大屋地爵士のJAZZYな生活

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ご近所の秋・・・

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前夜の雨もあがり、朝刊を取りに表に出たら、目に飛び込んできたのは、鮮やかな「赤」の錦。
しばし見とれていました。昨夜の雨と、ここ数日来の冷え込みで、近くの雑木林が写真のように、すっかり紅葉していました。現在の住まいに移ってきてから16年ほどになるでしょうか、以前は大阪市内のマンションに暮らしていたので、自然の移ろいには殆ど気が付かなかったのですが、今住んでいるところは、町全体が木や花を大事にする気風が満ちているので、四季折々の木々や花が楽しめるいい街だと感じています。


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さればということで、我が家のご近所といってもいい、定番紅葉の名所、箕面(みのお)へといってきました。ここは滝と紅葉で古くから有名である。落差33mの滝は、箕面大滝とも呼ばれ、日本の滝百選の一つに選定されている。滝壺のほとりには、かって画家田能村竹田らと、ここを訪れた江戸時代の儒学者「頼山陽」の滝を愛でる漢詩を記した立て札が建っています。
「萬珠濺沫砕秋暉 仰視懸泉劃翠微 山風作意争気勢  横吹紅葉満前飛」
「萬珠、沫(あわ)をそそいで、秋暉に砕く。 仰ぎ視る懸泉の翠微を劃するを。 山風、意をなして、気勢を争い。 横さまに紅葉を吹いて、満前に飛ばしむ。」 

そもそもは役の行者が修験道の修行の場として開いたところらしく、「瀧安寺」の寺伝によれば658年(一説には650年)に「役小角」によって創建されたという。当初は箕面寺と号していたが、後醍醐天皇から「瀧安寺」の勅額を賜って改名した。本尊は瀧の神格である弁財天。古くから山岳修行の霊場として知られ、空海や日蓮、蓮如が修行したほか、現在も護摩法要が行われている。

今最高に見ごろの紅葉。いつもより多いとはいえ平日のためそれほどの人出ではなく、ゆっくり紅葉狩りを楽しめました。

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そして、昼食は時々訪れる「みのお山荘 風の杜」で季節の弁当をいただく。窓からは写真のように、大阪平野が一望でき、ここも四季を通じて美味しい食事と絶景が楽しめる我々のお気に入りの食事処。なだらかですが一番高いところが「生駒山」。その向こうが奈良県になるわけですが、こう観ると「生駒山」が大阪平野、河内の象徴的な山ということがよく分かりますね。




秋を代表するスタンダードといえば「枯葉/Autumn Leaves」。若くして彼岸へ渡ってしまった「Eva Cassidy」が遺した渾身のライブ・アルバムに収録された「枯葉」が聴く人の心を打つ。
1996年1月にジャズクラブ、ブルース・アレイで行われたこのライヴ盤、「Live at Blues Alley」。ジャズをメインとしたスタンダード・ナンバーで構成され、ブルース調のJAZZナンバーとバラードが交互に演奏される。「Cheek to Cheek」、 「Bridge over Troubled Water」、 「Fine and Mellow」 、「Blue Skies」、「Fields of Gold」(Stingの名作)、「Autumn Leaves」など。
この年の暮れに彼女は急逝した。生前4枚のアルバムを残しているが、このライブ版がまぎれもなく、最高傑作である。

Live at Blues Alley
Eva Cassidy / Eva Music
ISBN : B000009PO2
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「Eva Cassidy - Autumn Leaves (Live at Blues Alley)」

          

そうそう、「Autumn In New York」も忘れずに挙げておかなければいけませんね。

有名なベーシストのジェイ・レンハートを父に持ち、8歳から歌い始め、高校でゴスペル、16歳で父と共にクラブの昼の部に出演しボーカルの腕を磨いたと聞くから音楽一家育ちの筋金入り。スタンダード中のスタンダードをタイトルにしたアルバムは、「ニューヨークの秋」。デヴィッド・マシューズのアレンジによる、有名スタンダード曲集で、アクのないクリアな声質、原曲のメロディーをストレートに歌って無難にまとめている。

ニューヨークの秋
キャロリン・レンハート デヴィッド・マシューズ・トリオ / キングレコード
ISBN : B0000844BF
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by knakano0311 | 2008-11-30 00:24 | 地域の中で・・・ | Trackback | Comments(0)

60歳過ぎたら聴きたい歌(23) ~Someone To Watch Over Me~

朝日新聞に、日本を代表するノンフィクション作家「柳田邦男」氏に聞くインタビュー・コラムが連載されている。最近、氏は著書「壊れる日本人―ケータイ・ネット依存症への告別 (新潮文庫)」などでも、心の問題についても視野を拡げ、この国の現状について、警鐘を鳴らしている。

柳田氏はそのコラムで「2.5人称の視点を持とう」と提起している。年金問題に対する社保庁の対応などに代表される、いまの日本に噴出してきたいろいろな問題点の根底には、「効率・成績優先主義の弊害」があると指摘している。

年金徴収率を役所間で互いに争った結果、詐欺としか言いようの無いような「消された年金」を作り出す役所、グローバルな競争力強化のため、自在にレイオフが可能な派遣制度を作っておき、結果、生み出された格差社会には「自己責任」のひとことの経済界・労働界。加害者の権利にばかり目を向け、被害者への視点が欠ける法曹界。汚染米を早く処理することばかりを優先し、国民の口に入っていたらという視点も発想すらもてない農水省・・・・。

柳田氏のいう「3人称」とは、「私」であり、「あなた」である1人称、2人称は「国民」で、その国民が普通に暮らしていくことを支える制度づくりや行政、経済などに関わっていく専門家、役人、企業人などを指しています。この「3人称からの視点」が、客観的であり、合理的で冷静な視点である必要は、勿論あるのですが、それが、相手により沿う気持ちの無い、ぬくもりの無い、目先の物事を処理することが優先される「効率・成績優先主義」に基づく「冷たい視点」になりがちなことを指摘しているのです。薬害訴訟などの厚生省の対応を思い浮かべれば直ぐに分かることですが・・。もうすこし「1人称、2人称」よりの視点、それが「2.5人称の視点」と柳田氏は定義しています。

