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大屋地爵士のJAZZYな生活

ゴジラを観た夜

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私の記憶では、亡き父親に連れられて、初めて映画館で観た映画は、「ゴジラ」であった。昭和29年(1954年)、私が8歳の時である。東宝特撮映画の記念すべき第一作であり、着ぐるみ、ミニチュア模型などの独自のアイデアが日本映画の空想科学映画というジャンルに革命をもたらしたと言える。監督は本多猪四郎、特撮は円谷英二など4人が担当した。ストーリーは、水爆実験の影響で日本近海で眠っていた怪獣「ゴジラ」が目覚め、東京を攻撃する。口から恐るべき放射能を吐き、すべてのものを焼き尽くしていく。ゴジラに対抗しうる唯一の兵器、「オキシジェン・デストロイヤー」を完成させた若き科学者芹澤は、それを「ゴジラ」に使用するも、その兵器が以後核兵器のように悪用されることを恐れ、自ら「ゴジラ」の絶命を見届けながら、運命をともにしていく・・・。

デアゴスティーニ社から東宝特撮映画DVDコレクションで「ゴジラ」が発売になったので、早速買って観た。私に残っている映画の記憶は、ゴジラが海から出てくる場面、銀座を破壊する場面、ラストの科学者が海に潜水していくシーン、それとあの独特のゴジラのテーマ音楽ぐらいであったが、50数年後、改めて観て、そのストーリーの面白さ、丁寧な映画のつくり、破壊シーンの迫力、核反対の寓意、メッセージ性など、やはり名作にふさわしい映画であることを再認識した。ゴジラ本体はなかなか画面に出てこず、咆哮、足音、音楽などが緊張感と恐怖感を盛り上げていく手法は、スピルバーグの「ジョーズ」に影響を与えたということも十分納得できる。

ゴジラ <昭和29年度作品> [DVD]

東宝

注)写真は東宝リリースのDVD

「ゴジラ」を観て、幻想と叙情の詩人「レイ・ブラッドベリ」の短編「霧笛」を思い出した。たった一人だけ取り残された太古の恐竜が灯台の霧笛を仲間の呼び声と思い、海の底からあがってくるが、仲間ではなく、やはりたった一人だったことに気がつき、傷ついて、再び深い海の底へ去っていくという不思議な静けさと悲しい詩情に満ちた作品である。その恐竜は、「ゴジラ」と同じように、怖いけれど、不思議に澄んだ悲しい眼を、きっと持っているに違いない。「霧笛」は、太古の昔、遠い未来の果て、この世にあらぬものを詩情溢れる筆致で描く、ブラッドベリ自身が16編を自選した珠玉の短編集「ウは宇宙船のウ」に収められている。

ウは宇宙船のウ【新版】 (創元SF文庫)

レイ・ブラッドベリ / 東京創元社


ゴジラを観た夜、TVはオバマ大統領に今年のノーベル平和賞が授与されるというニュースを告げていた。期待、エール、それともプレッシャー ・・・・。
by knakano0311 | 2009-10-10 00:22 | シネマな生活 | Comments(0)
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