが語るように、良質の短編小説を読むような感性豊かな情景が拡がる。』

 そんな記事であった。その後もジャズ歌手、「ステイシー・ケント/Stacey Kent」に詩を提供したことで、何回か取り上げたことがある。(参照拙ブログ「立春の朝に」「とどろく爆音に ・・・」「元気が出る朝の食卓」 など)

 彼の経歴や作品については、新聞などに詳しく報道されているから、そちらに譲るとして、「ステイシー・ケント」に提供されたいくつかの詩のうち、「アイス・ホテル」と「市街電車で朝食を」を紹介しておきましょう。

市街電車で朝食を

ステイシー・ケント / EMIミュージック・ジャパン



Breakfast on the Morning Tram

Stacey Kent / Blue Note Records

  

【 The Ice Hotel 】  作詞;Kazuo Ishiguro  作曲;Jim Tomlinson

「♪ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  Let's you and me go away     二人で行きましょうよ
  To the Ice Hotel             アイス・ホテルへ

  They've built it all with ice that's pure and clear  透明で純粋な氷で造られているの
  The sofas, the lobby          ソファーも、ロビーも
  Even the chandelier          シャンデリアさえも
  A thermostat guarantees      温度は常に
  A steady minus 5 degrees     マイナス5度に保たれていて
  What other place could serve our needs so well 私たちのニーズに叶う所は他にないわ
  Let's you and me go away     二人で行きましょうよ
  To the Ice Hotel             アイス・ホテルへ
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」

「Stacey Kent & Kazuro Ishiguro's 'The Ice Hotel'」

          

【 Breakfast on the Morning Tram 】
                 作詞:Kazuo Ishiguro 作曲:Jim Tomlinson

「♪ So here you are in this city     この街に佇んでいる そうあなた
  With a shattered heart, it seems   こころを閉ざしているように見えるわ
  Though when you arrived       この街についたときから
        you thought you'd have   ずっと夢で考えていたような
  The holiday of your dreams        休日を過ごせるなんて思っていた
  You'd cry yourself to sleep if you could  できることなら泣きながら眠ってしまいたいと
  But you've been awake all night     しかし残念ね 一晩中起きていたんでしょ
  Well here's something that you need to do  何が必要か教えてあげようか
  At the first hint of morning light      夜が明けてしなくてはならない最初の事を

  Walk right across the deserted city   まだ誰もいない街を歩いて 
  To the Boulevard Amsterdam      アムステルダム大通りへ行き
  And wait there             しばらく待ってなさい
  For what the citizens here        この街の人たちがこう呼ぶ
  Refer to as the Breakfast Tram    「ブレックファスト・トラム」を薦めるわ

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
  
  And even though you're a stranger  初めて訪れた土地にもなのに
  They'll make you feel         街の人たちは
  Right at home             家にでもいるように心地よくさせてくれる
  They'll be offering to refill your coffee  コーヒーのおかわりを注いでくれたりして
  They won't have you sitting there alone  人々はあなたを一人で放って置きはしない
  'Cause they've seen many others just like you  あなたのような人は大勢見てきたから
  And each one of them has had it happen too   みんな同じようなことを経験している
  So just enjoy your fresh croissant and jam  さあ、クロワッサンとジャムを楽しんで
  And don't neglect the Belgian waffles     ベルギー・ワッフルも忘れないで
  You'll soon forget your troubles        食べれば、悩みなんかすぐ消えるわ
  When you have breakfast on the morning tram  朝の電車で朝食をとれば   ♪」


「Stacey Kent - Breakfast on the Morning Tram」

  
          

 もうひとり、毎年ノーベル文学賞の候補に上がるのが、元ジャズ喫茶のオヤジにして、ジャズに関連した著書も多くある「村上春樹」。(参照拙ブログ 読むJAZZ(2) 或いは読みたいJAZZ ~村上春樹の世界~ 「読むJAZZ(12) ~村上春樹の音楽観~ 」「非現実的な夢想家として ~村上春樹氏のスピーチ~ 」  など)

 そうそう、「カズオ・イシグロ 」氏が最も関心のある作家は「村上春樹」氏だそうで、彼とロンドンであったときは、専らジャズの話をしていたと、あるインタビューで語っている。なんと「カズオ・イシグロ 」もご同様の御仁であったのだ。来年こそは ・・・。

 さて、小説以外の私のお気に入りの「村上春樹」の本は、彼がお気に入りの曲を自らの訳詩とエッセイで紹介した本、「村上ソングス」。

村上ソングズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

村上 春樹 / 中央公論新社




 
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by knakano0311 | 2017-10-06 10:18 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)

60年代へのリスペクト満載のパンドラの箱 ~ 「ビビビ・ビ・バップ」を読む ~

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 「僕の葬式でピアノを弾いて頂きたいんです」 フリージャズ・ピアニスト兼音響設計士の「フォギー」こと、「木藤桐」は、巨大ロボット企業で、世界的ロボット研究者、年齢130歳の「山荻貴矢」社長から奇妙な依頼を受ける。それがすべての始まりだった。

 そして、墓参者が「アバター(分身)」をつかって墓参できる、VR(ヴァーチャル・リアリティ)による架空の墓の音響空間演出を依頼される。そのVR墓空間というのが、なぜか上高地大正池、自分が青春をおくった強烈な思い入れがある、1960年代の新宿東口界隈、新宿末広亭、ジャズクラブ「ピットイン」などであり、その電脳空間に、「大山康晴」十五世名人、「古今亭志ん生」、「立川談志」、「マイルス・ディヴィス/Miles Davis」、「エリック・ドルフィー/Eric Dolphy」、60年代のジャズの巨人たちによるオールスターズなどのアンドロイドたちが登場し、高座やセッションなどを繰り広げる。