様々な分野の専門家、企業人が冷静で客観性と合理性、そこに経済性を加えてもいいかもしれないが、それを保とうする事が優先するがあまり、冷たい「3人称の視点」で、この国全体が動かされているのではないかという柳田氏の指摘には説得力があり、賛同できる。
行き過ぎた効率・成績優先主義と評価主義、それに連動した富の配分や報酬、その行き着いた先が、アメリカの投機資本主義とその破綻であったことは、もうはっきりしたのだから、「1人称、2人称」の国民、納税者、消費者、労働者に寄り添う心遣い、それが「2.5人称の視点」であり、その視点を持ったプロがこの国を永続的に支えていくという考えに、官僚、企業人を問わず、まず意識を変えて行くべきではないかと思う。



そして今回の「聴きたい歌」。まだ見ぬ恋人に憧れる女の子の心を歌った歌であるが、人生の年輪を重ねた本物の歌手が歌うと、ともに歩む優しい視点をもった人生のパートナーを焦がれる歌、あるいは長く連れ添ってきたパートナーに、こうあって欲しいと思う願いのように聴こえる。私が、ご贔屓の「アン・バートン」が歌う「Someone To Watch Over Me/私を見守ってくれる誰か」。
作詞「アイラ・ガーシュウイン」、作曲「ジョージ・ガーシュイン」の兄弟による1926年のミュージカル「オー、ケイ!」のスタンダード、傑作バラードである。

「Someone To Watch Over Me/私を見守ってくれる誰か」

「♪ 私が会いたいと焦がれているこの世の誰か・・
     彼が私を見守ってくれるその人であって欲しいと願っているわ

    私はこの世の迷える小さな子羊
      私を見守ってくれるその人を見つけるためなら
        私はいつでもいい子になれると思うわ

               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    
    どうか彼に伝えてください、すぐにでも私の後を付いてきてと
       そして、どれほど私を見守ってくれる人を必要としているかを・・・ ♪」
       

「私」=国民、「彼」=官僚、企業人と読み変えてみたら、いかがでしょうか。彼らへのメッセージ、ラブコールになりませんか?
この歌は、このブログお馴染みのアルバム「バラード&バートン」に収録されている。


バラード&バートン
アン・バートン ジャック・スコルズ ルイス・ヴァン・ダイク ジョン・エンゲルス ルディ・ブリンク / ソニーミュージックエンタテインメント
ISBN : B00005G4A4
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by knakano0311 | 2008-11-28 10:04 | 60歳過ぎたら聴きたい歌 | Trackback | Comments(0)

60歳過ぎたら聴きたい歌(22) ~そしてこんな時代には歌いたくない歌~

どうもいやな時代の気分だ。実にいやな匂いが漂ってきた感じがする・・・・。

リサイクル偽装、食品偽装、宙に浮いた年金、政権放り出し、消された年金、ワーキングプア、後期高齢者医療、救急患者たらいまわし、汚染米、秋葉原無差別殺人、子殺し・親殺し、中国餃子中毒、サブプライム金融危機、金融恐慌がけっぷち、空転政局・政治、失言総理、失言大臣、無責任官僚、収賄官僚、談合、愉快犯・模倣犯・劇場型犯罪・・・・ そして田母神論文、元厚生次官殺傷事件 ・・・・・・ 。

昔、カラオケでストレスを発散のため、そして自分を鼓舞するために歌った歌、2曲あり・・・・・。
定年後の今の時代に、こんな歌を聴きたくなるとはなんということだろうか・・・。

「ハウンド・ドッグ/ff (フォルティシモ) 」  作詞;松尾由紀夫 作曲;蓑輪単志

「♪ お前の涙も 俺を止められない 
      いまさら失うものなど 何もない 
        言葉にならない 胸のあついたぎり 
          拳を固めろ 叩きのめされても
            激しくたかぶる 夢を眠らせるな 
              あふれる思いを あきらめはしない
                愛がすべてさ いまこそ誓うよ 
                   愛の限り 強く強く
                      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       ♪」


HOUND DOG ULTIMATE BEST

大友康平 / ハッツ・アンリミテッド




「矢沢永吉/Big Beat」  作詞;ちあき哲也  作曲;矢沢永吉

「♪ 熱っぽい こんな夜は    
    泣かせのリフ  止まらないぜ・・・
      後にした 街角で
         あの娘が今も 恨むように・・・・

           弾けてくれ Big Beat
              ダイナマイト抱いて
                 砂まじりの旅が
                   やけにつらい
  
    C’mon・・・・ I’m A Rock’n’ Roll Man
     C’mon・・・・ I’m A Rock’n’ Roll Man
         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     ♪」  

YOUR SONGS2
矢沢永吉 / 東芝EMI
ISBN : B000EZ8C74
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「矢沢永吉 - BIG BEAT」

          
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by knakano0311 | 2008-11-26 21:49 | 60歳過ぎたら聴きたい歌 | Trackback | Comments(0)

USA・JAZZY紀行 (10) ~ アメリカの中のヨーロッパ ~

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訪れたことがある人ならお気づきでしょうが、アメリカで、ふっとヨーロッパを感じさせる風景や雰囲気に出会うことがよくあります。もちろん、ラスベガスやユニバーサル・スタジオ、ディズニー・ワールドではありません。例えば東部の建国にまつわる都市、フィラデルフィア、ピッツバーグ、ボストンなどの街では英国的雰囲気を強く感じ、ニューヨークのイタリア・レストラン、アイリッシュバー、リトル・イタリアなどではそれぞれの祖国の文化や流儀を強く感じるのです。そうそう、アメリカ合衆国の独立100周年を祝い、フランスから寄贈された「自由の女神」にも・・・。

