大屋地爵士のJAZZYな生活

原風景の秋へ ・・・・

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あちこちから「紅葉だより」が届きだした。今年の紅葉ドライブはどこにしようかと、迷いましたが、京都の北部丹南市美山町、北村にある「かやぶきの里」へと車を走らせた。我が家から1時間40分ほどのドライブである。美山町は京都と日本海の若狭・小浜との中間に位置し、「鯖街道」と呼ばれた「周山街道」が町を貫いている。気候は日本海側に近いため、この日も時折、時雨模様。亀岡から無料化実験を行っている京都縦貫道路へ乗り、園部ICで降りて府道19号を北へ走ると、すぐに両側は杉の緑と広葉樹の紅葉とが織り成す、見事な綾錦の里山が延々と続く。黄色はブナ、ミズナラ、コナラ、クヌギ、赤色はサクラ、カエデ、モミジであろうか。本当に息を呑むような美しさである。畦や農道、畑、里山がきちんと手入れがされているのも見て取れる。そんな景色のなかに、かやぶき屋根や、この地域独特の伝統的な農家が点在している。まさに「日本の原風景」のなかにタイム・スリップしたような気になる。

やがて、綾錦に染まった山裾にかやぶき屋根の集落が見えてくる。目的地の国の重要伝統的建造物保存地区に指定されている「かやぶきの里」である。この里、北村地区は冬は豪雪地帯、その谷間のゆるい傾斜地に寄り合うように住まいが密集した、日本のどこにでもあるような山村である。現在50戸ほどある集落のうち、38戸がかやぶき屋根の建築で、岐阜県白川郷や福島県大内宿に次ぐという。最古のものは、寛政8年(1796年)建築、多くが19世紀中ごろまでの江戸時代に建てられているという。

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集落内をゆっくりと散策してみる。菩提寺、先祖代々の墓、鎮守の森、八幡様、かやの茂る茅場 ・・・。静かでゆったりとした時が流れているようである。この里は博物館的に建物を保存しているのでなく、50戸全部に人が住んでいて、現実の生活が営まれているのである。会話、洗濯物、農機具、季節の花が咲く庭、熟れた柿 ・・・ 。ときどき時雨れてくる濡れた道を歩いていると、傍らから流れてくる生活の息遣い。お地蔵さんの置かれている辻からひょいっと懐かしい顔に会えそうな気がする。

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そんなかやぶき集落の一角に、「ちいさな藍美術館」はあった。京都市内からこの地に移り住んで30年近くなるという、藍染め作家「新道弘之」さんの自宅兼工房兼美術館である。築二百年超という、かやぶき古民家の一階には、藍染の工房が、二階には自作品とコレクションが開かれている。古民家でみる藍染、ここもまた静寂と懐かしい雰囲気が漂う空間。

「国の保存地区に指定され予算がつき、保存活動もだいぶやり易くなった。何にもまして若い屋根葺き職人が住みだしたことが大きい。」と語る新道さん。伝統をずっと保存していくには、お金ももちろん大事であるが、何よりも技を伝承していく「人」が要なのである。懐かしい「原風景」の村と生活が「村おこし」になった ・・・ 。

売店でこの地の名産に加えて、大麦を炒って挽いた粉を水飴にまぶした「はったいこ飴」を買い求め、そのなつかしい味を口の中に含みながら帰路についた。

この「原風景」、「サウダージ・ドライブ」のお供は、やはり「ボサノバ」。まずは、オーストリア出身という「シモーネ/Simone」の最近のアルバム、「アロマ・ハワイ」。有名なハワイアン・ナンバーをボッサ・アレンジした、いわゆる「フェイク・ボッサ」。ミスマッチと思いきや、これがボサノバにも、この秋の季節にもよく合うのだ。この「ほっこりボッサ」を聴きながら、12月中旬の気温という寒気の中、秋深まる丹波路をゆっくりと走る ・・・ 。

アロマ・ハワイ

シモーネ&ハワイアン・ジャズ・バンド / ヴィーナスレコード



もう一枚は、ベテラン・アルト奏者の「リー・コニッツ/LEE KONITZ」が、「A.C.ジョビン」に捧げたボッサ・アルバム「ブラジリアン・ラプソディ/BRAZILIAN RHAPSODY 」。美しいメロディをじっくりと、軽快に若手プレイヤーたちと歌いあげるコニッツのアルトが耳に心地よい。1995年NY録音。