 「奥泉光」著、「ビビビ・ビ・バップ」(講談社)を読んだ。人工知能が人類を支配する日がくるか、迫り来る電脳ウィルス大感染を前に人類を救うのは誰か。人工知能社会をさもありなんと思えるほど、ヴィジュアルに描き、時空を超えて軽やかに奏でられる約650ページの大長編エンタテインメント近未来小説。

 「ビ・バップ」と聞いて懐かしい気分になる人。あるいは「半村良」、「植草甚一」、「伊達邦彦」、「横尾忠則」、「寺山修司」、「伊丹十三」、「浅川マキ」、「野坂昭如」、「タモリ」、「唐十郎」 ・・・などと聞いて、ニンマリとする人には、近未来小説なるがゆえに、ディジタル革命前夜の1960年代へのリスペクトやノスタルジーがいっぱい詰まっているこの本が、「パンドラの箱」になること請け合いです。自身もJAZZバンドでフルートを演奏するという奥泉氏、未来の人工知能社会では、もう死語となり、ナツメロとなってしまっているジャズやライブ音楽が、先の著書、「鳥類学者のファンタジア」以上にヴィヴィッドに描かれている。結構大変であるが、最後まで読み終えた人にのみ得られるであろう読後感が、ある種の達成感とともに爽やか。

ビビビ・ビ・バップ

奥泉 光 / 講談社



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 ということで、今宵取り上げるのは、「エリック・ドルフィー/Eric Dolphy」。しかし、かく言う私自身もほとんど聴いたことがありません。オリジナルは別のジャケットだったようだが、「ビビビ・ビ・バップ」の表紙に使われているのは、ロサンゼルス生まれのジャズ・アルト・サックス、フルート、バスクラリネット奏者、「エリック・ドルフィー」の事実上の遺作となった、アルバム、「ラスト・デイト/Last Date」の写真のようだ。

 このレコードは1964年6月2日にオランダのヒルバーサムで行われたライブの実況録音で、「エリック・ドルフィー」は、この約1ヶ月後の6月29日に糖尿病による心臓発作のため、ベルリンにて急逝。若干36才の若さだった。それにより、このレコードのタイトルは「ラスト・デート(LAST DATE)」と名づけられたという。

Last Date

Eric Dolphy / Verve



 そして、本の後半の方に出てくるこのアルバムの美しいフルートが優しく浸みわたる曲は、「恋をご存知ないのね/You don't know what love is」。

「Eric Dolphy - You don't know what love is」

          

 私は全く見ていませんが、その時のセッションをめぐって、こんなドキュメンタリーも、1991年にオランダ?で制作されているという。ドルフィー・ファンにはたまらないのでは ・・・。

Last Date [DVD] [Import]

Eric Dolphy / Rhapsody Films



「Eric Dolphy - Last Date (1991 documentary) 」

          



   
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by knakano0311 | 2017-08-22 09:43 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)

世界は音楽に満ちている  ~ 恩田陸/蜜蜂と遠雷 ~

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 「明るい野山を群れ飛ぶ無数の蜜蜂は、世界を祝福する音符であると。
そして、世界とは、いつもなんという至上の音楽に満たされていたことだろう、と。」

 こんな言葉で始まる小説を読んだ。「恩田陸」著、「蜜蜂と遠雷」(幻冬舎)。直木賞と本屋大賞をW受賞した作品。

 3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。「ここを制した者は世界最高峰のS国際ピアノコンクールで優勝する」ジンクスがあり近年、覇者である新たな才能の出現は音楽界の事件となっていた。父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年、「風間塵」15歳。かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇し、CDデビューもしながら、13歳のときの母の突然の死去以来、長らくピアノが弾けなかった「栄伝亜夜」20歳。音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの「高島明石」28歳。完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される名門「ジュリアード音楽院」の「マサル・C・レヴィ=アナトール」19歳。彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?  (解説より)

 章立ても凝っていて、ほとんど全ての章にJAZZを含む楽曲のタイトルがつけられているのも興味深い。例えば、「ノクターン」、「イッツ・オンリー・ア・ペイパー・ムーン」、「月の光」、「ユード・ビー・ソー・ナイス・トウ・カム・ホーム・トウ」、「虹の向こうに」・・・など。

 久しぶりの一気読み。 読みながら、作者の表現力、特に音楽を言葉で伝えるという作者の力量に圧倒された。省みると、長いあいだJAZZに関するブログをつづけても、一向に向上しない、私のボキャブラリー、語彙、表現力の貧困さ。元々そのことを自覚していたから、ブログでは、演奏評価や批評を控え、実際に聴いてもらった方がいいということを言い訳にして、YOUTUBEに頼っているが、そんな言い訳など一瞬で吹き飛んでしまう羨ましいほどの才能である。

 「音楽が駆けていく。この祝福された世界の中、一人の音楽が、ひとつの音楽が、朝のしじまを切り裂いて、みるみるうちに遠ざかる。」

 こんな文章で余韻を残しながら、物語は終わる。

蜜蜂と遠雷

恩田 陸 / 幻冬舎



 そういえば、去年の本屋大賞の「宮下奈都」著、「羊と鋼の森」(文藝春秋)も、ピアノの調律に魅せられた一人の青年の物語、音楽に関わる小説だった。

羊と鋼の森

宮下 奈都 / 文藝春秋



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 気を取り直したところで、さあ、わがブログ。今宵のピアノ、ヨーロッパが誇る名ジャズ・ピアニスト、「エンリコ・ピエラヌンツィ/Enrico Pieranunzi」である。日本でリリースとなったトリオの新作は、「Ménage à Trois」。日本語の語彙には適切な言葉はないらしいが、直訳すると、三人婚(さんにんこん)。2人の同性と1人の異性による婚姻関係を指すという。深いところの意味までは分からないが、トリオ間のJAZZ的共感、あるいは、ジャズ的な世界の中に異質なクラシックをどう結合させていくか。そんなことを指したのではないだろうか。

