大屋地爵士のJAZZYな生活

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読むJAZZ(4)   ~ 鳥類学者のファンタジア ~

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このブログの読者「堅気の勤め人@横浜」さんから、「読むJAZZ」へのコメントを頂きました。それは、「奥泉光/鳥類学者のファンタジア」のおすすめであった。この本、たしか4年ほど前に買ったが、あまりの超長編(文庫本で約750頁ほど)のため、躊躇したまま本棚にしまい込み、すっかりその存在を忘れてしまっていた。氏のコメントでそのことを思い出し、早速読んで見たが、JAZZファンにとっては、実に面白い、まさに「読むJAZZ」に値する本であった。

まず「タイトル」からして、うれしい。JAZZファンなら、「鳥類学者」の「鳥」が、かのビ・バップの創始者「チャーリー・“バード”・パーカー」を指していることは容易に想像つくであろうし、主人公である女性JAZZピアニストの「フォギー」こと池永希梨子は、「バド・パウエル」を敬愛する「ビ・バッパー」を自認しているが故の「鳥類学者・・・」というタイトルであることも納得がいく。さらに、パーカーの曲に「鳥類学/Ornitholgy」と言う有名曲があり、タイトルにも三重の仕掛けが施されている。

ストーリーはといえば、フォギー・希梨子が国分寺のライブハウスで演奏中に、「柱の陰に誰かいる・・・」という不思議な感覚にとらわれ、1944年冬、ナチスの敗色濃厚なベルリンにタイム・スリップして大冒険が始まる。そして「フィボナッチ数列」、「オルフェウスの音階」、「ピタゴラスの天体」やら、キリストを刺したといわれる「ロンギヌスの聖槍」などが彩る、オカルト色一杯のファンタジーが展開される。やがて最後は、舞台は1945年のニューヨーク、ハ-レムのビ・バップ発祥の地といわれる伝説のJAZZクラブ「ミントンズ・プレイハウス」へと移り、マイルス・デイヴィス、セロニアス・モンク、マックス・ローチらが集う、ビ・バップが誕生するJAZZの歴史の瞬間に立会い、「フォギー」もセッションに参加し、最後はなんと「チャーリー・パーカー」の演奏を聴いて、JAZZの本質を確証し、気がつけば国分寺のライブハウスへ戻る・・・。 

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このブログでJAZZを文章で語ることの難しさと未熟さを痛感していたが、この小説を読むにいたって一層その想いが強まった。
いわく、「アイデアや閃きを間髪をいれず腕と指の動きにもたらす瞬発力は反復練習によってしか鍛えるしかなく・・・」といった音楽への姿勢や、「右手と左手の打鍵のずれでもってリズムをつくりだしながら・・・・」というようなライブハウスでの演奏の描写に生き生きとしたプレイヤーの内面が見事に描かれている。これも実際にJAZZバンドでフルートを演奏するという奥泉氏のジャズ感が随所に垣間見られる。終章「ミントンズ」でのビ・バップの立役者たちによる白熱のセッションの描写も、実際に演奏が眼前で展開されているかのような錯覚さえ覚える。
そして最後の解説は、あの「山下洋輔」。山下洋輔をして「この作品をジャズとジャズマンと柱の陰の聴き手への壮大なオマージュとして受け取る喜びを分かちあいたい。」と最大級の感謝と賛辞を贈らしめ、あまつさえ、主人公フォギーのバンドのテーマ曲である「Foggy’s Mood」を作曲・献曲させ、その楽譜が記載されている。
また、この曲は、奥泉光オフィシャルサイト「バナール主義」の作品リストで、本人のフルートを含むカルテットで聴くことが出来る。

国分寺のライブハウスから始まって、そこへ戻って終わるという、リアルタイムで言えばステージとステージの休憩のほんのつかの間の壮大なファンタジー、「鳥類学者のファンタジア」。山下洋輔氏も言っているように、「ただ一度のアドリブ・ソロの中に、プレイヤーたちはこれだけの夢を見ているのだ」というその壮大な夢とJAZZの本質に迫る「読むJAZZ」。これぞ、JAZZファンにおすすめの「読むJAZZ」書である。

鳥類学者のファンタジア (集英社文庫)
奥泉 光 / / 集英社
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チャーリー・パーカーに憧れてジャズ・ミュージシャンになったという、現代っ子「矢野沙織」のアルバムから。日本のハイティーンの女の子が、ニューヨークのJAZZクラブで,アルトサックスを絶好調で吹きまくるその痛快さ。これもある意味で、一夜の「鳥類学者のファンタジア」ともいえると思う。

