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大屋地爵士のJAZZYな生活

選択の自由、不自由  ~マーケッターとしてのシニア考(17)~

海外のレコード店を覗いてみると、「日本ではCDが高い」と感ずることがよくある。特に中国などでは、正規盤の日本や欧米のアーティストのCDでも20~30元(約300円~450円)程度であるのにびっくりしてしまう。何故だろうか?中国の場合などははっきりしている。製造コストが先進国に比べかなり安いうえに、発展途上国に対しては、著作権料も特別措置として安く設定しているため、前述のような価格が実現できているのだ。これに目をつけた業者が発展途上国から日本のアーティストのCDを逆輸入し、かなりやすく販売をしたことがあるが、レコード会社の猛反発によって、逆輸入が禁止された。

このような中国の場合はよく分かるのだが、同じ先進国のアメリカと日本の場合を見てみよう。
この3月25日に日本盤が発売された、我がミューズでもある人気JAZZシンガー「ダイアナ・クラール」の「クワイエット・ナイツ」と言うアルバムがある。以下に輸入盤と国内盤を比較してみた。この結果どう思いますか?

アメリカ輸入盤 ;Amazon予約価格 1,485円  発売日3月31日
             一般CD仕様、全12曲
日本盤(通常盤);CDショップ 2,500円  発売日3月25日
             一般CD仕様、ボーナストラック1曲日本語の解説、歌詞カード
日本盤(初回限定盤);CDショップ 3,000円 発売日3月25日
              高音質CD(SHM-CD)仕様、DVD添付(インタビュー等約8分)、
               ボーナストラック1曲、日本語の解説、歌詞カード

クワイエット・ナイツ(初回限定盤)(DVD付)

ダイアナ・クラール / UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)



輸入盤と初回限定国内盤とは倍の価格差があるのである。従来からも海外アーティストの場合は、日本盤にはボーナストラックをよくつけているが、そうでもしないと歌詞カードだけでは、その価格差を説明できないのである。かって海外のオリジナルには付いていないのに日本盤のみコピー禁止機能をつけ、しかもそのコストを価格にのせて、ユーザーの大反対にもかかわらず、CCCD(コピーコントロールCD)を発売したことがある。さすがにi-Podのような携帯音楽端末が普及するようになり、最近では眼にしなくなったが。
そして、本来は最高の音質でリスナーに提供しなければならないはずであるが、ダイアナ・クラールの新譜の事例の様に、高音質CDが価格アップの理由付けにされているようである。前回のブログで述べた様に「高音質化」などコストには殆ど反映しないと思われるのに・・・。

また、アルバム「ダイアナ・クラール/クワイエット・ナイツ」を音楽配信によってダウンロード(購入)する場合はどうであろうか?

i-tune shop;1曲150円、アルバム全体では1,500円 国内盤よりさらに1曲プラスされて全14曲

ダウンロードしたアルバム情報は「i-Pod」に入れることは勿論可能だし、CD-Rに焼き付ければ、国内盤と遜色のないCDが出来上がるのだ。

私が観るところ、日本のCDが高い理由は二つ。一つ目は著作権料、二つ目は流通の問題であると思われる。著作権(アーティストの側からいうと印税)というもの、小室某の事件でも報道されたようにかなり不透明なものらしく、それがどう配分され、コストにのっているのかよくわからないこと。そしてもう一つは業界の流通コスト、再販価格制度の問題。このご時世に、自由な価格で売れないのである。そして業界の最大のライバルは「インターネット」と情報技術の「技術革新」である。この情報技術の進歩にレコード業界の古い体質では追いついていけず、ますます苦境に追い込まれて行くのではないだろうか。

私はどうしたかって?我がミューズ「ダイアナ・クラール」をはずすわけにはいきませんし、「モノ」を所有することから抜け出せない旧世代ですので、輸入盤を予約しましたが・・・・。

「Diana Krall - Quiet Nights (Live In Rio Concert 2009)」

          
by knakano0311 | 2009-03-29 10:27 | マーケッターとしてのシニアから | Comments(0)
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