 ドビュッシー、サティ、バッハ、シューマン、リストといった作曲家の楽曲を、即興演奏も展開させながらの演奏は、まさしくジャズ。2015年11月フランス録音。パーソネルは、「Enrico Pieranunzi(piano)」、「ディエゴ・アンベール/Diego Imbert (double bass)」、「アンドレ・チェカレッリ/André Ceccarelli (drums)」。 下手な評論はしませんよ。

Ménage à Trois

Enrico Pieranunzi / Bonsai Music



「Enrico Pieranunzi - 1ère Gymnopédie (E.Satie)」

          

「Romance / Hommage à Milhaud - Enrico Pieranunzi/Andre Ceccarelli/Diego Imbert」

          

「Enrico Pieranunzi - Mein lieber Schumann Ⅱ」

          
  



  
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by knakano0311 | 2017-04-24 11:49 | 読むJAZZ | Trackback(1) | Comments(0)

ジェフリー・ディーヴァーの凝り様は ・・・

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私は冒険小説、活劇小説、ミステリ小説の類が大好きである。その中に登場する魅力的なキャラクターは数多いが、女性主人公に限って言うと、とりわけ「ケイ・スカーペッタ/Dr. Kay Scarpetta」と「キャサリン・ダンス/Kathryn Dance」の2大キャラが好きである。

「ケイ・スカーペッタ」、女流推理小説家、「パトリシア・コーンウェル/Patricia Cornwell」が生み出したアメリカの女性検屍官で、 「検屍官」 (1990年) (講談社).から登場した。もう一人の「キャサリン・ダンス」は、人気ミステリー作家、「ジェフリー・ディーヴァー/Jeffery Deaver」の「リンカーン・ライム/Lincoln Rhyme」 シリーズ、「ウォッチ・メイカー(原題;The Gold Moon)」(2007年)で、どんな嘘をも見抜く尋問の天才として初登場し、スピンアウトして独自の「キャサリン・ダンス」シリーズを展開するに至っている。

図書館から借りてきたのは、そんな「キャサリン・ダンス」が主人公の最近作、「シャドウ・ストーカー(原題;XO)」(日本での出版;2013年)。「スリーピング・ドール/The Sleeping Doll」(2008年)、「ロードサイド・クロス/Roadside Crosses」(2010年)につづく第3作である。

「キャサリン・ダンス」は捜査官であるが、趣味は民族音楽の収集、アメリカ各地及び南米などの色々な音楽を収集しているという設定。(参照拙ブログ「キャサリン・ダンスが聴く音楽は ・・・」「続・キャサリン・ダンスが聴く音楽は ・・・」) 今回は休暇で、友人のシンガー・ソングライターでカントリー歌手の「ケイリー・タウン/Kayleigh Towne」との再会も兼ね、趣味の音楽収集に来ている時に事件に遭遇するといった筋立てになっている。

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さて、ストーリーの方は本でお楽しみ頂くとして、驚かされるのは、作者「ジェフリー・ディーヴァー」のC&W音楽に対する造詣の深さ。例えば、作品につぎつぎと出てくるミュージシャンの名前の一部を上げても、「ハンク・ウィリアムズ・ジュニア」、「ウィリー・ネルソン」、「ドリー・バートン」、「ケニー・ロジャース」、「シャナイア・トゥエイン」など、カントリー・ミュージックには門外漢の私でも知っているビッグネーム。そして、ギターへの蘊蓄。「ギルド/Guild」や「マーチン/Martin」への蘊蓄が語られる。かつて彼は、フォーク歌手を志したこともあると聞けば、さもありなんと納得。

そして、今回の事件の重要なキーとなっているのが、「ケイリー・タウン」の曲として、歌詞を「ジェフリー・ディーヴァー」自ら書き下ろし、巻末に掲載している一連の曲。特に「ユア・シャドウ/Your Shadow」という曲は、この曲の歌詞が殺人の見立てに使われるという凝りよう。そして、その凝り様はとどまるところを知らず、曲をつけ、ミュージシャンに演奏してもらい、アルバムとしてリリースしている。実在の女性カントリー歌手、「トレヴァ・ブロムクィスト/Treva Blomquist」をヴォーカリストにしたアルバム、「Jeffery Deaver’s XO the Album」がそれ。趣味や蘊蓄、遊び心の行き着く先がベストセラーにアルバム・リリース。自分の本業でこれだけ遊べるとは、なんとも羨ましい話。(参照アルバム「XO」ホームページ

気になって聴いてみた ・・・。

Jeffery Deaver's Xo (the Album)

Treva Blomquist / CD Baby



「Your Shadow - Treva Blomquist video from Jeffery Deaver's XO - The Album」

          


 
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by knakano0311 | 2016-06-26 23:56 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)

読むJAZZ(12) ~村上春樹の音楽観~

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芦屋市で中学・高校時代を過ごした作家の「村上春樹」氏に関する知識を試す「村上春樹 芦屋大検定」なる検定が、同市で初めて行われたというニュース。「我こそハルキスト」と自負する200人を超えるファンが集まったという。私はファンという自覚はほとんどないのだが、著作のいくつかを読んでいるので、新聞に載っていたいくつかの問題を試してみたが、まったく歯が立たなかった。たとえばこんな問題。