PARKER’S MOOD~Live in New York
矢野沙織 / / コロムビアミュージックエンタテインメント
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「SAORI YANO - I Got Rhythm」  Live On 25th July 2005 At SMOKE Jazz Club, New York

          
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by knakano0311 | 2008-02-29 00:15 | 読むJAZZ | Trackback | Comments(0)

質より量?・・・・

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年末に私の不注意で壊してしまったため、新しい「i-Pod」に買い換えたのですが、やっとCDコレクションの「i-Pod」へのダウンロードが完了しました。約2ヶ月かかったことになります。
勿論、すべてのCDをダウンロードしたわけではないのですが、そのデータを紹介しましょう。

・ハード;i-Pod Classic 80GB Black
・ダウンロード データ
  617アーティスト、882アルバム、10776曲、45.05GB

ちなみに、休みなしに全曲聴くとすると、「100.5日」かかるそうです。
私の残りの日齢(「60歳過ぎたら聴きたい歌(14) ~What A Difference A Day Made~」参照)を約8000日とすると、毎日3時間づつ聴いたとしても、たった10回しか全曲を聴けないという計算になってしまいます。

この量をみると、ある種の感慨も持つのだが、一方、果たして「量より質」のリスニング人生であったか?という疑問も感ずる。むかし、ある博物館の学芸員で、刀剣の目利きの方に「どうしたら真贋、名品を見抜くことが出来るのですか?」と質問したことがあるが、その方は「沢山の量を見ることです。量を見ることで、おのずから優れたものが浮かび上がってきます。」という答えであった。所詮凡人の私、気を取り直して、「量」をこなすことで少しでも「真」なるものへ近づけると信じ、せっせとこれからも聴くことにしましょうか・・・。

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デビュー20周年を迎えたJAZZバイオリニスト「寺井尚子」が、「ピアノ・トリオ+寺井」というデビュー当時4人編成の原点に帰って新CDをリリースした。ヨーロッパの「ステファン・グラッペリ」の例はあるにしろ、異色の楽器を日本JAZZ界に持ち込み、新分野を切り開いた「寺井」。最近はそんな彼女の姿勢が評価され「南里文雄賞」も受賞した。この原点回帰の新作「小さな花~アマポーラ」は、従来のジャズのスイング感をバイオリンで表現するというスタイルを少し変え、アルバム表題の2曲のほか、有名曲の旋律の美しさをしっとりと聞かせるというスタイルになっている。彼女はこのことについて、「頭の中で、突然アマポーラのメロディが鳴ったんです。常に核になる曲からイメージを膨らませて、流れを組み立てるので、アマポーラの強さのせいでバラードが増え、旋律重視のアルバムになってしまった。」と語る。JAZZにおけるバイオリンの可能性を追求していく彼女に更なる期待をしたい。


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小さな花~アマポーラ
寺井尚子 / / EMIミュージック・ジャパン
ISBN : B00118YOBQ
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「小さな花 - 寺井尚子」

          
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by knakano0311 | 2008-02-24 21:00 | 音楽的生活 | Trackback | Comments(0)

持病がまた出た・・・・・

大分前のブログでも書いたように、私には音楽的持病があります。それは、「女性ボーカル特定曲衝動買い症候群」です。「Close Your Eyes」、「I’ll Wait For You」、「I’m A Fool To Want You」、「Windmills Of Your Mind」・・・などが、私がその症候群に冒されている代表的なウィルス感染曲のいくつかですが、その中に「Comes Love」という強い感染力を持った曲があります。この曲が収録されていれば、歌手が誰であろうとお構い無しに、すかさずCDを買ってしまうという症状が表われます。(レコード会社には内緒ですよ・・・・)
「Stacey Kent」でこの曲に感染して以来、「ティアニー・サットン」、「ジャネット・サイデル」、「コニー・エヴィングソン」と「発症」を繰り返し、いまだに一向に治る気配がありません。

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先日、その症候群が再発しました。CDショップをぶらついていたとき、偶然眼に入ってしまったのです。たちまち、発症してしまったのです。イタリアの女性ボーカルで、ズバリ、「Alice Ricciardi/Comes Love」というアルバム。のっけの1曲目から「Comes Love」が入っているではありませんか。あっという間に感染して衝動買い、早速家へ帰って聴きました。

