人気ブログランキング | 話題のタグを見る

大屋地爵士のJAZZYな生活

我が青春のシネマ・グラフィティ(10) ~イングリッド・チューリン/野いちご~

我が青春のシネマ・グラフィティ(10) ~イングリッド・チューリン/野いちご~_b0102572_9275747.jpg
(写真;ルンド大学本部)

前にも何回か触れたことがあったが、現役時代スエーデンの南端マルモ(マルメ、Malmo)という街に所管する子会社があり、役員会やら顧客廻りのため年に1~2回スエーデンに出張していた。マルモはスウェーデン南部、スコーネ県(スコーネ)最大の都市であるが、ある冬の休日に、そのマルモの北東に位置する都市「ルンド(Lund)」を訪れたことがある。ルンドの人口は約10万1千人の小都会。990年ごろ、デンマーク王のカヌートにより興された都市で、ルンド大聖堂やルンド大学で知られる美しい街。大学の職員と大学生が人口の4割ほどを占め、大学の都市と呼ばれている。この美しい大学都市を旅しながら、かって観た「イングマル・ベルイマン」監督のスエーデン映画「野いちご」(1957) を思い出していた。そして、その映画に登場した女優、硬質で、はじくとピンと音がなりそうな陶磁器の印象を持つ「イングリッド・チューリン」を・・・。

我が青春のシネマ・グラフィティ(10) ~イングリッド・チューリン/野いちご~_b0102572_16335432.jpg
「野いちご」はリアルタイムではなく高校の名画鑑賞会で観たのだが、その時代は洋画がハリウッド一辺倒ではなく、欧州、東欧、ロシア、ブラジルなど、もっとグローバルな選択肢に満ちていた時代であった。そして、変な表現ですが、これほど形の美しい頭蓋骨を持つ女優はいないのではないかと思った若き「イングリッド・チューリン」の美しさ。

「イングリッド・チューリン(Ingrid Thulin), 1926年12月7日 - 2004年1月7日」は、スウェーデン北部、ソレフテオー出身の女優。父親は漁師。子供のころからバレエを学び、ストックホルムの王立ドラマ劇場付属俳優学校で学ぶ。イングマール・ベルイマン監督の映画作品で世界的に知られる存在となった。ベルイマン中期の作品群はイングリッド・チューリンの演技に支えられていたと言っても過言ではない。1960年代以降は、アラン・レネやルキノ・ヴィスコンティの監督作品などにも出演。知性とエロティシズムを漂よわせた演技が特徴。1960年代以降ローマに在住していたが、癌のため帰国。ストックホルムの病院で死去、78歳。

イングマール・ベルイマン監督「野いちご;原題Smultronstället」(1957 )。主演はサイレント期の名優ヴィクトル・シェストレム。
79歳の老医学者イサクは50年に及ぶその業績を讃えられ、名誉博士号授与に赴く前夜、自分が死ぬ夢を見る。彼は息子夫婦の運転で式場のある「ルンド」へ向かうが、その途中、青年時代を過ごした旧宅に立ち寄り、そこで野いちごを見つけた彼は、若き日の婚約者との悲恋を回想しながら、 彼は思うままに過ごせなかった自らの青春を悔いる。そして車は式典会場へと向う。式典を終えたイサクは、その夜の夢で青春の頃に戻り、かっての婚約者に再会するが、その夢は幸福そのものだった。ある老人の1日を通して、死の予感や不安、人生のむなしさや喜びなどを、さまざまな夢や幻想を織り交ぜながら、回想という形で静かに美しく描きだした作品。この先、老いてから、若き日の自分やその人生の来し方を、私はどう回想するのだろうか。そのためにも、もっともっとしぶとく生きてみようと思うのだが・・・。高校生で観たときは、その意味するところが、実感として殆ど分からなかったが、今この歳になって、よく分かる「じじい映画」の傑作である。

野いちご
ヴィクトル・シェストレム / / ハピネット・ピクチャーズ
ISBN : B00005LJYA
スコア選択:


そして、やっとリアルタイムで見られると思って期待した、優等生の姉と奔放な妹との間にある人間的な葛藤を描いたイングマール・ベルイマン監督、イングリッド・チューリン主演の「沈黙;Tystnaden (1963年)」が封切られたが、過激な官能シーンが多く、我が国初の成人指定を受けため、ああ、残念ながら断念!!
その後、国際陰謀・サスペンス映画「カサンドラ・クロス/The Cassandra Crossing (1976年)」などで懐かしい顔を拝見しましたが・・・。

「ルンド」を訪ねたそのあとは、狭い海峡越しにすぐ間近にデンマークが見える「ヘルシンボリ」へ車を走らす途中、海辺の村の小さなレストランで北海からあがる魚のブイヤベースを食し、体が暖まった思い出も懐かしい。

マルモ音楽大学出身で海峡を隔てたデンマークのコペンハーゲンとを行き来しながら音楽活動をしているJAZZピアニスト「ヤン・ラングレン/Jan Lundgren」。人気の「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ」とは違って、カジュアルなやさしさとぬくもりの奥からほとばしる熱いエモーショナルな部分を感じるのだ。おなじみのスタンダード満載のアルバムは、「シャレード」。ジャケットの見開きには、マルモの街角とおぼしき見慣れた風景が拡がっていた・・・。

シャレード

ヤン・ラングレン・トリオ / エム アンド アイ カンパニー



そしてヨーロッパの各国の印象や想い出をちりばめた最新アルバムもぜひきいてみたい。

ヨーロピアン・スタンダーズ ヤン・ラングレン・トリオ

ヤン・ラングレン・トリオ / ビデオアーツ・ミュージック



「Jan Lundgren Trio - Yo Vivo Enamorao(恋に溺れ生きる)」

         
by knakano0311 | 2009-07-10 22:55 | シネマな生活 | Comments(0)
<< 西国三十三ヶ所・番外「花山院菩... 60歳過ぎたら聴きたい歌(35... >>