第5問 デビュー作「風の歌を聴け」が映画化されたとき、「ジェイムズ・バー」の撮影に使われたバーが神戸・三宮にある。このバーの名前は?   
(A) レフトアローン  (B) プレイバッハ  (C) ハーフタイム  (D) メートル・ド・テル

答えは(C)であるのだが、私は、かってこの本は読んだことがあるにもかかわらず、まったくわからなかったのだ。まっ、そんな程度なのである。

「村上春樹」は、1949年1月12日生まれのほぼ同世代。京都府京都市伏見区に生まれ、兵庫県西宮市・芦屋市に育つ。早稲田大学在学中の1974年、国分寺に開いた、以前飼っていた猫の名前に由来するジャズ喫茶「ピーター・キャット」の経営を経て、1979年「風の歌を聴け」で「群像新人文学賞」を受賞しデビュー。昨年映画化もされた1987年発表の「ノルウェイの森」は上下430万部を売るベストセラーとなった。2009年に発売された「1Q84-BOOK1」、「同-BOOK2」、2010年に発売された「同-BOOK3」も国内外で記録的なベストセラーをつづけ、ノーベル文学賞に最も近い日本人作家といわれていることはご承知のとおり。

最初に読んだのは「ノルウェイの森」。そこから私が関心を持ったのは、村上の作品にはJAZZやPOPSなど一定の音楽性があったからである。そして、短編集、翻訳集、エッセイなどを中心に読むようになっていった。(参考拙ブログ「読むJAZZ(2) 或いは読みたいJAZZ ~村上春樹の世界~」) 

再びこの「読むJAZZ」で取り上げるのは、まず「雑文集」。インタビュー、受賞の挨拶、海外版への序文、音楽論、書評、人物論、結婚式の祝電など、1979‐2010年の初収録エッセイから、未発表超短編小説まで、著者自身がセレクトした69篇の「雑文集」である。その中の 「音楽について」の章、「余白のある音楽は聞き飽きない」では、同世代の洋楽ファンとおなじような、少年期、青年期の音楽遍歴が語られている。そして最後には、こんな音楽観で締めくくられているのである。

「僕にとって音楽というものの最大のすばらしさは何か?それは、いいものと悪いものの差がはっきりとわかる、というところじゃないかな。 ・・・・・ ただの個人的な基準に過ぎないわけだけど、その差がわかるのとわからないのとでは、人生の質みたいなのは大きく違ってきますよね。価値判断の絶え間ない堆積が僕らの人生をつくっていく。それは人によって絵画であったり、ワインであったり、料理であったりするわけだけど、僕の場合は音楽です。それだけに本当にいい音楽に巡り合ったときの喜びというのは、文句なく素晴らしいです。極端な話、生きていてよかったなあと思います。」

村上春樹 雑文集

村上春樹 / 新潮社



そしてもう一冊は、「村上ソングズ」。厖大なレコード・コレクションから、ビーチボーイズ、ドアーズ、H.メリル、T.モンク、B.ホリデイ、S.クロウ、スプリングスティーンほか、ジャズ、スタンダード、ロックの多彩なアーティストをピックアップ、訳詞とエッセイで紹介するジャズ、スタンダード、ロックの名曲集である。私にとって、初めて知る曲もいくつもあった。「読むJAZZから聴くJAZZ」への橋渡しをしてくれた楽しい本である。

村上ソングズ (村上春樹翻訳ライブラリー)

村上 春樹 / 中央公論新社



その中から曲をひとつだけ選んでみましょうか。「この家は今は空っぽだ/This House Is Empty Now」。  「バート・バカラック/Burt Bacharach」と「エルヴィス・コステロ/Elvis Costello」の共作になる歌である。村上はこんな風に評し、こんな風に訳している。

「現代のスタンダード・ソングと呼んで差し支えないほどの、美しい奥行きを持った曲だ。バカラックのたどってきた人生の年輪のようなものが、しみじみとメロディの中に漂っている。」

「♪  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 
   そう、この家は今は空っぽだ。
   君をここにとどめておくための
   言葉はもうどこにもない。
   君なしでどのように生きていけばいいのか?
            ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・      ♪」 (村上春樹訳)

この曲が収録されている私のお気に入りのアルバムは、二人が共演したオリジナル・アルバム、「Painted from Memory」。村上がイチオシしているのは、ストックホルム生まれのスウェーデン人で、有名なメゾ・ソプラノのオペラ歌手「アンネ・ゾフィー・フォン・オッター/Anne Sofie von Otter」が、コステロとのプロデュースで実現した名盤「For the Stars」。

Painted from Memory

Elvis Costello with Burt Bacharach Mercury



For the Stars

Elvis Costello / Deutsche Grammophon



ここではバカラックとのライブを聴いてみましょうか。 Elvis Costello feat Burt Bacharach - This House Is Empty Now 

          
 
 
 
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by knakano0311 | 2011-02-23 09:22 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)

読むJAZZ(11) ~ 誰も教えてくれなかったジャズの聴き方 ~

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このブログを始めた動機のひとつに、団塊の世代の知人から、「あんたJazzが好きらしいが、何を聴いたらいいんや?」というよく投げかけられた質問に、どう答えようかということがありました。事実、答えるのは、大変難しいので、その時々の私の生活のシーンで「何を聴いて心地よかったか?」という個人的なJAZZ聴きかじり歴を、私の勝手な判断基準で公開しても、先ほどの質問に多少は答えることができるのではないかと思ったわけです。(参照「初めまして」

