(写真;ビッグカメラ、電子ピアノ売り場でピアノを弾く真野さん、産経ニュースより)
かってイギリスで保護された記憶喪失の男が、ピアノを華麗に弾き、「謎のピアノマン」として話題になったことがあるが、日本では、家電量販店、ビックカメラ有楽町店本館の電子ピアノ売り場で、ホームレス風の男性が超絶技巧を披露し、リサイタル状態になっているという。そんな話題がTVなどメディアでとりあげられている。「真野和男」さん、77歳である。ちょっといい話なので、記事を引用・抜粋してみよう。
東京・五反田で酒屋の二男として生まれた。5歳ごろからピアノを習い始め、音大への進学を希望していたが、時代は太平洋戦争直後。食べ物にも困る状況で進学できず、戦後やっとの思いで音大に入学したものの、「教会音楽をやりたかったのに、学内には教えてくれる教授がいない」という理由や、在学中に始めたバンド活動がお金になったこともあり、結局2、3年で中退してしまったという。その後、作・編曲に始まり、バンド活動や音楽イベントの企画、音楽教室での指導に楽器のリース業などを始め軌道に乗った。仕事帰りに、電子ピアノ売り場に通うようになったのもこのころだ。生活は派手だった。プライベートでは、3回の結婚と3回の離婚を経験。ところがいいことばかりは続かず、48歳で突如、ぜんそくを患った。路上で倒れるほど重く、音楽教室以外の仕事から手を引くことに。療養地を求め、八丈島へ行ったところ、温暖な気候が体に合い、体調も良くなっていった。東京に戻ってきたときにはすでに60代半ばだったが、音楽への思いを抑えきれず、慣れ親しんだ電子ピアノ売り場へ舞い戻った。現在は、狭いアパート住まいで年金生活をしながら、売り場でピアノを弾く毎日を続けている。その華麗な演奏にいつも人だかりができだけではなく、かっては電子ピアノを販売していたため、その特長を熟知しているので、その辺の店員などより、よっぽどお客への的確なアドバイスができるという。集客だけでなく、接客もできるため、店側もできることなら「できれば、毎日来てほしい」という始末。そのため、ビッグカメラでは、真野さんがお気に入りの電子ピアノを彼用に仕入れたという。
売り場で弾く理由を尋ねると、「山寺で1人静かに弾いていたってだめ、音楽の原点は路上で人に聞かせること」。音楽の楽しさを伝えたいという思いが、真野さんの足を売り場へ向かわせているのだ。ただし、「お店の邪魔にならないように、1店舗1時間半くらいまで」とさりげない気遣いも。午前中はベスト電器新宿高島屋店、午後はビックカメラ有楽町店本館、夕方はビックカメラ新宿西口店に出没するという。
産経ニュースの
詳細記事はこちら。 そして、記事の最後からは店頭での演奏のライブ音源がダウンロードできます。
1曲目を掲載しておきます。
TVのインタビューでは、本人は照れていたが、これまでの人生の中で、吹っ切れているのか飄々とした人柄がにじみ出ていた。この話、「音楽のチカラ」を実感させる「ちょっといい話」ではないか・・・・。
そんな真野さん作曲による自身の演奏がCD化されるというニュースをTVが報じていた。タイトルは、本人自身が考えたが、その本人は「陳腐でいやだね・・」と照れる、「ネバー・ギブアップ」だそうだ。
ピアノ、ピアニストを扱った映画は、最近でも、「戦場のピアニスト」、「ピアノレッスン」、「ラフマニノフ ある愛の調べ」、「譜めくりの女」、「4分間のピアニスト」など数多いが、私は一つあげるとすれば、「海の上のピアニスト」 かなあ・・。
大西洋上の豪華客船に捨てられていた赤ん坊は、生まれた年にちなんで1900と名付けられ、黒人機関士に育てられる。成長した1900は非凡なピアノの才能を発揮するようになり…。「ニュー・シネマ・パラダイス」のジュゼッペ・トルナトーレ監督による人間ドラマ。
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