大屋地爵士のJAZZYな生活

里山の語り部としても

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 秋晴れの空の下、今日も台場クヌギの伐採。気温も、太陽も、わずかに吹いてくる風も、チェーンソーの唸る音も、心地よい。汗を拭うのは、久しぶりである。作業をしていると園内を散策している人から、「どうして木を伐っているんですか? 何の木ですか? どうするんですか? 皆伐しても大丈夫ですか?」などの質問を結構受ける。菊炭のこと、地域の伝統文化だった炭焼きのこと、台場クヌギのこと、そして里山と人々の暮らしのことなど ・・・。そんなことを来園者にわかりやすく語るのも、森林ボランティアの重要な役目である。

 こんなに天気が良かった日の夜は、空気が澄んで、一段と月が綺麗。そんな夜に聴くのは、「大石学」のピュアなピアノ。

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 「大石学」。1963年、横浜生まれのジャズピアノ・キーボードプレイヤー、編曲家。「ヤマハ ネム音楽院」卒業後、プロとしての活動をはじめる。「阿川泰子」、「松山千春」、「野口五郎」等のレコーディング・コンサートツアーに参加しつつキャリアを積んだという。私が知っているだけでも、「レディ・キム/Lady Kim」、「ケイコ・リー」、「伊藤君子」、「石野見幸」、「土岐麻子」などとのレコーディングやステージに、アレンジャー、歌伴として参加している。

 1997年に初リーダー・アルバム「Tears Rained Down」をリリース。2002年、「イーストワークス・エンターティメント(ewe)」より、「大石学トリオ」の1st「PAITED DESERT」を発表、以後2005年までの間にトリオ名義で4枚、トータルでは7枚のアルバムをeweから発表している。 また、2010年からは、澤野工房から、「Water Mirror」「Gift」「ETERNAL」などをリリース。その澄み切った音色と、静寂の「間(ま)」の絶妙なバランスにいつも魅かれてしまう。

 アルバム、「Water Mirror」と「Eternal」に収録されている曲から、ソロのメドレー。静かで穏やかな夜を思わせる「Calm」、「Winter Waltz」。彼自身の言葉によると、「WATER MIRROR=明鏡止水」だという。「ただただ、美しい音を出そう」という一念で奏でたその美しい響きが、鏡のように磨き上げられたような水面を波紋のように拡がっていく。

WATER MIRROR

マナブ・オオイシ / 澤野工房



ETERNAL

マナブ・オオイシ・トリオ / 澤野工房



「Calm ~ Winter Waltz - 大石学」

          

 アルバム、「TOSCA」からタイトル曲を。

TOSCA

大石学 / インディペンデントレーベル



「TOSCA - 大石学」

          

 ソロ・アルバム、「Water Mirror」に収録されている、「After The Rain」。アルバムからのアップがありませんでしたので、サックス奏者「土岐英史」との演奏で。

「Hidefumi Toki & Manabu Ohishi - After The Rain」

          
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# by knakano0311 | 2017-11-11 09:52 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

炭焼き三昧の日々が始まる

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 さあ、今年も始まった炭焼きへの準備作業、台場クヌギの伐採。私にとっては、8年目の炭焼きである。平均年齢70歳を超えてもなお、急斜面で伐採作業を頑張る仲間の爺さんたち。やはり皆んな山作業や炭焼きが好きなのである。どうやったらより美しい菊炭が焼けるのだろうか。伐採作業をしながらも、年が明けたら始まる炭焼きへの工夫や段取りについて思いを巡らす。これから4ヶ月、炭焼き三昧の日々。

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 さて、今宵聴くのは哀愁のラテン。スペインは、フラメンコの歌い手、「フラメンコ・カンタオール/flamenco cantador」と呼ばれる「ディエゴ・エル・シガーラ/Diego el Cigala」。その嗄れ声が魅力の歌い手ですが、彼が、キューバ・ジャズの「ゴッドファーザー」とも呼ばれる、キューバ音楽界の伝説的ピアニスト、「ベボ・バルデス/Bebo Valdés」とコラボしたアルバム、「ラグリマス・ネグラス/Lagrimas Negras(黒い涙)」。