ブラジリアン・ラプソディ

リー・コニッツ&ザ・ブラジリアン・バンド / 徳間ジャパンコミュニケーションズ



上記アルバムから、「メナーニ・モサ/MENINA MOCA (若い娘)」
 
          

 
 
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# by knakano0311 | 2010-11-16 09:47 | 我が家の歳時記 | Trackback | Comments(0)

60歳過ぎたら聴きたい歌(63) ~ お山の子守歌~

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昨日、次男夫婦に子どもが産まれた。女の子。初孫誕生で私たち夫婦も、名実ともに「爺さん婆さん」になったわけである。予定日より1週間くらいたっていたので、妻は少しやきもきしていたようだ。早速病院へ行ってきたが、硝子越しに寝顔を見ただけなので、我が子の時とは違って、正直まだ格別の実感はわかない。じわっと湧いてくるのかな。だが、孫ができたらきっと聴きたくなるだろうと、ずっと思っていた歌がある。子守歌である。JAZZのナンバーのなかにも、「木の葉の子守歌」、「バードランドの子守歌」、「ロシアン・ララバイ」などと子守歌はいくつかあるが、聴きたくなるだろうと思っていた子守歌は、「Hushabye Mountain/お山の子守歌」。

「hushabye」という英語は、「ねんねんころりよ、ねんねしな」という意味らしいが、この「Hushabye Mountain(お山の子守歌)」の美しくやさしいメロディーは、ミュージカル映画「チキ・チキ・バンバン/Chitty Chitty Bang Bang」(1968年公開)の挿入歌として有名な子守歌である。なんと、007シリーズで知られる「イアン・フレミング/Ian Fleming」の童話を原作とし、「ロアルド・ダール/Roald Dahl」が脚本を手がけている幻想的なミュージカル映画。

英語歌詞はこちらをクリック。

【 Hushabye Mountain (お山の子守歌) 】 
                   作詞・作曲: R.B.Sherman/R.M.Sherman

「♪   ねんねん山から柔らかな風が
     ララバイ湾をこえて優しく吹いてくるよ
     その風は帆を一杯に膨らますの
     悩みを吹き飛ばす航海へ旅立つ船のね
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
     さあ目を閉じておやすみ
     今日一日にさよならをして

     夢の中で船をごらんよ
     ララバイ湾から遠くへ旅立って行くんだよ ♪」


男やもめで二人の子連れの発明家(D・ヴァン・ダイク)は生活力はないが、夢多き好人物。その空を飛ぶ改造オンボロ車で楽しい冒険の旅に出る。

チキ・チキ・バン・バン [DVD]

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おすすめの「Hushabye Mountain(お山の子守歌)」は、我がJAZZミューズ「ステイシー・ケント/Stacey Kent」のアルバム「Dreamsville」からの歌唱である。

Dreamsville

Stacey Kent / Candid Records



母パペットがステイシーの歌にあわせて歌う、なんとも可愛らしい動画。健やかに育ってほしいし、子どもを育てることで息子夫婦も成長してほしい。そんな願いをこめて、「Hushabye Mountain by Stacey Kent」。

          

そうそう、JAZZスタンダードに、こんな曲もありましたね。「A Child Is Born」。こちらは、例のジョーンズ三兄弟(ハンク、サド、エルヴィン)の次男、「サド・ジョーンズ/Thad Jones」の曲に、「アレック・ワイルダー/Alec Wilder」が詩をつけた、これもなんとも美しい曲。こちらのほうが、今の私の心境に近いかもしれない。

英語歌詞はこちらをクリック。

【 A Child Is Born 】    作詞;Alec Wilder  作曲;Thad Jones

「♪  いま夜から出でて
    夜明けのように新しい
    光の中へ
    この児よ
    無垢なる児よ
    小鹿のように柔らかな児よ
    この児は産まれぬ

    小さきこころ
    つぶらな瞳
    芸術品のごとく
    我が腕の中に
    抱かれしこの児
    信じて委ねしその暖かき身
    この朝に祝福あれ
    児は産まれぬ    ♪」

「サド・ジョーンズ」が「Mel Lewis Jazz Orchestra」と1970年に録音したアルバム。

Consummation

Thad Jones / Blue Note Records


アルバム「Consummation」から「サド・ジョーンズ」の美しい演奏で、「A Child Is Born - Thad Jones(fl.horn)、Mel Lewis(d)、Roland Hanna(p)など」