また、2005年超大型ハリケーン「カトリーナ」で壊滅的な被害を受けた、JAZZの聖地「ニューオリンズ」は、もともとフランス植民地だったところ。観光JAZZクラブが軒を連ねる有名なフレンチ・クォーター(ブログ右上の写真はクラブ内の様子)や上流階級の白人富裕層のみが住む高級住宅街の建築様式はまさにフレンチ様式なのだ。(「USA・JAZZY紀行(6) ~聖地ニューオリンズ~」参照) このニューオリンズという名前、もともとは、ヌーヴェル・オルレアン(新しいオルレアン)というフランス語である。

そして首都ワシントンの景観について言えば「奇妙な街」という印象が強い。ポトマック河、放射状に拡がる道路、オベリスクそっくりのワシントン記念塔。国会議事堂と記念塔を軸心とする街。パリのまねをしたとしか思えない都市づくり。ヨーロッパのいろいろな時代、国を凝縮したような建物群。そんな感想を漠然と持っていたが、すこしWikipeiaで調べてみてびっくりした。

ワシントンD.C.は、かって駐仏大使であり、ワシントンD.C.で就任演説をおこなった最初の大統領である第3代アメリカ合衆国大統領、「トーマス・ジェファーソン」の、「低層で便利な」建物と「明るく風通しのよい」街路を備えた「アメリカのパリ」にしたいという願いに忠実に沿って設計された計画都市であるという。そして、その設計を中心になって担当したのは、フランス生まれの建築家・技師・都市設計家であり、軍人の「ピエール・シャルル・ランファン」である。1791年、ランファンはバロック様式をもとに基本計画を作成した。これは、環状交差路から放射状に広い街路が伸びているものであり、開かれた空間と景観作りを最大限に重視したまさにパリの都市空間に倣ったものであった。

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そして、主要な建物群、ホワイトハウス、ワシントン大聖堂、トマス・ジェファーソン記念館、連邦議会議事堂、リンカーン記念館、ベトナム戦争戦没者慰霊碑、これら六つの建物のすべてや他の著名な大建造物には、新古典主義、ジョージ王朝様式、ゴシック様式や現代の建築様式が反映されているという。さらに、ワシントンD.C.の中心市街を離れると、建築様式はさらに多様化し、「オールド・シティー」(ランファンによって設計された地域)では、歴史的建造物は主にアン女王様式、シャトー様式、リチャードソン・ロマネスク様式、新ジョージア王朝様式、古典的装飾様式、また様々なビクトリア朝様式で設計されているのだ。

まさしく、アメリカ建国の理念を象徴する首都ワシントンの建築物は「ヨーロッパの模倣」によって成り立っているといっても過言ではない。こんなところにアメリカ人のヨーロッパに対する亜流、或いは羨望という鬱屈した感情や意識の原点が透けて見えなくも無い。かっての移民と奴隷からなる国アメリカ。建国後200年以上を過ぎて、初めて黒人次期大統領を選出した国アメリカ。オバマを選んだことで、このヨーロッパへの鬱屈した感情は大きく変わるような気がする。

超自然的な建国神話をもたず、わずか200年の歴史しか持たないアメリカ合衆国のヨーロッパに対する精神的負い目、劣等意識とその裏返しの自由主義、強い国力、大量消費という豊かさ、アメリカンドリーム、傲慢さなどが、建国や歴代大統領に関わる「フリーメイソン」伝説やドル紙幣の暗示的な記号やシンボルを建国神話として神秘性や正統性を与えるために人為的に生み出したのではなかろうか。
そしてそれを神話化する動きの一つが、ディズニー製作の「ナショナル・トレジャー」なる映画であったような気がする。とはいえ、この映画、「インディ・ジョーンズ」や「ダ・ビンチ・コード」などの要素をうまく取り込んでおり、エンターテイメントとしては一級の面白い映画に仕立てあがっていると思う。

先祖代々ゲイツ一族に伝わってきた、秘密結社フリーメイソンにより守られた秘宝。その秘宝の謎を解く鍵をついに一族の末裔ベンが発見。だがその鍵はアメリカの独立宣言書の裏に書かれているという。歴史的な出来事や、100ドル札にヒントが隠されているといった実際のモノを使った謎解きなどが展開される。ニコラス・ケイジ、ジョン・ボイド出演、ジョン・タートルトーブ監督作品。

ナショナル・トレジャー 特別版
/ ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
ISBN : B000FIKF6Q
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そして、ヨーロッパに魅せられたジャズ・アーティストといえば、「バド・パウエル」、「ケニー・ドリュー」、「モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)」などであろうか。とくにMJQは「ジャンゴ・ラインハルト」から影響を大きく受けたというが、またヨーロッパのジャズメンたちもまたMJQから大きく影響を受けたという。
そのMJQの最高傑作といわれる、パリはコンコルド広場をテーマにした「Concorde」。1955年の録音というから、第二次世界大戦後10年ほどのこと。こんな頃に、MJQはクラシックとJAZZの融合のハシリともいえる、このアルバムをリリースしていたんですね。なつかしいヨーロッパの香りがします。

Concorde
The Modern Jazz Quartet / Prestige/OJC
ISBN : B000000XZU
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そして「MJQ」がヨーロッパで触発され、ジャンゴへのトリビュートとして作った「Django」という名曲。同名の超有名アルバム「Django」。この時代にヨーロッパ古典音楽に傾倒したジャズを演奏していた黒人JAZZバンド、MJQ。日本での人気は分かる気がするが、アメリカでの評価は実際のところ、どうだったのであろうか?

