大屋地爵士のJAZZYな生活

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飛べないバッタ ~虫めづる爺いの昆虫記~

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例年この時期は、「虫めづる爺い」となってしまう私。1週間ほど前から庭の植木に住みついている「バッタ(飛蝗、蝗虫)」の幼虫がいる。同じ木であるからして、どうも以前このブログでも取り上げた、脱皮したばかりの「カマドコウロギ(竈蟋蟀)」と思っていた幼虫が成長したものと思われる。(参照拙ブログ「Comin' Home Baby」

見事な保護色、天敵がいないのか他へは行かず、この木にずっと住みついている。そして全くといっていいほど動かない。見るたびに少しずつ場所は変えているので、生きてはいる。「バッタ」は飛び跳ねる虫の代表と思っていたが、このバッタ、飛び跳ねる気配は全くない。不思議に思って調べてみたら 「飛び跳ねる」ことをしないバッタがいることがわかった。短く茶色い翅を持つ緑色のバッタで、脚の黒い斑点、眼の後ろの黒線が特徴である「フキバッタ(蕗飛蝗)」の一種で、西日本の生息する「ヤマトフキバッタ(セトウチフキバッタ)/大和蕗飛蝗(瀬戸内蕗飛蝗)」。翅が短いので飛べず、また動作は緩慢で、跳ねることもほとんどしないという。確信はないが、このバッタ、どうもそれではないだろうか。(参照 Wikipedia)

じっと動かずに、枝にしがみついている「バッタ」を見ると、そのたびに気になって、「おい!、ちょっとくらい動けよ」と声をかけたくなるし、前を通ると思わず探してしまう。まるで我が子を見守るよう ・・・。少し前に書いた「キアゲハ(黄揚羽)」の蛹は、どうも天敵に食べられたようだ。がっかりする妻。我が家のこんな狭き庭でも、いろいろの虫が、それぞれに自然の厳しい営みを展開しているのである。 (参照拙ブログ「お客さんはカラフルでした」

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さて、今宵引っ張り出したのは「ダニーロ·レア/Danilo Rea」。1957年、イタリア生まれのジャズ・ピアニスト。イタリア・ジャズ界では大物、重鎮らしく、いろいろな名義やコラボで多くのアルバムを出しているが、1997年に結成した多分本命のピアノ・トリオ、「ドクター3/Doctor 3」によるアルバム、「ブルー/Blue」(2007)を引っ張り出してきた。

イタリア・ヴィチェンツァ生まれの「ダニーロ・レア」は、1975年にローマの「サンタ・セシリア音楽院/the Santa Cecilia music conservatory 」を卒業、すぐに「トリオ・ディ・ローマ/Rome Trio」を結成して注目された。その後、イタリアにやってきた多くのジャズ・ミュージシャンたちと共演しながら、キャリアを重ねる。イタリアの国民的トランペッター、故「ニニ・ロッソ/'Nini' Rosso」が、息子のように可愛がったといわれ、彼のツアーで来日したこともある。1997年にベーシストの「エンゾ・ピエトロパオリ/Enzo Pietropaoli」とドラマーの「ファブリツィオ・スフェラ/Fabrizio Sterra」とで結成したのが、「ドクター3」であった。最初のCD「ザ・テイルス・ドクター3」は、1999年に最優秀イタリアンCD賞を受賞、その後、20年近く、イタリアン・ジャズの最も重要な活躍をしたトリオである。

本アルバム「Blue」は、全編バラード。「バート・バカラック/Burt Bacharach」、「ダミアン・ライス/Damien Rice」、「ジェームス・テイラー/James Taylor」らのポップスや、「アラバマ物語」、「シンドラーのリスト」などの映画音楽、さらにはカンツォーネまでも盛り込んだバラードの万華鏡。

Blue

DOCTOR 3 / Via Veneto



こんなスローな演奏はかって聞いてことがないというくらいスロー・テンポな「バート・バカラック」の「遥かなる影/Close to you」。
 
「Doctor 3 - Close to you」
 
          

「ジェームス・テイラー」の代表曲。


「Doctor 3 - Don't let me be lonely tonight」


          

彼はCDをソロ・ピアノで2枚(?)作っているが、その2作目「リリコ/Lirico」は珠玉のピアノ・ソロ作品。「プッチーニ」、「ヴェルディ」、「マスカーニ」らのオペラのメロディーによる即興演奏集である。静かに沁みゆくピアノの音色、これからの秋の夜、寝る前のひとときに聴くにはオススメの一枚。


Lirico

Danilo Rea / Egea


 
オペラ、「カヴァレリア・ルスティカーナ」から間奏曲を ・・・。

「Danilo Rea - Intermezzo da Cavalleria Rusticana di Pietro Mascagni」
 
          

また「ダニーロ・レア・トリオ/Danilo Rea Trio」名義で「ヴィーナス・レコード」から、ちょっと怪しいジャケットでリリースされています。(参照拙ブログ「どっこい、まだまだ納税者です」「JAZZ的トリビア(3) ~続き・JAZZと美脚との素敵な関係~」

ロマンティカ(紙ジャケット仕様)

ダニーロ・レア・トリオ / ポニーキャニオン


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by knakano0311 | 2014-08-31 10:50 | 音楽的生活 | Trackback | Comments(2)