確かに「JAZZを聴くルールなんかないよ。すきなものを聴けばいいんだよ」という答えは、本質的には正しいかも知れないが、コミュニケーションの上では、極めて不親切な回答であるのに違いないのです。私はあまり読まないのですが、JAZZ本でも、もちろん知識は得られます。JAZZ本は一般的に言って、「JAZZの歴史」、「アーティストの伝記、評伝」、「名盤の紹介、解説」といったカテゴリーに分類できると思いますが、写真のような名著は、JAZZについて少しはキャリアのある人向けで、「自分でも聞いてみたいけれど、何から入れば、あるいはどう聴けばいいかわからない」、「そもそも、それ以前のとっかかりがわからない」といった初心者の方には何も伝わらないし、読んでも面白くないのではないかと思います。

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先日も友人からJAZZの曲における「テーマ~アドリブ~テーマ」、或いは「演奏の流れ」といった音楽の構成ついて、また「アドリブをどう演奏するのか」という演奏スタイルについて書かれた、なにかオススメの本はないだろうかと質問されましたが、その場では思い当たりませんでした。しかしそれでは、「音楽CD検定JAZZ1級ディプロマ」の資格が泣くというもの。そこで思い出した本が「水城 雄/誰も教えてくれなかったジャズの聴き方」でした。ジャズ・ピアニスト「山下洋輔」の著作などJAZZに関わる名エッセイはあったものの、今までのJAZZ本に「演奏」する側からの視点で書かれたものが、あまりなかったことに気がついた。聴く耳には長けているが、JAZZを演奏したキャリアがない著者が書くためためか、歴史本や名盤紹介本が多くなってしまったのではないだろうか。

「水城 雄/誰も教えてくれなかったジャズの聴き方」。著者の水城氏は、1957(昭和32)年生まれ。作家、音楽家、朗読演出、現代音楽の作・編曲からJAZZピアニストとしてのライブ活動まで、多才多彩な活動を展開している才人だという。これは、「これからJAZZでも ・・」と思っている人のための、ジャズ入門のバイブルです。わかりやすい文章、現役ピアニストで作曲家ならではの解説で、ジャズの魅力の秘密を明快に説き明かしてくれている。

誰も教えてくれなかったジャズの聴き方

水城 雄 / ブックマン社



上記本のオーディオブック版で、解説にくわえ、楽器の音やフレーズやコードの演奏が音ではいっているので、読んでも分かりにくいという初心者には、理解度がさらにアップする工夫がされているようである。

[オーディオブックCD] 誰も教えてくれなかったジャズの聴き方(CD4枚)

水城雄 / ことのは出版



この本で、著者が具体的な演奏のなかで、テーマとアドリブの関係を語る例に挙げているのが、「マイルス・デイビス」が1954年にレコーディングした「バグス・グルーヴ/Bags Groove」。クールで印象的な「ミルト・ジャクソン」のバイブとマイルスのトランペットとのユニゾンのテーマに始まる名盤。

バグス・グルーヴ

マイルス・デイヴィス / ユニバーサルミュージック



早すぎるコード進行についていけなかった(?)から、「マイルス・デイヴィス」が、複雑化されたコード進行を捨てモード(音階)・ジャズを確立したという、真偽は分からないが、伝説的エピソードに引き合いに出されているのが「カインド・オブ・ブルー/Kind Of Blue」である。

カインド・オブ・ブルー+1

マイルス・デイビス / ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル


 

まだまだありますが、興味のある方はぜひ一読を ・・・・ 。
 
 
 
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by knakano0311 | 2010-06-18 09:17 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)

読むジャズ(10) ~ナイチンゲールは歌う~

  (前回からのつづき)

もう一人は「浅暮三文(あさぐれ みつふみ)」、日本推理作家協会賞受賞の新感覚ミステリー「石の中の蜘蛛」。1959年生まれ。「五感」をテーマにしたミステリーを次々と発表しているが、本作は「聴覚」がテーマ。
ギターの修理を職業にする立花は、突然の事故により、音への感覚が鋭敏化し、「そこに残された音」が聴こえるようになる。彼は音を頼りにある女の消息を追い始めるのだが・・・。ストーリーには、楽器の構造、コード(和音)やコード進行に関する専門的記述も多く、作者も楽器をかなり演奏するのではないかと想像させる。

石の中の蜘蛛 (集英社文庫)

浅暮 三文 / 集英社



ミステリーの重要な手がかりとなる「そこに残された音」、その音楽がJAZZバイオリンの巨匠「ステファン・グラッペリ」のアルバム、「魅惑のリズム」に収録されているスタンダードの名曲「バークリー・スクエアのナイチンゲール/A Nightingale Sang In Berkeley Square」であった。浅暮は、グラッペリのバイオリンを評して、「弾いているのではなく、歌っている」と書いている。 
グラッペリの1956年にパリで録音されたこのアルバムは、ピアノ・トリオをバックに、小粋で時に大胆にスウィングする演奏が魅力。エスプリの効いた古き良きパリの香りが漂う名演奏で、「バークレー・スクエアのナイチンゲール」を、彼のバイオリンが、たしかに郷愁を誘うメロディを囁くように甘美に歌う。

魅惑のリズム

ステファン・グラッペリ / ユニバーサル ミュージック クラシック



「ナイチンゲール/Nightingale」は、サヨナキドリ(小夜啼鳥)、 西洋のウグイスとも言われるほど鳴き声の美しい鳥。そのため、恋の詩歌に多く登場する。ただ、その姿はあまり目撃されることはなく、美しい歌声だけが夜に鳴り響くという。そして、なぜか「墓場鳥」というあまりぞっとしない別名もある。そして「バークレー・スクエア」は、ロンドンにある有名な広場であるが、すぐ近くには、イギリスで一番呪われた幽霊屋敷といわれてる有名な50番地がある。著者・浅暮がこの曲を選んだのは、そんなゴシックな背景があったからかもしれない。