Django
The Modern Jazz Quartet / Prestige/OJC
ISBN : B000EMGIJ6
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「Modern Jazz Quartet - Django」

          
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by knakano0311 | 2008-11-25 20:14 | JAZZY紀行 | Trackback | Comments(0)

活きのいいのが取り柄・・・  ~ビ・バップの新しき系譜~

最近、このブログは、ピアノを中心としたヨーロッパ・ジャズについて書きついできた。いくらボージョレ・ヌーヴォーの季節とはいえ、甘いワインばかり続くと、読者もいささか食傷気味になったのでは無いだろうか。そこで、内向きになった精神に活を入れるというか、JAZZが本来的にもっているポジティブな面、お祭り的な明るさを楽しむために、たまったストレスをぶっ飛ばすために、かってMJQ(マンハッタン・ジャズ・クインテット)以来、最近あまり新しいスターが出ていないが、現代に生きる「痛快ハード・バップ・グループ」を紹介したいとおもう。
というのも、私は、週一のペースでトレーニング・ジムへ通っているが、そのときのヘッドホンで流すBGMは、いくらヨーロッパ・ジャズが好きな私といえども、ラテン・ジャズ、フュージョン、ハードバップ、ファンクなどホーン・セクションが吼えまくるバンドを聴くのに限ると思っています。筋トレやウォーキングをしながら、「北欧の詩情が・・・」、「哀愁きわまるピアノの音色が・・・」といっても、これはやはり気分が高揚せず、筋違いや肉離れを起こしかねません。

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「ハイ・ファイブ/High Five」。名門ブルーノートが満を持して放つ、イタリア発の新世代JAZZ集団。イタリアを代表する二人のホーン奏者、ファブリッツィオ・ボッソ(トランペット、フリューゲル・ホーン)とダニエル・スカナピエコ(テナー・サックス)が率いる5人組。2002年にハイ・ファイブ・クインテットを結成以来、瑞々しくキレのある演奏で瞬く間に評判になり、今回ブルーノートからのメジャーデビューとなった。ファブリッツィオ・ボッソについてはこのブログでも一度取り上げたことがありますね。(「いにしえのトランペッター ~夏が来れば思い出す・・~」参照)彼がリーダーというからには、きっと期待できるというもの・・・。最高のプレイヤー二人が繰り広げる2管のアンサンブルによる哀愁のメロディと熱いソロ。まさに、胸のすくような痛快な演奏である。
最近は少なくなったとはいえ、このグループは、まちがいなくビバップの系譜に連なるグループといえるだろう。サポートする他のメンバーは、ルカ・マヌッツァ(piano)、ピエトロ・チャンカリーニ(double bass)、ロレンツォ・ツゥッチ(drum)の一騎当千のつわもの達。これもまたあたらしいヨーロッパ・ジャズの幕開けか・・・。

ファイヴ・フォー・ファン(6ヵ月限定スペシャル・プライス)
ハイ・ファイヴ / / EMI MUSIC JAPAN(TO)(M)
ISBN : B001G6RBN6
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注目のきっかけとなったのが「Jazz Desire」。ほとばしる若さ、才気がまぶしいくらい。

Jazz Desire
ハイ・ファイブ・クインテット / / stride
ISBN : B000BV7WLI
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「Five For Fun」

          


「One For All/ワン・フォー・オール」。時によってメンバーが入れ替わるが、エリック・アレキサンダー率いる、3管フロント・バンド。まさに「ビ・バップ」を継ぐ正統派コンボで、現代版「ジャズ・メッセンジャーズ」といっていい。最初のおすすめアルバムは「危険な関係のブルース/No Probrem」。
アルバム冒頭の曲は「Our Father Who Was Art Blakey」で、「アート・ブレーキー」へのトリビュート・アルバムであることがすぐ察せられる。エリック・アレキサンダー(ts)、ジム・ロトンディ(tp)、スティーブ・デイヴィス(tb)のフロント三管編成で、「ジャズ・メッセンジャーズ」の十八番、「危険な関係のブルース」、「モーニン」、「ウィスパー・ノット」、「Ugetsu」などの我々団塊の世代ジャズ・ファンが心のどこかで待ち望んでいたプレイが続く。2003年に録音されたアルバムなのに、我々が若かった時代、モダン・ジャズ黄金期のなつかしい香りが全編に横溢する。
デヴィッド・ヘイゼルタイン(p)、レイ・ヂラモンド(b)、ジョー・ファンズワース(ds)を加えての6人によるセクステット「One For All」のヴィーナス・レコード第二弾。

危険な関係のブルース
ワン・フォー・オール / / ヴィーナス・レコード
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「ワン・フォー・オール」の企画は、オールド・ジャズ・ファンの心をくすぐることにかけては、素晴らしい企画力を発揮する「ヴィーナス・レコード」の発案。80年代に大ヒットし、今でも人気の高い「マンハッタン・ジャズ・クインテット」の2番煎じのような気がしないわけでもないが、痛快さ、快調さこの上ない見事なプレイが、そんなわだかまりを一気に吹っ飛ばしてくれる「キラー・ジョー」。三管は同じく、エリック・アレキサンダー(ts)、ジム・ロトンディ(tp)、スティーブ・デイヴィス(tb)の3人。サポートはDavid Hazeltine(p) 、ベースは代わってDavid Williams(b)、 Joe Farnsworth(ds)の3人。

ベニー・ゴルソン作の名曲、「キラー・ジョー」をはじめ、「クリフォードの思い出」、その昔の名曲のストレート・アヘッドなプレイは、まさに現代版「ジャズ・メッセンジャーズ」の異名に恥じない。

キラー・ジョー
ワン・フォー・オール / / ヴィーナス・レコード
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「One For All - Manteca」

          
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by knakano0311 | 2008-11-24 01:17 | おやじのジャズ | Trackback | Comments(0)

