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大屋地爵士のJAZZYな生活

我が青春のシネマ・グラフィティ(14) ~ ロミー・シュナイダー/ルートヴィヒ ~

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私の青春時代に影響を与えた女優たち。超有名女優ではなく、どちらかといえば、日本ではマイナー的な人気や短命で終わった女優たちを思い起こしているこのシリーズ、今回は「ロミー・シュナイダー(Romy Schneider、1938年9月23日 - 1982年5月29日)」。「ロミー・シュナイダー」は、オーストリア・ウィーン出身の女優で、「アラン・ドロン」の恋人として話題を集めたことを記憶している方のほうが多いかもしれません。このシリーズが、ヨーロッパ系の女優に偏ってしまうのは、1950年~70年代は洋画といえばヨーロッパ映画が全盛、ハリウッド映画より隆盛を極めていたので、観る機会が多かったのと、西部劇やアクション映画、ミュージカルなどより、陰翳の濃い恋愛ドラマや個性的な女優に、当時の私が惹かれていたからでしょう。

とはいえ、彼女の映画を多く観ているわけではありません。15歳で映画デビュー、17歳のとき、お転婆なバイエルン王国公女エリザベート(のちのオーストリア皇后)を演じて、彼女の人気を一躍高めたという映画「プリンセス・シシー/Sissi」3部作(1955年~1957年)や、当時無名の「アラン・ドロン」と共演して恋に落ち、婚約するきっかけとなった1958年の「恋ひとすじに/Christine」などは観ていません。

私が観たのは、ルキノ・ヴィスコンティ監督の「ボッカチオ'70/ Boccaccio '70」 (1961)、「ルートヴィヒ ~神々の黄昏~/Ludwig」(1972)、ジョセフ・ロージー監督で「アラン・ドロン」がトロツキーの暗殺者を演じた「暗殺者のメロディ/The Assassination of Trotsky」(1972)、ジョルジュ・シムノン原作、ピエール・グラニエ=ドフェール監督「離愁/Le train」(1973) くらいである。ルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」にもカメオ出演していたらしいが、まったく気がつきませんでした。

注)カメオ出演;ワン・シーンなどに特別出演すること、ヒチコック監督などの自作出演が特に有名

私生活ではあまり恵まれず、彼女には悲劇の翳がつきまとった。「恋ひとすじに」の頃から、アラン・ドロンと婚約していたが、1964年にアランは「ナタリー・バルテルミー(後に女優となるナタリー・ドロン)」と結婚してしまい、結局、ロミーとは、別れる結果になってしまう。アランはナタリーとまもなく離婚し、新しい恋人「ミレーユ・ダルク」と同棲する。 この間もロミーはアランを待っていたそうだが、待ちきれず、ついに1965年にドイツの映画監督「ハリー・マイエン」と結婚。そして7年後には離婚。離婚した数年後、ハリーはアルコール中毒で自殺という悲劇。離婚後、アランとは「暗殺者のメロディ」で共演したが、よりは戻ることはなかった。その後の2度目の結婚も離婚に終わり、ハリーとの14歳の息子を事故で亡くすなど悲劇が続く。ロミーは息子の死後、薬物に頼る生活が続き、翌年の1982年5月29日にパリの自宅で薬物の大量摂取により、43才という若さで、 この世を去った。心臓発作と発表されたが、ロミーは自殺への道を選んだのではないかといわれている。15歳で映画デビューした時に、両親が離婚したため、いつも温かい家庭への憧れと夢を抱いていたといわれるが、離れ離れになっていた父親から送られてきた手紙をお守りのように大事にし、死の時も、ロミーの手にはその手紙が、しっかりと握り締められていたという。なんという哀しい話だろうか。

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そんな私生活では恵まれなかった人生や悲劇が、彼女の演技に陰翳や深みを与えたような気がする。「ルートヴィヒ」は、18才でバイエルンの国王となり、ノイ・シュバイシュタイン城など城作りに莫大な国費を費やした結果、国を傾け、40才で湖に溺死した「バヴァリアの狂王・ルートヴィヒ」の半生を描いた超大作である。ロミーは、ルードリッヒが密かに思いを寄せるオーストリア皇后エリザベートを演じ、その完璧ともいえる気品のある美しさは私を魅了した。ロミーの美しさと、映画に出てくる二つの城「ノイ・シュバンシュタイン城」、「ヘレンキームゼー城」、そして学生時代に読んだ「澁澤龍彦」の「ルートヴィヒ」に関する小篇が、30年後の私をして、バヴァリア地方に旅をさせたのだった。(参照「欧州JAZZY紀行(11)~狂王の城~」) 

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「ルキノ・ヴィスコンティ」監督は、ロミーの印象を「激情、悲劇性、女らしさ、肉感性」と評していたという。それが、よく出ているのが「離愁」である。究極の愛を演じる「ジャン=ルイ・トランティニアン」と「ロミー・シュナイダー」のラストシーンが秀逸で忘れられない。 原題は「列車」。戦時下、疎開先へ向かう列車の中で、妻子ある中年男が黒服を着た謎めいた過去を持つ美女と出会う。妻子ある中年男とドイツ生まれの謎めいた過去を持つ女との刹那的な愛と別れを淡々と描く。音楽は「フィリップ・サルド/Philippe Sarde」で、ラストシーンのメロディーは最高にせつなく、涙なくしては観られない。「ひまわり」に匹敵するフランス映画史に残るラストシーンとその音楽。サルドはフランス映画音楽界の巨匠で多くの作品を手がけているが、「イヴ・モンタン」、「ロミー・シュナイダー」共演の映画「夕なぎ」のテーマ曲もそうですね。

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息子の死後出演した「サン・スーシーの女/LA PASSANTE DU SANS-SOUCI 」(1982)が遺作となってしまった。
世界人権擁護委員会の代表者マックスはパラグアイ大使との会見席上、その本名を確認すると同時に大使を撃ち殺した。獄中のマックスは面会に来た妻リナに、ユダヤ人である彼の人生を静かに語り始める。12歳の時にナチのに父親を目前で殺され、自分も一生涯杖に頼る身にさせられてしまった。復讐に捧げる人生とは・・・。
彼女はこの映画の中で、マックスが年老いてからの妻のリナ役を演じるともに、マックスが両親を亡くした後に面倒をみてくれた出版社社長のミシェルの美しい妻エルザの役も演じているが、エルザの切なさ、哀しさ、涙がじんと伝わってくる。

「サン・スーシーの女」以外はDVD化がされていますが、以下2作品が特におすすめ。

ルートヴィヒ 復元完全版 デジタル・ニューマスター

紀伊國屋書店



離愁 [DVD]

デックスエンタテインメント



往年のフランス映画からのJAZZ特集アルバム。

ル・ジャズ・マニフィック~ユニバーサル・シネ・ジャズ・セレクション

映画主題歌 / ユニバーサル ミュージック クラシック



このブログを書いていて、偶然に、ロミーは「20世紀の業を背負って生き、映画産業という残酷なまでの商業性のなかで、ヨーロッパを代表する女優へと登りつめた女性」と評し、その美しくも謎と悲劇に満ちた生涯に迫る佐々木秀一著「映画に愛された女 女優ロミー・シュナイダーの生涯」(国書刊行会)という本があることを保阪正康氏の書評記事で知った。

ロミー 映画に愛された女──女優ロミー・シュナイダーの生涯

佐々木 秀一 / 国書刊行会


by knakano0311 | 2010-01-14 09:35 | シネマな生活 | Trackback | Comments(0)
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