「私達が出会ったあの夜は、マジックな雰囲気が漂っていた 天使達はリッツで食事をし、ナイチンゲールはバークレー広場で歌っていた ・・・」と歌いだされる美しい曲「バークレー・スクエアのナイチンゲール」は、「エリック・マシュウィッツ/Eric Maschwitz」作詞、「マニング・シャーウィン/Manning Sherwin」作曲である。ボーカルで聴きたい方には、「アニタ・オディ」の歌唱が有名であるが、ここでは、わがナイチンゲールの一人、「鈴木重子/Close Your Eyes」をあげておきましょう。ジャズ、POPSの名曲を、ピアノ、ギター、ベースのドラムレスのトリオをバックに歌う。選曲の良さにくわえ、バックのしっとりとした渋めの演奏のなかで、鈴木の癒しの歌声が流れる。 

クローズ・ユア・アイズ

鈴木重子 / BMG JAPAN



with you

鈴木重子&木住野佳子 / SMJ



「鈴木重子&木住野佳子 - バークレー・スクエアのナイチンゲール」

         
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by knakano0311 | 2009-12-23 09:34 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)

読むジャズ(9) ~ダブル・ミーニング~

買ったきりそのままに本棚に放ってあった本の何冊かを読み出した。その中にJAZZのスタンダード曲がキーワードになっている小説があった。「伊坂幸太郎/ラッシュライフ」、「浅暮三文(あさぐれ みつふみ)/石の中の蜘蛛」である。購入時には、特にJAZZを意識して買ったわけではないので、まったくの偶然で、そうだったということだ。本への論評は差し控えるが、いずれも人気作家の野心作、私としては大変面白かった。

「伊坂幸太郎」。「ラッシュライフ(2009年公開)」もそうであるが、「アヒルと鴨のコインロッカー(2007年)」、「 死神の精度(2008年)」、「フィッシュストーリー(2009年)」、「重力ピエロ(2009年」など映画化された作品も多く、いま最も人気のある若手作家の一人といっていいだろう。1971年(昭和46年)生まれ、宮城県仙台市在住。評論家に注目され始めた2002年の「ラッシュライフ」は、5つの別々に見える話が最後にリンクしていく群像劇と呼ばれる手法を使った作品である。

「金で買えないものはない」と豪語する画商、泥棒を生業とする男、父に自殺され神に憧れる青年。不倫相手との再婚を企む女性カウンセラー、職を失い家族に見捨てられた男。並走する5人の5つの物語と交錯する人生。その果てに待つ意外な結末。「ラッシュライフ」とあるが、副題は「A Life」となっていて、物語を構成する5人それぞれの人生を、ラッシュという同じカタカナで意味が違う言葉で想像できるように仕掛けがなされている。「lash、lush、rash、rush」。そう冒頭の見開きに載せてあるエッシャーの騙し絵のように・・。

ラッシュライフ (新潮文庫)

伊坂 幸太郎 / 新潮社


冒頭、金さえあれば何でもかなうと信じている画商が連れの女に問いかける言葉が、「ラッシュライフを知っているか? ・・・・  曲だよ。そういうな名の曲だ。ジャズは聴かないのか。 ・・・ コルトレーンの名演だ。Lush Life。豊潤な人生。いいじゃないか。 ・・・・」
このほか、「キース・ジャレット」などに関するくだりもあり、作者がJAZZに関心が強いことを窺わせる。

画商が言う「ジョン・コルトレーン」の名演「Lush Life/豊潤なる人生」はこのアルバム。

ラッシュ・ライフ

ジョン・コルトレーン / ユニバーサル ミュージック クラシック



「John Coltrane - Lush Life」

         

「LUSH LIFE」の「lush」には画商が思い込んでいる「豊富な、豊潤な、華麗な」などという意味のほかに、「酒、のんだくれ、やけくそ」などという意味がある。「LUSH LIFE」の歌詞は、「私は、どこかの小さな場末の酒場で、飲んだくれの人生を送りたい 同じようにつらい寂しい人生を送っている飲んだくれどもと一緒に そこで酔いつぶれて朽ち果てるまで ・・・ 」。歌詞のように、この歌は「豊潤な人生」といった歌であるわけがない。著者・伊坂はそのダブル・ミーニングをちゃんと分かったうえで、画商に言わせているのである。「飲んだくれの人生」、「酒びたりの人生」、「やけくその人生」というタイトルが正しいのである。ここにもまた伊坂は「ダブル・ミーニング」の仕掛けを施していたのである。

「LUSH LIFE」は、「Take The "A" Train (A列車で行こう)」の作詞、作曲でしられている「ビリー・ストレイホーン/Billy Strayhorn(1915-1967)」の1949年の作詞、作曲によるものである。鉄鋼の都市ピッツバーグの貧困街に育った「ビリー・ストレイホーン」は、黒人への差別、大恐慌時代の貧困という現実に向き合いながら、音楽家への道をあゆみ、ついにはデューク・エリントン楽団に加わることとなる。しかしこの歌は、彼のその後の人生を暗示するような歌でもあった。彼は酒びたりの生活を送り、51歳の若さで食道がんで死を迎えることになる。まさに「LUSH LIFE(飲んだくれの人生)」であった。