追悼 阿部克自さん

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新聞の追悼欄で阿部克自さんが9月17日になくなっていたことを知った。1930年東京生まれ。ジャズを深く愛した写真家。彼の作品に深く触れることは無かったが、JAZZメンの一瞬を刻みとる有名な写真家であるということは知っていた。もともと早稲田大学時代からJAZZギタリストとして活躍したが、その後ジャズ写真家に転向し、自ら撮影したジャズ・ミュージシャンのアルバム・デザインもこなした。イラストも得意でデザインを手がけたレコードは7000を超すという。

ジャズメンの息づかいが伝わってくる「ジャズ・クローム」と呼ばれる独自の焼付け処理によるその写真は、日本よりも海外のアーティスト達に有名で「K.ABE」の名前は広く知られ、エリントン、ゲッツ、ロリンズらJAZZの巨匠達とも親交をむすんだという。一瞬の静止画にどう音楽を語らせるのか?技法だけでなく、私生活にわたるミュージシャンとの心の交流が、彼の撮った静止画に音を奏でさせているのだろう。

2005年には、日本人で始めてミルト・ヒントン賞を受賞した。

私の持っているアルバムの中にも彼の作品があるであろうが、残念ながら把握できていない。唯一、静かに語りかけるようなバラード・スタイルで日本でもいまだ人気が高い、いまは亡きアン・バートンが1977年に3度目の来日を果たした際、日本人JAZZメンらと録音したアルバム「雨の日と月曜日は」のジャケットは彼の作品。その写真、デザインによって偲ぶのみである。

雨の日と月曜日
アン・バートン / / キングレコード
ISBN : B00000JAWL
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享年 78歳。
合掌・・・・・・・・。

彼の作品の一部はWEBサイト「http://abesun.com/」で見ることが出来る。また、ゆかりの人たちによる追悼記事「追悼 阿部克自 K.Abe」もサイトで見ることが出来る。

ミルト・ヒントン賞;ジャズ写真の功績を称えるアワードとして、1993年創設。阿部氏が受賞した第6回ついてはWEBサイト参照。
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by knakano0311 | 2008-11-22 14:08 | 訃報を聞いて | Trackback | Comments(0)

もしもピアノが弾けたなら(14)  ~はるかなる北欧への憧れ~

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北欧の短い夏。ストックホルム。太古に氷河が大地を削り取って出来た複雑な地形のフィヨルド。そのフィヨルドが、ストックホルムの街まで複雑に深く入り込んでいる。ストックホルム市の発生の原点でもあり、いまなお市の中心でもあり、中世がいまも息づく街、「ガムラスタン」。車はまったく通れないほどの狭い石畳の路地を抜けると、日の光の差しにくい路地とは対称的に、真夏の光にきらめくストックホルムの港が目の前に開ける。そこには、オスロ(ノルウェイ)、ヘルシンキ(フィンランド)、タリン(エストニア)などへの客船や大型クルーザーが、真っ白に輝く優美な船体を横たえて停泊している。それらの船を見ると、日本から、はるかかなたのストックホルムの埠頭にたたずみながらもなお、まだ訪れたことの無い他の北欧やバルト海沿岸の街への憧れを掻き立てられていることに驚きもした。

「北欧のヴェネチア」と呼ばれ、フィヨルドの特徴である複雑な地形を見せる入り江や湾と島々から成るストックホルム市街は、島が連なった優美な街で、「ヨーロッパで最も美しい首都」の一つに挙げられている。
13世紀、この「古い町・旧市街」を意味するガムラスタン地区にストックホルムの基礎となる初めての居住が行われたという。この東西700m南北800mほどの島である旧市街、「ガムラスタン」には、ストックホルムは勿論、スウェーデンの重要な建造物の多くが集まっているのだ。
王家の居城はストックホル郊外のドロットニングホルム宮殿であるが、国王の執務などが行われる王宮、国会議事堂、大聖堂など・・・。

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そして、ガムラスタンには中世の古い通りがそのまま残されていて、無数の石畳の通り路地が交差し、建物と建物の間隔が1m前後の狭い路地、あるいは階段や曲線状の通路などが、街の景観と風情を創りだし、旅人達の心に旅情を醸し出している。これらの通りや路地には、お土産ショップ、アートやアンティークショップ、ファッションショップ、あるいはカフェやレストランなどが軒を連ね、ツーリスト達を迎えている。勿論、JAZZクラブもいくつかあり、ストックホルムの夜を楽しんだことが思い出としていまも残っています。あ、そうそうノーベル賞の授賞晩餐会はガムラスタン近くの美しい赤レンガ造りの市庁舎で行われるのです。今年は4人の日本人が受賞という快挙でしたね。

そんなストックホルムの埠頭から、私がなお遠く思いを馳せたフィンランドやエストニアからも素晴らしいJAZZアーティストが生まれているのだ。

ウラジミール・シャフラノフ(Vladimir Shafranov)。ロシア生まれであるが、現在フィンランドに住まいを持っての悠々の活動を展開している。かの澤野工房が発掘し、紹介してから日本でも急速に人気が高まったアーティスト。その幻の名盤といわれたアルバムを復刻したのが「White Nights」。全体的には、落ち着いたやや地味な印象ではあるが、タイトル曲の「White Nights」はその透明感といい、哀愁といい、際立っている。「名盤」と呼ぶにふさわしい一枚。

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White Nights/Vladimir Shafranov







そして、歌物スタンダードにボッサ、クラシックなどの趣味の良い選曲を加え、いつもながらのスウィング感溢れる演奏で聴かせてくれる。その抒情性とその手際やタッチの鮮やかさにいつもながら感心してしまう一枚。
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Kids Are Pretty People/Vladimir Shafranov






最新作は、「Easy To Love」。コール・ポーター、トミー・フラナガン、A.C.ジョビンなどのスタンダードに、ショパンのノクターンを加えて聴かせる。どんなとき、どんな場所で聴いても決してその場の雰囲気を裏切らないBGMの極みと言っていい上質のアルバム。ふっと肩の力が抜け、体がリズムを刻み出しますよ。
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Easy To Love/Vladimir Shafranov







