大屋地爵士のJAZZYな生活

桜に間に合う開通を目指して ~ いまだに残る台風21号の爪痕 ~

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 「兵庫県立一庫公園」、標高349mの「知明山」の山腹に広がる「自然観察の森」が我々、森林ボランティア・クラブの活動フィールドである。この「自然観察の森」が昨年9月4日に上陸した台風21号でいくつもの大木が根こそぎ倒れ、多くの被害を受け、山頂までの登山コースに倒木が覆いかぶさり、通行禁止にせざるを得なかった。これも自然の営みであるので、普通はそのままにしておくのだが、観察路の安全に関わる倒木は放置できない。「知明山」に登るコースは3つあり、その2つ、「尾根コース」と「500段階段コース」は昨年中に復旧させたが、残る「沢の休憩所~岩場の休憩所コース」は、炭焼きの準備に取り掛かったこともあり、手付かずになっていた。2月になり、炭焼きも終わり、やっと復旧に取り掛かることができた。

 裂けたり、根こそぎ倒れたりで、観察路を幾重にも覆う大木。チェーンソーやロープ、チルホールなどを使い、安全にかつ手すりなどを壊さないように、慎重に取り除いていく。どうにか、階段も姿を現し、次回、倒木の本体を処理すれば、この箇所は開通できる目処が立った。ここは、市の天然記念物になっている「エドヒガン(江戸彼岸)」桜の群生を間近に見られるコース。大変な作業ではあるが、大きな達成感が得られるので、作業もそれほど苦にはならない。この先、どれだけ障害があるかわからないが、山頂までの復旧、開通を桜が咲く頃までにはと頑張る。

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 さて、今宵は、「森/forest」をテーマにしたピアノ演奏。、「ビル・エヴァンス/Bill Evans」のリリシズムを継ぎ、「ブラッド・メルドー/Brad Mehldau」などからもリスペクトされ、現代最高峰のピアノの詩人とも囁かれる「フレッド・ハーシュ/Fred Hersch」。曲は、「Through The Forest」、アルバム、「Open Book」(2017)から。

 1955年、オハイオ州シンシナティ生まれ。4歳の時にピアノを始め、両親から熱心な教育を受け、9歳ころからは作曲も始めたという。音楽的にはかなり早熟で、9歳から13歳まで理論、作曲、アナライズのレッスンを受ける。音楽学校に入学した15歳の時には、四声や対位法、様々なスタイルで作曲できるようになっていたという。1980年代にデビューし、ジャズの伝統とクラシックの語法を消化したピアノスタイル、ジャズ・スタンダードの再解釈などで人気を集め、若手のピアニストに大きな影響を与えたという。

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 2008年、HIVウィルスが脳に転移し、発作と2ヶ月間の昏睡状態に陥るが、死の淵を乗り越え、2010年のアルバム「Whirl」で完全復活を果たしたという。そのことによる彼の死生観が、その陰影あるタッチに深みを与え、感性を一層研ぎ澄ましたのではなかろうか。そんな心境が、アルバムに添えられている彼の言葉から読み取れる。

 『私は、もう40年以上、ジャズを演奏してきました。そして今、ピアノの前に座ったときの最良の心理状態は、「さあ、何が起こるのか、見てみよう!」という気分だと思うようになりました。・・・ 経験を積んできた今の私にとって、フレーズからフレーズへ身を任せ、ひたすら演奏するという自由が、非常に心地良く思えるようになったのです。』(フレッド・ハーシュ、寺井珠重訳)

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Open Book/オープン・ブック [日本語帯・解説付]
Fred Hersch
Palmetto Records / King International



「Through the Forest - Fred Hersch」

          


    


   
# by knakano0311 | 2019-02-17 10:18 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

炭、炭、炭

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 第2回目の炭の出来は、ほとんどの窯木が、欠けたり崩れたりせずに出てきて、良炭率90%超という素晴らしい出来栄えであった。そのうちの何本かを切断してみると、なぜ「菊炭」と呼ばれるのかがよくわかる美しい断面が現れる。

 先日、「炭」という漢字の語源を教えていただいた。漢字だからもちろん中国由来であるが、その象形は、「山の崖から掘り出した石炭」という意味だという。またひとつ「炭」に関する知識が増えた。