「Lush Life/飲んだくれの人生」をボーカルで味わい方へのお薦めは、私がもっとも好きな男性JAZZボーカル「ジョニー・ハートマン」がコルトレーンとくんだ名盤バラード・アルバム「ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン」である。(参照男唄に男が惚れて(3)~ジョニー・ハートマン ビロードの声に包まれて~

ジョン・コルトレーン&ジョニー・ハートマン

ジョン・コルトレーン ジョニー・ハートマン マッコイ・タイナー ジミー・ギャリソン エルヴィン・ジョーンズユニバーサルクラシック



「Lush Life - Hartman & Coltrane」

          

そして、アジアの癒し姫「ジャシンサ/Jacintha」もまたおすすめ。(参照「アジアの癒し姫たち」

Lush Life

Jacintha / JVC




  (次回 「浅暮三文」へつづく)
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by knakano0311 | 2009-12-22 15:30 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)

読むジャズ(8) ~JAZZピアニストのエッセイ~

フリーJAZZのピアニストにして、抱腹絶倒の名エッセイスト「山下洋輔」の新刊エッセイを読んだ。タイトルからして洒脱である。「山下洋輔の文字化け日記」。2001年~2008年にかけてCDジャーナルに連載されたエッセイの文庫本化したものである。読んだら出てくるわ出てくるわ、「読むジャズ」に違わず、私のなじみのキーワードがいっぱい、久し振りに小躍り、いやスイングして読んだエッセイであった。

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インタープレイ8(ハチ);大阪梅田の太融寺、旧関西TV近くにある、もう大阪では老舗の部類のJAZZ喫茶。入社のため大阪へ来た頃ずいぶん通ったものだ。最後に行ったのは一体いつだったろうか。記憶がないほど長い長い時間が過ぎている。

RAGの須田さん夫妻;京都木屋町三条近くのJAZZライブ・ハウス。20年ほど前だったか、まだ北山通り近くにお店があった頃、ひょんなことから知り合い、RAGの株主になった。帰りのことを考えると、夜の京都もなかなか行きづらく、殆ど頼りにならない株主ではあった。

タモリ;山下氏、漫画家の赤塚不二夫氏が博多で発掘して東京へ連れてきた芸人。TV「題名のない音楽会」で初めて披露した中津産業大学森田助教授の報復絶倒の芸は、いまだに鮮明に覚えている。ぜひもう一回観たいものである。(参照「森田一義助教授の幻の講義」)

ベイシー;岩手県一関市にある有名なJAZZ喫茶。その音響装置がすごいと聞いたことがあるが、近くまで行ったが、時間がなくて未だに行きえていない。想いが残る場所・・・。

イリジウム;ニューヨーク、ブロードウェイ近くのJAZZクラブ。一度だけ行ったことがあるが、こちらは未だNYへの憧れをひきずっている場所。  

炎上ピアノ;かって、このブログ(参照「健在なり!山下洋輔」)でもとりあげたが、先日のNHKの「スタジオパーク」で山下氏がゲスト出演した際、そのパフォーマンスの映像を始めてみることができた。立川にある神社を、霊験あらたかな「猫返し神社」に仕立ててしまったその真相についても、この番組で、語っていた。

奈良少年刑務所;山下氏の祖父の設計になる建築である。その美しい赤レンガの建物を先日、般若寺へのウォーキングの際に発見した。(参照「萩の寺、秋櫻の寺、古都の初秋を歩く(2)」) 昨年建築100周年を記念して、刑務所内の講堂でピアノ・ソロ・リサイタルを開いたが、刑務所とフリーJAZZ、果たしてその相性は・・・。 

山下洋輔の文字化け日記 (小学館文庫)

山下 洋輔 / 小学館



稀代の蕎麦好きという別の一面を著わしたのが、「蕎麦処 山下庵」。音楽界・文壇・芸能界・演芸界の垣根を越え、日本中から蕎麦好きが大集合。その数およそ30名、いずれも蕎麦に一家言のある語り部たちが、それぞれの蕎麦喰いの流儀、蕎麦へのこだわり、また秘中の秘の一店を語る。蕎麦好きを自認する向きにはまさに必読、座右の書といえる。

蕎麦処 山下庵

山下 洋輔 / 小学館


私が、数ある山下洋輔のアルバムの中から一枚だけ選ぶとしたらこれか。’86年に録音されたソロ・ピアノ・アルバム。バッハ、ショパン、ガーシュインが、縦横無尽に、そして山下流に弾ける。

ラプソディ・イン・ブルー

山下洋輔 / ユニバーサル ミュージック クラシック


「山下洋輔の文字化け日記」にも登場する、岩手県一関市にあるJAZZ喫茶の老舗「ベイシー」。「ケイコ・リー」が、御年88歳、現役最高齢ジャズ・ピアニストの「ハンク・ジョーンズ」との「ベイシー」でのライブを収録したアルバムがある。2006年3月、わずか数十人の至福のオーディエンスだけが目撃したパフォーマンス。演奏されるのは長年にわたり世界中で愛されてきた珠玉のスタンダード名曲ばかり。ヴォーカルとピアノの世代を超えた語らいが、幸福なジャズの時間を紡ぎだす。

ライヴ・アット・ベイシー~ウィズ・ハンク・ジョーンズ~

ケイコ・リー ハンク・ジョーンズソニーミュージックエンタテインメント



「But Beautiful - Keiko Lee Live at "Basie" with Hank Jones」

          







  
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by knakano0311 | 2009-11-10 09:15 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)