「ついに澤野もエストニアのアーティストまで・・・・」と話題にもなった「トヌー・ナイソー・トリオ/Tonu Naissoo Trio」。エストニアは、旧ソ連崩壊後独立を果たしたバルト三国の一つである。思いを馳せただけで訪れたことの無いエストニアの地同様、いまだ聴いていませんので、キャッチコピーを引用しておきましょう。いつか願いがかなうように・・・。

いつもはるか遠くエストニアの国から、驚くほど素敵なジャズを届けてくれるトヌー・ナイソー・トリオの新録です。スピーディにリズムを刻む快活なドラムと、まろやかな音色で穏やかに包み込むベース。そして何よりも、軽々と鍵盤の上を踊るトヌーのタッチが目に浮かぶような、クリアなピアノ。バラードでは子守唄のように滑らかに耳に馴染み、聴く者の心を静めてくれます。

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トヌー・ナイソー・トリオ/FOR NOW AND FOREVER
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by knakano0311 | 2008-11-21 17:52 | もしもピアノが弾けたなら | Trackback | Comments(0)

もしもピアノが弾けたなら(13)  ~ スエーデン、雪と光のクリスマス ~

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梅田のスカイビルの巨大クリスマス・ツリーに点灯されたというニュース。11月も半ばの、この時期になると、あちこちのクリスマス・ツリーに灯が灯されたと言うニュースが流れる。そして関西では、12月にはすっかりおなじみとなった神戸「ルミナリエ」、中之島の「光のルネサンス」などの光のイベントが行われる。冬、特にクリスマス間近のこれからの時期、日本の各地は「光」のイベントに包まれる。

以前のブログでクリスマスのこの時期のヨーロッパはおすすめであると書いた。(参照「番外編 X'mas Jazzy 紀行」)そのなかでもこの時期のスエーデンにはとりわけ思い出がある。
(参照「欧州JAZZY紀行(2) ~スエーデン北緯60度にて~」、「欧州JAZZY紀行(10) ~スエーデン式スロー・ライフ~」など)

ブログで書いたように、スエーデンのクリスマスの時期には写真のような山型のデコレーション・ライトが街中のオフィス、アパート、商店などすべての窓辺に置かれるのである。街中の窓という窓が山型ライトの明かりで、ほのかに雪の中に浮かび上がる光景は、幻想的でロマンティックで、暖かな雰囲気に包まれる。日本からの長旅の疲れがどれほど癒されたことか、私は今でも思い出すたびに胸に暖かさがゆっくりとこみ上げてくる。

そして、もう一つこの時期のスエーデンの風物詩は「12月13日」に行われる「ルシア祭」である。冬にスエーデンを訪れるたびに、この祭りをみてゆけと勧められたが、ついに観られずじまいであった。クリスマスよりも、この「光の祭り」と呼ばれている「ルシア祭」のほうがスエーデンでは、「一番大切な冬の行事」であるといわれている。

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12月13日、聖ルシアの日。日本でも有名なあのイタリア民謡「サンタ・ルチア」の「ルシア」である。「ルシア」はイタリアのシシリー生まれで、今から1700年ほど前に火あぶりになった聖女。なぜイタリアの聖女がスエーデンで祝われるのか、起源はよく分からないらしいが、この日は、旧暦によると最も夜の長い冬至の日、冬の長いスカンジナビアに暮らす人々が、この日を境に翌日から日が長くなることから、光に対して抱く特別な感情、或いは民間信仰がキリスト教と融合し、この祭りになったのではないかといわれている。この日の夜、スウエーデン各地の教会では、教会の鐘が高く鳴り響き、頭には7本のローソクに灯が灯る冠を付け(八つ墓村ではありませんよ!念のため)、白装束の光の女王、「サンタ・ルシア( Sankta Lucia )」に扮した若い女の子が、サンタ・ルシア( 清しこの夜 )の歌を唄いながら、静かに祭壇に向かって歩く。そして、教会のコーラス・グループがクリスマスにちなんだ多くの歌を次から次へと唄い、その間に宣教師が聖書を読み上げる。この神聖なルシア祭は、一年でもっとも重要な儀式で、普段教会には来ない老人も若い人達も、この日だけは家族そろって教会に来るそうです。

すこし気の早いクリスマス・レポートでしたが、こんな「ルシア祭」に関した記述を読むと、一度だけでもぜひ観ておきたかったなあと思う・・・。

今夜は、家の近くの北欧雑貨店「ロピスラボ」で買い求めたフレーバーな薫りと味がお気に入りの、スエーデン紅茶「スモーランド紅茶」をゆっくりと飲みながら、スエーデン女性JAZZピアニスト「モニカ・ドミニク・トリオ」を聴くとしようか・・・・。


「モニカ・ドミニク・トリオ/ティレグィナン」。アルバム・タイトルは、献呈或いは献身という意味だそうで、スエーデンでは定番のウエディング・ソングとして親しまれているそうです。

美しさ、儚さ、切なさ… 全てが優しくブレンドされた、スウェディッシュ・ピアノ・トリオの大名作、遂に復刻! 北欧はスウェーデンの女性ピアニスト、作曲家、また歌い手としても多彩な才能を発揮するモニカ・ドミニクが、1980 年にトリオ編成で自主レーベルからリリースした極上の秀作が、遂にCD 化。ジャズファンのみならず、美しいメロディを好む方なら、きっと誰もが気に入るのでは?と言うメロディアスな逸品です。愛らしいジャケットも、ホントに最高デス…(CDの帯からの引用)

女性の細やかな感性だけでなく、スエーデンという清冽な風土がこんな美しいアルバムを紡ぎだした。このアルバムもまたヨーロッパ・ジャズのカテゴリーにぴったりと嵌まってしまうのだ。初めて取り上げた女性ヨーロピアン・ジャズ・ピアニスト。