雨が上がったら、きのこの山に

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家を出るときは雨が降っていたが、遊びの山に着くと、ほとんど雨は上がっていた。山のあちこちから立ち登る水蒸気が、山や森を幻想的に見せてくれる。「こんな雨だから ・・・」と思っていたが、なんと14人の仲間の内、11人もが集まってきた。みんな暇なんだろうか? いやいや、仲間たちと山に入りたい思いが強いのだ。

ゆっくり登り出すと、雨上がりの森のいたるところに、いろいろな種類のきのこ(茸)が顔を出している。まるで「きのこの山」のようだ。「きのこ」のことはほとんどわからないので、もちろん手も出さないし、実際のところ多分ほとんどが「毒きのこ」であろう。しかし、こんなところに、秋の訪れと自然の豊かさを感じる。いつものように、山頂まであがると、一気に視界が開け、まだ8月だというのに、ひんやりとした風が吹きあがってきて心地よく、爽快な気分になる。天気予報では、10月上旬の気候とか ・・・・。

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さて、今宵は「ルイス・ヴァン・ダイク・トリオ/Louis van Dijk Trio」。少し甘すぎるかもしれません。「ルイス・ヴァン・ダイク」といえば、「アン・バートン/Ann Burton」の傑作、「ブルー・バートン/Blue Burton」(1968年)、「バラード&バートン/Ballad And Burton」(1969年)の歌伴で素晴らしい演奏を聴かせてくれたオランダのピアニスト。

1941年、アムステルダム生まれの71歳、このお方もご長寿ピアニストに入れてもいいくらいの十分なお歳。1959年、18歳で「アムステルダム音楽院」に入学、他の欧州ジャズ・ピアニストと同様、クラシック・ピアノを学んだ。程なくしてジャズに出会い、ジャズに傾倒し独学でジャズの理論をマスターし、19歳にルースドレヒトのジャズ・コンクールで優勝、衝撃のデビューを果たすと一躍トップピアニストの地位を得たという。

「アン・バートン」の歌伴のイメージが強く、なかなか彼自身のトリオでのアルバムを聴くモチベーションは起きなかったのだが、上質のBGMと割り切ってしまえば、スタンダード中心の選曲と上品な演奏が聴ける「バラード・イン・ブルー」、「おもいでの夏」はおススメ。

バラード・イン・ブルー

ルイス・ヴァン・ダイク・トリオエムアンドアイカンパニー



「The Shadow of Your Smile - Louis van Dijk Trio」

          

夏ももう終わり ・・・。

おもいでの夏

ルイス・ヴァン・ダイク・トリオ / エム アンド アイ カンパニー



「Louis Van Dijk Trio - A Lovely Way To Spend An Evening」

          

2曲いずれも「アン・バートン」のアルバムで、歌伴をした曲である。聴き比べてみるのも面白いかも ・・・。
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by knakano0311 | 2014-08-29 10:00 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

続・秋が少し見えた ~ カシナガの活動も始まる ~

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秋は虫にとって子孫を残す活動期である。遊びの山では、前回の「チョッキリ虫」に続いて、「カシナガ」の活動も始まった。「カシナガ」、正確には、「カシノナガキクイムシ」といい、ミズナラ、ブナ、コナラ、クヌギなどのナラ類、シイ、アラカシ、シラカシなどのカシ類など身近な森林を形成している馴染のある広葉樹に、「ナラ枯れ」と呼ばれる被害を与える害虫である。「ナラ枯れ」は、「ナラ菌」というカビの仲間の病原菌が原因で、その病原菌を媒介するのが、写真にある体長5mm程度の「カシノナガキクイムシ」である。

「カシナガ」は、病原菌を体内に入れて運び、夏から秋に樹木に無数の穴をあけ、卵を産み付け、翌年の6月にその幼虫が羽化し、また新しい樹木に卵を産み付け ・・・といったことを繰り返すのである。ナラ菌は孔道を伝わって蔓延するため、ひどい場合は、水分が上がらなくなり、真夏から晩夏にかけ急速に葉が萎れ、茶色や赤茶色に枯れてしまう。樹木の周囲には、「フロス」と呼ばれる穿孔した木の粉が散乱することも特徴である。樹齢の長い、大径木が被害を受けやすく、また被害を受けても、全て枯れるわけでもないので、山が丸裸になるというようなことはないようだ。 (参照拙ブログ「熱中症も怖いですが ・・・」

しかし、いずれにしても山にとっても木にとっても好ましいことではないのである。しかも、遊びの山は炭材用のクヌギやコナラが多い、かっての里山である。冬に見つけた被害木には対策を打ったが、産卵の季節を迎え新たな被害木が見つかった。写真のように、根に近いところにいくつもの穴があけられ、フロスが散乱しているのがよく見てとれる。来年の羽化する時期までには、調査をして対策を打たねばならないだろう。山で遊ぶにも、結構、やらねばならないことは多いのである。

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さて、今宵のタンスから引き出し、陽の目を見させたピアニストは、ロシア出身の超絶技巧の持ち主といわれる「ユージン・マスロフ/Eugene Maslov」。

