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大屋地爵士のJAZZYな生活

おやじのモノ語り(1) ~メタボを超えて・・・ ~

団塊の世代の特長の一つに、「モノを所有することから離れられない」ということがあげられるそうだ。振り返ってみれば、この世代は「モノのない時代」から「モノがある時代」への転換期を経験してきたのだ。「モノ」によって個性を出す、自己主張する、青春期にそんなことを初めて体験した世代といえる。ファッションしかり、音楽しかり、車しかり、ブランド時代の幕開けであったともいえる。当時若者に支持された「平凡パンチ」などという雑誌や「VAN」、「JUN」などというブランドを思い浮かべれば納得が出来よう。そして、現在でも雑誌などの「こだわりもの」の特集はシニアや団塊世代がターゲットであるという。

かくいう私もそんな「モノ」離れの出来ない「おやじ」の一人である。周りを見回してみれば、あるはあるは、モノの山。そんな中から、今まで使い込んできたもの、体になじんできたものをオヤジの愛用品として、爵士流のこだわり定規を当てて、自分史シリーズ「爵士定規なモノ語り」を少し綴ってみようと思う。「モノ」離れがいまだ出来ない団塊オヤジの悲しい「モノ語り」と読んでいただければ結構です。

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長いサラリーマン生活であったが、スーツにこだわりを持ったことはなかった。前半は研究所勤めで作業着であったし、また後半はスーツはサラリーマンの作業着と割り切っていたからだ。こだわりを持っていたのはブレザーである。体にフィットして軽快であること、ノーネクタイやチノパンでもあわせられる事などから重用し、特に独身時代から「大丸ブレザークラブ」というフラノ地の百貨店ブランドのブレザージャケットを愛用していた。なぜか着ると開放感溢れるブレザー、それも肌さわりの良いフラノ地に憧れていたのである。写真はこのブランドのブレザーは3着あったが、2着はメタボのかなたに消え、もう1着しか残っていない黒のダブル釦のブレザーである。襟のデザインなどが古いが、多分35年ぐらい前に求めたものである。一時期メタボ体型のため着ることが出来なかったが、ダイエットの甲斐あってか近年着ることが出来るようになった。ヨット部OB会で還暦記念に頂いた赤いマフラーなんぞをまいて颯爽と?街に出かけていますよ・・・。 
靴は学生時代から愛用している「リーガル」のウイングチップ。頑丈で、足にフィットし長時間履いていても疲れないこと、ビジネスだけではなく、カジュアルな場所でも履けることなどが愛用している理由である。はじめて買ったのは入社を控えた大学4年生のときであった。40年前の当時で2000円だったと思う。この靴を履くといっぱしの大人になったような気分がしたことを憶えている。以来、買い換えるまで、出来るだけ修理を重ねながら、飽きの来ない変わらぬデザインのこの靴を履き続けている。底も革底から軽いスニーカータイプのゴム底となり、軽快なフットワークを得て、日本中、世界中をビジネスで歩き回った。

「LEON」などという雑誌のように、ああまであざとく女性にモテるためにファッションやブランドにこだわったり、お金をかける必要などまったくないが、定年を迎えてからは、自由な格好をしたい、心を開放して着たいものを着たい、心地よいものを身にまといたいなどと思うようになった。素直に着ることを楽しみたい・・。無論、高価なブランド品など、まったく必要ないのである。

このように着るものや、持ち物に多少のこだわりをもつ様になった原因は、多分、故・伊丹十三(出版された当時は伊丹一三)著「ヨーロッパ退屈日記」を愛読していたからである。大学に入学した年、1965年に出版されたこの本は、それまでは田舎の高校生であった私にとって衝撃的ともいえる本であった。車、服装、料理、音楽、語学、酒・・など、いままで触れたことすらなかった、あらゆる題材がヨーロッパでの見聞を基に、彼独自のこだわりの視点で語られている。今読み返しても大変キザである。しかしいやみはまったくなく、その視点やライフスタイルに憧れた。

伊丹十三(1933-1997)。彼は、現在では映画監督として知られているが、もともとは俳優である。大映に入社したが、二年足らずで退社、渡欧してカメラテストを受けた。そして1963年には「北京の五十五日」でチャールトン・ヘストン、1965年には「ロード・ジム」でピーター・オトウールと共演している。さらにデザイナー、エッセイストとしても一流であった。この本を刊行したとき満31歳であった。

ヨーロッパ退屈日記

伊丹 十三 / 新潮社



「My Favorite Things」。この曲を挙げなくてはなるまい。作詞オスカー・ハマースタイン二世、作曲リチャード・ロジャースになるこの曲は、ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌である。「バラの花びらの上の雨のしずく、キッチンの銅のやかんのウイッスルの音・・・」。舞台となったオーストリアでの家庭生活における様々な「私の好きなもの」が歌われており、テンポもワルツで軽快、そして美しい。JAZZにおける「My Favorite Things」といえば、コルトレーンが最も有名であるが、「デイブ・ブルーベック ・カルテット」のリチャード・ロジャース特集アルバムが素直で明るくて私は好きである。「テイク・ファイブ」とならんで私をJAZZの世界に誘ったアルバムでもある。

マイ・フェイヴァリット・シングス

デイブ・ブルーベック / ソニー・ミュージックレコーズ



「Dave Brubeck - My Favorite Things」

          
by knakano0311 | 2009-05-06 10:51 | 爵士定規 | Comments(0)
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