大屋地爵士のJAZZYな生活

我が青春のジャズ・グラフィティ(5)  ~ 大人の眼差し ~

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サバンナを駆ける一頭のキリン。まるでアートな写真のよう。「アントニオ・カルロス・ジョビン/WAVE」のジャケットです。こんな素敵なジャケットを持つ、レコード・シリーズがJAZZファンの心をつかんで大ヒットした時代があります。CTIレコード。クリード・テイラー(Creed Taylor)が、1967年にA&Mレコード内にCTIレコード(Creed Taylor Issue)を発足、やがて1970年に独立し、正式名称を「Creed Taylor Incorporated」に変更したレーベルです。
テイラーのジャズの大衆化を図るという狙いは見事にあたり、イージー・リスニング・ジャズ、あるいはクロスオーバー(フュージョンの前身)のブームを作ったのである。しかし、一部の硬派のJAZZファンからは「商業的過ぎる」という批判や顰蹙をかった事も事実。また、アントニオ・カルロス・ジョビンやアストラッド・ジルベルト等ブラジルのミュージシャンを起用し、ボサノヴァをアメリカで普及させた立役者でもあった。

当時、一杯30円の学食のうどんと下宿の飯で過ごしていた貧乏学生にとって、150円のサービスランチが大変美味しいので、家からの仕送りや、バイト(バンド)の収入があると、よく行っていたグリルが仙台にありました。CTIのJAZZを知ったのは、そのグリル「B軒」だったのです。ちょうどその頃40歳くらいだったでしょうか、そこの支配人のMTさんがJAZZ好きで、店内にもJAZZYな曲が流れていました。やがて、月1日か2日の定休日の前日の閉店後の店には、若い人が集まるようになり、いつからか店がサロンと化していきました。

普段なら店では流さないような曲をすこしボリュームを上げて流し、一杯の水割りを手にしながら、音楽を楽しみ、和気藹々、わいわいがやがやと時を過ごしたのです。MTさんはといえば、話には加わるのですが、説教じみたことは一切なく、ただニコニコしながら我々若造たちを脇からじっと見守っていたような気がします。ジャズ喫茶の作法に従い、少し深刻ぶってJAZZを聴いていた私をジャズ喫茶から解放してくれたのは、まさにこの店であり、MTさんが、その後の私の音楽の嗜好に大きな影響を与えた人だった。

「ハード・バップ」一辺倒から脱皮して、ボサ・ノバやフュージョン、バロック・ジャズ、R&Dなど多様な音楽を楽しむ姿勢が自然に身についていったと思う。
私が始めて逢った「尊敬できる大人」で、「あんな大人になれたら」と当時私を思わせしめた、そのMTさんが、若くして旅立ってしまったという悲報が届いたのは卒業して10年ほど経ったころであったろうか・・・・。

ソフト・サンバ
ゲイリー・マクファーランド ジミー・クリーヴランド セルダン・パウエル アントニオ・カルロス・ジョビン ケニー・バレル ウィリー・ボボ / ユニバーサルクラシック
ISBN : B000EMH8PE
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MTさんのお気に入りは、当時、全盛だった「ビートルズ」を取り上げ、JAZZYなボサノバにアレンジして聴かせる、アレンジャーの名手で、ビブラフォンプレイヤーの「ゲイリー・マクファーランド/Soft Samba」。40年ぐらい前に、彼らの曲をこんなに粋にボサノバにアレンジしてるなんて信じられないくらい。そのセンスにびっくりした一枚でもある。

テイク・テン
ポール・デスモンド ジム・ホール ジーン・チェリコ ジーン・ライト コニー・ケイ / BMG JAPAN
ISBN : B000ALIZVU
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そしてもう一枚のお気に入りは、「Paul Desmond/Take Ten」。デイブ・ブルーベック・カルテットのSAX「ポール・デスモンド」とギターの「ジム・ホール」がフィーチャーされたアルバム。アルバム・タイトルは大ヒット作、5/4拍子で演奏される「Take Five」の兄弟編。「Alone Togather」のほか、「エル・プリンス」、「埠頭」、「黒いオルフェ/カーニバルの朝」「オルフェのサンバ」など。軽やかであるが、哀愁漂う名演がいっぱい。40年間聴いてもなお飽きない名盤。

ボサノバをしったのも、この店。私の最初のミューズは、「Astrud Gilberto」であった。たまたまNYに出張した折、JAZZクラブに出演していた彼女を聴きにいったほどの「我が初恋のミューズ」であった。もとは「Joao Gilberto」の奥さんで、専業主婦。彼女がキッチンか何かで、鼻歌を口ずさんでいるのを、夫のジョアンがきいて、「これはいける」というんで歌手になったということが、当時のライナーノーツにかいてあったような気がします。

おいしい水
アストラッド・ジルベルト アントニオ・カルロス・ジョビン ジョアン・ドナート / ユニバーサルクラシック
ISBN : B00008KKT0
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そしてもう一人は、ボサノバの創始者、「アントニオ・カルロス・ジョビン」の1963年録音の代表作「イパネマの娘」。ジョビンが奏でるクールなピアノとクラウス・オガーマンのアレンジが魅力的で大ヒットしたインスツルメンタル・ジョビン・スタンダード集。そして、CTIの「WAVE」は、いまだに名盤。驚異的なギターテクニックに魅せられたのは、「バーデン・パウエル」。

イパネマの娘
アントニオ・カルロス・ジョビン / / ユニバーサルクラシック
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我が青春のJAZZグラフィティ/B軒編は、

33)ゲイリー・マクファーランド;ソフトサンバ
34)ポール・デスモンド:テイク・テン
35)アストラッド・ジルベルト;おいしい水
36)アントニオ・カルロス・ジョビン;イパネマから来た娘
37)アントニオ・カルロス・ジョビン;WAVE
38)バーデン・パウエル;ポエマ・オン・ギター

(次回へ続く)
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by knakano0311 | 2009-01-26 23:14 | 我が青春のジャズ・グラフィティ | Trackback | Comments(0)
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