庭の木に鳥が群れている。よく見ると人形であるが、ちょっと微笑ましい風景。今宵の「60歳過ぎたら聴きたい歌(120)」は、「Feels Like Home」。「ランディ・ニューマン/Randy Newman」の曲。歌姫は、ご贔屓、「インガー・マリエ(グンナシェン)/Inger Marie (Gundersen)」。アンニュイで少しダーク。大人のムードを湛え、いぶし銀のように鈍い光を放つ。一度聴いたら、その声が深く心に刻まれる、そんなシンガー。そんな彼女が好きで、このブログでも何回も取り上げてきた。
「インガー・マリエ」。1959年生まれ、ノルウェイ出身、今年64歳。2004年、JAZZシーンに彗星のごとくデビューしたが、この時45歳というから相当な遅咲きである。音楽一家に育ち、物心ついた頃から歌うことに喜びを見出していたという。20代の頃には、地元でもうプロ活動を始めていたが、2004年になって、ようやくソロデビューするチャンスに恵まれたという苦労人でもある。寡作で、私が知る限り、たった5作しかアルバムはリリースされていないが、遅咲きの苦労人という彼女のキャリアが、どのアルバムにも何とも言えない色艶と温もりを吹き込んでいる。そんな寡作の彼女の最新5作目のアルバム、「Feels Like Home」(2017)から。
【 Feels Like Home 】 by Randy Newman
「♪ Somethin' in your eyes, あなたの瞳は makes me wanna lose myself 自分を忘れてしまうほど素敵 Makes me wanna lose myself, あなたの腕の中いても in your arms 自分を忘れてしまうほど素敵 There's somethin' in your voice, あなたの声は makes my heart beat fast 私の心を震えさせる Hope this feeling lasts, the rest of my life こんな感じが一生続けばいい
If you knew how lonely もしあなたが私の人生がどんなに my life has been 寂しかったかを知れば And how long I've been so alone ずっと一人ぼっちだったかを知れば And if you knew 一緒に歩んでくれる人を how I wanted someone to come along どれだけ望んでいたかを知れば And change my life the way you've done あなたが私の人生を変えたと知れば
It feels like home to me, it feels like home to me 故郷に戻ってきた感じがする It feels like I'm all the way back where I come from やっと戻ってきた感じが It feels like home to me, it feels like home to me 故郷に戻ってきた感じがする It feels like I'm all the way back where I belong 居場所に帰ってきた感じがする
「デヴィッド・ストーン・マーティン/David Stone Martin(1913-92)」は、ジャズの黄金時代に数々の名盤のジャケット・デザインを手がけた米国の伝説的アーティスト。「村上春樹」氏は長年にわたり、彼デザインのレコードを敬愛し、蒐集してきまという。、村上氏のレコード棚の188枚をオールカラーで紹介。収められた演奏についてもたっぷりと語った本。チャーリー・パーカー、カウント・ベイシー、ビリー・ホリデイ、スタン・ゲッツ・・・。
今宵の「60歳過ぎたら聴きたい歌(119)」は、「Meaning Of The Blues(ブルースの意味)」。
「ジュリー・ロンドン/Julie London」、「カーメン・マクレー/Carmen McRae」、「シャーリー・ホーン/Shirley Horn」、「ヘレン・メリル/Helen Merrill」、「キース・ジャレット/Keith Jarrett」、「マイルス・デイヴィス/Miles Davis」など錚々たる大御所のカバーがあるスタンダード、「Meaning Of The Blues」。
【 Meaning Of The Blues 】 by Bobby Troup / Leah Worth
「♪ Blue was just the color of the sea ブルーって海の色でしかなかった Till my lover left me 彼が去るまでは Blue was just a bluebird in a tree ブルーって青い鳥の色でしかなかった Till he said, "Forget me" 彼が「僕を忘れて」というまでは
Blue always made me think of summer ブルーはいつも夏を思い起こさせる Cloudless summer skies, so fresh and warm 雲一つない空、新鮮で暖かい But now the blue I see is more like winter でも今ブルーは冬を思わせる Winter skies with clouds about to storm 嵐になりそうな雲に覆われた冬の空を
Blue was just the color of his eyes ブルーって彼の眼の色でしかなかった Till he said, "Goodbye, love" 彼が「さよなら」というまでは Blue was just a ribbon for first prize ブルー、一等賞のリボンの色でしかなかった Till he said, "Don't cry, love" 彼が「泣かないで」というまでは
And blues were only chart songs ブルースは単なる音符の連なる歌だった Fashioned for impulsive ingénues 衝動的でナイーブな少女の間で流行っている But now I know, too well I know でも今はわかるの、痛いほどよくわかるの Too well I know the meaning of the blues ブルースの意味が ・・・
「ダイアナ・パントン」。「ホリー・コール/Holly Cole」、「ダイアナ・クラール/Diana Krall」に続く、カナディアン・ディーヴァ。オンタリオ州・ハミルトンに生まれ。 カナダ・ジャズ界の重鎮、「ドン・トンプソン/Don Thompson」に見出され、2005年に「Yesterday Perhaps」でアルバム・デビュー。その後、「ムーンライト・セレナーデ~月と星のうた/If the Moon Turns Green...」(2007)、「フェリシダージ ~わたしが愛したブラジル/To Brazil with Love」(2011)、「アイ・ビリーヴ・イン・リトル・シングス ~わたしの小さな願い/I Believe in Little Things」(2015)、「シーズンズ~美しい季節/Solstice / Equinox」(2017)」など、相次ぐヒットで日本でも安定した人気を獲得している。
今宵の曲、春も「Spring」、温泉も「Hot Spring」というので、ときめく春への思いを歌った「They Say It's Spring」を ・・・。
【 They Say It's Spring 】 by Marty Clark , Bob Haymes (1957)
「♪ When I was young I lived in a world of dreams 若い頃私は夢の世界に生きていた Of moods and myths and illusionary schemes 無邪気で神話みたいな幻想の中で Though now I'm much more grown up でも今はちょっと大人になったので I fear that I must own up 怖いけど、私は自分を認めなければなりません To the fact that I'm in doubt of 私は疑問を感じているの What the modern cynics shout of 現代の皮肉屋が叫ぶことに
They say it's spring みんな春だと言う This feeling light as a feather この軽やかな羽のような気分 They say this thing みんなこんなことを言う This magic we share together 私達が互いに享受しているこの魔法も Came with the weather too 春の天気と共にやってきたと
They say it's May みんな5月だと言う That's made me daft as a daisy だから私がうきうきしていると It's May, they say みんな5月だと言う That gave the whole world this crazy 5月は世界中を浮かれさせ Heavenly, hazy hue 天国のような霞んだ色合いに変えたとも
I'm a lark 私はヒバリ On the wing 翼をはばたくヒバリ I'm the spark of a firefly's fling 私はホタルが放つ光 Yet to me でも私にとっては This must be これは季節だからという以上の何かのように Something more than a seasonal thing 思えてならないの
Could it be spring 春のはずよね Those bells that I can hear ringing 鐘が聞こえるから It may be spring 春かもしれないけど But when the robins stop singing 駒鳥が歌うのを止めても You're what I'm clinging to 私はあなたにしがみついているわ Though they say it's spring みんなが春だと言っても It's you それはあなたがいるからなの
・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ ♪」
キュートな声でチャーミングな魅力をふりまく、元祖「ウィスパー・ヴォイスの妖精」、「ブロッサム・ディアリー/Blossom Dearie」から。アルバム、「Blossom Dearie」(1990)、「Give Him The Ooh-la-la」(1957)から。