「ユージン・マスロフ」は1959年、ロシアの「ザンクト・ペテルスブルグ(St Petersburg)」生まれ。「ムソルグスキー音楽カレッジ」でクラシック・ピアノを学ぶが、その後はジャズに集中。1989年にはアメリカに移住し、現在はマサチューセッツ州ボストンを拠点に活動しているという。アメリカ移住後すぐの1992年に録音された「Autumn in New England」が、「幻の名盤」と称され、高額で流通していたことで有名になったピアニストである。なにかバブリーですね。しかし、そのレア盤も近年、別ジャケでCD再発され、適正な評価に落ち着くようになったピアニスト。

その「Autumn in New England」、全11曲の内、「コール・ポーター/Cole Porter」、「ビル・エヴァンス/Bill Evans」らのスタンダードが8曲、マスロフのオリジナルが3曲といった構成。躍動感溢れる疾走するようなフレーズの展開、ときおりハットするような美メロ。オリジナルのタイトル曲「Autumn in New England」とスタンダード、「Blame It On My Youth」や、エヴァンスの「My Bells」などの演奏は期待を裏切らなかった。サポートは、「ベン・ストリート/Ben Street(b)」、「ジョージ・シュラー/George Schuller(ds)」。

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Autumn in New England

Eugene Maslov / GM Recordings



このアルバムからは、YOUTUBEにアップされていないので、YOUTUBEで見つけた別アルバム、「Where the Light Comes from... 」と「When I Need to Smile」からの異なる3タイプの演奏をアップしておきましょう。

Where the Light Comes from

Eugene Maslov / Blue Canoe Records




「Winter Morning - Eugene Maslov Trio」


          

エヴァンスの演奏でご存知の「Nardis」。

「Eugene Maslov - Nardis」

          



When I Need to Smile

Eugene Maslov / Mack Avenue



「Eugene Maslov ‐ Out Of This World」

          
 



 
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by knakano0311 | 2014-08-27 09:12 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

丸山湿原を学び、そして遊ぶ

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「丸山湿原」に咲く「サギソウ(鷺草)」。日本を代表する野生ラン(蘭)である。「丸山湿原群」は、お隣の宝塚市の丸山周辺に広がる兵庫県では最大規模の5つの湿原からなる湧水湿原群であるが、その周辺地域を含めて、約71ヘクタールが、今年4月、宝塚市の天然記念物に指定された。それを記念してのセミナー&観察会に参加してきた。「サギソウ」。かって母が好きで、園芸種であるが、実家には、お盆の頃に白鷺が飛んでいるようなかわいらしい花が咲いた。しかし、湿原に自生して咲く「サギソウ」はこれまで見たことがなかった。午前中は、湿原の成り立ちや現状、魅力を解説するセミナー、そして午後からは、現地での説明を受けながらの観察である。入口から10分程度歩くと、湿原が圧倒的な広さを持って広がっていた。かなりの密度で点々と咲く「サギソウ」、やっと野生種を見ることができた。

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この湿原群には、湿原に特有の様々な生き物が見られる貴重な場所になっていて、植物群落の貴重性を示す「兵庫県版レッドデータブック 2010 植物群落」においても、「規模的、質的に優れており貴重性の程度が最も高く、全国的価値に相当するもの」として評価され、Aランクに指定されている。(右の写真は、地中に虫を捕らえるための袋を持つ小さな食中植物「ムラサキミミカキグサ/紫耳掻き草」)

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「丸山湿原」に成立する植物群落は、「イヌノハナヒゲ群落」、「ヌマガヤ(沼茅)群落」、「イヌツゲ(犬黄楊)群落」の3群落に大別できる。「サギソウ」、それともう散ってしまったが、淡い紅紫色で、その色合いが、鳥の「トキ(朱鷺)」の羽色に見立てられたのでその名がついた、「トキソウ(朱鷺草、鴇草)」、そして「ムラサキミミカキグサ」などは、「イヌノハナヒゲ群落」の構成種。写真左の「ミズギボウシ(水擬宝珠)」、さらにもう散ってしまっていたが、柿の実の色に似た総状の花をつける「カキラン(柿蘭)」などは、「ヌマガヤ(沼茅)群落」の構成種である。

植物だけでなく、湿原の貴重昆虫も多く生息している。「湿原貴重昆虫、3種の神器」とも呼ばれている、「ヒメタイコウチ(姫太鼓打)」や、日本一小さなトンボとして知られる「ハッチョウトンボ(八丁蜻蛉)」、タテハチョウ科の「ヒメヒカゲ(姫日陰)」のうち、「ヒメタイコウチ」と「ハッチョウトンボ」は、ここで確認できているという。

「丸山湿原」の成立は、いろいろの調査から江戸時代以降で、周辺の里山林の利用とともに広がったと考えられているが、10年ぐらい前から、地元の方を中心とした「丸山湿原群保全の会」が遊歩道整備、植生管理、清掃、盗掘防止パトロール、モニタリング調査、外来種の侵入防止などの保全活動を地道に行った結果が、今回の天然記念物指定につながったという。いずれにしても、かけがえのない自然を守るには、人の手が入った管理、それを支えるボランティアの努力が欠かせないのだ。 (丸山湿原紹介パンフレット、Wikipedia 参照)

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心配した雨も降らず、「丸山湿原群」を学び、遊んだ満足の一日 ・・・。
 