          


 
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# by knakano0311 | 2010-11-14 17:05 | 60歳過ぎたら聴きたい歌 | Trackback | Comments(0)

60歳過ぎたら聴きたい歌(62) ~ On A Clear Day You Can See Forever ~

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視界良好である。このところ、ずっと続けてきた枯れ松と雑木の伐採作業が一段落つき、視界が開け、向かいの山頂が見通せるようになった。視界が開けるとこんなに気持ちがいいものか。日の光が差し込み、林の中が明るくなったのがよくわかる。この時期、足元の草むらにいくつも咲いている「コウヤボウキ(高野箒)」にもたっぷりな陽があたるだろう。ところで、この「コウヤボウキ」、「玉箒(たまぼうき、たまばはき)」と呼ばれて高野山で茎を束ねて箒の材料としたのでこの名があるというが、「箒」のイメージが湧いてこない。調べたら、あるブログに高野山で箒の材料にした理由と「コウヤボウキ」で造った正倉院御物「子日目利箒(ネノヒノメトギホウキ)」の複製が載っていた。こんな路傍の野草からでも、「知る」楽しみを得ることができる。

こんな天気のいい小春日和の日に山を眺めていると、「晴れた日には永遠が見える/On A Clear Day You Can See Forever」を聴きたくなった。、かって、古の里人がこの山にクヌギを植林をし、炭などに使うため、10年ぐらいで伐採をしては、台場クヌギとして、再生を繰り返してきた。いま、山の仲間たちで手入れをしている「くぬぎ林」はその活きた林を再現しようとしているものである。そして、この山に自生している桜の実から育て、山に返してあげようとしている「エドヒガン」は、1,000年を超える寿命があるという。

「晴れた日には永遠が見える/On A Clear Day You Can See Forever」。1965年、「マイ・フェア・レディ/My Fair Lady」の作者「アラン・ジェイ・ラーナー/Alan Jay Lerner」が手掛けたブロードウェイ・ミュージカル。1970年には「イヴ・モンタン/Yves Montand」と「バーブラ・ストライサンド/Barbra Streisand」の主演で映画化された恋物語で、その美しい音楽が話題を呼んだ。

【 On A Clear Day You Can See Forever (晴れた日には永遠が見える) 】
                             作詞:Alan Jay Lerner 作曲:Burton Lane

「♪ On a clear day, rise and look around you,   
   and you'll see who you are.             
   On a clear day, how it will astound you    
   That the glow of your feelings outshines every star.

   You will follow every mountain, sea and shore,
   You will hear from far and near a world you've never heard before.

   On a clear day, on a clear day,
   you can see forever, and ever, and ever more.

   よく晴れた日には、立ち上がって、自分のまわりをよく見まわすといいわ
   そうすれば、自分がなんなのかよく見えてくる
   よく晴れた日には、きっと愕然とするでしょう
   あなたの思いがどの星よりも強く輝いていることを知って

   山や海や砂浜など、どんな自然でもたどってみれば
   近くから遠くから、一度も見たことのない世界が聴こえてくるわ

   よく晴れた日には永遠がみえる、いつでも、ずっとずっとね           ♪」


不思議な超能力を持つヒロイン(B・ストライサンド)の唯一の悩みは、煙草を吸いすぎることだった。カウンセラー(Y・モンタン)のもとで催眠療法を行なううち、彼女が過去、何度となく生まれ変わり、遠い未来でカウンセラーとの結婚が定められていることが分かる……。ファンタジックなラブ・ロマンス。

晴れた日に永遠が見える [DVD]

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シナトラはじめ、多くのアーティストがこの歌を演奏し、歌っているが、まず聴くとしたら、「バーブラ・ストライサンド」でしょうか。シンガー、女優と幅広く活躍を続けるバーブラ・ストライサンドの約40年に及ぶ活動の中でも、特に重要な楽曲を厳選し2枚に収めた究極のベスト盤にも当然収録。

ジ・エッセンシャル・バーブラ・ストライサンド

バーブラ・ストライサンド / ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル



映画のシーンでのバーブラの歌唱を。「BARBRA STREISAND - On A Clear Day (You Can See Forever)」。

          