この「Comes Love」、5/4拍子という、かって「デイヴ・ブルーベック/Take Five」で一躍有名になった変拍子で歌われる。この拍子でベースとのデュオで始まるアレンジが、極めて新鮮でいい。声は、聞いた瞬間「ああ、ジャズ声!」とわかる、わずかにかすれるパンチの効いた声で、たまらない。
スウィンギーな曲中心のアルバムではあるが、M5「I’m Gonna Laugh You Right Out Of My Life」のようなバラードでも、しっとりと安定した歌唱力をみせる。

彼女を、サポートする若手のイタリア・ジャズマンたちも小粋で、スインギーで、熱気あふれる好プレイを展開しているのも心地よい。さらに、このブログでもとりあげたイケメン・トランペッター、ファブリッツィオ・ボッソ(「いにしえのトランペッター ~夏が来れば思い出す・・ ~」参照)がスペシャル・ゲストとして2曲参加(M5,M12)している事も注目です。

HMVデータのデータによれば、「Alice Ricciardi」は1975年イタリア・ミラノ出身のシンガー。プッチーニなどを輩出したジュゼッペ・ヴェルディ音楽院に入り、バイオリンとピアノを学び、1995~1999年の間ミラノ国際音楽アカデミーにて、一足先にJAZZシンガー・デビューを果たしている「Roberta Gambarini」(拙稿「Cool Biz ~定年考 続き」参照)、などと共にヴォーカルの勉強もスタートさせたという。2002年にはフランスにて、ヨーロッパでは名の知れた学位F.N.E.I.J.(ジャズとモダン・ミュージックの指導者としてヨーロッパ中で教えることができる免許)を取得。2005年にはインターナショナル・モントルー・ジャズ・フェスティバル・ヴォーカル・コンペにて2位に入賞。そして2006年ニューヨークで行われたIAJE(国際ジャズ教育者協会)に招待されリンカーン・センター DIZZY'S CLUBにてパフォーマンス。その後N.Yで様々なアーティストと共演するチャンスを得ることでたくさんの経験を積み、満を持してのCDデビューとなったらしい。

本作はItalyのEMIブルーノートよりリリースされた彼女のデビュー作品。発症して大満足の1枚。先述の「Roberta Gambarini」とならんで、これから活躍が期待されるイタリアン・JAZZ・バンビーノだろう。

カムズ・ラヴ

アリーチェ・リチャルディ / EMIミュージック・ジャパン



「Alice Ricciardi - Comes Love」

          
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by knakano0311 | 2008-02-23 11:30 | ミューズたちの歌声 | Trackback | Comments(0)

サルバドールからの手紙

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いやぁ 大変懐かしい名前をCDショップで見つけました。 「アンリ・サルバドール(Henri Salvador)」。
1917年7月、カイエンヌ(フランス領ギアナ)生まれ。両親はグアドループ島出身で、カリブ族の血を引く母を持つ南米出身のフランス人歌手。ジャンゴ・ラインハルトなどとも共演し、1940年代から60年代にかけて、JAZZ、ロック、POPS、ボサノバなど様々なフランスの音楽シーンで活躍した。たしか、ボサノバを最初にフランスに紹介した男としても有名だったとも記憶している。

1957年に彼が発表したヒット曲「Dans mon ile (私の島で)」は、アントニオ・カルロス・ジョビンに影響を受けて、ボサノバ風につくった曲であり、2004年に「カエターノ・ヴェローゾ」はこの曲をカバーし、オマージュとして彼に捧げたという。

さて、アルバム「サルバドールからの手紙」。このアルバムが日本で発売された2001年で、彼は当時84歳だというからおどろきである。すべて未発表曲13曲で構成されているが、「ボクは昨日生まれ、今日生き、明日死ぬ」というポリネシアのことわざを大事に守って84年間生きてきた一つの到達点を示している。そのことは、「こもれびの庭に」、「眺めのいい部屋」、「人生という名の旅」、「毎日が日曜日」、「生きてるだけじゃ駄目なんだ」・・・・などの収録された曲のタイトルをみても強く感じることが出来る。

とても「84」という歳を感じさせない、艶のある渋い声が、どの曲も心地よく響かせるが、イージーリスニングなどという言葉はまったく当てはまらない、「深み」や「ウィット」を感じる。私はフランス語は分からないので、訳詩に頼るしかその意味は理解できないのだが、一度聴いたら忘れがたい、彼の声によって、まさに歌うがごとく語られる「人生の物語」、「永遠の物語」である。