さて、念願の「サギソウ」にお目にかかった宵のピアノ・トリオは、「エリック・リード/Eric Reed」。

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「エリック・リード」は1970年、フィラデルフィア生れ。2歳でピアノを始め、7歳からは音楽学校に通って、クラシックとジャズ・ピアノを本格的に学ぶようになった。西海岸に移住し、18歳の頃、トランペッターの「ウィントン・マルサリス/Wynton Marsalis」に認められ、彼のバンド・メンバーとしてプロの活動をスタートさせる。以後、キャリアを積み、いまやニューヨーク・ジャズ界を代表するトップ・プレイヤーとなっている。

そんな彼が、「M&I」レーベルから、彼がリスペクトする過去のモダン・ジャズ・ピアニストたちが繰り広げてきた様々な演奏を、彼自身のスタイルで取り上げたシリーズがある。「クレオパトラの夢」(2003)、「印象派のメロディ」(2004)、「ブルー・トレイン」(2005)、「ブルー・モンク」(2006)がそれであるが、その中の2枚をタンスから引き出してきた。「印象派のメロディー ~グレイト・コンポーザーに捧ぐ~/Impressive & Romantic - The Great Composers We Love -」と、「ブルー・モンク/Blue Monk」。

アメリカの偉大な作曲家たちを取り上げたのが本作。「ロン・カーター/Ron Carter(b)」と「アル・フォスター/Al Foster(ds)」の強力なサポートを受け、お馴染みの曲の中にも、ジャズの緊張感が漂う一枚。

印象派のメロディー ~グレイト・コンポーザーに捧ぐ~

エリック・リード・トリオ / ポニーキャニオン



そこからお馴染みのスタンダードを2曲。「ヴィクター・ヤング/Victor Young」の手になる 「ジャニー・ギター/Johnny Guitar」、「コール・ポーター/Cole Porter」作曲の「ソー・イン・ラブ/So In Love」。

「Johnny Guitar - Eric Reed Trio」

          

「Eric Reed, Ron Carter & Al Foster - So In Love」

         

『「ブルー」をタイトルに持つ曲にハズレなし』などと言われているが、「Am I Blue?」、「Born To Be Blue」、「Blue and Green」など、「ブルー」という言葉を持つ曲ばかりを集めてアルバムに仕立てた粋なアルバムは「Blue Monk」。

ブルー・モンク

エリック・リード・トリオ / M&I



「ビル・エヴァンス/Bill Evans」でお馴染みの「Blue and Green」。

「Eric Reed Trio - Blue and Green」

          
 



 
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by knakano0311 | 2014-08-25 09:50 | おやじの遠足・街歩き | Trackback | Comments(0)

秋がすこし見えた ~ チョッキリ虫の活動始まる ~

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我が住宅地の近辺に比べ、遊びの山ではちょっぴり早めに秋の気配が濃厚に。いつもながらの仕事師、「チョッキリ虫」の活動が始まった。、「チョッキリ虫」が見せる職人芸は、「クヌギの枝の切り落とし」。正確には、「ハイイロチョッキリ」である。体長(口吻を含まない)が、8㎜前後のオトシブミ科の甲虫である。9月ごろに、クヌギ、コナラなどの実(ドングリ)に卵を産み、その後、枝ごと切ってドングリを地表に落としてしまう。そうやって産みつけた卵は、翌年の初夏に羽化する。

まるで剣豪が切ったような、その枝の切り口の見事さと、どんぐりの真ん中に正確に穴を開けるその技には、いつもながら感心する。(参照拙ブログ「剣豪 チョッキリ虫」「技の冴え ~続・剣豪チョッキリ虫~」 など) さて、秋がすこし見えた ・・・。

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秋の気配を感じる宵に引っ張り出してきたピアノ・トリオは、「ジャン・ロットマン・トリオ/Jean Rotman Trio」。フランスの「全く」知られざるジャズピアニスト、「ジャン・ロットマン」が、1986年の4月に、「パトリス・ソレル/Patrice Soler (b)」、「ローラン・ロゼマン/Laurent Rosemain (ds)」と共に自主制作で吹き込んでいた1枚、「マティアス・ジョブ/Mathias Job」。2012年CDで再発されたもの。

ほとんど情報はないが、ライナーノーツによると、「ジャン・ロットマン」は、1950年生まれ。5歳の時にクラシック・ピアノを始め、15歳でジャズに目覚めたという。18歳の頃には、自らビッグバンドを率いていたというから驚き。やがて、ピアノ・トリオやカルテットなどのコンボ活動にシフトしていったが、ピアノ・トリオに落ち着いたという。しかしながら、この人ほとんど評価されていないという。その最大の理由は、本職はお医者さん。その傍らにというか、一筋でないというところに何らかのわだかまりを感じるファンが多いということでしょうか。

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全曲がオリジナル曲と言う本作は、スウィンギーなナンバー、華麗なワルツ、美メロバラッド、そしてメロウなボサ・ジャズまで盛りだくさんのフレンチ・ピアノ・トリオのアルバム。自主制作というが、とてもそんな感じはしない。特に、欧州ピアノ・トリオに共通するエレガントで切なさが滲むピアノに加え、力強さをサポートするリズム・セクションが素晴らしい。海辺で戯れる子供達のジャケットも印象的。