「ビル・エヴァンス/Bill Evans」の初のソロ・アルバム「アローン/Alone」(1968年)に収録されている。アルバム・タイトルといい、収録曲といい、将来の悲劇を予感させるようなアルバムであるが、より自由に、よりイマジネイティブにという、エヴァンスの音楽の本質が表出してくるアルバム。CD盤で追加のボーナス・トラック2曲は、アルバム全体のコンセプトを乱す余計な蛇足であろう。

Alone

Bill Evans / Polygram Records



「Bill Evans - On a clear day (you can see forever)」 

          

公園の「くぬぎ」もすっかり紅葉してきたようだ。毎年、毎年繰り返す色の鮮やかさ ・・・ 。

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# by knakano0311 | 2010-11-13 23:00 | 60歳過ぎたら聴きたい歌 | Trackback | Comments(0)

失われた空間 ~映画「ミステリー・オブ・サンバ」を観て~

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「マリーザ・モンチ/Marisa de Azevedo Monte」(1967年~)というブラジルの女性歌手がいる。ロックからジャズのスタンダード、ブルースから伝統的なサンバ、ボサノバといった幅広いレパートリーで、若いロックファンから年配のジャズやサンバのファンにまで支持されている人気歌手である。たしか2年ほど前、日本へも来たはずである。

その歌姫「マリーザ・モンチ」が、歴史の波に消えた伝説のサンバを探す旅を描いたドキュメンタリー映画(DVD)を見ました。「ミステリー・オブ・サンバ~眠れる音源を求めて」(2009年日本公開)。

彼女の父親は、「ポルテーラ/Portela」地方の出身で、有名なサンバ・チーム「エスコーラ・ジ・サンバ・ポルテーラ(G.R.E.S.Portela)」の監督を務めた人物。幼少より多くのブラジル音楽に囲まれて育った彼女は、やがて「マリア・カラス」に憧れるようになり、オペラの勉強をするが、留学中に「ビリー・ホリディ」やロックのアーティスト達に強く惹きつけられている事に気付き、ブラジルに帰国しポピュラー音楽の道を進むことを決意したという。

そんな「マリーザ・モンチ」が、1940年代から50年代に作られ、今まで録音されたことがないサンバを後世に残そうと、故郷「ポルテーラ」の、日本でいえば民謡酒場のような店、「ポルテーラ」でかって歌っていた人気歌手たち、「ヴェーリャ・グアルダ」(大御所、年長者たちのこと)を訪ね、サンバの歴史を紐解いていくという音楽ドキュメンタリー映画。

サンバを聴き、ともに飲み、歌い、踊るために「ポルテーラ」に集まってくるお客と音楽の送り手との濃密な交流、そして、それを支える妻や家族たち。なぜサンバが世代を超えて受け継がれていくのかが見事に伝わってくる。そして、「ヴェーリャ・グアルダ」と尊敬をこめて呼ばれる年老いた歌手達の顔のすばらしいこと、歌の見事なこと。あんなにも陽気で色気のある爺さんになれたらと思う。当時、サンバだけでは食っていけないので、別の仕事をする傍ら、サンバに情熱を傾けていた彼ら達の生活。楽譜なんかもちろん残っていないのであるが、次第に記憶の中から浮かび出てくる50年前の「サンバ」の数々と「サンバ唄い」、「ポルテーラ」の姿。「サンバが人生・生活のすべて」というあんなにも濃密な交流があふれる音楽空間を日本で探すとすれば、沖縄の民謡酒場ぐらいだろうか。かって日本のあちこちにあった「民謡酒場」もそうであったし、「歌声喫茶」もそうであったかもしれない。日本ではもう失われた空間。映画「ミステリー・オブ・サンバ ~眠れる音源を求めて~」は、そんなサウダージ(郷愁)にも似た思いを、私に呼び起こした。

ミステリー・オブ・サンバ~眠れる音源を求めて [DVD]

アップリンク



「ミステリー・オブ・サンバ~眠れる音源を求めて 予告編」をちょっぴり ・・・。

          

「♪ 新しい一日が今日も訪れる/私が世界を通るのはたった一度だけ
   新しい一日が今日も訪れる/月日と共に私は老いていく
   世界は毎日私を通り過ぎるのに/私が世界を通るのはたった一度だけ ・・・ ♪」