ティレグィナン
モニカ・ドミニク・トリオ / / ヴィヴィド・サウンド
ISBN : B001FMHYT2
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「Tillagnan I (Dedication I) - Monica Dominique Trio」

          
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by knakano0311 | 2008-11-16 17:34 | もしもピアノが弾けたなら | Trackback(1) | Comments(0)

我が家の歳時記  ~燃える秋・一幅の名画~

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今年もやってきた紅葉の季節。そして天気は快晴。かねてからぜひとも観たかった但馬「安国寺」の紅葉が見ごろとの便り。我が家からは少し遠かったのですが、車を飛ばして行って来ました。

安国禅寺は、兵庫県豊岡市但東町相田の集落の中にある臨済宗大徳寺派の寺院で、開基は足利尊氏、開山は夢窓国師である。深く帰依していた夢窓国師の務めによって、国家安泰祈願のため、一国一寺の建立を発願した、足利尊氏によって建立された合計六十八の安国寺の一つである。足利幕府より朱印と三百石余の禄が与えられた歴史的価値の高い寺であるが、堂、文化財の殆どが残念なことに失われてしまっている。しかし、この季節は庭の「ドウダンツツジ(灯台躑躅)」が色鮮やかに紅葉することで有名です。このツツジ、写真のように、本堂の座敷を通して、向こうに見るアングルが最も有名です。見た瞬間、その美しさにあっと息を呑まれます。山の斜面に滝が流れるように植えられた「ドウダンツツジ」。その真っ赤な色は、座敷越しに観るとまるで秋を切り取った一幅の絵画のようで、訪れた人たちは声も無く、ただただその美しさに見とれていました。この一幅の絵を見るためにここまで来た甲斐があったと思えるくらいの美しさ。

そして帰路は、出石を廻り、名物の「皿そば」を食して帰ることに・・・。

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但馬の小京都とも呼ばれ、400年近い歴史を持つ城下町「出石(いずし)」。室町時代、山陰、山陽に広大な領地を有していた山名氏の居城置かれた所ですが、1595年(文禄4年)には、播州龍野から小出吉英が現在の場所に出石城を築き、5万8千石の山間の小さな城下町として発展してきました。
碁盤の目のような昔ながらの街並みを残す出石は、出石のシンボル「辰鼓楼(しんころう)」が時を刻み、出石城を中心に、家老屋敷や史料館などが5万8千石の出石藩を彷彿させます。
辰鼓楼は明治四年(1871年)旧三の丸大手門脇の櫓台に建設された鼓楼です。出石城跡大手門の旧内堀の一角にあり、元々は見張り櫓として作られたもので、毎朝辰の刻(午前8時)に藩士に登城を告げる太鼓を打っていた事から辰鼓楼と名付けられました。その後、明治十四年に藩医、池口忠恕氏がオランダ製の大時計を寄付してからは、時計台として親しまれ、今では三代目の時計が時を刻み続けています。

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また、出石はそば処としても有名で、現在は、町内に40数軒もの出石皿そばの店が並ぶ街となっており、年間百万人を超える観光客が訪れるそうです。出石のそばの歴史は今から約300年前の1706年(宝永3年)、信州上田藩を治めていた仙石氏が出石に国替えとなり、その時にそば職人を連れてきたことが出石皿そばの始まりと伝えられています。

白い出石焼の小皿に盛り付ける5皿一組を一人前として出すのが特徴で、追加については、枚数をいって追加することになっています。蕎麦は私の故郷信州と同じ感触と味わいの蕎麦。それを「だしちょこ」に、だし・ねぎ・卵・ワサビ・やまいも等の薬味を混ぜ合わせて食べるのが流儀。一人20皿を平らげると「そば通」の称号をもらえるらしいがとても無理。夫婦で15皿、久し振りの皿そばを堪能しました。



19世紀末から20世紀にかけてのフランスで、絵画の世界を中心に展開されていた「印象派」の作風は、音楽にもおおきな影響を与えた。ドビュッシー、フォーレやラヴェルらが、音楽の「印象派」と呼ばれ、多くの作品を残している。あの「ウィンダム・ヒル・レーベル」が刻一刻と変化をつづける自然の瞬間を耽美的に描写する「印象派」というコンセプトで企画されたアルバムをリリースしている。印象派の作曲家の作品に“サティのジムノペディ”を織り交ぜてつくられた、好アルバム。 原曲の和声の美しさを生かした控え目なアレンジで、各々の特異楽器で静かに歌い上げている。

印象派の世界とウィンダム・ヒル
オムニバス / / BMG JAPAN
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「Nightnoise ― Sicilienne (シチリエンヌ/フォーレ)」

          
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by knakano0311 | 2008-11-14 23:05 | 我が家の歳時記 | Trackback | Comments(0)

我が家の歳時記  ~たからものに出会った一日~

10、11月は、奈良国立博物館で「正倉院展」の開催される月。定年になってから「我が家の歳時記」として観覧が定着したこの「正倉院展」、今年は第60回を数え、延べ700万人の観覧者が訪れたそうだ。私達が館内にいるときも、今回20万人目の入場者の来場を告げる放送があり、とりわけ今回は人気が高かったと思われる。

HPから引用すると、今年の出陳は69点。光明皇后によって東大寺大仏に献納された聖武天皇遺愛の宝物に始まり、佩飾品(はいしょくひん)など、皇族・貴族たちの献納品、天蓋など仏具、飲食器、文書、経典となっています。その中でも、全面に精緻な文様を彫刻した刻彫尺八(こくちょうのしゃくはち)、鏡背を螺鈿による花文様で埋め尽くした平螺鈿背八角鏡(へいらでんはいのはっかくきょう)、ササン朝ペルシアからもたらされた白瑠璃碗(はくるりのわん)のほか、木画細工が見事な紫檀木画双六局(したんもくがのすごろくきょく)、鏡背に山水や人物などを鋳だした山水人物鳥獣背円鏡(さんすいじんぶつちょうじゅうはいのえんきょう)、さらに献納品を収めた箱である蘇芳地金銀絵箱(すおうじきんぎんえのはこ)などが人気が高かったようです。私が強い印象を受け感嘆した代表的な出陳物をあげてみましょう。