そして、アルバム・ジャケットのすがたも粋で伊達なフランス洒落男。


サルヴァドールからの手紙
アンリ・サルヴァドール / / EMIミュージック・ジャパン
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2008年2月13日、動脈瘤破裂のためパリの自宅で死去。90歳没。

そのことを知らずに、アルバム・ジャケットの「粋さ」と「忘れがたい声」に惚れて、ついCDを買ってしまったが、直後に彼の死を知り、この「手紙」がまさに彼の遺書となってしまった。


合掌 ・・・・・・・・・・。


「Henri Salvador - Jardin d'Hiver」

          
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by knakano0311 | 2008-02-21 17:30 | 訃報を聞いて | Trackback | Comments(0)

60歳過ぎたら聴きたい歌(14)  ~ What A Difference A Day Made ~

何かで読んだが、人生約81歳として、日数で数えると(日齢というらしいが)、「30,000日」になるそうだ。そうすると、60歳で定年を迎えると、残りの日齢は、「8,000日」ということなる。
この「8,000日」をどう過ごすのかが、我々シニアには大きな課題である。この「8,000日」を「長い」と見るか、「短い」と見るか、さらに経験や見識を積み上げていく「積み重ねの日々」を送るのか、今まで積み上げてきた価値観を、糧や源泉として、生きていく「日めくりの日々」を送るのか、その選択も、人それぞれの生き方であろう。

今回の「60歳過ぎたら聴きたい歌」は、「What A Difference A Day Made」。スタンダードの超有名曲で、ボーカルは勿論、本当に、たくさんのプレイヤーが歌ったり演奏している曲。タイトルの日本語訳は、「縁は異なもの」と訳されているが、その歌詞の内容は、「たった一日でこんなに変わってしまうなんて」と、恋に落ちた女性の心境を歌った歌である。

定年後の残りの日齢「8,000日」をかんがえると、「積み重ねの日々」型にしろ、「日めくりの日々」型にしろ、一日一日の重みを大事にして、「What A Difference A Day Made!」といえる日々を過ごしたいし、「縁は異なもの」いえるような、いろいろの人との出会いを大事にしたいものである。

この歌も、「名曲に名唱あり」で、選ぶのに本当に困ってしまうが、「Marlena Shaw」、「Lady Kim」の二人を選んでみた。

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個性派、「Marlena Shaw」。1942年生まれというから私よりも年上。デビュー当時の、あの超イケイケのアフロ・ヘアからは、もう30年も経ってしまったんですねえ。そんなもうベテラン・ジャズ・シンガーのアルバム「ライブ・イン・TOKYO」に収録された、「What A Difference A Day Made」。円熟したJAZZシンガーとしての魅力と、30年の年輪とともに落ち着きと、深みを増したこのシンガーの歌唱力が、なんとも言えない味を醸し出す。円熟のシニア・JAZZファンにおすすめする傑作。

ライヴ・イン・トーキョー
マリーナ・ショウ / Village Records
ISBN : B00006IIGT
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「Marlena Shaw - What A Difference A Day Makes (Live In Tokyo) 」

          


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「レディ・キム Lady Kim」。このひとの歌は、本当にいい雰囲気を持っている。最初聞いたときは、ロリータ系と思った。特に、デビュー作にはその傾向が強く感じられる。しかし、この、「What A Difference A Day Made」が収録されている、第3作「枯葉」では、ロリータ調の甘え声は薄れ、ピアノトリオをバックに、彼女本来の特長であるとおもわれる、スモーキー・ボイスが魅力をかきたてている。ビリー・ホリディを主人公にしたミュージカル「レディ・ディ・アット・エマーソンズ・バー&グリル」で脚光を浴びたので「ビリー・ホリディの再来」とも称されたが、そんな冠を与えずとも、女性JAZZボーカル・ファンは、決して彼女を見逃しはしないだろう。
彼女の歳は把握していないが、ジャケットを見る限り、30後半あたりか。「人生酸いも甘いも分かる」年齢とは思えないが、その歌唱はしっとりと落ち着いて、人生の深みを感じさせる。「What A Difference A Day Made」は、ドラムの「グラディ・テイト」(こちらは人生を積み重ねた古参のドラマー)とのデュエット。

枯葉(紙ジャケット仕様)
レディ・キム / Village Records
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「♪  たった一日でこんなに変わってしまうなんて
     たったの24時間がいつも雨が降っていた私の心に
      太陽の輝きと花を運んできてくれた
       昨日までの私は、ブルーだったが
        今日からは私はあなたの一部のよう
          さびしい夜はもうさようなら
             あなたが「君は僕のもの」と言ってくれたから    ♪」