やがて、「カスキーニャ」のカセット・テープが大量に発見される。マリーザが、「ヴェーリャ・グアルダ」の一人、「パウリーニョ・ダ・ヴィオラ/Paulinho da Viola」と歌う発見された名曲「新しい一日」。なんという深い歌であろうか。「Marisa Monte e Paulinho da Viola - O Mundo É Assim」。映画のシーンとともに。

          

キューバのハバナにある「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。このクラブを中心に、150年の歴史のある「ソン」というキューバ音楽を、革命の荒波をくぐって守り続けてきたが、今はもうすっかり老いてしまったミュージシャンたち。そのドキュメンタリーであるこの映画にも、同じ感動を受けたことを思い出した。

ブエナ☆ビスタ☆ソシアル☆クラブ [DVD]

バップ


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# by knakano0311 | 2010-11-12 09:32 | サウダージ | Trackback | Comments(0)

この国が愛おしくなる美 ~第62回正倉院展~

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奈良国立博物館で開催されている第62回正倉院展。今年は「平城遷都1300年祭」と重なり、大変な人出が予想されるのでどうしようかと少し迷っていましたが、遷都祭も先日終了し、正倉院展開催もあと3日を残すのみとなったし、定年後は毎年見に行っていることもあって、やはり出かけてきました。いつものように高畑町のカフェに車を置き、真っ赤にもみじが色づき始めた奈良公園を抜け、博物館へと向かう。ちょうど宮様がご来館のため、足留めをくらい長蛇の列、入館するまで40~50分もかかってしまった。

さて、「正倉」とは、税で徴収された米や布などを納める倉で、この「正倉」がいくつも集まった区画が「正倉院」と呼ばれるようになった。しかし、長い年月とともに「東大寺」の正倉院内の正倉一棟を除き、他の正倉はすべてなくなってしまった現在では、「正倉院」といえばこの一棟を指す。

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756年(天平勝宝8年)、「光明皇后」は、夫「聖武天皇」が亡くなったため、天皇遺愛の品、約650点と、約60種の薬物を夫が創建した「東大寺」の大仏に奉献した。その後も「光明皇后」は3度にわたって、自身や「聖武天皇」ゆかりの品を大仏に奉献している。そしてそれらの宝物は正倉院に収められた。正倉院宝物の誕生である。

先日も新聞記事に大きく出ていたが、明治40年に東大寺大仏の足下から出土した国宝の「金銀荘大刀(きんぎんそうのたち)」2本が、調査の結果、「聖武天皇」没後に「光明皇后」が大仏に献納し、その後約1250年にわたって行方が分からなくなっていた遺品目録「国家珍宝帳(こっかちんぽうちょう)」に記されている「陰寶劔(いんほうけん)」と「陽寶劔(ようほうけん)」で、正倉院収納後に「光明皇后」自身が持ち出し、埋納した可能性が高いことが、つい最近になって分った。

この古き都は、いつになっても私の心に、心躍るロマンや好奇心をかきたててくれるのである。「この国が愛おしくなる美に、逢いにいく」は、今回の「正倉院展」のキャッチ・コピー。

さて、今回の出陳の目玉はなんと言っても、「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」。美術や歴史の教科書にでてくる、あの美しい螺鈿細工の「五絃琵琶」である。19年ぶりの出陳とあって、次回はいつ見られるかわからないのだ。最前列で見るには長蛇の列に並ぶ必要があったが、その我慢は十分に報われた。琵琶のフォルムや木肌、螺鈿細工の美しさには息を呑むほどに圧倒される。インドが起源とされるこの五絃琵琶は、世界唯一の現存品という。全長108.1cm、駱駝に乗った胡人が琵琶を弾き、椰子の木のような南国の木には鳥が舞い遊んでいる。まるで、最近作られたかのようなその螺鈿模様の鮮やかさに感動 ・・・ 。

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そのほかにも、麻布と紙を芯とし、表面を錦と平絹で包んだ女性用の履物「繍線鞋(ぬいのせんがい)」。狩の図様が全面に刻された「銀壺(ぎんこ)」、東大寺への献物品を入れた「密陀絵皮箱(みつだえのかわばこ)」や蘇芳地彩絵箱(すおうじさいえのはこ)、シルクロードの香りが感じられる佐波理水瓶(さはりのすいびょう)、細密な銀装飾が見事な「銀平脱鏡箱(ぎんへいだつのかがみばこ)」。大仏開眼会をはじめ、奈良時代の寺院の法要でしばしば伎楽などの楽舞が上演された際に使われた「伎楽面・酔胡王(ぎがくめん・すいこおう)」など、正倉院宝庫のなかでも指折りの名品にすっかり心を奪われた。

