鳩山新首相の訪米を報じるTV画面の背景にニューヨークの街並みが映し出されていた。私が、初めてニューヨークを訪れたのは、1990年の晩秋であった。ちょうどニューヨーク・シティ・マラソンが行われていて、もう陽もすっかり傾いたセントラル・パークに、トップとは遥かに遅れてしまったが、何時間もかけて走り抜けてきた市民ランナーたちが、笑顔で続々とゴールしてきたことを覚えている。そして、ブルックリンから観たマンハッタンの夜景。その息を呑むような美しさにはしばし呆然とした。そんなNYの印象をいつも想起させてくれる歌に「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」がある。この歌は原題を「ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO)」といい、初めて聴いたときも、歌の中で何度もでてくる「・・New York City・・」というフレーズが気になっていたが、邦題は知らないままとなっていた。あまり日本では話題にならなかったが、「ダドリー・ムーア」主演の映画「ミスター・アーサー/Arthur(1981年) 」の主題曲である。この映画には「ライザ・ミネリ」や「ジェラルディン・フィッツジェラルド」らも出演していて、ムーアは、その年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたが、「黄昏」の「ヘンリー・フォンダ」に敗れた。しかし、主題歌「ARTHUR'S THEME」は、アカデミー歌曲賞を取ったのである。残念ながら、この映画はDVD化はされていないようで、私はいまだに観る機会を得ていない。クレジットでは4人の共作になっているが、作詞は「クリストファー・クロス/Christopher Cross」、作曲は「バート・バカラック/Burt Bachrach」。この歌は、間違いなくバカラックの後期の傑作といえるだろう。
その後、この歌の邦題が「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」であるということを知って、がぜん私にとって、この歌は、何回か訪れたニューヨークの想い出を偲ぶ歌になるとともに、年甲斐もなく秋に聴きたくなるラブソングのひとつにもなっている。80年代のNYの気分がよく出ている歌の雰囲気にこれほどピッタリとはまる邦題も珍しい。「 ・・・ When you get caught Between the moon and New York City I know it's crazy but it's true ・・・ 」という、美しいしゃれたフレーズが、しばらくは耳について離れなかったくらい、よく聴いた歌である。
【 ARTHUR'S THEME (BEST THAT YOU CAN DO) 】
作詞;Burt Bachrach&Carole Bayer Sager&Christopher Cross&Peter Allen
作曲;Burt Bachrach&Carole Bayer Sager&Christopher Cross&Peter Allen
「♪ Once in your life you will find her
Someone that turns your heart around
And next thing you know
You're closing down the town
Wake up and it's still with you
Even though you left her way cross town
Wonderin' to yourself
Hey what have I found
When you get caught
Between the moon and New York City
I know it's crazy but it's true
Between the moon and New York City
I know it's crazy but it's true
The best that you can do
The best that you can do
Is fall in love