作詞・作曲;Maria Grever(メキシコ) ;Stanley Adams(英語詩)
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by knakano0311 | 2008-02-15 20:30 | 60歳過ぎたら聴きたい歌 | Trackback | Comments(0)

もしもピアノが弾けたなら(2)   ~ ご長寿ピアニスト (1) ~

かって、JAZZプレイヤーといえば、「チェット・ベイカー」、「リー・モーガン」などの例を挙げるまでもなく、酒・麻薬・賭博と退廃的芸術家の代名詞であり、総じて「早死に」というのが相場であったように思う。しかしながら、ジャズ・ピアニストに「ご長寿ピアニスト」と呼べるピアニストが何人かいます。勿論、彼(彼女)らも、ストイックな生き方ばかりをしてきたわけではないだろうが、ご長寿でいまだ現役、我々を楽しませてくれていることはご同慶の至りである。

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まず、「ハンク・ジョーンズ/Hank Jones」。1918年7月ミシシッピ州の生まれというから、今年御年90歳(ひえ~~~~っ)を迎える。「生ける屍」、失礼!歩くジャズの歴史・生き証人みたいなスイング時代から活躍するミュージシャンである。「ハンク・ジョーンズ」、「ザ・グレイト・ジャズ・トリオ」で検索すると、あわせて400件を優に超えるアルバムがリストアップされるから驚き。まさに「ジャズの歴史・生き証人」である。
ドラムのエルヴィン・ジョーンズ、トランペットのサド・ジョーンズは実弟であるが、いずれも兄より早く、すでに他界している。

拙稿、「ハンク・ジョーンズの思い出~初めてのニューヨーク」で記した様に、ハンク・ジョーンズには忘れられない想い出がある。初めてニューヨークを訪れたとき、JAZZ CLUB「Fat Tuesday」でみたハンクのエピソードである。客席にいたJAZZを志す学生に、「ステージへあがっておいで。さあ、一緒にやろう。」と声をかけ、セッションを始めたのである。そのときの彼の学生を見るまなざしと演奏に暖かいものが感じられました。そんな彼の人柄があまたのミュージシャンとの共演・コラボをしている理由でもあり、ケイコ・リー、安則真実、ガンバリーニ、ティファニーなど孫のような新人女性シンガーとの共演が多いのも、その人柄のゆえんであろう。  

「ハンク・ジョーンズ・The Great Jazz Trio」。結成30年を超える超ベテランJAZZトリオによる、ニューヨークのにおいプンプンのアルバム「ザ・クラブ・ニューヨーカー」。
結成当時の、ロン・カーター(B)、トニー・ウィリアムス(Ds)という超豪華メンバーから、メンバーは結構入れ替わっているが、スイング感、グルーヴ感、都会感は少しも変わっていない。本アルバムは、Bassはエディ・ゴメス、ドラムスにジミー・コブ、ゲストとしてヴァイオリンにルイス・エリーを加えたGJTの異色作で、ガーシュインの曲を中心に、心のこもったプレイを聴かせてくれる。1983年5月NY録音。

名盤JAZZ25選~紙ジャケ2300 ザ・クラブ・ニューヨーカー(紙ジャケット仕様)
ザ・グレイト・ジャズ・トリオ ルイス・エリー / コロムビアミュージックエンタテインメント
ISBN : B000BU6OQI
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シンプルなピアノトリオによるスタンダード集。冬の夜長にお酒でも呑みながら過ごすのにぴったりのスイング感あふれる好アルバム。2004年録音で、この時のメンバーは、Bassはジョン・パティトウッチ、ドラムはジャック・ディジョネット。

ス・ワンダフル
ザ・グレイト・ジャズ・トリオ / Village Records
ISBN : B000666WT6
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「LOVE FOR SALE -THE GREAT JAZZ TRIO」

          


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女性JAZZピアニスト、「バーバラ・キャロル/Barbara Carroll」。現在御年80歳。何回となくこのCDを聴いたが、そんな歳や老いを露とも感じさせない。しかし、切れのいいタッチや音色に彼女の重ねてきた年輪が醸し出す「円熟」が自然に滲み出す。このアルバムはそんな彼女が自然体で演奏しているスタンダード曲のアルバムであるが、「Fly Me To The Moon」、「As Long As I Live」の2曲だけ(この2曲という按配がまたいいのだが)、弾き語りが入っている。これが実にいい。とても80歳とは思えない艶と想いが込められた、これこそ「粋」といえる歌い方である。ジャケットの写真を見てもとても素敵な女性。絶妙のサポートは、Bassは名手ジェイ・レンハート、Drumsはジョー・コクーゾ。