ところで「マティアス・ジョブ/Mathias Job」というこのタイトル。幼くして病気で亡くなった甥っ子、「マティアス」に捧げている。医者でありながら、助けられなかった甥っ子に対する想いが、彼をして自主制作にまで駆り立てたのでしょうか。

マティアス・ジョブ

ジャン・ロットマン・トリオ / プロダクション・デシネ



「Mathias」、「Bossa lisse」あたりが聴きものですが、超無名、自主制作ということで、ほかを含めて、YOUTUBEへのアップも全くありません。    「プロダクション・デシネの試聴コーナー」  から、さわりを聴いてみてください。(太文字部をクリックしてください)
 



 
 
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by knakano0311 | 2014-08-23 16:33 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(2)

路傍の花、樹々の鳥(43) ~ 秋の気配が ~

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ウォーキングの道筋にある溜池の周りを取り巻く林。一部が立ち入り禁止になっているため、人の手がついていない場所もある。そこに、種類はわからないが、「ユリ(百合)」が咲きだした。多分野生種ではなく、近所の家の庭や道端で咲いている園芸種であろう。調べてみると、どうも台湾原産で「タカサゴユリ(高砂百合)」という外来種らしい。温暖化の影響か、今、日本のあちこちでものすごい勢いで増えているらしい。さらに始末の悪いことに、実の中にあるものすごくたくさんの種が、風によってまき散らされるという。だから、庭、林、道端、空き地など、この時期にいたるところで見ることができる。「・・・・ 歩く姿は百合の花」なんて風流なことは言っておられないのである。ただし、「テッポウユリ(鉄砲百合)との交雑種が多く、その違いが外見からは判別しにくい場合も多いという。

そして、これから熟す「アケビ(木通)」も大きな実をつけている。実の中は乳白色のゼリー状で、甘味があり、黒い小さな種がたくさん入っている。今風に言えば、「スイーツ」か、子供の頃は近くの山でよく採って食べたご馳走だった。都会に近い住宅団地にも、まだこんな風景が残っている。秋の気配がかすかに感じられる景色が ・・・。

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さて、連続「タンスの肥やしピアノ」シリーズ。今宵は、「トリオセンス/Triosence」である。吉本あたりのお笑いトリオか?と思うようなユニット名であるが、前回「エルマー・ブラス」に続き、ドイツ出身の大真面目、れっきとしたピアノ・トリオである。昨年も取り上げたのを思い出したので、「タンスの ・・・」とは言えないかもしれませんが ・・・。

ピアノの 「ベルンハルト・シューラー/Bemhard Schüer」を中心に、1999年に結成されたJAZZピアノトリオ。バンドの名前を「トリオセンス」とした由縁は、 トリオとエッセンスとを併せた造語だそうで、そこに彼らの思いが込められているようだ。ドイツのジャズ・コンペや、「Ostsee Jazz Festival」などで優勝後、CDデビューを果たした。デビュー・アルバムは、「First Enchantment」(2001年録音)。以後、セカンド・アルバム、「Away For A While」(2004年録音)は、ドイツのジャズ・ヒットチャートに6週間連続してランクされるなど、ドイツで最も成功したジャズ・バンドのひとつに数えられている。現在のメンバーは、ピアノは、1979年生まれの「ベルンハルト・シューラー」、ベースは「マティアス・ノヴァク/Matthias Nowak」で1976年生まれ、ドラムは「ステファン・エーミッヒ/Stephan Emig」で同じく1976年生まれと、いずれも気鋭の若手というところ。

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「ベルンハルト・シューラー」。7歳ころに始めたピアノが自身の音楽のベースになっているという。10代では作曲を始め、1996年には、リーダーとして、そしてサックス・プレイヤーとして、自身の最初のバンドを結成した。その活動が、やがて「Triosence」結成へと続く。

私が最初の聴いた彼らの最初のアルバムは、トリオとしては3作目の「When You Come Home」(2008)。ヨーロッパ・ジャズに共通する美メロと哀愁、抒情性が私好みのトリオ。ここで「Enchantment(魔法をかけること)」されたといっていい。そこから遡っての、なかば「ジャケ買い」は、デビュー・アルバム、「ファースト・エンチャントメント/First Enchantment」。全曲を「ベルンハルト・シューラー」が作曲したという。ゆっくりとしたテンポで、ロマンチシズム溢れる美メロが流れる心地よさ。

First Enchantment

Triosence / Monster



その中から、まず2曲ほど ・・・。この時のベースは、「ミヒャエル・ケーラウス/Michael Kehraus」。

「Waltz For Andrea - Triosence」 
          

「Triosence ‐ River Song」
          

そして、私が魔法をかけられた3作目の「When You Come Home」。ここからベースは「マティアス・ノヴァク」に ・・・。

When You Come Home

Triosence / Sony Bmg Europe



オスロの「レインボー・スタジオ」でレコーディングされたそのアルバムから、レコーディング風景の動画と共に、タイトル曲、「When You Come Home」を。

「triosence ‐ When You Come Home in Oslo」
           

そして、なぜかイントロに「和」の旋律を感じる「a far off place」。

「triocence ‐ a far off place」
          

 
「サラ・ガザレク/Sara Gazarek」と共演したアルバム、、「トリオセンス・ミーツ・サラ・ガザレク  ~ホエア・タイム・スタンズ・スティル/Where Time Stands Still (Triosence feat. Sara Gazarek)」(2010)や最近作、「ターニング・ポインツ/Turning Points」(2013)もいい。 (参照拙ブログ「新春から子供たちと遊ぶ」「月日は巡って ・・・」
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by knakano0311 | 2014-08-22 10:09 | 地域の中で・・・ | Trackback | Comments(0)