 「ディエゴ・エル・シガーラ」。マドリッド出身、1968年生まれ。私はフラメンコの世界はよく知りませんが、この世界で絶大なる人気を持っているという。その「エル・シガーラ」が、「ベボ・バルデス/Bebo Valdés」と組んで、2003年に発表したのが、「ラグリマス・ネグラス/Lágrimas negras(黒い涙)」。このアルバムは、世界的大ヒットとなり、2004年のラテン・グラミー賞の最優秀トラディショナル・トロピカル・アルバム賞を受賞したという。

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 「ベボ・バルデス/Bebo Valdés」。1918年、キューバ、ハバナ出身。1950年代のハバナのナイトクラブでピアニストとしてキャリアをスタートさせ、キューバ音楽の黄金期に活躍したが、1960年に「フィデル・カストロ/Fidel Castro」率いる革命政権樹立後キューバを去り、どのような政治信条であろうとも、独裁的な政権のある場所には二度と戻らないという本人の意思から、妻の故郷のストックホルムに住み、その後一度もキューバを訪れていないという硬骨の音楽家。76歳となった1994年にリリースしたアルバムをきっかけに、再度世界的な表舞台に立つこととなった。さらに、2003年制作の「Lágrimas negras(黒い涙)」が大ヒットを記録、普通のミュージシャンならとっくに引退している歳になって、初めて世界的な評価を獲得したのである。そして、2013年、95歳でその波乱の生涯を閉じた。

 「Lágrimas negras(黒い涙)」は、失恋した心の痛みを歌ったキューバの名曲。このアルバムは、キューバ音楽とフラメンコというジャンルを越えたいわば、フュージョンの傑作である。

「♪ あなたが去ってしまったので深く傷ついてしまったわ
    あなたの知ら ない所で私は涙にくれる
      私の命のような黒い涙をながして 
        ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ♪」

 フラメンコ独特の絞り出すような嗄れ声、キューバのリズムに乗って哀愁ほとばしるピアノ、言葉に詰まり、胸の奥深いところに、深々と沁みてくるような嘆き節 ・・・・。かって、スペインを旅し、こんな嗄れ声を幾度となく聴いたフラメンコ酒場を思い出す。

Lagrimas Negras

Bebo Valdes & Diego El Cigala / Bmg



「Bebo Valdés & Diego El Cigala.- Lágrimas Negras (Black Tears)」

          

「Bebo Valdés & Diego El Cigala.- Corazón Loco」

          

「Bebo & Cigala - Veinte años」

          

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 「ディエゴ・エル・シガーラ」。キューバ音楽だけでなく精力的にコラボをしているようだ。2010年4月には、ブエノスアイレスで、バンドネオンの「ネストール・マルコーニ/」、ギターの「フアンホ・ドミンゲス/」達とタンゴ音楽を分かち合うコンサートを行っている。そのライブ・コンサートの模様を、自身のアルバム、「シガーラ&タンゴ」やとしてまとめられ、YOUTUBEにアップされていました。圧倒的な迫力で迫りくるその凄まじいばかり哀愁。スペイン語が分からない私でも、ただ陶然とする。

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Cigala & Tango CD, Import
Diego el Cigala



「ディエゴ・エル・シガーラ/シガーラ&タンゴ ~ コンサートinブエノスアイレス」
   
          
  


  
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# by knakano0311 | 2017-11-10 13:30 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

主役はやはり紅葉

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 燃えるような紅葉。朝夕の寒暖の差が激しいので、今年の色付きは見事。今、公園の主役はやはり紅葉。近隣の施設から多くのお年寄りが訪れていた。紅葉を脇目にクヌギの伐採へと向かう。

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 さて、今宵のお久しぶり歌姫は、「サーシャ・ダブソン/Sasha Dobson」。1980年、カルフォルニア州サンタクルーズで生まれ、ニューヨークを拠点に活動するシンガー・ソングライター。父はジャズ・ピアニスト、母は歌手、兄はドラマー&ヴィブラフォン奏者という音楽一家に育ち、5歳から、「ザ・ダブソン・ファミリー・バンド/The Dobson Family Band」で、家族と共にジャズを歌ってきたという。カリフォルニアで開催される「モントレー・ジャズフェスティバル/the Monterey Jazz Festival」、1991年に家族でエントリーしたときは、彼女は何と12歳だったという。