 炭の材料である「クヌギ(椚、櫟、国木)」育成から始まって、窯木のつくり方、炭の焼き方、炭の利用の仕方 ・・・、すべてが先人の知恵の結晶である。我々のクラブは、いまその先人の知恵を楽しませてもらっているだけである。やはり、この知恵の結晶を将来に伝えていきたいし、いかねばならないと感じる。

 今宵の曲、「セイリング/Sailing」、「ニューヨーク・シティー・セレナーデ/Authur's Theme (Best That You Can Do)」などのヒット曲で知られている、シンガー・ソングライター、「クリストファー・クロス/Christopher Cross」が歌う「Words of Wisdom(智慧の言葉、名言)」。アルバム、「Another Page」(1983)、「The Very Best of Christopher Cross」(2002)から。

【 Words of Wisdom 】  by Christopher Cross

「♪ I can hear your voice and I have no choice  君の声を聞きたくてたまらない
  'Cause the pain is too deep inside        それほどこの痛みは深いから
  And the hurt of a love that is lost has no cure  失った愛の傷はもう癒せない
  But the love of another heart         でも、彼女の愛をふたたび
  Your friends try and say it will all get better   取り戻せると友達は気を使って言う
  They say that they know how you feel 彼らは君がどう思っているかを知っていると言うが
  But your heart isn't sure           君の心に確信が持てない
       'cause it knows what it heard     だって、無責任に言っていることだから
  All the things that it read in the letter    この手紙に書いてあることがすべて

  All the words of wisdom        どんな知恵の言葉も
  Never seem to ease the pain      この痛みを癒せはしない
  All the words of wisdom sound the same  どんな知恵の言葉も同じように虚しく響く

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    ♪」

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Another Page
クリストファー・クロス/Christopher Cross
Warner Bros / Wea



「Christopher Cross - Words Of Wisdom」

          
# by knakano0311 | 2019-02-15 10:43 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

炬燵ランチで温まる

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 妻のリクエストで、「空からこんぺいとう」というちょっと変わった名前の古民家をリニューアルしたカフェでランチ。何回かいったが、真冬に行くのは初めて。迎えてくれたのは、「炬燵(コタツ)」。洒落ているわけでも、凝っているわけでもないが、味噌汁、ササミのカツ、煮物など、ごくごく普通の昼食を美味しく頂いた。雪こそ積もっていないが、周辺はまだ寒々しい冬景色。炬燵の暖かさにほっとする。

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 今宵のピアノ、届いたばかりの「アレッサンドロ・ガラティ/Alessandoro Galati」の最新作。2005年の「オールアローン/All Alone」以来のソロ・アルバムは、「Augustine」。

 「アレッサンドロ・ガラティ/Alessandro Galati」。1966年、イタリア・フィレンツェ生まれのジャズピアニスト。「ビル・エヴァンス/Bill Evans」や「キース・ジャレット/Keith Jarrett」を敬愛し、内省的で微妙な感情に溢れ、独特の詩情と哀愁が見事に溶け合つた美しいインプロビゼーションを聴かせる抒情派ピアニストである。6歳でクラシック・ピアノを始め、後にジャズに強い興味を持ち、イタリアの著名なベーシスト兼ビッグバンドのアレンジャー、「ブルーノ・トマソ/Bruno Tommaso」に師事、ジャズ・オーケストラの編曲・作曲を修得したという。

 このソロアルバムも、極めつけの美メロが構築する詩情あふれる空間。もちろんトリオも素晴らしいが、これほど内省的で微妙な感情を表現できるのは、やはりソロ演奏しかあるまい。この強面の男の指先からどうしてあんなに繊細で美しい音が紡ぎだされるのであろうか ・・・。

 夜はガラティで温まる ・・・。

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Augustine (ソロ録音盤)
アレッサンドロ・ガラティ/Alessandoro Galati
寺島レコード



 前作、「All Alone」も最新作も、YOUTUBEには、まだアップされていないので、見つけたソロ演奏の動画をアップしておきます。詳細は不明ですが、イタリア、トスカーナ州北西部の都市、プラートで行われた「Met Jazz Festival」のパフォーマンスとのこと。