センチメンタル・ムード
バーバラ・キャロル・トリオ / / ヴィーナス・レコード
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弾き語りも何とも言えない味 ・・・。
「Barbara Carroll - Old Friends, Live at the Algonquin Hotel」

          


さらなるご長寿、ご健康をお祈りいたします・・・・・・・。
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by knakano0311 | 2008-02-11 00:20 | もしもピアノが弾けたなら | Trackback | Comments(0)

いま、子供たちが危ない  ~ IT悲観論?それとも楽観論? ~

今年も地域の子供たちを中心に、「遊び」を教えるボランティア活動が始まリました。第一回は「凧と羽子板づくり」、第二回目は節分にちなんで「鬼の面づくり」、そして第三回の今日は、近畿地方大雪の中で、「雛人形づくり」と回を重ねています。今年も元気一杯の子供たちの笑顔が観られる事が喜びです。

ところで、昨年末のNHK「クローズアップ現代」で大変気になるテーマをとりあげていました。子供の運動能力が低下し、怪我が急増しているらしいのです。「木登り」、「鬼ごっこ」、「ブランコ」・・・など子供たちが普通に遊んでいる遊びの中で、36の基礎運動能力が身につくらしいのですが、それが著しく低下しているというのです。例えば、つまずいて転びそうになった時、普通なら手をついて自然に身をかばうのですが、それが出来ずに顔面から倒れこんでしまう子が増えてきてるというのです。それは子供が遊びから遠ざかり、今までなら遊びの中で、自然に身についていた運動能力が欠如しているからだそうである。

子供を対象にした犯罪が多発したり、遊具での事故が起こったのが原因で、子供たちだけで、外で遊ばせなくなり、その結果ではないかという推測であった。勿論、そのほかの原因として、塾通い、TVゲーム、インターネットなども当然影響していると思われる。大変ショッキングな話で、パソコンや携帯を操る能力だけが長けた、やがて大人になる子供を想像したら怖い話です。たしかに、ボランティア活動のなかでも今の子供に対し、「道具が使えない」、「集中力が極めて短時間でとぎれる」、「大人への依存度が高く、積極性に欠ける」などの気がかりな点を感じています。

昔も、TVの急速な普及の功罪としての「罪」の部分で、いろいろなことを言われたことがあったが、その後さらに、TVゲーム、パソコン、携帯電話、インターネット・・・・とIT、コミュニケーション技術の進化のよって、はっきり因果関係を立証は出来ないにしろ、直感的に子供だけでなく大人の行動・人格にも大きな影響を与えていると思われる。

まえに「60歳過ぎたら聴きたい歌(4) ~ When I'm 64 ~」でもとりあげた、藤原智美著「暴走老人!」(文芸春秋刊)でも、キレル「危ない」大人がふえてる原因は、ITの進展によって、「待つ」という時間が極端に排除された結果、「待たせられる」ことに対する許容度が低下したこと、ネットワークなどの発展によって自分のペースで時間を使える「自己中心文化」がいっそう確立したことなどの変化が、高齢者たちが疎外しているのではないかと警告していることともつながっていると思われる。

大人・子供を問わず、人格形成に影響を及ぼしているのは間違いないと思われる「IT」の功罪をどう観るか?現時点での評価はなかなか難しく、意見の分かれるところだろうが、悲観論・楽観論、対照的な2冊の本を読んだ。

悲観論の代表は「柳田邦男著/壊れる日本人―ケータイ・ネット依存症への告別 」。柳田邦男氏といえば、「マッハの恐怖 (新潮文庫)」、「続・マッハの恐怖 (新潮文庫)」、「ガン回廊の朝 上・下(講談社文庫)」など巨大技術の進展に警鐘を鳴らしてきた人である。急激なITの進展が我々から奪ったものを検証し、多少不便でも非効率でも人間として手放してはいけない大事なものを大切にしよう。そのために、「ノー・ケイタイ・デイ、ノー・ネットデイ」を提唱している。確かに電車の中を見渡せば、まるでケータイに操られているかのごとき人の群れ・・・。


