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大屋地爵士のJAZZYな生活

おやじのカラオケ

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私が定年後に止めたものの「TOP3」といえば、ゴルフ、酒席、カラオケである。ゴルフは元来、さほど好きでなかったせいもあって、一向に上達せず、時間とお金の無駄と考え、キッパリとやめた。またサラリーマンに付いて廻る酒席とカラオケも定年とともに、だんだん自然消滅となり、いまでは年数回程度旧友などと酌み交わすくらいである。

カラオケ。大変な発明である。日本人のエンターテイメントのあり様を変えたといってもいいくらいの発明である。私は、中国、台湾、韓国ぐらいしか知らないが、アジアのどこへ行ってもあり、あっという間に日本をふくめ、東南アジアを席巻したといえる。私見であるが、特に中国人は極めて歌が上手いが欧米人は下手。欧米では、あまりこのカラオケを見かけないのは、コンサートやライブが生活の中に定着しているという理由のほかに、欧米人は歌が下手という隠れた理由があるからではないかと私は観ている。

カラオケは、1971年に井上大佑(いのうえ だいすけ)氏という一人のバンドマンによって発明されたが、彼は1999年、米国タイム誌の「今世紀、アジアにもっとも影響のあった人物20人」という特集の中で「毛沢東やガンジーがアジアの昼を変えたならば、井上はアジアの夜を変えた男だ」と紹介された。カラオケ市場は、誕生後わずか30年余で8千億円を超える産業にまで発展したという。
当初、8トラックのカセットに始まり、レーザーディスク、デジタル化、映像ディスプレイ、通信NETによる楽曲配信・・・、IT技術の進歩発展とともにカラオケも進化してきた。

業態としても、1980年代半ば、カラオケを専門的に提供する、カラオケ・ボックスというビジネスが誕生。酒のついでにカラオケを楽しむのではなく、純粋にカラオケを歌うための場所であり、それ以前の概念を根底から覆す画期的な業態だった。カラオケ・ボックスがビジネスとして成功した一要因として、ある年代以上、(私もここに間違いなくここに入るのだが)の日本人には、「酒も入らない状態で人前で歌うこと」に対する拒絶反応が存在したが、それ以降の世代は、気心の知れた仲間同士の前では、気楽に歌って楽しむという我々世代には考えられない意識の変化が存在していたためである。
やがて、「カラオケで歌う歌を覚えるためにCDを買う」層が増え、1990年代の日本でシングルCDのミリオンセラーが多発し、いまでは、歌謡曲、演歌、J-POPを問わず、カラオケで歌われることを念頭に置いたヒット曲づくりがレコード業界の基本であるという。

そんな、我らが世代「酒&カラオケおやじ」のレパートリーといえば、「ムード歌謡」が好き、「デュエット」が好き、そして「口説き歌」、「バラード」が好きというのが相場であった。わたしもかって、カラオケにはお世話になった口であるが、ご多分に漏れずそんな類のバラード好きであった。  
「夢の途中」、「グッバイ・デイ」、「そっとおやすみ」、「爪」、「あいつ」、「ワインレッドの心」、「粋な別れ」、「群青」、「マイ・ウェイ」、「想い出のサンフランシスコ」・・・・・。あげだせばきりがないが、今思い返せば、まさに赤面ものである。幸いなことに、妻を始め、家族は誰一人、私が歌っている姿を観たことがないのが、せめてものなぐさめである。定年後、カラオケが趣味となり、本格的なシステムを購入したご同輩もいるが、わたしは、こんなブログを書きながら、今はただ聴いて懐かしむだけである。大阪、天神祭りで、「北新地」を40年ぶりに復活した神輿が練り歩く「陸渡御(りくとぎょ)」をTVのニュースで見て、少し心がうずいたことを素直に告白しておこう。

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「カラオケ的おやじバラード」でなく、本格的な歌手によるバラードの熱唱をじっくりと聞いてみたくなった。あのカンツオーネの女王「ミルバ」が「谷村新司」をカバーしているアルバムがある。「谷村新司」が描く音楽世界は、極めてドラマ性が強く、映画的、絵画的といってもいい。そのため、シャンソン、カンツオーネなどに通ずるものがあり、「ミルバ」が彼の曲を好んで取り上げたのもうなづけるのだ。
「ミルバ、谷村新司を歌う〜めぐり会い、そして明日へ」。イタリア語の独自の詞ということもあるにせよ、オリジナルとはかなり違っているが、ミルバが描くもう一つの「谷村新司の世界」は、彼女の圧倒的な歌唱力によってゾクゾクするような世界が拡がる。谷村新司とデュエット、2曲も収録。

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ミルバ、谷村新司を歌う〜めぐり会い、そして明日へ〜
ミルバ 谷村新司 / キングレコード
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「ミルバ - 昴(No, uomini,no)」

          
by knakano0311 | 2009-07-24 09:36 | マーケッターとしてのシニアから | Comments(0)
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