「MY FAVORITE THINGS - Alessandro Galati」


          
# by knakano0311 | 2019-02-13 23:24 | 音楽的生活 | Trackback | Comments(0)

今年も孫娘からチョコをもらって喜ぶが ・・・

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 孫娘がバレンタインのチョコレートを持ってやってきた。クリスマス、ハロウィン、母の日など私の子供の頃には祝うこともしなかった洋風の習慣。バレンタインもその一つ。商業主義に乗せられていることは十二分承知しているし、多分もらわなかったとしても、全くどうってことなないと思うが、実際、孫もらってみると嬉しい。でも業界に上手く乗せられて、単純に喜んでいてもいいのだろうかという思いも ・・・。かってこの時期に、アメリカに出張していたとき、同行していたスコットランド人に、「もうバレンタインのカード用意した?」と聞かれた。日本では、女性から男性にチョコレートを贈ることが習わしと理解されているようだが、欧米では、夫婦、恋人同士で、カードやプレゼントを交換し合うことで、チョコを贈るということではないようである。そう言われて、その時限りであったが、アメリカで、妻へのカードを買ったことを記憶している。

 さて、バレンタイン・ディのプレゼントの定番が、チョコレートなら、曲の定番はあまりにも有名な「リチャード・ロジャース/Richard Rodgers」作曲、「ロレンツ・ハート/Lorenz Hart」作詞の 「マイ・ファニー・バレンタイン/My Funny Valentine」。そして、定番のアーティストは、「チェット・ベイカー/Chet Baker」でしょうが、ちょっと趣向を変えたカバーで、聴いてみましょうか。

 まずは、イケメン・トランペッター、「クリス・ボッティ/Chris Botti」から。アルバムは、「Thousand Kisses Deep」(2003)ですが、ここでは、「スティング/Sting」をフューチャーした、2005年12月のライブ映像で。動画に登場する女性は、「トゥルーディー・スタイラー/Trudi Styler」、イギリスの女優で「スティング」の奥さんだという。

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Thousand Kisses Deep
クリス・ボッティ/Chris Botti
Sony



「Chris Botti with Sting - My Funny Valentine」

          

 ピアノを二人。「ダニーロ・レア/Danilo Rea」率いる「ドクター3/Doctor 3」のアルバム、「ブルー/Blue」(2007)と、もう巨匠と呼んでもいいでしょう、「エンリコ・ピエラヌンツイ/Enrico Pieranunzi」のアルバム、「パリジャンのポートレート/Parisian Portraits」(2007)から。

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Blue
Doctor 3
Via Veneto



「Danilo Rea/Doctor 3 - My funny Valentine」

          

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Parisian Portraits
エンリコ・ピエラヌンツィ・トリオ/Enrico Pieranunzi Trio
Egea



「My Funny Valentine - Enrico Pieranunzi」

          

 最後は、いまや絶滅危惧種かもしれない男性ジャズ・ボーカル、「マット・ダスク/Matt Dusk」。アルバムはずばり、「My Funny Valentine: the Chet Baker Songbook」(2013)。

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My Funny Valentine, The Chet Baker Songbook
マット・ダスク/Matt Dusk
Rambling Records



「Matt Dusk - My Funny Valentine」

          


   
# by knakano0311 | 2019-02-13 10:12 | マーケッターとしてのシニアから | Trackback | Comments(0)

ひと冬に一度くらいは、スタッドレス・タイヤの効用を実感しないと

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 梅の花の香りを楽しんでウォーキングした翌日、春が近づいたと思ったらまた一転、冬へと逆戻り。朝から雪が降っている。たしか今季3度目だろうか。私の住んでいる地域では、北摂地方でありながら、能勢や丹波と違って、ひと冬に雪が降るのはその程度。だから、ご近所でもスタッドレス・タイヤを履いている人はほとんどいないが、私は、炭焼きや故郷松本行きがあるので、用意万端で準備してある。しかし、スタッドレス・タイヤを履いていても、ほとんどが普通の道路。それではもったいなく、せめてひと冬に一度くらいは、その効用を実感しないと、なにか損した気分になる。去年は、炭焼き当日に大雪、その効用を実感した。さて、雪道。買い物に出かけようか ・・・。