 デビュー・アルバムは、2006年にリリースされた「モダン・ロマンス/Modern Romance」ということになっているが、実際は、「The Darkling Thrush - Sasha Dobson with The Chris Byars Octet」(2004)であるという。自由奔放というか、その荒削りの歌い方にちょっと魅力を感じたのがきっかけ。2008年に、彼女と「ノラ・ジョーンズ/Norah Jones」、「キャット(キャサリン)・ポッパー/Catherine Popper」の女子三人によって結成されたカントリー・バンド、「プスン・ブーツ/Puss N Boots」(「長靴をはいた猫」の意味)が、アルバム、「No Fools, No Fun」をリリースして、ちょっと話題になったこともある。

 アルバム、「モダン・ロマンス」から、「ノラ・ジョーンズ」の出世作、「Don't Know Why」の作詞・作曲を手がけ、本作もプロデュースしている「ジェシー・ハリス/Jesse Harris」の作詞・作曲のボッサ・テイストが心地よい「Without You」を。

【  Without You 】   by Jesse Harris

「♪ So you roam, and you roam     あなたは一つところに落ち着けないのね
  You say that no place is your home  ここは俺のホームと違うと言ってね
  So I will roam too           だから私もまた一つところに落ち着けない

  I don't wanna stay, without you    あなたと一緒じゃなけりゃいやなの
  There's nothing here, nothing here    だって何もないから
  It's time for me to disappear       もし愛が続かなければ
       if love won't come through     わたしは消えるわ

  I don't wanna stay without you      だってあなたと一緒じゃなけりゃいやなの

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」


モダン・ロマンス

サーシャ・ダブソン / プランクトン



「Sasha Dobson - Without You」

          
   


   
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# by knakano0311 | 2017-11-09 14:01 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

路傍の花、樹々の鳥(187) ~ 実家の庭を思い出しながら哀愁のモルナを聴く ~

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 ウォーキングの道筋に咲くのは「ツワブキ(石蕗、艶蕗)」。つやのある大きな葉を持っており、毎年秋から冬に、菊に似た黄色い花をまとめて咲かせる。そのため「石蕗の花(つわのはな)」は、日本では初冬の季語となっているという。母が好きで、実家の庭にも咲いていた花。

 さて、今宵は哀愁のラテン。「セザリア・エヴォラ/Cesária Évora」。大西洋の中央、北アフリカの西沖合いに位置する「カーボ・ベルデ共和国/Republic of Cabo Verde」出身で、同国を代表する音楽ジャンルである「モルナ/Morna」の女性歌手。

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 この「モルナ」、哀愁を帯び、ゆったりとしたメロディーが特徴の音楽で、悲しみやあこがれ、郷愁などをテーマにした歌が歌われることが多いという。15世紀から1975年までポルトガル領であったことから、ポルトガルのファドに極めて近いトラディショナルなフォーク・ソング、いわば日本の歌謡曲にあたる音楽のようだ。その「モルナ」にアフリカン・ブルースを融合させ、独特の哀愁感、寂寥感漂うバラードに仕立てたのが、「セザリア・エヴォラ」である。

 「セザリア・エヴォラ」。1941年、生まれ。もともとは国内の盛り場で歌を歌って糊口を凌ぐ生活を送っていたが、40代半ばの1988年、パリに渡り、47歳という年齢で制作したメジャー・デビューアルバム、「裸足の歌姫/La Diva aux pied nus」で一躍世界の注目を集めた遅咲きのディーヴァである。1992年にフランスでリリースしたCDの中に収められた曲、「ソダージ/Sodade」が大ヒットし、その後世界各地で活躍するようになったという。1995年、「Cesaria」がグラミー賞ベスト・ワールド・ミュージック・アルバムにノミネートされ、2004年には「Voz d’Amore」で、グラミー賞ベスト・コンテンポラリー・ワールド・ミュージック・アルバムを受賞している。2011年12月17日、70歳で生涯を終えたが、「マドンナ/Madonna」を始めとして、多くの若い世代のミュージシャンに影響を与えたという。「モルナ」という音楽は、人生の苦痛を音楽で表現したブルースのようなもの」と彼女は語っている。(Wikipediaなど参照)

The Essential Cesaria Evora

Cesaria Evora / Masterworks



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Best of CD, Import
セザリア・エヴォラ
RCA Victor Europe




 世界的にブレイクするきっかけとなった、「ソダージ/Sodade」などを ・・・。

「Cesaria Evora - Sodade」

          

「Cesaria Evora - Ingrata」

          

「Besame Mucho ー Cesaria Evora」

          
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# by knakano0311 | 2017-11-07 10:07 | 地域の中で・・・ | Trackback | Comments(0)