壊れる日本人―ケータイ・ネット依存症への告別 (新潮文庫 や 8-20)
柳田 邦男 / / 新潮社
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楽観論の代表は、この前例のない混沌した時代を生き抜いていくにはどうしたらいいのか?NETを「善」として信じて、「好き」を貫いて「知的」に生きていくことで、情報を共有する新しい時代が開けると語る「梅田望夫著/ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか」。「この前例のないほどの面白い時代に、ネット上の支援を受け、自分にしか生み出せない価値を創出できる時代になった」と時代を前向きに捉え、自身の経験に裏打ちされた仕事論、人生論が展開される。



ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書 687)
梅田 望夫 / / 筑摩書房
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私自身、どちらに組すべきか悩んだまま、いまだに結論を出せずにいる。

とはいえ、子供たちは「時代の宝」。ゆっくりとピアノ・トリオでも聴きながら考えるとしよう。
選んだCDは、「ウラジミール・シャフラノフ・トリオ/Kids Are Pretty People」。伝説のアルバム「White Nights」が澤野工房よりリリースされてから、すっかり日本でもファンが増えたウラジミール・シャフラノフ・トリオ。「聴きやすい、万人に愛されるJAZZ」という音楽として、一番基本の魅力を備えているからだ。このアルバムも、スタンダード、ボッサ、クラシック、オリジナルと期待を裏切らない魅力に満ちたアルバム。ほほえましいジャケットの子供たちの未来が豊かであるように・・・・・。


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Kids Are Pretty People/Vladimir Shafranov Trio/澤野工房



「Vladimir Shafranov Trio - O Que Tinha De Ser」

          
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by knakano0311 | 2008-02-09 23:48 | 地域の中で・・・ | Trackback | Comments(0)

欧州JAZZY紀行(12) ~  つぐみ横丁の機械仕掛けの小鳥 ~

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1979年、3週間、2度目のドイツ出張の時は、前年の出張で核心に触れる技術は、すでに会得していたので、いわばフォローの出張というか、かなり心に余裕のある出張であった。丁度、高校時代の友人のM君がフランクフルトの某証券支店に単身赴任をしていたので、彼はアウトバーンを届いたばかりの愛車「アウディ」を駆って、フランクフルトから一息の出張先のハイデルベルグまで毎日のように迎えに来てくれたのだ。会社の終業は午後4時、夏時間の影響もあって日没は午後九時頃。ざっと日没まで、4~5時間は楽しめるのだ。そんなわけで彼の車で時速無制限のアウトバーンを飛ばし、いろいろのところへ出かけた。そんなある日、ライン河の眺めを楽しみながら、夕飯を食べようということになり、「リュウデスハイム」へ出かけた。幅3m、長さ150m程の小さな通りに、ワインレストランや土産物屋が軒を連ねていることで有名な、「Drosselgasse/ドロッセルガッセ (つぐみ横丁)」で食事や散策しているとその奥まった一角に「Deuche Alte Musik Museum」、現在の「ブレムザー館 自動演奏楽器博物館」があるのに気がついた。18~20世紀初めの自動演奏ピアノ、自動オルゴール、エジソン式蓄音機などが展示されている城を利用した博物館である。

当時は、ひっそりとあまり目立たなかったが、その名前に惹かれて入ってみようとしたが、あいにくその日は休館日で、蒐集愛好家のためのオークションが開かれていたが、日本からの遠来のお客ということで特別に中に入れてもらうことができた。いまでこそ、日本のあちこちに自動ピアノやオルゴールをコレクションした博物館があるが、私は初めてその類の楽器の膨大なコレクションを見て、感激したのであった。自動楽器、音楽再生機の実現に対する人間の情熱は、今も昔も変わらずに続いている。そして、ディジタル時代になっても、なお一層の進歩を遂げていると思えるのだ。

そして、そのオークションで出品された、「機械仕掛けの小鳥」には本当にびっくりした。5cm角くらいの箱に入っていて、蓋を開けると、羽を震わし、辺りを見回して、えさをついばむという本物の小鳥そっくりのしぐさをする、その機械人形にすっかり心を奪われてしまった。たしか当時の日本円に換算して10万円ほどであったろうか、ぜひ欲しいと思ったが、30年前は今と違って、外貨持ち出し制限があり、勿論クレジットカードなどはなく、つど銀行でトラベラーズ・チェックで現金に換えるという状況下では、泣く泣くあきらめざるを得なかったのである。

いまでも、TV番組「開運なんでも鑑定団」をみると、「あの時買っておけばよかった」などというさもしい考えが時々よぎるのである。

さて、Esther Ofarim(イスラエル)、Jacintha(シンガポール)、Patricia Barber(アメリカ/シカゴ)、Ayako Hosokawa(日本)、 Mari Nakamoto(日本) の5人の癒し系「Songbirds」のコンピレーション・アルバム「Five Songbirds」がおすすめ。録音音質の高さも特筆されるし、なんといってもそのナチュラルな歌声には本当に癒される。