路傍の花、樹々の鳥(42) ~ 炎天の花もそろそろ ~

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6月の下旬から眼を和ませてくれているご近所に咲く、炎天の花、「ノウゼンカズラ(凌霄花)」。もう下の方の花は散り、入道雲と鮮やかなコントラストをみせているのは、上の方に咲く花。長らく楽しませてくれたが、そろそろ終わりかな ・・・。いろいろあったこの夏も去ろうとしている。歳をとると、季節が過ぎゆくのが速く感じるという。

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さて、タンスから取り出してきたのは、「エルマー・ブラス・トリオ/Elmar Brass Trio」。アルバムは、ひと夏の夢の終わりにふさわしいかな? 「Night Dreamer」。

「エルマー・ブラス/Elmar Braß」。ドイツの男性ピアニスト。1979年生まれの若さ。ナイジェリアで育ったが、帰国後11歳の時よりピアノのレッスンを始め、その後音楽学校で、ジャズ&クラシック・ピアノを学び、「モントルー・ジャズ・フェスティバルにも参加したという。ほとん馴染みがないが、いままでに3枚ほどアルバムをリリースしていて、澤野工房が注目し、2010年に期待して日本で売り出した若手。そんな情報しかありません。

日本デビュー。アルバムは、「ウェイン・ショーター/Wayne Shorter」で知られた「Night Dreamer」がタイトル。リラックスした雰囲気と小粋にスウィングするピアノですが、やはり、クラシックにベースを置く、欧州らしい気品、雰囲気が顔を出す。サポートは、「Markus Schieferdecker (bass)」、「Guido May (drums)」。

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NIGHT DREAMER
エルマー・ブラス・トリオ/澤野工房

Elmar Brass : piano
Markus Schieferdecker : bass
Guido May : drums



残念なことにTOUTUBEには、まったくアップされていません。澤野工房の紹介ページより試聴ください。
 



 
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by knakano0311 | 2014-08-20 22:57 | 地域の中で・・・ | Trackback | Comments(0)

お客さんはカラフルでした

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少し前に、我が家の庭先に「ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)」の幼虫が「サナギ(蛹)」を作り、やがて羽化していったことを書いた。(参照拙ブログ「やがては華麗なメタモルフォーゼへと ・・・」「庭先の宇宙」、「メタモルフォーゼ」) 

さて、今度のお客さんは、「アゲハチョウ(揚羽蝶)」としては、最も馴染みのある「キアゲハ(黄揚羽)」の幼虫である。やはり、カラフル、ど派手ないでたちである。まるで「阪神タイガース」ファンのよう。やや黄緑がかっている所を見ると、「5齢幼虫」であろうか。写真のフラッシュに驚いたのか、頭と胸の間からオレンジ色の「臭角」を出した。幼虫は、「セリ」、「パセリ」、「セロリ」、「ミツバ」、「ニンジン」など、独特の香りを持った「セリ科」の植物を好んで食べるというが、わが家の狭き庭にはそんな植物は植わっていない。すぐ近くに植えてある匂いの強い「ニオイバンマツリ(匂蕃茉莉)」や、「クリスマス・ローズ」あたりを食して成長したのであろうか。

成虫は4月から10月頃まで、年に2回~4回ほど発生するという。都会でも家庭菜園で「パセリ」などを栽培すると、たちまち成虫が産卵していき、幼虫を見ることができるという。幼虫は「3齢」までは、ほかの「アゲハチョウ」と同様に、鳥の糞に似せた保護色をしているが、「4齢幼虫」では、白地に黄色と黒の斑点模様の警戒色となり、さらに、「5齢幼虫」では、写真のように黄緑と黒のしま模様に変化し、黒いしまの部分には橙色の斑点が乗っている。体を吊っている糸が見えるので、「サナギ(蛹)」へと変身する態勢のようだ。

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翌日の朝、妻の呼ぶ声で庭に出てみると、たった一晩で、もう見事な「サナギ(蛹)」に変身していた。幼虫に比べ、こちらはちょっと地味目 ・・・。さて、羽化が楽しみだ。


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さて、今宵の「タンスの肥やし」、失礼、「香水」は、「モニカ・ドミニク/Monica Dominique」。女流です。アルバムは、「ティレグィナン/Tillägnan」。

「モニカ・ドミニク」。1940年生まれ。もう「ご長寿ピアニスト」といってもいいでしょう。北欧はスウェーデンの女流ピアニストで、作曲家、歌い手、また女優としても多彩な才能を発揮してる。もうよちよち歩きをする前から、ピアノのレッスンを始めた。そして、幼い頃から、音楽を一生の仕事にしていこうとも決めていたという。1957年には、「ストックホルム王立音楽アカデミー」に入学、その後「モニカ・ゼッタールンド/Monica Zetterlund」や「カーラ・ブレイ/Carla Bley」などといった大物とも共演し、キャリアを積んだという。1969年から1975年にかけては、どんなグループかイメージできませんが、ロック・ジャズ・クラシカル・グループ、「Solar Plexus」の創立メンバーとしても活躍、その後は、TV、映画など含め、多彩な活動を展開しているという。結構アヴァンギャルドなおばさんだったようだ。

