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大屋地爵士のJAZZYな生活

青春のシネマ・グラフィティ(1) ~シェルブールの雨傘/カトリーヌ・ドヌーヴ~

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なつかしい映画を劇場で観ました。1964年のフランス映画、ジャック・ドゥミ監督『シェルブールの雨傘』(Les Parapluies de Cherbourg)。見終わって、45年前と同じ胸キュンの感動に胸が熱くなっていました。そこで、「我が青春のシネマ・グラフィティ」のいまだ夢覚めぬ兄弟編として、「シネマな生活」のカテゴリーにときどきあの頃、スクリーンの女優に胸とときめかせた「青春のシネマ・グラフィティ」を織り込んでいきたいと思っています。実のところは、独立したカテゴリーとするだけの鑑賞力と記憶力がともなわないのが本音なんですが・・・。

さて、「シェルブールの雨傘」は、カンヌ国際映画祭で「パルム・ドール」を受賞したミュージカル映画。そして、この映画の公開45周年を記念し、日本で世界初の「デジタル・リマスター版」が特別上映されたのだ。色彩も音楽もかなり良質なものにリマスター(修復)されている。映画冒頭の色とりどりのパラソルが開く、あの有名な俯瞰シーンの鮮やかなショットの驚きも、45年前映画館で見た記憶と同時に甦ってきました。平日とあって、お客さんは同世代のシニアが殆ど。多分私と同じ想いが溢れたのでしょうか目頭を押さえていた姿が目につきました。

「シェルブールの雨傘(1964年)」は、他のミュージカル映画と違って、すべての台詞にメロディがつけられ、「語り」が一切無い完全なミュージカルである。最初に見たミュージカル映画は「ウエストサイド物語(1961年)」。歌でせりふを言うことに違和感、抵抗感は、この「ウエストサイド物語」により、まったく払拭されてしまった。そして、1965年には「サウンド・オブ・ミュージック」、「メリー・ポピンズ」、「マイ・フェア・レディ」とハリウッドのミュージカル大作映画が続々と公開され、ミュージカル映画が最大の黄金期を迎えた時期でもあった。

イギリス海峡に面したフランス北西部の港町シェルブールで互いに愛し合っていた傘屋の娘ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)と自動車修理工のギイ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)のもとに、ギイへの徴集礼状が届く。出兵前夜に結ばれ、ギイとの愛の結晶も宿したジュヌヴィエーヴだが、ギイの不在は彼女にとって堪え難いものだった。戦争に引き裂かれた男女を描く悲恋物語。
雪のクリスマス・イブ。ジュヌヴィエーヴがギイにラストシーンで問いかける「泣かせのキメぜりふ」は、「あなた幸せ?」。エンディングのその瞬間、涙が溢れてきた。

映画「シェルブールの雨傘」のラストシーン

          

「シェルブールの雨傘(1964年)」。なんと言っても「カトリーヌ・ドヌーヴ」でしょう。スクリーン上の女優たちに恋愛にも似た感情で幾度となく憧れた、彼女はまさしくそんな女優達の一人であった。形の良い上向きの鼻で、ちょっとつんとした美貌、華奢で楚々とした可憐なスタイル。肉食系の強くてきつい白人女性を感じさせない点が男性にアピールしたのであろう、『シェルブールの雨傘』のヒットで一躍スターの座をつかんだ。

以後、数々の名作映画に出演し、「演技派」そして「フランス映画界の女王」としての揺るぎない地位を築いた。1943年生まれ。プライベートではイギリスの写真家デビッド・ベイリーと1965年に結婚後、1972年に離婚。映画監督の「ロジェ・ヴァディム」との間に息子クリスチャン・ヴァディムが、俳優の「マルチェロ・マストロヤンニ」との間に娘キアラ・マストロヤンニの二人の子がいるが、ヴァディム、マストロヤンニと正式な婚姻関係になることは、いずれもかなわなかった。しかし、マストロヤンニとは晩年まで交流があり、1996年のマストロヤンニの臨終の時にもキアラと共に立会ったという。

マゾヒスティックな妄想に取り付かれた、上流婦人の表裏二面的生活を描いた「昼顔 Belle de jour (1967)」での危ないまでの美しさ。自我に目覚め、若い画家と恋に落ち、パトロンから自立していく若い女性をりりしく描いた「哀しみのトリスターナ Tristana(1970年)」。独立運動の拡大しつつあった旧フランス領インドシナで、ゴム園を経営するフランス人女性を描き、アカデミー外国映画賞を受賞した「インドシナ Indochine(1992年)」。
ドヌーヴは脇で重要な役を存在感ある演技で示した「ラース・フォン・トリアー」監督、「ビョーク」主演で話題となった、ミュージカル仕立てのデンマーク映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク Dancer In The Dark (2000年)」 。運命の糸に操られ殺人の罪で絞首台へと追いやられていく女性を描いたこの作品は、この年のカンヌ国際映画祭では最高賞であるパルム・ドールを受賞し、音楽も担当し たビョークは映画初出演にして主演女優賞を獲得した。。
そしてつい最近は、「輝ける女たちLe héros de la famille (2006)」。大切な人の死によってそれまで疎遠だった“ファミリー”が南仏のキャバレーに再び集い、新しいスタートを切る人間讃歌。「カトリーヌ・ドヌーヴ」の重厚かつ華やかな演技は、「さすが本物の大女優!」という貫禄で、劇中では見事な歌まで披露する。

わが永遠の憧れ、「カトリーヌ・ドヌーヴ」・・・。

そして音楽はといえば、「ミシェル・ルグラン」。主題歌はご存知の「I Will Wait For You」。スティーブ・マックイーン、フェイ・ダナウェイ主演の「華麗なる賭け(The Thomas Crown Affair)1968年」で、アカデミー主題歌賞を受賞した「風のささやき」、1969年の映画「The Happy Ending」に使われた「What are you doing the rest of your life」などが有名であるが、これらの歌は、ミシェル・ルグラン作曲、アランとマリリン・バーグマン夫妻作詞のコンビによる曲である。
ミシェル・ルグランの名曲、それこそ何人ものアーティストにカバーされているが、まずは、リリースするアルバムが、いつも一幕の芝居のような感じを抱かせる「ホリー・コール」のアルバムから選んでみよう。

シャレード

ホリー・コール / 東芝EMI



オランダが生んだジプシー・ジャズ・ギターの実力者でジ、「ジャンゴ・ラインハルト」を継ぐと称されている「ローゼンバーグ・トリオ」のリーダー、「ストーシェロ(ストーケロ)・ローゼンバーグ」のソロアルバムから。何しろギター・テクが抜群に凄く、テンポの早いジャズ・ナンバーも鮮やかに、軽々と弾きこなす。「I Will Wait For You/シェルブールの雨傘」も、パッショネートにロマンチックに演奏される。

Ready'n Able
Stochelo Rosenberg / Iris Music
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「Stochelo Rosenberg - I Will Wait For You」

           

同時にカトリーヌ・ドヌーヴ主演「ロシュフォールの恋人たち」(デジタル・リマスター版)も公開されている。
by knakano0311 | 2009-03-12 23:08 | シネマな生活 | Comments(0)
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