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 今宵のピアノ演奏は、すこし暖かいピアノをということで、「ウラジミール・シャフラノフ・トリオ/Vladimir Shafranov Trio」のショパンの「ノクターン/Nocturne」。アルバム、「Easy To Love」(2007)から。

 「ウラジミール・シャフラノフ」といえば、ヨーロッパJAZZ紹介の草分けの関西のレーベル、「澤野工房」の看板ピアニストの一人である。1948年、レニングラード生まれ、現在はフィンランドに移住し、ヘルシンキを中心に活躍している円熟の欧州ジャズ・ピアノの中心人物。私も2010年、「ひょうごクリスマス・ジャズ・フェスティバル」で彼のコンサートを聴いている。そんな「ウラジミール・シャフラノフ」の名を高めたのが、「White Nights」。1990年録音、リリースされたあと廃盤となり、長い間幻の名盤とされたが、「寺島靖国」氏が取り上げたことで注目され、「澤野工房」から、1999年、復刻され、一躍日本でその名を知られるようになった。

 「Easy To Love」。とにかくよく歌うピアノである。まるで水が流れるように、小鳥が舞い遊ぶように、指が鍵盤を縦横に走る。ほどよく肩の力が抜けた感じが心地よく、そのスイング感とリリシズム、情熱的な演奏は極上のBGM。パーソネルは、「Vladimir Shafranov (piano)」、「ジョージ・ムラーツ/George Mraz (bass)」、「ビリー・ハート/Billy Hart (drums)」。

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EASY TO LOVE
ウラジミール・シャフラノフ・トリオ/Vladimir Shafranov Trio
澤野工房



「Vladimir Shafranov - Nocturne」

          
# by knakano0311 | 2019-02-11 13:25 | マーケッターとしてのシニアから | Trackback | Comments(0)

炭物語最終章は

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 年明けから始まった炭焼きがやっと終わった。炭焼き塾の参加者に茶を嗜む方がいて、「窯出し(炭出し)」のあと、感謝の印にと、我々が焼いた菊炭と七輪で、茶釜に入れた湯を沸かし、抹茶を振舞っていただいた。炭窯の脇が野点の場に変わる。窯から取り出したばかりの「バイタ」の炭で炭点前も設え、小さな軸も炭小屋の扉に掛け、華やかさや優雅さは全くないが、心がこもる野点の一服だった。まさに、炭焼きの最終章、10年かけて「クヌギ(櫟、椚、国木)」を育て、2ヶ月かけて、伐採して「窯木」にし、2週間焼いて「菊炭」にする。そして、その炭で湯を沸かし、お茶を頂く。そんな手間暇かけた贅沢な、炭物語、ここに完結である。そして、また新しい炭物語を始めようとしている。

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 そうそう、肝心の炭の出来は、ほとんどの窯木が、欠けたり崩れたりせずに出てきて、良炭率90%超という、素晴らしい出来栄えであった。やっとノウハウを掴めた気もする。そんなこともあって、いや、いただいたお抹茶の美味しかったこと。

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 今宵の曲、「Remembering the Start of a Never Ending Story」。ちょっと異色の女性、「ヴォーカリスト、「ノーマ・ウィンストン/Norma Winstone」。英国を代表する孤高のヴォーカリストで、ジャズ・ファンからも多くの支持を得ているヴォーカリストで、ピアノの詩人と呼ばれたイギリス人のピアニスト、「ジョン・テイラー/John Taylor」の元妻でもある。

 1941年、ロンドン生まれ。ジャズ・シンガーであり、詩人。40年を超えるキャリアを持ち、その独自の「wordless improvisations」、「声」自体を活かす唱法がよく知られている。16歳の時にロンドンのクラブ、「ロニー・スコッツ/Ronnie Scott’s club」で「ローランド・カーク/Roland Kirk」の演奏に魅了されジャズに興味を持ったという。1960年代からジャズ・ヴォーカリストとして活動をはじめる。自分自身の名義による初アルバム「Edge of Time」を1971年に録音。1970年代後半には当時、夫でもあったピアニストの「ジョン・テイラー/John Taylor」と、トランペット奏者の「ケニー・ウィ―ラ―/Kenny Wheeler」とともに、「アジマス/Azimuth」というグループを結成し、ECMレコードに名作を残している。またソロとしてもECMに「Somewhere Called Home」(1986)等の伝説的名盤を残した。2001年には、「BBCジャズ・アワード・ベスト・ヴォーカリスト賞」を受賞。2013年には最新作、「Dance Without Answer」をECMよりリリースし、話題を集めた。