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写真は、紫檀木画双六局。正倉院展HPから。

紫檀に様々な色の材料を嵌め込む木画の技法で装飾を施した、豪華な双六盤である。長辺がわに三日月形一箇を中心に左右各六箇ずつ花文を木画で表している。側面は立ち上がりや脚に、花唐草文を主とし、間に鳥、雲、鳥にのる人物などを表している。美しい細工がまったく色褪せておらず、1300年も前のものとは思われないほどの鮮やかさ。

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写真は、白瑠璃碗。正倉院展HPから。

厚手のガラス碗。器体は淡い褐色を帯びた透明で、細かな気泡が多数含まれる。外面に円形切子を連続して刻んだいわゆるカットグラスで、円形切子の数は八十箇を数える。産地は西アジア、特にイラン高原北西部より多くの類品が見つかっているため、その周辺で5~6世紀頃に製作されたものと考えられている。ササン朝ペルシアの王侯たちに分配され、さらにその一部がはるばるシルクロードを越えて運ばれたものと考えられている。本品と同種のカットグラスは世界各地のコレクションに例をみるが、当初の輝きと透明度を保ったものは本品が唯一である。シルクロードの交流を象徴し、古代ガラスの美しさを今に伝える非常に貴重なガラス器である。このカットグラスもうつくしい。はるかペルシャからシルクロードを運ばれて、いま私たちが目にしている奇跡と作者や運ばれてきた由来に思いを馳せるロマン。

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写真は、平螺鈿背八角鏡。正倉院展HPから。

『国家珍宝帳』記載品。鏡背を螺鈿などで飾った白銅製の鏡で、輪郭は八花形に形作られている。鏡背は内、外の二区に分かれ、それぞれに濃密な唐花文様が一面に表されている。花弁や花心の赤い部分は朱色を下面に彩色して琥珀片を伏せたものであり、白色の螺鈿にはヤコウガイが用いられ、精緻(せいち)な線刻が施されている。銅の成分が唐代の鏡と一致することから、唐からの請来品と考えられている。
息を呑む美しさ。これほどの細工、これほどの精緻さ。鎌倉時代の盗難で、バラバラに大破したらしいが、明治二十八年(1895)に見事に復元されたもの。

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写真は、犀角魚形[さいかくのうおがた]。正倉院展HPから。

一双の魚形をかたどった犀角製の佩飾品。佩飾品とは腰飾りのことで、奈良時代の貴人は唐の官人の習慣にならって、腰帯から刀子や様々な佩飾品をさげたという。この「犀角魚形」、なんという洗練されたデザイン・フォルムだろうか。現代でもアクセサリーとして十分通ずるに違いない美しさ。


これらの展示品は、当然のことながら、古のアジア各地の職人の「手仕事」によって作られたものである。けっしてNC工作機械や大量生産品などではないのだ。その手仕事の「技」と「心」が1300年近く時を経た今でも見る人に強い印象や感動を与えるのだ。今朝の天声人語に載っていた「柳宗悦」の言葉を思い出した。

・・・・・ 手が機械と違うのは、心とつながっているからだと柳は言う。「手はただ動くのではなく、いつも奥に心が控えていて・・・・働きに悦びを与えたり、また道徳を守らせたりする」。手仕事とは心の仕事にほかならないと、名高い目利きは唱えている。・・・・・・(天声人語)


そして国立博物館を後にして、興福寺・国宝館へ。来年は東京、福岡で「阿修羅展」が開催されるため、しばし興福寺から姿を消す国宝「阿修羅像」に逢っておこうと思い立つ。相変わらず人気の阿修羅像。多くの修学旅行生や観光客にまじって、他の八部衆や邪鬼像とあわせ久し振りに観てきました。この国宝館は、月並みな観光コースではあるが、本当に国宝ばかりがぞろぞろと展示されている価値あるおすすめの展示館だと思います。

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写真は朝日新聞記事より。 乾漆造 彩色 奈良時代 像高 153.4cm

説明によると、 梵語(古代インド語)のアスラ(Asura)の音写で、「生命(asu)を与える(ra)者」とされたり、また「非(a)天(sura)」にも解釈され、まったく性格の異なる神になる。
西域では大地にめぐみを与える太陽神であったが、インドでは熱さを招き、大地を干上がらせる太陽神となり、常にインドラ(帝釈天)と戦う悪の戦闘神となる。仏教では釈迦の教えに触れた守護神と説かれる。
あどけない童顔、深い憂いを含んだ眼差し。すぐにでも折れそうなほどほっそりとした身体つき。これが悪の戦闘神なのか。阿修羅像、いつ観ても八部衆とともに深い印象を覚える。

今回のブログは、HPから引用ばかりのガイドブックみたいになってしまいましたが、自分の国の歴史、国宝や文化財などについて、自らの言葉で十分に語れない浅学さを恥じ入るばかりです。


アジアから中東、ヨーロッパにつながる一筋の道、シルクロード。そんな音楽的な広がりをもって活動している音楽グループと言えば、「芸能山城組」であろう。興福寺の八部衆にもつながるバリ島の「ケチャ」、「ガムラン」をはじめとして世界の諸民族80系統に及ぶパフォーマンスを上演してきた。この伝統と現代とを融合した音楽活動、創造活動は他に類を見ない。「芸能山城組入門」はそのエッセンスをまとめたアルバム。

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芸能山城組入門
芸能山城組 / / ビクターエンタテインメント
ISBN : B00004UWXW
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「芸能山城組 - 刈干切歌」

          
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by knakano0311 | 2008-11-08 00:40 | 我が家の歳時記 | Trackback | Comments(0)