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大屋地爵士のJAZZYな生活

おやじのハコものがたり(4) ~橋の歌~

「♪ 私はいくつもの橋を渡ってきた 真実を求めて くもの巣のような鋼の吊り橋 小さな丸太橋 石造りの橋 旅する私はいつも異邦人で、いつも孤独だった 明日に繋がる橋がある 過去から繋がっている橋がある 消えることのない悲しみでできた橋も ・・・ 私は想う、きっと愛で繋がれた橋もどこかにあるはず ・・・ ♪」と歌うのはブラジルを代表するシンガー・ソングライター「ミルトン・ナシメント/Milton Nascimento」の「橋/Bridges」。「60歳過ぎたら聴きたい歌」でとりあげてもいいほど好きな歌の一つである。

「Milton Nascimento - Bridges (Travessia) 1969 」

          


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妻と一緒にヨーロッパで渡った最初の橋は、ドイツ・ハイデルベルグの「アルテ・ブリュッケ(古い橋)」。1788年「カール・テオドール選帝侯」によって架けられた石造りの橋である。私が初めて海外出張が、この街にある会社からの技術導入であったため、ほぼ1ヶ月の滞在の折、休日はもちろん平日にも何回かこの美しい橋を渡ったことがある。そんな訳で、妻との最初のヨーロッパ旅行の折には、おとぎ話に出てくるようなこの街に妻を連れてきたいと思っていたからである。正式名は、「カール・テオドール橋」というが、通常「アルテ・ブリュッケ(古い橋)」といわれている。 実際、町でも最も古い橋で、長さ約220mある。 橋にある門はは、もともと中世のころ町の城壁の一部だったという。この橋は、洪水など自然の猛威にはよく耐えたが、1945年第二次世界大戦の最終日に爆破されたが、戦後直ちに修復され、200年前と同じような美しい姿を取り戻した。3月の終わりのころ、ハイデルベルグはまだ冬の気配。近づいてくる春の兆しか、ネッカ河の川面に一面の霧が立ち込める朝、「アルテ・ブリュッケ」を渡り、ゆっくりと「哲学の道」へと向かった・・。

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フィレンツエ、アルノ河に架かる「ヴェッキオ橋」も思い出の橋。この橋のたもとにあるホテルに宿泊したので、毎朝、最上階にある食堂やテラスからは、朝日にきらめくアルノ河、黄金色に染まるヴェッキオ橋(ポンテ・ヴェッキオ)、大聖堂ドーモなどを見ながら朝食をとるという、まるで映画「眺めのいい部屋」のような至福の朝を迎えた経験がある。イタリア語で「古い橋」の名が示すとおり、フィレンツェ最古の橋。河川の氾濫などで何度か建て直されており、現在の橋は1345年に再建されたもの。橋の上にはヴェッキオ宮殿に繋がる「ヴァザーリの回廊」と呼ばれる回廊を持ち、両側には宝飾店が建ち並んでいるので、川が見える真ん中あたりまで来ないと、ここが橋であるとは分からない。朝は閑散としていた橋の上も、観光客が出てくる10時頃からは、身動きができないほど人で一杯となり、橋が落ちないかと心配するほどであった。

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1900年のパリ万博の時、セーヌ川をまたいでアンヴァリッド広場とグラン・パレ、プティ・パレの間を結ぶように建設された「アレクサンドル三世橋」も忘れがたい橋である。幅40m、長さ107mで美しい鋼鉄製の単一アーチ橋である。アレクサンドル3世橋はアールヌーヴォーの街灯、天使やニンフの像、ペーガソスといった華麗な装飾で有名である。 4隅の17mの高さの柱の上にはそれぞれ芸術、農業、闘争、戦争を意味する女神像が立っている。セーヌ川を走る観光船からこの美しい橋を見、エッフェル塔を観たあと、セーヌ川畔を歩き、足が棒のようになって、この橋のたもとで休憩をとったことも懐かしい思い出。
何回か妻と一緒に行ったヨーロッパ旅行、そのいくつかの思い出の中で「橋」は大きな位置を占めている。

