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大屋地爵士のJAZZYな生活

驚嘆の映像美 映画「ザ・フォール/落下の王国」

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この夏は、見逃していた映画を観るために、ずいぶんとDVDを借りてきた。その中で、その映像美に目を奪われた作品がある。『ザ・フォール 落下の王国』(原題:The Fall )である。ターセム監督が製作した、美しい美術品のような感動巨編。「落下の王国」とは何か?それは映画の最後に明らかになるが、種を明かしてしまえば、無声映画時代、勿論トリックもCGも無い時代、活劇映画の中では色々なものが落下した。車が河へ、建物から人が、鉄橋から汽車が、馬が谷へ、車や汽車から人が・・・。これらのアクションを生身の人間が体を張って、実写で演じていた映画の世界。その時代の「映画」への讃歌、オマージュである。世界遺産を含む24カ国の色々な実在の場所で撮影されたという映像はモノクロもカラーも見事に美しい。この映像美を見るだけでも十分価値があると思うのだ。

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さて、お話は、映画の創生期、ハリウッドで盛んにサイレント映画が創られていた頃のお話。撮影中の落下事故で脚を骨折し、ベッドで動けないスタントマンの青年ロイ。おまけに彼は女優に失恋したため、失意のどん底、自殺願望にとりつかれてしまう。ロイは、同じく腕を骨折で入院している5歳の少女アレクサンドリアを操って、自殺のための薬を手に入れようと、気を惹くため、少女に波乱万丈の活劇ベッドサイド・ストーリー、総督と6人の男たちが織り成す壮大な叙事詩を語り始める。この虚構の物語が、やがてロイやアレクサンドリアの夢と希望を紡いでいく・・・。物語は現実ではないけれど、ストーリーが展開される場所は、実際に世界中のどこかに存在する数々の場所。CGに頼らず、世界遺産を含む世界24か国以上で撮影された驚きの華麗な映像には息をのみ、一度訪れてみたいと思うほど。
そして、ラストシーンで次から次へと映しだされるスタントシーンをみて、タイトルの意味するところと、この作品が、「映画」による「映画」への愛情に満ちたオマージュであることが観客に分かる様になっているのだ。

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『落下の王国』(原題:The Fall )は、インド、イギリス、アメリカ合作で2006年に製作され、昨年後半に日本で公開された映画。監督はターセム・シン。構想26年、13の世界遺産、24ヶ国以上のロケーションで撮影期間4年を費やして製作されたという。第40回シッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリ(最優秀作品賞)を受賞するなど高い評価を受けた。また、美しい美術品のような衣装は、第65回アカデミー賞で衣装デザイン賞を受賞している「石岡瑛子」が衣裳デザインを担当している。
美しい映像に心を奪われ、この夏の暑さをひと時忘れたい人、或いはかって、冒険と夢とおとぎ話がいっぱい詰まったよき時代の映画をなつかしいと思う映画ファンには、間違いなくお薦めの作品です。 こんな映画を観てしまうと、また私の「海外旅行の虫」がうずきだしてしまうのです。

予告編(Trailer)や美しいスチル写真などが見られる「落下の王国」オフィシャルサイトはこちら。その驚嘆の映像美を垣間見てください。

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ワーナー・ホーム・ビデオ



それにしても、これだけ長い間、相当数観てもいまだに飽きない映画の魅力。わが家の薄型液晶テレビは多分TV番組を観るよりも、DVDのモニターとして機能している方が多いかもしれない。振り返ってみれば、最初に映画館で見た映画の記憶は、1954年(昭和29年)、8歳のときおやじに連れられてみた「ゴジラ」であった。翌年、1955年にみた鰐淵晴子のデビュー作「ノンちゃん雲に乗る」、森繁久弥「警察日記」、ダービー後破傷風で死んだ名馬トキノミノルを描いた「幻の馬」、1957年「明治天皇と日露戦争」などが、少年時代初めて観た頃の映画として記憶に残っている。DVDでは決して味わえない映画館の独特な臭いと雰囲気、硬い椅子、大きな画面、暗くなる瞬間のあのドキドキ感、映写機の廻り出す音、光のビーム、その中に浮かぶ塵の粒子、ニュースのあの独特の節回しのナレーション ・・・・。いまはすべてが懐かしく、映画は夢のような娯楽だった。

わたしのおすすめの映画へのオマージュの傑作はなんといっても、89年アカデミー外国語映画賞を受賞したジュゼッペ・トルナトーレ監督「ニュー・シネマ・パラダイス」。何度観ても泣ける映画。2時間の劇場公開版と175分の完全オリジナル版がありますが、監督の思いを読もうとすればいささか長いですが、完全オリジナル版が私のおすすめ。

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by knakano0311 | 2009-08-22 09:39 | シネマな生活 | Comments(0)
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