シニアたちの文化祭

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 この連休は、我が団地の「グリーン・フェスタ」。文化祭である。我が団地、昭和40年代に開発された5000戸を超える大規模団地であるが、昨今、高齢化率が35%を超え、40%になるのも時間の問題である。しかし、シニア層の趣味の活動が、大変盛んである。絵画、写真、手芸、書道、能面彫り、絵手紙、盆栽、園芸、フラダンス、フラメンコ、詩吟、コーラス、ギター&マンドリン、日舞、古代史研究、ウォーキング、太極拳、将棋、囲碁、麻雀、カラオケ ・・・・、数十はあるだろうか、とても数えられないくらい。よくもこんなに趣味のサークルがあるもんだと感心する。したがって文化祭、展示の部も、発表の部も場所割りや時間調整が大変だと聞く。出展する方も、見る方もシニアばかりであるが、この2日間は多くのシニアたちでたいへん盛り上がる。そしてこの、「グリーン・フェスタ」が終わると「立冬」、急速に冬に近づていく。印象に残ったのは、園芸部門に出展されていた「ダイモンジソウ(大文字草)」の鮮やかな色。

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 今宵の曲は、「オータム・ノクターン/Autumn Nocturne」。スウィング時代にヒットした失恋を歌ったこのスタンダードも。作詞は、「キム・ギャノン/Gannon」、作曲は「ジョゼフ・マイロー/Josef Myrow」。

 そして、歌姫は、いまや現役最年長の女性ジャズ歌手の一人に数えられる「キャロル・スローン/Carol Sloane」。,1937年生まれというから、御年80歳。ロードアイランド州の出身で、14歳のときにプロとして芸能活動に入ったという。1970年代にしばらく活動が低迷したが、1980年代に活動を再開させ、円熟したジャズ・シンガーに成長した。最近は、主に日本で演奏活動を行い安定したファン層を獲得し、さらに米国北東部やニューヨークでも活動を続けているという。

【 Autumn Nocturne 】

「 ♪ When autumn sings her lullaby   秋が子守歌を歌い
    And green leaves turn to gold   緑の葉が黄金色に変わるとき
    Then I remember last September  去年の九月を思い出す
    You and I said goodbye       互いに別れたあの九月を
    Whispering that we would be returning また九月が来たら
    When autumn comes again       逢おうと囁いたあの九月を

    Now autumn roams the hills once more いま、秋がまた山々にやってきたのに
    But you forgot your vow    君はあの約束を忘れてしまったの
    Now here am I with, alone with only memories  僕は今ここにたったひとりぼっち
    Only lonely memories, autumn memories of you  あの秋の思い出を抱いて

       ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  ♪」

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The songs Carmen sang
キャロル・スローン/ Carol Sloane
Concord Records




「Carol Sloane ー Autumn Nocturne」

          

 この美しいバラード、演奏で聴くのも味があります。多くのアーティストの演奏が知られていますが、今宵は、泣かせのテナー、「スコット・ハミルトン/Scott Hamilton」の演奏で ・・・。アルバムは、「ノクターン・アンド・セレナーデ/Nocturnes And Serenades」。パーソネルは、「Scott Hamilton - tenor saxophone」、「ジョン・ピース/John Pearce - piano」、「デイヴ・グリーン/Dave Green - bass」、「スティーヴ・ブラウン/Steve Brown - drums」。

Nocturnes & Serenades

Scott Hamilton / Concord Records



「Autumn Nocturne - Scott Hamilton」

          

   
    
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# by knakano0311 | 2017-11-06 13:31 | 地域の中で・・・ | Trackback | Comments(0)

ルーペの中の驚くべき世界

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 何やら地面に這いつくばっている怪しい一団。今日は、「兵庫県立 人と自然の博物館(ひとはく)」の秋山弘之先生の指導で、公園の「コケ(苔)」の観察会。観察といっても、肉眼ではなかなか難しいので、どうしても地面に這いつくばったり、ルーペによる観察となってしまう。普段全く気にも留めない苔。しかし、最近苔の人気が高まっているとも聞く。観察は初めてであるが、話を聞くと、ルーペの中に驚くべき世界が拡がっていた。

 ここからは受け売り。間違っていたらご容赦を。「コケ(苔)」類は「セン(蘚)」類、「タイ(苔)」類それに「ツノゴケ」類の3類に分けられるが、「苔」には根が無いので水分、養分は空気中から吸収するので、土壌を必要としないという。土や木に生えている様にも見えるが、ただ乗っかっているだけだという。干からびているようにみえる苔に、霧吹きで水分を与えると、瞬く間に葉が広がるのが観察できた。