さて、冒頭にあげた「橋」の歌であるが、オリジナルは「ブラジルの声」の異名をもつシンガー・ソングライター、「ミルトン・ナシメント」の名を世に知らしめた「トラヴェシア」。1967年、「タンバ・トリオ」と共にレコーディングされたデビュー作「トラヴェシア/Travessia」に収められている。インディ・レーベル発で、長らく幻のアルバムだったが、2003年に復刻された。「僕より遥かに偉大なミュージシャンだ」と解説で書いているのは、「カエターノ・ヴェローゾ」。

トラヴェシア

ミルトン・ナシメント / オーマガトキ


クリード・テイラーのプロデュース、エウミール・デオダード編曲による69年の「ミルトン・ナシメント」米国デビュー盤は、別の曲をアルバム・タイトルにした「コーリッジ/Courage」。アルバム「トラヴェシア」とほぼ同じ曲編成であるが、このときに英語詩によって「Bridges」が歌われた。去っていった恋人を想う原曲の歌詞とは大きく違うが、この英語詩「Bridges」の方が、私は好きである。

コーリッジ

ミルトン・ナシメント / ユニバーサル ミュージック クラシック


カサンドラ・ウィルソンと人気を二分する「ダイアン・リーブス/Dianne Reeves」のカバー。ずばり、この歌をアルバム・タイトルとした「Bridges」というアルバムもあるが、ここではライブ盤でギターの「Romero Lubambo」とデュオで歌う「Bridges(橋」)が秀逸な「イン・ザ・モーメント~ライヴ・イン・コンサート」をあげておきたい。

イン・ザ・モーメント~ライヴ・イン・コンサート

ダイアン・リーヴス / EMIミュージック・ジャパン


そして「伊藤君子」。先日のコンサートでも、彼女の大好きな歌の一つと語り、この「Bridges」を観客と一緒にハミングをしたばかり。アルバム「Once You've been in Love/一度恋をしたら」は、小曽根真プロデュースにより、ビッグバンドをバックに歌う、スイングジャーナル誌ゴールドディスクに輝く傑作である。なお、伊藤君子としては初の日本語による吹込みとなった武満徹作曲(谷川俊太郎作詞)の「MI・YO・TA」を小曽根真のピアノとのデュオで披露している。この曲もいい。

Once You've been in Love

伊藤君子 / ビデオアーツ・ミュージック


そのほか、私の知る限りでは、「村上ゆき/While My Piano Gently Weeps」、「鈴木重子/Silent Stories」、「英珠/Songs」で「Bridges」のカバーを聴くことが出来る。いづれも秀逸なアルバムであることを付け加えておこう。 

さて、「サイモン&ガーファンクル」に有名な橋の歌がある。その一つがご存知「59番街橋の歌/The 59th Street Bridge Song」。アルバムは「スカボロー・フェア」で始まる「パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム/Parsley, Sage, Rosemary and Thyme (1966年)」。多分、団塊世代の皆さんにとって、これは思い出のアルバムのはず・・・。「もっとゆっくり歩こうよ きみは早く歩きすぎるよ ・・・」と歌いだされる名曲。「59番街の橋」とは、ニューヨーク、イースト・リバーに架かる「クイーンズボロ橋」のこと。

パセリ・セージ・ローズマリー・アンド・タイム

サイモン&ガーファンクル / SMJ


もう一つの歌は、我々世代であれば、多分知らない人がいないであろうと思えるくらい大ヒットした、永遠の名曲ともいえる「明日にかける橋」(1970年)。ここでは、オリジナル「サイモン&ガーファンクル」ではなく、「エヴァ・キャシディ/Eva Cassidy」のライブ盤を上げておこう。「病みつきになった」という言葉でしか表現できないアーティスト、「Eva Cassidy/エヴァ・キャシディ」。彼女の生涯最高のライブ盤「Live At Blues Alley」からの「明日に架ける橋/Bridge Over Troubled Water」は、魂のこもる鳥肌ものの熱唱である。

Live at Blues Alley

Eva CassidyEva Music



「Eva cassidy - Bridge Over Troubled Water」

          
by knakano0311 | 2009-10-28 09:29 | おやじのハコものがたり | Comments(0)
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