 「Remembering the Start of a Never Ending Story」。アルバム、「Distances」(2008)から。バス・クラリネットとソプラノ・サックス奏者の「クラウス・ゲーシング/Klaus Gesing」とピアニストの「グラウコ・ヴェニエル/Glauco Venier」とのトリオによるアルバムであるが、この歌唱を、なんと表現したらいいのだろうか。ECM的ボーカルとでも、或いは管楽器のようなボーカルとでも ・・・。アルバムのクレジットの多くには、「VOCAL」ではなく、「VOICE」と書かれているという。

 作詞、「ノーマ・ウィンストン」、作曲は、これまた静寂をあやつる異端のドイツ人ピアニスト 、「ヒューベルト・ナス /Hubert Nuss」。それぞれふたりの演奏を。

 Distances (Ocrd)

 Norma Winstone / Ecm Records



「Remembering The Start Of A Never Ending Story - Norma Winstone」

          

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Shimmering Colours of the Stained Glass
ヒューベルト・ナス/HUBERT NUSS
Greenhouse



「Remembering The Start Of A Never Ending Story - Hubert Nuss」

          
# by knakano0311 | 2019-02-10 15:09 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

この山で一番早く咲くのは ・・・

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 びっくりするようなポカポカ陽気。この山で一番早く咲くのは、「アセビ(馬酔木)」である。日当たりのいい場所では、もう満開に近い。有毒成分が含まれているので、この木の葉や花は鹿も食べない。奈良公園は「馬酔木」の名所であるが、鹿が食べなかったからだという説を聞いたことがある。

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 この日は、9日の「窯出し」だけを残してほぼ終えた今年の炭焼き。窯木を伐採した後の散乱した枝などの片付けを行う。この「林床整備」も、陽の光を大地まで当て、葉を早く土に返すための大事な作業。そして、来年の炭焼きに使う薪と今年割った薪の積み替えを行う。2年以上かけ、十分に薪を乾燥させることも炭焼きには大切なこと。作業が終わる頃には、けっこうな汗。

 今宵の曲。「Suddenly It's Spring」。1944年、「ジミー・ヴァン・ヒューゼン/Jimmy Van Heusen」の手になる古い古いスタンダード。作詞は、「ジョニー・バーク/Johnny Burke」。「急に春へ ・・・」、そんな意味ですね。「ケニー・ドリュー・トリオ/Kenny Drew Trio」です。アルバムは、「欧州紀行/Recollections」(1989)から。「ゴールデン・イヤリング/Golden Earrings」、「シェルブールの雨傘/Les Parapluies De Cherbourg」、「やさしい雨/The Gentle Rain」、「スウェーデンの城/Chateau En Suede」など、リリシズムに満ち、洗練された演奏で、極上のBGMアルバムの一つ。

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欧州紀行/Recollections
ケニー・ドリュー・トリオ/Kenny Drew Trio
アルファレコード



「Suddenly It's Spring - Kenny Drew Trio」

          
    
 アルバムがフルアップされていました。

「Kenny Drew - Recollections (1989)」

          


       
# by knakano0311 | 2019-02-07 14:14 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

木の表情、いろいろ

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 「クヌギ(椚、櫟、国木)」や「コナラ(小楢)」の高木を切ったら、出てきた模様。虫食い痕もそれはそれでひとつの景色だ。整然と井桁に積み上げられた薪。薪の木口には、割った年度の数字を記入し、我々の炭焼きでは、少なくとも2年以上乾燥させた火力の強い薪しか「窯焚き」に使わないことにしている。この薪が燃やされるのは、早くても2021年ということ。