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アルバム、「ティレグィナン/Tillägnan」は、夫となる「カール·アクセル/Carl-Axel Dominique」と創設した自主レーベルから、1980年に自らのピアノを中心としたトリオ編成でリリースされた、美メロアルバム。ほぼ全曲、モニカの自作曲で占められた甘く切ない曲は、ピアニストとしての才能と同時に、作曲家としての才能も感じさせてくれる。ベースの「ペレ・ダニエルソン/Palle Danielsson」はモニカの実弟だそうだ。

リリースの頃の若いモニカなんでしょうね、唇をツンと突き出し、キスをせがんでいるようなジャケットもいい。

ティレグィナン

モニカ・ドミニク・トリオ / ヴィヴィド・サウンド



タイトル曲になっている「Tillägnan」と言う曲は、「献身」と言う意味だという。テイク1、2がある中のテイク1の方を ・・・。

「Tillagnan I (Dedication I) - Monica Dominique Trio」

          

 北欧ジャズ界の仲良し姉弟が紡ぎ出す、穏やかで柔らかな調べ。実弟「パレ・ダニエルソン」とのデュオ・アルバムも出ているようです。

トゥギャザーネス

モニカ・ドミニク、パレ・ダニエルソン / プロダクション・デシネ



「ミッシェル・ルグラン/Michel Legrand」の名曲から ・・・。  

「The Summer Knows ‐ Monica Dominique & Palle Danielsson」

          
 


 
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by knakano0311 | 2014-08-19 23:04 | 音楽的生活 | Trackback | Comments(0)

久しぶりの快晴だぁ!

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台風、その後の寒冷前線のもたらした、ここ1週間近くの長雨からやっと解放され、今日は朝から晴れ。わたしの住んでる地域からは少し北に位置しているが、兵庫県の丹波地方や京都の福知山では大変な被害が出ている。わたしの地域でも、1時間に30~40mmくらいのびっくりするような豪雨で、週末の猪名川の花火大会も中止となってしまった。山沿いでは土砂災害もあったようだ。雨だけなら台風11号より多かったかも ・・・。一転の快晴。朝のうちは温度も湿度も低く、そこそこ風もあり、もう秋がそこに来ているような爽やかさを感じる。空も積乱雲と秋を思わすような筋雲とが混ざっているようだ。絶好の日和、さっそく湿っていた布団を天日干しに。今夜は、ふかふかの布団に ・・・。

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さて、今宵タンスから引き出してきたのは、日本を代表する「スウィンガー」といっていい「山本剛(つよし)」率いるトリオ。1948年、新潟県佐渡に生まれる。すぐに佐渡島より新潟に移り、小学生の頃からピアノを弾き始め、高校生時代に、「アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ/Art Blakey & The Jazz Messengers」の生演奏を聞き、その虜となり、ジャズ・ピアノを独学で習得したという。 1967年、日本大学在学中、19才でプロ入り。「ミッキー・カーティス/Mickey Curtis」のグループを振り出しに、英国~欧州各国を音楽修行をしたという。

1974年、レコード・デビューが「ミッドナイト・シュガー/Midnight Sugar」。ブルースのフィーリングとスイングするピアノがファンの注目を集め、続くセカンド・アルバム、「ミスティ/Misty」が大ヒット、その後数多くのリーダー・アルバム、共演アルバムを発表、人気ピアニストの地位を確立する。

そんな山本の御機嫌なトリオ・アルバムが、「恋に恋して/Falling In Love With Love」(2002)。オリジナルの1曲を除いて、全てスタンダードというのも嬉しい。彼は影響を受けたピアニストとして、「ミスティ」の作曲で知られる、「エロール・ガーナー/Erroll Garner」、「レッド・ガーランド/Red Garland」、「オスカー・ピーターソン/Oscar Peterson」らを挙げているが、山本のアメリカン・ジャズらしいスウィング感の楽しさとあふれる歌心を聴けば、それも納得ができるというもの。サポートは、「ジョン・クレイトン/John Clayton(b)」、「ビリー・ヒギンス/Billy Higgins(ds)」。

恋に恋して

山本剛トリオ / TDK



軽快にスウィングするタイトル曲、「Falling In Love With Love」。

「Falling In Love With Love - Tsuyoshi Yamamoto Trio」

          

豊かな歌心で聴かせるバラードは、「My One and Only Love」。

「Tsuyoshi Yamamoto Trio - My One and Only Love」

          

特筆すべきは、『「チェット・ベーカー/Chet Baker」に捧げる』と題されたバラード・メドレーだ。チェットの歌ものの代表曲である「Someone to watch over me / I fall in love too easily / I'm a fool to want you / Almost blue」の4曲をメドレーで聴かせる。ゲスト・シンガーは、山本がプロ活動をスタートした縁のある「ミッキー・カーティス/Mickey Curtis」。円熟の味で聴かせるは、「オーモスト・ブルー/Almost blue」。