シルクロードを経て、遥か西の彼方から渡ってきた「五弦琵琶」は、多分ギターの源流に連なる楽器であろう。館内には、実際にあの「五弦琵琶」を打ち鳴らした音がずっと流れていた。かの時代の人々はあの音をどんな思いで聴いたのであろうか。

さて、私は皆さんと同じように「禁じられた遊び」からギターに入った口ですが、そんな私が秋になると聴きたくなるギタリストがいる。ブラジル出身のギタリスト「セバスチャン・タパジョス/Sebastiao Tapajos」である。かって彼のLP盤を所有していたが、手元から逸し、長い間そのCD復刻版を探していたアルバムが、「Sebastiao Tapajos/brasil/el arte de la guitarra(trova 1971録音)」 。「バーデン・パウエル/Baden Powell」の陰に隠れて目立たなかった感があるが、パウエルを超える速弾きのギターの名手であると私は思っている。バロック・ジャズかと思うような曲調をもつ「Alemande」、甘美なメロディをもつパウエル/モラエスの「Samba em Preludio」。ジョピンの「Amei Demais」ほか珠玉の12曲。

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ブラジル~エル・アルテ・デ・ラ・ギターラ [Import]

セバスチャン・タパジョス / DISCMEDI




古い演奏のため、画質も音質も悪いですが、テクニックのすごさはわかると思う。上記アルバムにも収録されている曲、「Odeon」。

          

YOUTUBEで「セバスチャン・タパジョス」の才気あふれる最近の演奏を見つけました。曲は「ブラジル」というタイトルでよく知られている「Aquarela do Brasil (ブラジルの水彩画)」

          
 
 
 
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# by knakano0311 | 2010-11-10 09:36 | おやじの遠足・街歩き | Trackback(1) | Comments(0)

子ども達の笑顔

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いやぁ~、忙しかった。「山遊び」とは別に、地域の子ども達に「遊び」や「工作・手芸」を教える活動に夫婦で参加しているのですが、この週末、年間最大の行事が終わりました。団地の自治会主催の文化祭に2日間にわたって、「遊びの広場」を開くのですが、今年も例年のように、延べ300人ぐらいの子ども達が集まってきました。輪投げ、こま回し、紙飛行機/割り箸飛行機づくり、手編み、折り紙、木工/木の実工作 ・・・ といろいろなメニューを用意して、子ども達に遊んでもらうのですが、中でもいつも大人気なのが「木工/木の実工作」。最近の学校では「ゆとり教育」なんていっても、多分塾通いの時間が増えているだけで、こんな遊びや工作などは学校でも家庭でも、まったく教えていないのでしょう。「危ない」という理由で小刀も鋸も錐も正しく使えない子どもたち。「鋸で枝を切る」、「年輪に気がつく」なんていたって簡単なことにも喜びの声を上げる子ども達。切ったときの達成感があるのでしょうか、すごく喜ぶのです。コンピューターのヴァーチャルな画面だけではなくて、道具を使って、自分の創造力と自分の手で何かを創るということの喜びを、少しでも子ども達が味わってもらえれば、それで十分。そして、道具の使い方や工作、遊びを我が子に教えるお父さんも。「親父」の復権も ・・・。

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今の子ども達は集中力が持続しないとよく言われるが、そんなことはない。1時間、中には2時間をこえる工作による大作・力作ぞろい。我々はただお手伝いするだけですが、子ども達の創造力にはいつも本当に驚かされるのである。あれほど時間をかけて用意したたくさんの材料も足りなくなるほどであった。達成感に満ちた誇らしげな顔、喜びの笑顔、感謝の顔と言葉。また来年もやってあげようと思う ・・・ 。

曲は「God Bress The Child」。有名なスタンダード。作詞、作曲ともに「アーサー・ハーツォグ/Arthur Herzog Jr.」と「ビリー・ホリデイ/Billie Holiday」の共作となっているが、実質は作詞、作曲とも「ビリー・ホリデイ」だったらしい。
「♪ 自分でお金を稼がないと、神様だって認めてくれない ・・・ ♪」という、お金がなく、貧しい少女時代をすごしたビリーの実感が伝わってくる説得力に満ちた歌唱。