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 枯れ木にいくつも空けられた大きな孔。この山にも多く生息する「アオゲラ(緑啄木鳥)」、「アカゲラ (赤啄木鳥)」、「コゲラ(小啄木鳥)」など「キツツキ(啄木鳥)」の仲間の仕業。「キツツキ」は、もともと「ケラツツキ」と呼ばれていたといい、「ケラ=虫」、「ツツキ=啄く(つつく)」ということに由来するという。それにしても見事な穴。

 「シラカシ(白樫、白橿)」の幹に出来ている瘤。木の成長とか樹勢には特に影響はないが、「シラカシ」の特有の病気で「シラカシ樹幹こぶ病」とのこと。原因は不明のようだ。こんな木の表情を見ているだけでも楽しい。

 今宵の曲、「I've Grown Accustomed To Her (His) Face」。邦題は、「彼女(彼)の顔に慣れてきた」。ブロードウェイのヒット・ミュージカルで、「オードリー・ヘプバーン/Audrey Hepburn」、「レックス・ハリソン/Rex Harrison」主演、「ジョージ・キューカー/George Cukor」監督で映画化もされた 「マイ・フェア・レディ/My Fair Lady」(1964)の挿入歌、スタンダードになっている曲。たしか、ヒギンズ教授が喧嘩別れしたイライザを思い、「忘れられない、彼女の顔が ・・・」 と歌うシーンだったと思う。

 スタンダードのため、カバーも多く、女性目線で「her face」を「his face」に置き換え歌う女性シンガーも多い。作詞、「アラン・ジェイ・ラーナー/Alan Jay Lerner」、作曲、「フレデリック・ロウ/Frederick Loewe」。

【 I've Grown Accustomed To Her (His) Face 】 
               by Alan Jay Lerner, Frederick Loewe

「♪ I've grown accustomed to her face    あの娘の顔に慣れてきた
  She almost makes the day begin      彼女とともに一日が始まるといってもいい
  I've grown accustomed to the tune      彼女が昼も夜も吹くあの口笛にも
        she whistles night and noon   慣れてきた
  Her smiles, her frowns, her ups and downs 彼女の笑顔しかめ面、機嫌のいい時悪い時
  Are second nature to me now         ごく自然に僕の一部になっている
  Like breathing out and breathing in      まるで呼吸をするように
  I was serenely independent          僕は彼女に会うまでは、自由で平穏だったし
        and content before we met     それに満足していた
  Surely I could always be that way again and yet  きっとその状態にまた戻れるさ
  I've grown accustomed to her looks,       でも彼女の姿が忘れられない
           accustomed to her voice      声が忘れられない
  Accustomed to her face              彼女の顔が忘れられない

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ♪」

 女性シンガー3人。表情、いろいろ。まず「ダイアナ・クラール/Diana Krall」。 2009年のアルバム、「Quiet Nights」から。

 クワイエット・ナイツ

 ダイアナ・クラール / UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)



「Diana Krall - I've Grown Accustomed To His Face」

          

 「ステイシー・ケント/Stacey Kent」。パートナーの「ジム・トムリンソン/Jim Tomlinson」との共同名義のアルバム、「The Lyric」(2006)から。

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Lyric
Jim Tomlinson ,‎ Stacey Kent
O Plus France



「Jim Tomlinson & Stacey Kent - I've Grown Accustomed To His Face」

          

 そして、「ティアニー・サットン/Tierney Sutton」。「Something Cool」(2002)から。

 Something Cool

 Tierney Sutton/Telarc



「I've Grown Accustomed to His Face - Tierney Sutton」

          
   


     
# by knakano0311 | 2019-02-05 10:14 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

邪魔してゴメン

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 薪を割っていると、木の中から冬眠中の幼虫が出てくることがよくある。一番多いのが、一番上の写真の「ミヤマカミキリ(深山髪切)」の幼虫。

 聞くところによると、食するとクリーミーで大変美味だという。信州生まれの私は、子供の頃、貴重なタンパク源として、佃煮にした「イナゴ(蝗、稲子)」、「カイコ(蚕)」の蛹(さなぎ)、「ザサムシ」、「ハチノコ(蜂の子)」などはよく食したものであるが、「ミヤマカミキリ」の幼虫は、まだ食したことがない。「いまから? ・・・」、ちょっと勇気がいりますね。2番目の写真は、「キマワリ(木廻)」の仲間の幼虫でしょうか? よくわかりません。