 普通の植物と同じように、幹、茎、枝、葉の構造を持っていて、光合成作用、炭酸同化作用を行うという。驚くべきは繁殖。雄株の造精器で作られた鞭毛を2本持つ精子が、雨などによって水に触れた時に泳ぎだし、雌株の造卵器で作られる卵細胞と受精し、受精卵がつくられ、それが胞子嚢(のう)内で胞子体に成長し、それによって行われるという。

 そんな世界がすぐ身近な足元に拡がっていたとは全く知りませんでした。苔、恐るべし。写真は、いずれも蘚類、星型の葉が鮮やかな「エゾスナゴケ(蝦夷砂蘚)」と秋から冬にかけて形成される「胞子嚢(のう)」がはっきりわかる「コスギゴケ(小杉蘚)」。

 今宵は、爺さんのデュオ。「アーチー・シェップとマル・ウォルドロン/Archie Shepp & Mal Waldron」である。昔々、50年以上も前、「マル・ウォルドロン」のアルバムに、「ビリー・ホリデイ/Billie Holiday」(1915年~1959年)が作詞、彼女の最後の伴奏者を務めたマルが作曲した「レフト・アローン/Left Alone」という一世を風靡した曲がある。「ジャッキー・マクリーン/Jackie McLean」のアルトサックスにむせび泣いたものです。

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 そのビリーが亡くなって42年後、2002年2月にパリで録音されたアルバムが、「追憶 ~ レフト・アローン/Left Alone Revisited」。冒頭、マル自身による「Left Alone」の詩の朗読があり、ゆっくりとした噛み締めるようなシェップのサックスが流れ出す。透明感があるマルのピアノが絡み、「レディ・デイ/Lady Day」と呼ばれたのビリーの歌を今に蘇らせる。やや湿度が高く、感傷的に流れた感じがある「マル・ウォルドロン+ジャッキー・マクリーン」バージョンに比べ、かつて前衛派でならした二人が人生の重みを感じさせる枯れた枯淡の味わいが印象的。

 「マル・ウォルドロン」、1925年生まれ。最初の「Left Alone」吹き込みは、1960年、当時35歳であった。それから42年後の2002年パリ、76歳。そしてこの演奏を最後にしてこの年の12月、ベルギーのブリュッセルで亡くなってしまった。77歳。「アーチー・シェップ」、1937年生まれ。録音時は65歳、現在80歳。まだ現役で活躍中とか。年老いた二人、魂のこもったプレイが胸を揺らす。ビリーはこの曲を気に入り、晩年ステージでも歌っていたというが、残念ながら彼女自身の録音は残されていない。

【 Left Alone 】   lyrics by Billy Holiday

「♪ Where's the love that's made to fill my heart  心を満たしてくれる愛はどこにあるの
   where's the one from whom I'll never part   決して別れないと思ったあの人は何処
   first they hurt me, then desert me       皆んな私を傷つけては去っていく
   I'm left alone, all alone             私は残され たったひとり

   There's no house that I can call my home    ホームと呼べる家もなく
   there's no place from where I'll never roam もう彷徨わなくてもいいと思った場所もなく
   town or city, it's a pity              街でも都会でも 惨めなだけ
   I'm left alone, all alone             私は残され いつもひとり

   Seek and find they always say         求めれば得られると人は言う
   but up to now, it's not that way      しかし今になっても それはないものねだり

   Maybe fate has let him pass me by   彼が去っていったのは運命だったかも知れない
   or perhaps we'll meet before I die    でも私が死ぬ前にもう一度会えるだろうか
   hearts will open but until then       彼に会えればきっとお互の心は開く    
   I'm left alone, all alone          それまではたったひとり ひとりぼっち ♪」
  
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Left Alone Revisited CD, Import
Archie Shepp, Mal Waldron
Enja




「Archie Shepp & Mal Waldron - Left alone」

          
   
 聴き比べてみますか。「Left Alone」。

レフト・アローン

マル・ウォルドロン・フィーチャリング・ジャッキー・マクリーン / EMIミュージック・ジャパン




「Left Alone ー Mal Waldron &Jackie Mclean」


          
  


  
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# by knakano0311 | 2017-11-04 13:32 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