Five Songbirds: A Reference Collection of Female Voices
Various Artists / / First Impression Music
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by knakano0311 | 2008-02-07 23:30 | JAZZY紀行 | Trackback | Comments(0)

音楽の贈り物   ~聖バレンタインディによせて~

2月になると、デパートやショッピング・モールなどが「聖バレンタイ・ディ商戦」一色に染まる。チョコレート業界か、誰が考えたか知らないが、うまいマーケティングをしたものだ。

かって、この時期に米国に出張していたときに、スコットランド人の友人から、「買い物に付き合え」といわれ、ショッピング・モールに行ったことがある。彼の買い物は「聖バレンタイン・ディ」に夫人におくる「グリーティング・カード」であったのでびっくりしたことがある。

すこし調べてみると、

女性が、チョコレートを贈る習慣は日本で始まったものである。欧米ではカードなどをお互いに贈りあう習慣のようです。(ただし、英語版ウィキペディアに「バラ、チョコレート、宝石などの贈り物」という表記があるように、欧米でもチョコレートを贈ることが無いわけではないらしい。)

女性から男性へ贈るのみで反対に男性から贈ることは珍しい、という点と、贈る物が多くはチョコレートに限定されている、という点は、日本のバレンタインデーの大きな特徴・特異性である。
日本でのバレンタインデーとチョコレートとの歴史は、神戸モロゾフ洋菓子店が1936年2月12日に、国内英字雑誌に「バレンタインチョコレート」の広告を出し、1958年2月に伊勢丹新宿本店でメリーチョコレートカムパニーが「バレンタインセール」というキャンペーンを行ったのが始めとされる。・・・・・・ 現在ではチョコレートの年間消費量の4分の1がこの日に消費されると言われるほどの国民的行事となっている。(参照: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

やはり、日本独特の習慣らしい。話は戻るが、くだんのスコットランド人に「お前は買わないのか?」といわれ、渋々?妻へのカードを買ったことがあります。

団塊の世代を亭主にもつ世の奥様方!チョコレートを送るのもいいが、爵士流プレゼントとして、こんなプレゼントはいかがでしょうか? えっ、チョコレートも贈ったことがない。うううん・・・・・・。

「Tuck & Patti/愛の贈り物」。ギターとボーカルの「夫婦おしどりデュオ」。暖かい歌声のパティ、テク抜群でJazzyなタックのギター。数多くアルバムは出ているが、「愛の贈り物」がプレゼントとしては、私のオススメ。その名のとおり、全編愛の歌が満載。聴いたあと本当に暖かくなりますよ。バレンタインは、プレゼントの理由をつけられる格好のチャンスですよ。こんなCDをプレゼントしたら多分、亭主はびっくりするけど、オシャレかな。

愛の贈り物~ギフト・オブ・ラヴ
タック&パティ / ポニーキャニオン
ISBN : B00007JMKU
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【収録曲】
1. アップ・オン・ザ・ルーフ 2. 好きにならずにいられない 3. 上を向いて歩こう
4. 素顔のままで(ギター・インストゥルメンタル) 5. ラヴィン・ユー
6. アイ・ワズ・ボーン・トゥ・ラヴ・ユー 7. ホールド・ミー・タイト・アンド・ドント・レット・ゴー
8. ソング・フォー・ユー 9. 遥かなる影 10. タイム・アフター・タイム


「Tuck & Patti - I was born to love you」

          


もうひとつのプレゼントのアイデアは、名匠ラッセ・ハルストレム監督、ジュリエット・ビノシュ、そしていまもっとも売れっ子の男優、ジョニー・デップ主演の映画、「ショコラ」のDVD。
ある母娘がつくるほんの一口のチョコレートが、頑迷な村の人々の心を優しくし、村そのものを変えていくというお話。この母親と「デップ」は恋に落ちるのだが・・・・。「デップ」が、「ジプシー・イン・マイ・ソウル」という曲で、ギターを爪弾くシーンがあり、これがファンにはたまらないでしょう。
いま、この季節に、心が温かくなるオススメの映画です。


ショコラ DTS特別版
/ 角川エンタテインメント
ISBN : B00005OO4O
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by knakano0311 | 2008-02-03 00:01 | 音楽的生活 | Trackback | Comments(0)