Lady Day: The Best of Billie Holiday

Billie Holiday / Columbia/Legacy



「Billie Holiday/ God Bless The Child」

         
 
 
 
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# by knakano0311 | 2010-11-08 11:01 | 地域の中で・・・ | Trackback(1) | Comments(0)

ふるさとエレジー(8) ~母の歌集~

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老いても一人で自宅で暮らす道を選択した母親のケアために、帰省を繰り返している。もう年のため、今の母の楽しみといえば「デイ・サービス」とテレビのようであるが、かっては、結構多趣味な母親だった。私たち子どもが独立してからは、趣味に没頭し、手芸、日本舞踊、カラオケ、園芸、和紙人形、短歌など、どこにそんな暇があるのかと思うほど多趣味であった。しかし、ここ10年位前までは、和紙人形と短歌に打ち込んでいたようである。関西に住む私の元へ何回か来たこともあるが、短歌のアイデアを得るために、明日香や奈良の古寺、旧蹟を訪れるの楽しみにしていた。そんな趣味も、もう年のため楽しむことはできなくなってしまった。

私の手元に、母が属していた短歌の会の歌集がある。発行の都度、私に送ってきたものである。あまり多く自分の子ども時代を語ることがなかった母であったが、幼くして両親が他界し、年の離れた兄、姉に育てられたため、どちらかといえば内省的な少女で、「与謝野晶子」、「北原白秋」、「中原中也」、「竹久夢二」などに夢中になった、いわゆる「文学少女」であったようだ。そんな少女時代の残り火が、人生の後半になってからの短歌熱を目覚めさせたようである。

私が短歌にいささか興味があるのも、間違いなく母親の影響であろう。私が故郷、松本に住んでいたのは19年間。離れて暮らしていた期間の方が圧倒的に長いのだ。そして、実家に残されている大量の和紙人形と、和歌の習作メモ。もう年老いて、かっての趣味を楽しむことはなくなったしまった母の曲がった背中をみると、どんな私の知らない人生を過ごしてきたのかという感慨をもってしまう。帰省から帰って、母の歌集を開いてみた。家族への遠い思い出を詠んだ歌のいくつかが載っている。母のエレジー ・・・ 。

   遥かなりし祭り屋台の賑わいを思ひ出させて遠花火する

   幼らに赤き塗り下駄買ひやりし正月は遠く寒椿咲く

   離(さが)り住む息子との年月数へみる学生服のボタン出で来て

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そんな母にイギリスへの出張の土産にとあげた陶製の人形がある。現在はウェッジウッド(Wedgwood)の傘下に入っている老舗イギリス・コールポート社(Coalport China Ltd)の人形である。たしか、ヒースロー空港で買い求めたもの。「麗人が踊っているように見えるわね」と言って、大変喜んで、大事に飾っていたものである。

しかし、もうそんな人形を私からもらったことさえ母は忘れていた。確か、この人形を歌った短歌があったはずであるが、その歌も歌集には見当たらず、記憶のかなたへ消えてしまったようである。そして、私の手元に引き取ったこの人形が、やがては歌集などとともに母の形見となるのであろう。

「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ/Europian Jazz Trio」が「アバ/ABBA」のヒット曲「ダンシング・クイーン/Dancing Queen」を奏でるのは、アルバム「哀愁のダンシング・クイーン」。「哀愁のリベルタンゴ」と「哀愁のヨーロッパ」に続く「哀愁」シリーズ第3弾は、いつものようなジャズ・スタンダードやクラシック素材を一切使わず、「アバ」や「シンディ・ローパー」らのポップ・ヒッツを見事にJazzアレンジ。「なごみと癒しの風に乗ったEJTの新たな表情」とは、ある雑誌によるこのアルバム評。

哀愁のダンシング・クイーン

ヨーロピアン・ジャズ・トリオ / エム アンド アイ カンパニー



ABBAの大ヒット曲をEJT風のJAZZの味付けで ・・・。 「Dancing Queen」。

          
 
 
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# by knakano0311 | 2010-11-05 17:54 | ふるさとは遠くにありて・・・ | Trackback | Comments(0)