色彩の競演始まる

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 連日の冷え込みを受け、紅葉が一段と進んでいる。「エノキ(榎)」と「コナラ(小楢)」あるいは「ケヤキ(欅)」と「クヌギ(櫟、椚)」の黄色競演。そこに割って入る「ナナカマド(七竈)」の赤。「イロハモミジ(いろは紅葉)」もわずかに色づき始めた。色彩の競演、これからが本番である。

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 今宵は、男性ボーカル、「ホセ・ジェイムズ/José James」。しかも、異色の組み合わせもといえる、ベルギー出身のジャズ・ピアニスト、「ジェフ・ニーヴ/Jef Neve」とのデュオです。アルバムは、「フォー・オール・ウィ・ノウ/For All We Know」(2010)。

 「ホセ・ジェイムズ」は1978年、ミネソタ州ミネアポリス出身で、ジャズ、ソウル、エレクトロ、ヒップホップなどを融合させた新しいジャズ・ヴォーカルのスタイルが人気のボーカリスト。ちょっと前に取り上げた、日本人で始めて「ブルー・ノート」と専属契約をしたトランペッター、「黒田卓也」など日本のアーティストとの関わりも多いようだ。

 アイリッシュ系の母親と、ミュージシャンであるパナマ人の父親の間に育つ。子供のころはR&Bやヒップ・ホップに熱中していたが、14歳の時に「デューク・エリントン/"Duke" Ellington」の音楽に出会って以降はジャズに傾倒。中でも「ジョン・コルトレーン/John Coltrane」に強く影響を受けたという。

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 やがて、ロンドンで、「アシッド・ジャズ/acid jazz」のレーベルより2007年にデビューし、そのジャンルを超えてアピールするやわらかい歌声で人気を呼んだ。一度、そのデビュー・アルバム、「The Dreamer」を期待の新星として紹介したことがある。(参照拙ブログ「連休もいつものように山遊びをする」) 「インパルス」レーベルを経て、2012年に「ブルー・ノート」に移籍し、現在に至っている。トレード・マークは、ヤンキース・キャップにスニーカー。その姿から繰り出される声は、意外とセクシーなバリトン。彼の登場は実に華々しく、ジャズ・ボーカルの歴史を塗り替えたとまで言われた。

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 一方、「ジェフ・ニーヴ/Jef Neve」は、1977年生まれのベルギー出身のピアニスト。2003年のデビュー作以来、発売するアルバムはベルギー国内のジャズ・チャートで常に1位を獲得。レマンス音楽院でジャズと室内楽を学び、クラシック分野でもフランドル放送管弦楽団のためのピアノ・コンチェルトを書き下ろすなど幅広く才能を発揮しているという。

 私自身は「The Dreamer」後、ホセを聴くことはあまりなかったが、たしか2013年頃であったか、名門インパルス・レーベルに移籍した第一弾のこのアルバム「For All We Know」を聴いて、再び関心が高まった。ホセが本格的ジャズへの取り組みを志したのか、取り上げている曲が、全てスタンダード中のスタンダード。ふたりがリラックスしているようでいて、その実、緊張感を絶やすことなく絶妙に絡み合う。ピアノとボーカルのデュオ、女性専科とばかりと思っていたが、「トニー・ベネット&ビル・エヴァンス/Tony Bennett & Bill Evans」、「エルヴィス・コステロ&バート・バカラック/Elvis Costello & Burt Bacharach」などが思い出される。そんな系譜に連なる数少ない男性ボーカル+ピアノのデュオの名盤といってもいいのではないだろうか。

 このスタンダード集を聴くと、「境界線を一切作らない、表現方法でカテゴリー分けをしない、表現を自由にしてみたい」というホセの言葉が納得できる。しかし本音を言えば、当時、私は彼の歌に魅せられたのか、「ジェフ・ニーヴ」の絶妙の歌伴ピアノに魅せられたのかよくわからないくらい印象的なピアノであった。久しぶりに聴いてみて、もっと、「ジェフ・ニーヴ」を聴いてみようかと思う。

フォー・オール・ウィ・ノウ

ホセ・ジェイムズ&ジェフ・ニーヴ / ユニバーサル ミュージック クラシック



「Embraceable You - Jose James & Jef Neve」

          

「Jose James & Jef Neve - When I Fall In Love」

          

「José James & Jef Neve - Tenderly」

          
   

「Body And Soul - Jose James & Jef Neve」

  
          

  


  
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# by knakano0311 | 2017-11-03 10:05 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)