読むJAZZ(7)  ~音楽と夕暮れをめぐる五つの物語~

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ずっと気になっていたひとりの作家、「カズオ・イシグロ」。その名前からして日系の作家であることは容易に察せられる。この名前が目に留まったのは、彼が、わがジャズ・ミューズの一人、「ステイシー・ケント/Stacey Kent」が2007年9月にリリースした最新アルバム「市街電車で朝食を/Breakfast on the morning tram」にタイトル曲を含め4曲の詩を提供していたからである。「ステイシー・ケント」はイギリスで活躍する女性JAZZシンガーであるが、オリジナル曲をアルバムに入れたのは、デビュー10年目にして初めてのことである。それだけ彼女には「カズオ・イシグロ」に対して思い入れがあったということだろう。作曲は彼女のパートナーでSAX奏者でもある「ジム・トムリンソン」。ライナーノーツで「カズオが書いてくれた歌詞はショートストーリーのような形になっていて、従来の歌の形式にはとらわれていないの。・・・・ わたしは二人の創りだした音楽の世界にノックアウトされてしまったわ。」とステイシーは語っている。そしてライナーには、「カズオ・イシグロは、日系英国人作家でイギリスの権威ある文学賞を受賞した」とだけ記されていた。その後、彼について特に調べたりすることもなく、その名前だけが記憶に引っ掛かっていたのである。

さて、「市街電車で朝食を/Breakfast on the morning tram」。ブルーノートへ移籍した第一作であるが、従来のスダンダードを中心にすえたアルバムではなく、「ノラ・ジョーンズ」のようなJAZZYではあるが、JAZZではなくポップスに近い感覚に仕上げたアルバムとなっている。オリジナルのほか「S.ゲーンズブール」、「ピエール・バルー」、「セルジオ・メンデス」などもとりあげられていて、相変わらずチャーミングでその聴き心地のよさ。そして、「カズオ・イシグロ」の歌詞4編。「二人の愛を確かめる旅にふさわしいのは北極よ」と誘う「アイス・ホテル」、「傷心のあまり眠れなかった朝を迎えるには朝の路面電車で朝食をとることが一番」と歌う「市街電車で朝食を」など。ステーシーが語るように、良質の短編小説を読むような感性豊かな情景が拡がる・・・。

市街電車で朝食を

ステイシー・ケント / EMIミュージック・ジャパン



「Stacey Kent & Kazuro Ishiguro's 'The Ice Hotel'」

          

そして、一ヶ月ほど前、新聞の書評で「カズオ・イシグロ」著、「夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語/原題;Nocturnes」(早川書房、土屋政雄訳)を見たのだ。わたしは寡聞にしてそれまで知らなかったのだが、彼は世界的にも大変注目されている人気作家であるということが分かった。

「カズオ・イシグロ/Kazuo Ishiguro」。1954年11月長崎生まれ。1960年、5歳のとき父親の仕事の関係でイギリスに渡り、そこで英国籍を取得。大学院で創作を学んだ後、一時はミュージシャンを目指していた。やがて、ソーシャルワーカーとして働きながら執筆活動を始め、1982年の長編デビュー作「遠い山なみの光」で王立文学賞、1986年の「浮世の画家」でウィットブレッド賞に輝き、さらに1989年の第三作「日の名残り」ではイギリス文学の最高峰ブッカー賞を受賞。その後の三作もすべて世界的ベストセラーとなったとある。そして4年ぶりに待望の発刊となったのが初の短編集「夜想曲集・・・」である。

各編には色々なミュージシャンが主人公として登場するが、挫折したミュージシャン、売れないSAX奏者であったり、或いは旧共産圏出身の音楽家であったりする。彼らが出会う、時にはプロの音楽家だったりする人々との奇妙な人間関係が描かれる。そして5つの短編に共通して流れている通奏低音ともいえる主題は「音楽の才能」であろう。主人公とその回りに登場する人物との音楽に対する意識や世界観の違いが、彼我の音楽的才能の違い、或いは分かりあえない意思疎通の溝を生み出す。この主題は、人と人の間に生ずる溝や才能の差は何によって発するのかを示唆しているようだ。そして読後は深い余韻が満ちてくる良質の短編5編である。

夜想曲集:音楽と夕暮れをめぐる五つの物語

カズオ・イシグロ / 早川書房



日本でも最近、2008年、中国籍の「楊逸(ヤン・イー)」 さんが芥川賞、またイラン出身の「シリン・ネザマフィ」さんが、2009年文学界新人賞を受賞するなど日本語以外の言語を母語とする作家として史上初めての受賞が話題となっているが、それにしても、日本出身の「カズオ・イシグロ 」氏、英国で権威ある賞をとり、これだけの世界的ベストセラーを生み出す才能とは・・・。

五編うちで私が一番気に入ったのは第一編の「老歌手」。旧共産圏出身で、今はヴェネチアのレストランの雇われギタリストは、ゴンドラに乗って妻にセレナーデを捧げたいという米国の高名な老歌手に伴奏者として雇われるという話であるが、その捧げる歌の一つが、「チェット・ベイカー」の「惚れっぽいわたし/I Fall In Love Too Easily」である。遠い昔の熱くて若い頃、わたしが最初に「チェット・ベイカー」を聴いたアルバム「Chet Baker Sings」に収録されている曲。読後、なつかしい思いがこみ上げてきた。

Chet Baker Sings

Chet BakerPacific Jazz



そうそう、「カズオ・イシグロ 」氏が最も関心のある作家は「村上春樹」だそうで、彼とロンドンであったときは専らジャズの話をしていたと、あるインタビューで語っている。このブログ読むJAZZ(2)でも触れたように、村上春樹のJAZZフリークは有名であるが、なんと「カズオ・イシグロ 」もご同様の御仁であったのだ。
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by knakano0311 | 2009-08-10 10:05 | 読むJAZZ | Trackback(2) | Comments(0)