人気ブログランキング | 話題のタグを見る

大屋地爵士のJAZZYな生活

60歳過ぎたら聴きたい歌(36) ~ 帰らざる日々/ 陽はまた昇る/冬の嵐 ~

60歳過ぎたら聴きたい歌(36) ~ 帰らざる日々/ 陽はまた昇る/冬の嵐 ~_b0102572_17524057.jpg

団塊の世代がかって若者だった頃の人気バンドの再結成が盛んである。その中で「アリス」も去年、何回目かの再結成をし、今、全国コンサート・ツアーを行っている。私も「アリス」が好きであったが、リアルタイムの「アリス」ではなく、解散後独立してからの「谷村新司」を好きになり、そこから遡って好きになったというのが正しかろう。もっと端的にいえば、彼の詩の世界が好きなのだ。しかも若者の世界ではなく、中年或いは初老といった世代の世界。「泣ける歌」というような薄っぺらい「歌」でなく、ドラマに酔いしれるような「唄」、もちろん男の自己満足でしかないのは承知だが、あの男のロマンというかファンタジーというか、谷村新司の描き出す「虚構の人間模様」がたまらなく好きである。

例えば、「昴」、例えば「群青」、「チャンピオン」、「それぞれの秋」・・・・。そして「帰らざる日々」、「陽はまた昇る」。
「帰らざる日々」が発表されたのは、1976年。当時、谷村は28歳である。そして翌年は「昴」、さらにその翌年は「群青」とヒットを飛ばし、ソロ活動としても一定の完成をみる。人生経験も乏しい28歳の若僧によくこんな詩が書けたものだと驚嘆せざるを得ない。それが才能というものだろう。いま谷村が歌い、私が聴く。60歳過ぎてからだからこそ、心からその世界に酔いしれるこいとができるのだ。これが、ただいたずらに歳を重ねてきただけの結果の「年寄りの感傷」にしかすぎないということでなければいいのだが・・・。アリスの3人もことし還暦を迎える。

この恋はもう終わってしまったということは、頭の中では分かっている。でも一縷の望みをつないで最後のダイヤルを廻す・・・。

「帰らざる日々」 作詞・作曲;谷村新司

「♪ 最後の電話を握りしめて
   何も話せずただじっと
   貴方の声を聞けば何もいらない
   いのちを飲みほして目を閉じる

   Bye Bye Bye 私の貴方
   Bye Bye Bye 私の心
   Bye Bye Bye 私の命
   Bye Bye Bye my Love

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   貴方の声が遠ざかる
   こんなに安らかに
   夕暮れが近づいてくる
   私の人生の

   Bye Bye Bye 私の貴方
   Bye Bye Bye 私の心
   Bye Bye Bye 私の命
   Bye Bye Bye my Love  ♪」


すべてを失くした初老の男。過去の輝いていた日々を振り返るのはやめて、もう一度地に付いた生き方をしてみようと決意する・・・。

「陽はまた昇る/ LEFT ALONE」 作詞・作曲;谷村新司

「♪ 夢を削りながら 年老いてゆくことに
   気が付いた時 初めて気付く空の青さに
  
   あの人に教えられた 無言のやさしさに
   いまさらながら涙こぼれて 酔いつぶれたそんな夜

   陽はまた昇る どんな人の心にも
   ああ 生きているとは 燃えながら暮らすこと

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・     ♪」
  


「谷村新司」が、「アリス」時代も含め、自身の作詞によるヒット曲を新たなアレンジで吹き込み、シャンソン仕立てにした「素描~デッサン」(1986年6月)。このアルバムが他のベストアルバムに比べても、群を抜いてドラマ仕立ての冴えが際立っている。古いラジオから歌が流れるという、凝ったイントロの「帰らざる日々」、ミュゼット仕立ての「冬の嵐」、ドラマチックな熱唱「陽はまた昇る」を聴くと、まさに一編のフランス映画を観ているような気さえするのだ。

素描-Dessin-
谷村新司 美野春樹 佐々木周 青木望 / ポリスター
ISBN : B0006GAWRO
スコア選択:

「帰らざる日々 - 谷村新司」(旧バージョン)  画に相当な違和感がありますが ・・・。

          

「冬の嵐 - 谷村新司」(旧バージョン)

          
by knakano0311 | 2009-07-21 09:18 | 60歳過ぎたら聴きたい歌 | Comments(0)
<< ファイナル・アンサーは? 風に吹かれて・・・ >>