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 朽木の樹皮の下からよく出てくるのが、美しい黒色の光沢のある殻を持つ大きな「ゴキブリ」、一部の地域では、絶滅危惧種ともなっている「オオゴキブリ」。家の中にいる「ゴキブリ」と違って、山にある朽木の中で生活をし、朽木の木質部を食べているので、不潔な昆虫では全くなく、その姿は、むしろキレイとさえ言える。

 虫の皆さん、冬眠の邪魔をしてゴメン ・・・。

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 今宵の曲は、お題は「Sleep Warm」。ポーランドの音楽家、ジャズ・ピアニスト、映画音楽の作曲家、音楽プロデューサーと多彩な活動を続けている「レシェック・モジジェル/Leszek Mozdzer」。 目ヂカラが尋常じゃありませんね。

 1971年、ポーランドのグダニスク生まれ。両親のすすめで5歳の時にピアノを始め、1996年グダニスク音楽アカデミーを卒業。これまで「クシシュトフ・コメダ」賞(1992年)、ポーランド外務大臣賞(2007年)などを受賞。 これまでに多くの音楽作品に参加しており、コラボレーションしたアーティストは、「パット・メセニー/Pat Metheny」、「アンナ・マリア・ヨペック/Anna Maria Jopek」など多数に及ぶ。

 その「レシェック・モジジェル」が演奏するのが、同じポーランド出身のジャズ・ピアニストで作曲家の「クリシュトフ・コメダ/Krzysztof Komeda」(1931年 - 1969年)の作品。東欧諸国やポーランドにおけるジャズの革新に最大の貢献をしたイノベーターであり、リーダーであり、斬新なセンスに満ちたピアニストが「コメダ」。そして、「コメダ」は、「ロマン・ポランスキー/Roman Polanski」監督の「水の中のナイフ/原題:Nóż w wodzie/Knife in the Water」(1962)や「ローズマリーの赤ちゃん/原題:Rosemary's Baby」(1968)、また「アンジェイ・ワイダ/Andrzej Wajda」監督の「夜の終わりに/Niewinni czarodzieje」(1960)などの映画音楽を手掛けている。

 濁りの無いピュアな音の連なりが、陰翳のある東欧の風土を想起させ、「コメダ」の残した音楽的遺産がぎっしりと詰まっているアルバム、「Komeda」(2011)から、映画「ローズマリーの赤ちゃん」でも使われた曲、「Sleep safe and warm」。その鮮烈さが際立つ。 

 Komeda

 Leszek Mozdzer / Act Music + Vision



「Leszek Możdżer - Sleep Safe and Warm (Krzysztof Komeda) 」

          

 2曲目は、「Sleep Warm」。「ステイシーケント/Stacey Kent」。初期のアルバム、「 Close Your Eyes」(1997)から。

【 Sleep Warm 】  by Alan & Marilyn Bergman / Lews Spence

「♪ Sleep warm, sleep tight    暖かくしてお眠り しっかりとね
  When you turn off the light    明りを消して
  Sleep warm, sleep well, my love  暖かくしてお眠り ぐっすりとね 
  Put your head on the pillow    幸せの枕とよばれる枕に
  What a lucky pillow         頭を横たえてね
  Close to you            目を閉じて
  So close to you all night       ぐっすりと眠るのよ

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  ♪」

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Close Your Eyes
ステイシー・ケント/Stacey Kent
Candid Records



「Stacey Kent - Sleep Warm」

          
    



      
# by knakano0311 | 2019-02-02 17:36 | 炭焼き小屋から | Trackback | Comments(0)

巨匠ミシェル・ルグラン逝く

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 映画音楽、ジャズ、シャンソン、ミュージカルなど幅広い分野に偉大な功績を残し、「ジャック・ドゥミ/Jacques Demy」監督作品、「シェルブールの雨傘/原題:Les Parapluies de Cherbourg」(1964)、「ロシュフォールの恋人たち/原題:Les Demoiselles de Rochefort」(1967)といったフレンチ・ミュージカル映画の傑作や「華麗なる賭け/原題:The Thomas Crown Affair」(1968)のテーマ曲「風のささやき/Windmills of Your Mind」などの映画音楽を数多く担当し、アカデミー賞にも3度輝いたフランス音楽界の巨匠、「ミシェル・ルグラン/Michel Legrand」が、1月26日パリの自宅で死去した。享年86歳。