「Meddley for Chet Baker - Tsuyoshi Yamamoto」
 
          
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by knakano0311 | 2014-08-18 22:44 | 音楽的生活 | Trackback | Comments(0)

盂蘭盆会に聴いてみた夭折のシンガー  ~カレン・ダルトン~

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ひところより大分減ったと言われるが、うるさいほどに鳴いている。「アブラゼミ(油蟬)」である。「アブラゼミ」という名前の由来は、鳴き声が油を鍋で熱したときに撥ねる「ジリジリ」という音に似ているため、「油が撥ねる音の様に鳴く蝉」から「油蝉(アブラゼミ)」と名付けられたとされている。ウォーキングする耳に一際際立って飛び込んでくるその鳴き声。

セミの寿命は地上に出てから、1週間くらいと短命の代表のように言われてきたが、実際にはもっと長く生きるようだ。羽化後、天敵(鳥やカマキリ、人間など)に襲われなければ、3週間~1ヶ月程度だそうで、幼虫として地下での生活をする期間は3-17年(アブラゼミは6年)に達し、短命どころか昆虫類でも上位に入る寿命の長さをもつという。(Wikipedia参照)

俗説である短命という蝉の寿命になぞらえるわけではないが、お盆近くになると、時々早世の女性シンガーを聴き、彼女らを偲んでブログを書く。 (参照拙ブログ「夭折のミューズたち ~盂蘭盆に偲ぶ~」「早逝のシンガー・ソングライターが誘う癒しの世界」 など)

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さて、今回は聴いてみたのは、たまたまYOUTUBEで知ったフォーク・シンガー、「カレン・ダルトン/Karen Dalton」。やや甲高いハスキーなかすれた声 ・・・。「そのバックボーンに何かある」と直感するほど特徴的な声である。調べてみると、エキセントリックな行動と、アルコール、麻薬漬けの生活を送り、商業的な成功もおさめることなく、たった2枚のアルバムを残して、最後はホームレスのような生活を送って、55歳の若さで死去したという。しかし、12弦ギターとバンジョーを弾きこなし、「ボブ・ディラン/Bob Dylan」の自伝には、「彼女は僕の一番好きな女性ブルースシンガーだ。・・・ ビリー・ホリデーのような声を持ち、ジミー・リードのようにギターを弾き、そのスタイルを貫いていた」と記述されているという。そして、彼女の死後10数年たってから、やっと評価され、未発表音源を収録した盤が発売された。

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「カレン・ダルトン」。1938年7月19日にオクラホマ州で生まれ育つ。母親は純粋のチェロキー族であるというから、写真からもそんな感じが窺えるように、ネイティブ・アメリカンの血を強く引いている。1,000キロの道のりを真冬に徒歩で強制移住させられたという悲劇の部族チェロキー族の血を ・・・。1960年代初頭のNY、グリニッジ・ヴィレッジのフォーク・シーンに、突然彗星のごとく登場したという。彼女はソングライターというよりも、トラディショナルやフォーク・ソングを自分の色や世界に作り替え、そのオリジナルな世界で聴く人を魅了した。、そんなことから、ジャズシンガーの「ニーナ・シモン/Nina Simone」や「ビリー・ホリデイ/Billie Holiday」等と並べて語られることも多い。

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寡黙で、繊細な雰囲気を持つ彼女は、「フレッド・ニール/Fred Neil」や「ボブ・ディラン」等、当時のフォーク・シーンのトップ・アーティストをたちまち虜にしたが、彼女は極端に人前に出る事を恥ずかしがる繊細な性格だったため、ファースト・アルバムは、「フレッド・ ニール」のアルバムを制作する際に、スタジオで行われたセッションをこっそり録音して制作しなければならない程だったという。そんな性格のためか、商業的には成功することなく、1980年後半には悲惨な生活を送り、アルコール中毒と薬物漬けになって、たった名盤2枚を残して、1993年、ニューヨークで死去した。1969年、「It's So Hard To Tell Who's Going To Love You The Best」と、1971年、「In My Own Time」の2枚 ・・・。(Wikipedia など参照)

「フレッド・二ール」のカヴァーで始まるファースト・アルバム、「It's So Hard To Tell Who's Going To Love You The Best」は、弾き語り。この時代にありがちな反戦歌などを声高に歌うのではなく、色濃く反映されているのは、彼女の生活体験に深く根ざしているように思える独自のブルースと言ってもいいような世界。

It's So Hard To Tell Who's Going To Love You The Best

Karen Dalton / Megaphone



聴いてみましょうか、ただひたすら迫害され続けたインディアンの末裔が歌う静謐でブルージーな歌声を ・・・。フルアルバムがアップされていました。

「Karen Dalton - It's So Hard to Tell Who's Going to Love You the Best (Full Album)」
 
          

セカンド・アルバムはトラディショナルに加え、「パーシー・スレッジ/Percy Sledge」の「男が女を愛する時」や「ザ・バンド/The Band」の「In a Station」のカバーなど。ストリングスなどを含むバンドがサポートしています。

In My Own Time

Karen Dalton / Light in the Attic



これもフル・アルバムがアップされていました。

 
「Karen Dalton - In My Own Time (Full Album)」

          
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by knakano0311 | 2014-08-17 00:02 | ミューズたちの歌声 | Trackback | Comments(0)