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 1932年2月パリ生まれ。父親は、バンドリーダー、作・編曲者として名を馳せた音楽家。母親は楽譜出版社を経営、姉は歌手という音楽一家。パリ音楽院で音楽を学んだが、この頃からすでに群を抜いて才能を発揮、20歳のときに首席で音楽院を卒業した。卒業後はオーケストラを結成し、バンドリーダー、作曲者として活躍、一躍音楽界で脚光を浴びるようになった。

 1958年には、「マイルス・デイヴィス/Miles Davis」、「ビル・エヴァンス/Bill Evans」、「ジョン・コルトレーン/John Coltrane」ら錚々たるアメリカのジャズ・ミュージシャンを従えたニューヨーク録音のアルバム、「ルグラン・ジャズ/Legrand Jazz」を制作、ジャズ・スタンダードの洒脱さとバップの粋を絶妙なコントラストで表現した、ルグラン流のアレンジで聴かせてくれる名盤は、当時、本場アメリカのジャズマンや批評家からも高く評価された。

 映画音楽は50年代末から担当するようになり、当時の新しい潮流にあった「ヌーヴェル・ヴァーグ/Nouvelle Vague」の一連の作品の音楽を担当した。なかでも大成功を収めたのが、「フランスにはないミュージカルを作る」という企画で、セリフをすべて歌にした「シェルブールの雨傘」。1968年には、「スティーヴ・マックィーン/Steve McQueen」主演のスタイリッシュな犯罪映画「華麗なる賭け」の音楽を制作。イギリスの俳優でシンガー、「ノエル・ハリソン/Noel Harrison」が歌ったテーマ曲「風のささやき」が、大ヒット、その年のアカデミー最優秀歌曲賞を受賞した。これまで半世紀以上にわたり、映画音楽やジャズだけでなく、シャンソン、ミュージカル、クラシック、バレエ音楽といった幅広い分野で作曲家・編曲家・指揮者・演奏家・ヴォーカリストとして活躍し、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、グラミー賞に何度となく輝いた本当のマエストロ、巨匠、「ミシェル・ルグラン」。こんな音楽家は、もう二度と出てこないのでは ・・・。

 合掌 ・・・・・・。

 大好きなルグランの曲を2曲。まずはルグランとも親交があった、「ローラ・フィジィ/Laura Fygi」。フルバンドをバックに小気味よくスウィングする、ロンドンのジャズ・クラブ、「ロニー・スコッツ/Ronnie Scott's」でのライブ・アルバム、「Laura Fygi at Ronnie Scott's」(2003)から、「I Will Wait For You」。ベースのイントロと軽快なスウィング感が身震いするほどたまらない。

Laura Fygi at Ronnie Scott's

Laura Fygi / Verve



「I Will Wait For You - Laura Fygi」
 
          

 そして「風のささやき/The Windmills of Your Mind」。今宵は、「スティング/Sting」の歌唱を聴いてみましょうか。「スティング」の歌唱は、1999年公開の「ピアース・ブロスナン/Pierce Brosnan」主演のリメイク版の主題歌として使われている。

【 The Windmills Of Your Mind 】 by Michel Legrand, Alan & Marilyn Bergman

「♪ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  Like a circle in a spiral       まるで螺旋の輪のように      
  Like a wheel within a wheel   まるで車輪の描く輪のように 
  Never ending or beginning,    始まりも、そして終わりもなく
  On an ever spinning wheel    果てしなく回り続ける糸車
  As the images unwind        心のイメージが解き放たれた時
  Like the circles that you find   きみの心に浮かぶ風車の
  In the windmills of your mind   描く輪のように         ♪」

 

 ブラン・ニュー・デイ

 スティング / ユニバーサル インターナショナル


   
「Sting ‎– The Windmills Of Your Mind」

          
    


   
# by knakano0311 | 2019-02-01 10:16 | 訃報を聞いて | Trackback | Comments(0)